(58) 594 名無し募集中(タイムスリップした愛)


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ここは、どこや?
確か今日はダークネスの襲撃があって、あーしは里沙ちゃんを庇って……。

そうや!里沙ちゃん!

「駄目よ!まだ起きちゃ、気が付いたのね?あなた、大学の並木道で倒れてたのよ。友達の屋敷に連れて行こうと思ったけど陸に迷惑をかけたくないから、あなたをここに運んできたの」

一般人やろうか?
でも今日、戦った場所には一般人はいなかったはずや。
あーしは目の前のお姉さんを巻き込みたくなくて早くこの家から出ようとベッドから体を起こした。

「安心して、ここは私のアパートだから。一人暮らしなの。私の名前は篠山泉、ただの女子大生よ」

お姉さん、泉さんは、そう言ってキッチンに立って何かを作り始めた。

料理ができる間、あーしはこの部屋を、ぐるりと見渡した。
CDラジカセ、ラジカセの横には何枚かのCDがあった。しかし、そのCDは今発売されているマキシシングルではなくて8cmシングルだった。
今どき8cmシングルだなんて珍しい。
気になったあーしは枕元にあるCDの何枚かを見比べてみた。
1枚目は子供の時?の平均年齢14才のグループのCD。

2枚目は『愛してマスカット』と書かれていて4人の女の子が写っていた。
ん?
真ん中の女の子、どこかで見たような……。

「ああ、それ今園児達の間で流行ってるの。今度のお遊戯会に必要だから買っちゃった」
泉さんは、おかゆの入った鍋をテーブルに置いた。
「ごめんなさい勝手に……」あーしは思わず、しゅんとしてしまった。
だけど2枚目のシングルの女の子から目が離せなかった。
「右から二番目の女の子、私の友達」
泉さんは笑って言った。
「でも今はそのグループ解散して灯子もダンスだけは辞められなくてクラブのダンサーとしてバイトしてるの」
「さっき、園児達って……」

「今、夏休みだからバイトしてるの。私、将来は保母さんになりたいの、それよりも早く食べよう?元気になるにはまずは食べて体力つけなくちゃ。こうみえても料理は得意なのよ」
泉さんは腕まくりをした。

私はベッドに横たわっている彼女をゆっくり起こした。
その時、つい力が入ってしまい、水のように彼女の思考が私の中に流れこんでくる。

『2008年』

『リゾナントに帰らないと』

『里沙ちゃん……』

『この人を戦いに巻き込む訳にはいかん』

2008年!?
ちょっとまって、今は!
急に動揺した私を見た彼女は部屋にかけてあるカレンダーを見て、彼女はぎょっとした!

『1998年9月』

再び彼女の思考が私に流れこんでくる。
『何であーしはここにおるの?』
『1998年って何や?今は2008年のはずや!これもダークネスのしわざか!?』
『早くダークネスを倒さないと!』

目の前の少女はひどく混乱しているようだ。
私は彼女をもう一度ゆっくりベッドに寝かせ、頭を撫でてあげた。


何とコラボしたか分かったら年がバレますね。
初狼で普段は絵描きの作者なのでズレたり、スレ汚しでしたらすいませんでした。




          ◇         ◇          ◇


愛は今、泉のアパートに一人でいた。
腕や胸に包帯を巻いているが変えの包帯と薬がきれてしまい、泉は買い物に行ってしまった。

「無理をして動いちゃだめよ」

泉は笑って愛の頭を撫でてからアパートを出て行った。
愛は不安になった。
泉は自分が倒れてたのを見た時は体が光っていた、と言っていた。
この時代では、ありえないことなのに泉は自分の名前は、おろか、どこからきたのか、何故光ってたのかを聞かなかった。
自分は確か空間を操る敵と戦っていたはずだ。
もしかしたらその衝撃が里沙に向かわないように庇った時に、この時代にとばされた?
そうとしか思えない。


泉は見ず知らずの自分に優しくしてくれた。
出会ってからそんなに時間も経ってないのに、まるで自分を安心させるように言ってくれた。

安心させるように?
全てを分かっている?
そんなバカな。
精神感応者な自分が否定するのは、おかしいが、泉との会話は見透かされているような会話だった。

泉を追いかけていこうか?

体をゆっくり起こした途端、胸の傷が痛み、再びベッドに横たわってしまった。考える事は後でも出来る。とりあえず今は泉の帰りを待ちながら眠りにつくことにした。


泉は帰り道だった。
必要な物は買って後はアパートを目指すだけだったが少し遠回りをして帰っていた。
いつもなら真っ直ぐ陸の屋敷に帰るのだが本当は一人で考え事をしたかったのだ。
あの少女は何者?
泉が死者蘇生にやった黒魔術の呪いは、もう時間を戻して終わったはず。
魔術に使った教授の鏡も綺麗になったし、これ以上災いが降りかかる事はないはずだ。

でも、

泉は思った。

『ごめんなさい勝手に』

と彼女は言った。
本当に悪い人なら、こんなことは言わないはずだ。


しばらく歩くと住宅街を進む道に入った。
行き止まりが多い道だが、いきなり泉の前を一台のタクシーが凄いスピードで横切り、数メートル先で止まった。

思わず立ち止まった泉はタクシーから出てくる男を見て、ぎょっとした。
銃を握っているその男。
三白眼の目を持つ顔は青白く、感情のない冷酷さが現れていた。
女子大生連続殺人事件の犯人、井坂勇二だ。
タクシーで走っている途中で泉を見つけた井坂は若い女を殺そうとタクシーを止めたのだ。
怖くなったタクシーの運転手は泉を置いて一目散に逃げてしまった。

『井坂!?どうして?時間を戻した時に高取さんが捕まえたはずよ?!まさか、また脱獄!?』

迫ってくる井坂。
後ずさる泉。
井坂は何が楽しいのかニヤニヤしながら、しまいにはナイフを持ち出し泉に刃を向けた。

泉は震えていた。
迷っていた。
泉は拳を握りしめる。
殴る訳にはいかない?
相手が例え殺人犯でも?
周りに武器になるようなものはない。
ならば今頼れるのは自分しかいない。

『でも!!』


愛は痛みを無視して飛び起きた。
今のは泉の声?
今、近くまで来ているのか?
切羽詰まったような泉の声が愛の中で響いた。
出会った泉は優しくて穏やかだった。
それが今、追い詰められている?
愛は胸を押さえながらでも、いてもたってもいられなくなりアパートを飛び出した。


瞬間移動は使えない。
傷が痛む。
それでも愛は泉を助けたくて声がする方へ走っていた。



その頃、井坂は泉の顔を二度、三度と殴り、泉はレンガ沿いの壁に崩れ落ちた。泉は息を切らしながらも立ち上がり唇の血を手首で拭い井坂を睨み付けた。

殺らなきゃ、殺られる-------!!

「泉さん!」

泉が振り返ると交差点を渡った所に愛がいた。
「逃げて!お願い、早く!」

「嫌や!泉さんを置いてなんか逃げられん!!」
愛は迷っていた。
一般人の前でチカラを使う?
でも見ず知らずの人の前で使ったら、また……。

「早く、逃げて……!」
泉は愛に叫びながら、ゆっくりと井坂に近づく。

もう、迷ってられない!

泉は深く息を吸って吐いた後、拳を握り、セイハイの構えを取った。

『武道とは人を生かすもの、不動の心を持つ、それが平常心!!』

泉は施設で習った先生の言葉を思い出した。
得意のヌンチャクはいらない。
泉は井坂の懐に入り、みぞおちにパンチをぶち込む。続けて上段回し蹴りを井坂のナイフを持つ手を狙って放つ。
ナイフは乾いた音をたてながら地面に落ちた。
しかしまだ銃は井坂の手の中にある。

『殺す!殺してやる!ギタギタに切り刻んでやる!』

泉がパンチをぶち込んだ時、井坂の心の声が聞こえた。