『泣いちゃう鴨南蛮そば一丁』


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607 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2011/07/11(月) 21:10:02.52 O
川* '∀')<ディナーの新メニュー!『男と女のピザパイスープ』
(バンパイア風)やよ!!

ノ|c|;・е・)<バンパイア風…?

川* '∀')<ピザパイが冷たいトマトスープにひたひたになってるやよ!

ノ|c| ・е・)<血の色って事? …「男と女」の意味は?

川* '∀')<イキフンやよ!

ノ|c| ・е・)<…却下…!


608 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2011/07/11(月) 22:34:05.65 0
新メニュー開発の意欲は買うがw

609 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2011/07/11(月) 23:07:33.58 0
でも良い線は言ってると、ネーミングとかw
味とかは皆で試食会しよう。

611 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2011/07/12(火) 00:16:46.67 0
ノリo´ゥ`リ<こはるが考えたよ!!『泣いちゃう鴨南蛮そば』ー!!

ノ|c| ・e・)<…採用。

Σ川*’Д’)<うそッ!?

612 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2011/07/12(火) 00:53:29.73 0
小春はミラクルだなあ

613 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2011/07/12(火) 01:37:57.67 0
喫茶店にあるメニューではないけどねw

614 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2011/07/12(火) 06:05:32.78 0
昼飯時に頂こう



私の名はダークネス。
世界征服という大それた野望を抱く私のことを人は闇の王と呼ぶ。

最近どうも部下たちの私を見る視線が厳しくなっている気がする。
まるで変態を見るような目で見られてる気がするが、きっと気のせいだ。
王の歩む道は孤独なものだ。

今私は宿敵リゾナンターの根拠である喫茶リゾナントを訪れている。
店を襲撃し、女たちを陵辱し、略奪の限りを尽くした後に、破壊する…為ではない。
リゾナントの新メニューを調査することが目的だ。
こんなことを言えば、世界征服を企む悪の組織の首領が、喫茶店の新メニューの試食なんてしてる場合かという者もいるのかもしれない。
私の部下の中にもいる。

彼女曰く、喫茶店の売り上げなんか気にしてる暇があったら、とっとと殴り込んで白黒つけちまおうぜ、だそうである。
申し遅れたが私はダークネスカフェというメイド喫茶のオーナーでもある。
ちゃんとリーズナブルな昼メニューも用意しているので、可愛いメイドたちの接待でランチを楽しみたいという方がおられれば、こぞってお越しいただきたい。
ただし、約一名凶暴なメイドに当たった場合は、運が悪かったと思って諦めていただくしかない。
もしもそういう店が気恥ずかしいと言われるご年配の方はカラオケスナック「ぽろり」で酸いも甘いも噛み分けた裕子ママがお待ちしています。

話が逸れてしまった。
何故戦いを繰り広げているリゾナンターの根拠までやって来ながら襲撃ではなく、新メニューの調査を行うのか。

喫茶リゾナントはリゾナンターにとって城だ。 それも堅固極まりない難攻不落の名城だ。
古来、力攻めで落ちた堅城はない。
守りの堅い城を落とすには、周りを取り囲み糧道を断ち、水の手を落とした上で、情報戦を仕掛け内部分裂を誘ってからではなくては、攻城側の被害が甚大なものになってしまう。

私がリゾナントの新メニューを調査することもその一環である。
新メニューが爆発的な人気を呼び、お客が長蛇の列を成し、昼の情報番組の取材でも受けようものなら、リゾナントの経営が安定してしまうではないか。
常に人の目が光っていては襲撃さえおぼつかないではないか。

だから新メニューが完成すれば、調査を進めスーパーコンピューターで徹底したシミュレートを行う。
新メニューが客層にマッチしているか、新しい顧客を掘り起こす魅力があるか否かという分析から、収益率の予測にいたるまで、実に二千項目に渡る。
もしリゾナントの収支を好転させる可能性が高いと総合判定された新メニューは潰す。

徹底的に潰す。
材料の買い占めは勿論のこと、採算度外視の対抗メニューの開発、新メニューが一般の客の口に入るのを阻止するために、素顔の戦闘員を多数派遣したこともある。
私は『信長の野望』は内政のパラメーターが上がりきるまで、他国に戦争はしかけない派だ。

兎にも角にもリゾナントの新メニューの動向を調査することの重要性はお分かり頂けたと思う。
しかし新メニュー調査の重要性を理解していただいた方々の中に、闇の王自らが調査に臨むことの是非を問われる方がおられるやもしれない。

勇将の下に弱卒無しという言葉がある。
戦国の勇、織田信長が桶狭間の戦いで今川義元を討つために居城を出撃した時、彼に付き従う配下は数騎しかいなかったという。
軍神、上杉謙信は川中島の合戦において敵陣に単騎乗り込み、武田信玄と一騎打ちを行ったという記述が残っている。
武とは縁の無さそうな木下藤吉郎、後の関白羽柴秀吉でさえ主君、織田信長の命を助けるために金ヶ崎の退き陣で極めて不利な撤退戦を陣頭指揮したという来歴がある。

集団、特に戦闘を目的とする武力集団とはそういうものだ。
全軍が崩壊しても、勇将が一人生き残れば失地回復することが出来る。
だがたとえ幾千幾万の軍勢を誇っても、弱将一人が討たれれば全軍は崩壊する。
私が単身リゾナントを訪れたのもそういうことだ。
ちなみに『信長の野望』では桶狭間の戦い後の織田か島津でしかプレイしない派だ。

そんなわけで今私は、リゾナントの店内に陣取っている。
ランチがお目当ての常連客の邪魔にならないように、午前11時に店のドアをくぐった。

裏切り者新垣里沙や、新メニュー妨害作戦に従事した戦闘員の報告によって店内の様子はあらまし把握はしていたが中々に雰囲気の良い店だと思う。
もしも戦いを繰り広げている敵対勢力の根城でなければ、毎日訪れてもよいぐらいだ。

ウェイトレスらしき女性が水を満たしたグラスを載せたトレイを持って、私の座る席にやってきた。

「いらっしゃいま、お、お前はダークネス。 一体何しにきたっちゃ」

やばい。いきなり正体がバレているではないか。
流石は田中れいな。 高橋愛の近衛兵としてリゾナントに来る客来る客に因縁を吹っかけていたという強い警戒心は伊達ではない。
しかし、何故バレてしまった。

「ちょっと、れいな。 お客さんになんてこと言うの。 あやまりなさい」

カウンターの中かられいなをたしなめたのは高橋愛だ。

「だって、愛ちゃん。 この男はダークネスたい」

「だから、初めて来られたお客様に失礼でしょう」

「そんなこつ言ったって、こいつ、こいつ、…三角覆面を被っとるっちゃ」

れいながそう言って私が被っている三角覆面を指差す。

「コラッ、れいな、もうっ」

カウンターの中から飛び出してきた愛が、私を指差していたれいなの腕を叩いた。

「ほんとにすいません。 この娘悪い子じゃないんですよ」

「いやいや、誰にでも間違いはあるものですから」 鷹揚に言った私に対して、無理やりれいなの頭を下げさせる。

れいなは不服そうだったが、愛には逆らえず不承不承頭を下げる。

そんなれいなをまるで猫の首を掴むようにして、カウンターの中に連れて行った愛は説教を始める。

本物のダークネスだったら、あの人みたいに静かに席に座ってるはずが無いでしょうとか、幹部や戦闘員も連れてきてない、という話し声が聞こえる。
それにしても危ないところだった。
敵地に単身潜入する危険性を考えて、いつも被っている「ダ」の文様の入った三角覆面は止めて、無地の覆面にしておいたのが功を奏したようだ。
備えあれば憂いなしとはよく言ったものだ。
ちなみに『信長の野望』は武将に最大限の兵士を配分してからでないと出陣しない派だ。

…やがてれいなが改めて、私の席にやってきた。
丁重に水の入ったグラスをテーブルに載せると、謝罪の言葉を述べる。

「…疑って悪かったとよ」

何このしおらしい態度。
デレてるの? ねえ、デレてるの、れいな?
これがツンデレってやつ。 ねえねえ恋をしてもいいですか。

一瞬自分の立場を忘れかけたものの、そこは闇の王。
自制心を取り戻して、本来の目的を果たすことにした。

「ランチにはすこし早いが、泣いちゃう鴨南蛮そばを一つ頂こうかな」

まだ客の姿もまばらな店内、私の注文は愛の耳にも入ったはずだ。
だというのに、愛もれいなもオーダーの復唱を行わない。
客商売の基本中の基本を怠るとは。

不倶戴天の敵とはいえ、同じ飲食業を営む者として一つ注意しておくべきか。
思い悩む私の元に愛がやって来た。

「・・お客様、ただいま注文されました泣いちゃう鴨南蛮そばですが、他のメニューに換えていただくわけにはいけませんでしょうか」

困惑の色を顔に浮かべている。

「困りましたね。 新メニューって書いてあるからきっと力が入ったものだと思って頼んでみたのですが」

「ええ、それは、まあ」

どこかはっきりしない態度に興味を覚えた私は探りを入れることにした。

「まさか。 まさかといったらまさかですが、これから蕎麦を打つとかそういうことでしょうか」

「いえ、お蕎麦は打てる子がいて、すでに打ってあるのですが」

「じゃあ、まさかこれから鴨を捕まえに行く?」

「あっ、いえ。 鴨も確保してあるのですが」

「だったらどうして他のメニューにしろと言われるのでしょうか」

これが他の店だったら、その要求に従ったことだろう。
店主を困らせることは本意ではない。
しかし、これは戦いだ。
リゾナントの新メニュー、泣いちゃう鴨南蛮そばを調査することはダークネスにとって実に大きな意味を持つ。
そして、何より困った顔の高橋愛はとても魅力的だ。
私は常では絶対行なわないであろう無理押しをすることにした。

「私はどうしても泣いちゃう鴨南蛮そばが食べたいんです」

少し加虐的な興奮さえ覚えながら、泣いちゃう鴨南蛮そばを要求し続ける私の態度に高橋愛も折れたようだ。
これ以上無いぐらい暗い声で注文を復唱する。

「…わかりました。 …泣い…ちゃ…う鴨・・南・蛮・・・そば……一丁」

「そんなか細い声じゃ蕎麦が延びてしまいますよ」

たとえ敵のリーダーとはいえ、妙齢の女性を責めるのは気が引ける。
全ての女性は尊重すべきだと思う私の心情に反する。
『信長の野望』では政略結婚は使わない派だ。

そんな私の気を知ってか知らずか、高橋愛は半ばヤケクソ気味に声を張り上げた。

「小春~。 泣いちゃう鴨南蛮そば一丁やよ~!!」

何、小春とはリゾナントレッドこと久住小春のことなのか。
以前のことを思えばTVでの露出こそ減ったものの、念願だったファッション誌への進出を果たすなど着実にステップを上がっている久住小春が何故?

「はーい、お待たせ」

明るい声を上げて店の裏口から入ってきたのは、紛うことなく久住小春だった。
久住小春はしかし、私が思っていたのとはかけ離れた格好をしていた。
白いTシャツにジーンズのオーバーオール、頭には麦藁帽子を被り、まるで農作業に従事しているかのようだ。

「そ、その手の鴨」

そう、久住小春は左右の手に一羽ずつ、鴨を持っていた。
鴨はまだ生きているらしく、弱々しい羽ばたきを行なっている。

「すごいでしょっ!! 小春が捕まえたんだよ」

「捕まえたって、一体」

流石の私ですら、今ある事態、これから起こりうる事態の予測がつかない。

「鳥って生物性磁石で方角を探知してるでしょ。 だから私が電磁波で誘導して弱電流でしゅびしっと」

「小春、あんまりお客さんの前でチカラに関することは言ったらダメって」

「ええ、つまんない」

唇を尖らせながら、私の目の前に二羽の鴨を掲げる。

「どっちの鴨にします?」

「どっちの鴨にしますって、えええええええっ」

鴨南蛮の鴨ってまさか、これから?私の疑問に小春は屈託の無い笑顔で答えてくれた。

「うん。 小春が絞めて、小春が捌くからね。 あ、蕎麦も小春が打ったんだよ」

そういえば久住小春は田舎の子だったなあ。 私の感慨をよそに事態は進行していく。

「鴨吉、鴨代。 逝くんじゃなか」 れいなが涙声になっている。

れいな!と諭す愛の目にも涙が光る。

「仕方ないよ、れいな。 やっと私たちの手から餌を食べてくれるぐらいに懐いてくれたけど仕方ないよ。 だって…」 と言いながら私を見つめる。

「このお客さんがどうしても泣いちゃう鴨南蛮そばを食べたいって言われるんだからしょうがないよれいな」

くっ、何

「私がこのお客さんを説得できたなら鴨吉や鴨代ももう少し生きられたのにしょうがないよ。 ごめんねれいな」

何なんだこの罪悪感。 くっ、くっ、くっ…。

「食えるかあああああああああっ!!」

…結局リゾナントの新メニュー、泣いちゃう鴨南蛮そばの調査は失敗した。
手ごろなサンドイッチで昼食を済ませ、リゾナントを後にした私の肩には鴨吉と鴨代が止まっていた。
私が買い受けたのだった。
二羽との別れを悲しむれいなには苦労したが、旅先で放鳥するという言葉に納得して二羽との別れを受け入れた。

こんな私を見れば、あの女、私のことを首領だとも思っていないあの女はこう言うだろう。
だからテメーは中途半端なんだよ、偽善者めと。
確かにそうだ。 今日から私が菜食主義者に鞍替えするならともかく、私はそうするつもりはない。
今日も明日も動物の肉を食う。 勿論、鳥もだ。
そんな私が二羽の命を救ったて、何の意味も無い、いかなる意義もそこには存在しない。
同じ命でありながら、助ける命と食する命。 格差を作ってしまったのも忌むべき事態だ。

しかし、目が合ってしまったのだ。 生きたいという二羽の意思を感じてしまったのだ。
こうなってはもうどうすることもできなかった。
命の価値は平等という理念の背骨が私を貫いているのであれば、二羽の命をありがたく頂くべきだったろう。

だが正義という崇高な理念に背を向け、悪に走った私にはそんなものは関係ない。 
やりたいことをする。 助けたい命は助ける。 思いのままに動く。
私の名はダークネス。 こんな私のことを人は闇の王と呼ぶ。