『モーニング戦隊リゾナンターR 第??話 「半分エスパーの世界(前)」』


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世界の破壊者 高橋愛。 守るべきものの為に立ち上がれ。




2011-2-20 12:08:00

ランチ
テーマ:ブログ

今日のお昼は近所の喫茶店でいただきました。
カメラの調子が悪いので画像は上げれませんが

オムライス↑

バジルパスタ↑

美味しかったです。

店のマスターは私より年下のカワイイ女の子です。

関西弁がとても素敵です。

アメちゃんももらいました~。

ラッキー!


日課になったブログの更新を終えた高橋愛は溜息をついた。
その原因は故郷の母親から送られてきたお見合い写真。
相手は地元でゴルフ場やホテルを経営している企業の跡取り息子。
“お前もそろそろ身を固めたらどうだい”という手紙が添えられていた。
スポーツマンで高学歴で目鼻立ちも整っている彼は、お見合い結婚の相手としては恵まれている。
故郷に帰って両親を安心させてやるべきなのだろうか?

「お客さん、若いのに何溜息ついてますの。 さてはうちに一目惚れして禁断の恋に身を焦がしてって、違うか!!」

喫茶店のマスター、光井愛佳が話しかけてくる。
勝手にボケて、勝手に突っ込んでそのノリは売れない女芸人みたいだということは口に出さない。
溜息の原因はもう一つあった。
それは今の仕事。
公務員の恵まれた待遇自体に不満は無い。
仕事を通じて知り合った一人の少女が愛の心を掻き乱す。
その少女の名は真野恵里菜 。
愛が働く国立エスパー研究所で養成された見習いのエスパー。
テレポーテーション、サイコキネシス。
圧倒的なポテンシャルを有しながら、その力を制御しきれずに様々な騒ぎを巻き起こす彼女のことを人はこう呼ぶ。
“半分エスパー”と。

愛は国立エスパー研究所(通称:こくえけん)の所長秘書であり、見習いエスパーに社会的な常識や人間関係を指導する教師でもある。
その仕事柄これまでに様々なエスパーを見てきた愛だが、その中でも真野恵里菜は別格だ。
“こくえけん”の外の世界に出る為に、恵里菜が能力で破壊した施設の跡を見たときは信じられなかった。
あんな可憐な子がこんな凄まじいチカラを持っているなんて。

恵里菜に恐怖を抱いたが、追跡する愛から逃れようと発動したテレポーテーション能力を制御しきれず、同じ場所で消えたり現れたりする恵里菜を見ていて愛は気づいた。
彼女、真野恵里菜は強大なチカラを持っていても、普通の女の子だということに。
所長の判断で“こくえけん”の外で暮らすようになった恵里菜を折にふれ観察して、その思いは確信へと変わった。
街で出会う様々な人々との出会いを通じて成長していく恵里菜を微笑ましく見守っていた愛は、ある日こんな疑問を抱いた。

―あんなチカラを持っていて真野ちゃんは怖くないんかな?

「疲れてはるんやったら、アメちゃんあげよか?」

お座なりな返事をしている愛を気遣ってか、愛佳が彩りも渋い包み紙の飴を差し出している。
一人で店を切り盛りするしっかり者の少女はさっきももらったからと、固辞する愛の手に無理やりアメを握らせる。

♪カランコロン とドアベルが鳴った。

栗色の髪に端正な顔立ち。
女の愛から見ても魅力的な女性が、どこか覚束ない足取りで入ってきた。
新しい客の元へ向かう愛佳。

「いらっしゃいまし。 お客さん初めてですね。 お近づきのしるしにアメちゃんあげよか」

「あ、あ、ありがとうございます。 ところでつかぬ事をお尋ねしますが、私の名前はマイケル・J・フォックスでしたね?」

アホだ。 あの女、見惚れてしまう美貌の値打ちが半減するぐらいのアホだ。
アホ女のおかげで愛佳のアメちゃん攻撃からは解放された。
再び物思いに沈む。  

ねえ、真野ちゃん。 何で君はそんなに楽しそうなの?
             ・
ねえ、真野ちゃん。 自分の持ってるその強いチカラ、君は怖くないの? 
             ・
ねえ、真野ちゃん。 君は何故あんなに躊躇いなく跳べるの。
             ・
             ・
チカラで跳んだ先が、もしも深い海の底だったら君はどうするの?  
             ・
             ・
燃え盛る炎の中だったら君は死ぬかもしれないんだよ。 
             ・
             ・
固い石の中だったら、君は一生閉じこめられたままかもしれないんだよ。
             ・
             ・
             ・
無事に街の中へ跳べたって、そこにいる人たちに悪意の籠った眼差しで見つめられたら、君は、君は。
             ・ 
             ・
             ・
なのに、ねえ真野ちゃん。 何で君はそんなに無邪気に跳べるの?   
             ・
             ・
             ・
君の瞳に世界はどう映っているの? ねえ真野ちゃん・・・・・思考の海に沈んだ愛はいつのまにか微睡みの中に…
             ・
             ・
「今日からは少し違う遊びをしようね、アイちゃん」

これは夢の中だということは判った。
分厚いガラスの水槽の中で手足を拘束されたアイ。
頭には電極が貼られ、白衣を着た人間が水槽の周りを取り囲んでいる。
最初はこくえけんの施設だと思った愛だったが、研究員の顔ぶれに見覚えは無い。
周囲を観察していて気づかなかったが、愛の身体は子供のように縮んでいた。

「これからその水槽は水が一杯になっていくからね。 溺れたくなかったら、心の中で強く思うんだ。 あそこに跳びたいって」

愛に話しかける研究員が指差した先には、今愛が拘束されているのと同じ大きさの水槽。
中は空っぽだ。

水槽の上下は頑丈な金属製。 
その天井から水が噴き出てきた。
思わず出してと助けを求めるが、外とは隔絶している。
先ほどの声はスピーカーで伝えられたものらしい。

愛は水槽の中で立たされた状態で拘束されている。
その膝のあたりまで水が溜まってきた。
パニック状態に陥った愛に聞こえる声。
それは聞こえない筈の、外の研究員たちの声。


―この実験は危険過ぎる。 失敗したらどう責任を取るんだ。

―何らかの結果を出さなくては私たちプロジェクト“i”関係者全員に危険が及ぶ。 どれだけ莫大な金と時間を費やしてきた。

―しかしここでこの検体を失うことがあったらどうする。

―大丈夫だ。 君も見ただろう。 3日前の監視カメラの映像を。 僅か数十センチだったが確かにこの検体は空間を跳躍していた。 

―この実験はこの検体にとってもプラスだ。 もしもテレポーテーション能力の発動を制御できなければ、検体自身の生命に危険が及ぶ。

―1593年メキシコシティに現れたマニラ総督府の護衛官の例。 彼のような幸運な例は稀だ。

―1809年、英国の外交官ベンジャミン・バトハーストの失踪事件。 1915年トルコのガリポリ半島で発生した英国陸軍の小隊消失事件。

―テレポーテーション能力の暴走によると推定される消失事件の犠牲者と同じように、検体i914も何処かに消えてしまう恐れがある。

自分は検体“i914”と呼ばれているんだ。
現実なら耐えられない過酷な事実を、夢の中の愛は醒めて認識していた。
この周りの研究員たちは“こくえけん”の職員とは違う。
“こくえけん”の人間ならエスパーの存在も尊重してくれる。
こんなモルモット扱いにはしない。
そんな風に思っている間にも、水は胸の辺りまで昇ってきた。
冷たい。 水以上に自分を観察している研究員の心の冷たさに恐怖した愛は夢から覚めようとするが…

覚めん。 どうして、これは夢だと判ってるのにどうして覚めない。
助けて、お父さん、お母さん、ばっちゃ。
わがまま言わず故郷へ帰って結婚するから、助けて。
所長、所長なら助けてくれますよね。
いつかは演技とはいえ注射器を刺してすいませんでした。 
謝りますから、お願いです。 助けてください。


                     ★

「お客さん、お客さん」

愛を起す声がした。
目を開くと喫茶店のマスター愛佳が心配そうに見つめている。
その隣ではマイケル・J・フォックス(仮名)もぽけっとした顔つきで愛を見ていた。

「大丈夫ですか。 随分うなされてましたよ」

あんたみたいなアホに心配されたくはないと思ったが、とりあえず礼を言っておく。
どんな風にうなされていたか、マイケル・J・フォックス(仮名)に尋ねてみたが、返ってきたのは不明瞭な返事。
やっぱりアホだ。
そうだ今日は真野ちゃんと会う約束をしてたんだ。
約束の場所に向かうために、食事の勘定を済ませようとした愛の耳に大きな音が飛び込んできた。
爆発音とは違う、でも何かがぶつかり合って壊れたような音。心の不安を掻き立てるようなノイズ。
天然系のマイケル・J・フォックス(仮名)ですら目を白黒させている。

あの音は、まさか真野ちゃん?
胸騒ぎがした愛は店の外へ飛び出す。
駆け出そうとして靴が邪魔なことに気づいた愛は、カードで購入したばかりのパンプスを脱いで手に持ち走り出した。

「こらあ。食い逃げやで。 食事代2200万円払わんかい! 違うか!!」

代金を取り立てようと愛佳が後を追う。
何故かマイケル・J・フォックス(仮名)も後を追うが、愛の健脚に引き離されてしまう。

                    ★

何、これは。

恵里菜との約束場所に駆けつけた愛は、我が目を疑った。
恵里菜が何故か出演する「スマイレージのスマイルレディオ」が収録されているラジオ局だ。
通りに面した局の建物の窓のガラスが全て砕け散っている。
道路では何台もの車が横転しており、信号機や標識が折れ曲がり、自販機は無残に変形している。

いた。
真野恵里菜がいた。
最高レベルのテレポーターにしてサイコキノ。
“半分エスパー” 真野恵里菜の姿が見えた。
立ち尽くす恵里菜の前にはフードつきのスウェットパーカーを着た人間が立っている。
顔はフードに隠されて見えないが、その佇まいは自信に満ちていた。

脅えていた。
真野恵里菜が脅えていた。

「どうしたの、真野ちゃん」

「…た、高橋さん」

その奔放な行動でいつも愛を翻弄する真野恵里菜のそんな姿を見るのは初めてだった。
エスパーを悪用しようとしている人間、組織は多い。
“こくえけん”はそんな勢力からエスパーを守る使命も帯びている。

フード付きパーカーを着た人間が恵里菜を脅えさせていると考えた愛は、恵里菜を引き離そうと考えた。
手にしてきたパンプスを路上に放り投げると抱えてきたバッグの中から支給された携帯電話を取り出した。
通話ボタンを押して“こくえけん”へのビーコン信号を1.5秒間発信すると設定していた数字を入力する。
9,1,4
内蔵された高性能のバッテリーが起動し、110万ボルトの電圧がチャージされ携帯電話は強力なスタンガンへと姿を変えた。

「そこのパーカーを着たあんた。 真野ちゃんから離れて!」

愛の警告が耳に入ったはずなのに動こうとしない。

「真野ちゃん。 ここから離れて」

恵里菜も地面に棒が生えたように動かなかった。

パーカーを着た人間が顔を覆っていたフードを払う。

女!
恵里菜を威圧していた人間は若い女だった。
女の顔は年月をかけて雨水に打たれた結果、角が取れた岩のように丸かった。
その顔に嘲るような笑み。

あんなに綺麗で優しい顔立ちなのに、何であんなささくれ立ったような表情をするの?

不審に思った愛だったが、今は恵里菜の安全を確保を優先することにした。
スタンガンから生じる電流のスパークを誇示しながら、女に警告する。

「これは普通のスタンガンよりも強力だから」

靴を履かないまま恵里菜とパーカーの女の間に割って入ろうとする。
足の裏にガラスの破片や瓦礫を感じるが、足元は安定させておきたい。

「真野ちゃん。 もうちょっとで救援が来るから」

元気付けの言葉にあまり意味は無かった。
固い表情のままの恵里菜、そして女が…。

「助けが来ても意味なんかないね。 お前らぬるま湯に慣れきった連中に何が出来るっていうんだ」

地を蹴った女が愛に肉薄する。

ひぃぃ。

上げそうになった悲鳴を必死で堪えた愛は、女に対してスタンガンを行使しようとする。
心臓からは狙いを外す。

悪いけど、あんただって只者じゃないみたいやし。

心の中で女に詫びる愛。
女の唇が歪む。

「私の能力は“反射”。 このチカラを発動している間、私に対して放たれた攻撃は無条件に跳ね返される」

一体この女は何を言ってるの?
意味がわからない。身体が痺れている。

スタンガンから女の足に向かってスパークが伸びている。
スパークは女の身体の直前で見えない壁に阻まれ、愛の身体に逆流している。
110万ボルトの電圧が全身を走る。
愛の手からスタンガンが落ちた。
背中から倒れ落ちる愛。

女の手が愛の腕を掴む。

「能力者でも無い普通の人間を死なしちゃ、保田さんに叱られる」

女の手は思ったよりも柔らかかった。
その感触に優しさを感じた愛は、女の心を引き寄せようとするが、地面までの高さを見計った女はその手を振りほどいた。
ゆっくりと地面に倒れた愛の目に、立ち尽くす恵里菜の姿が映った。

真野ちゃん、ゴメン。 守ってあげれなくて・・・・・



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