『■ アンダーグラウンド-鞘師里保- ■』



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■ アンダーグラウンド-鞘師里保- ■

「同志K…例の保有者は?」
「すでに補足していますが確保には至っていません…
第一世代の裏切り者四人はチームアルファにより処分しましたが、
アルファも負傷者多数にて追跡不能、現在ベータとの合流のため待機中。
同志S…いや首謀者のSはチームガンマと交戦・逃走後行方をくらましています。こちらも甚大な損害を…」
「Sの方はいい。どうせ囮だ。保有者の確保を優先せよ」
「はっ…しかし…」「どうした?」「保有者はすでに都内です…条約違反になるのでは」「同志Kそれは君が考えることではない。君は保有者確保だけ考えていればいい」
「はっ」
「覚醒前とはいえSによって育成された保有者だ…近接戦闘は特に警戒し慎重に確保せよ」

交信を終えるとディスプレイに目を戻す
「鞘師里保…ようやく育った広域型の能力保有者…ここまで育ててきてむざむざ渡してなるものか…」
ディスプレイには別室の映像が映し出されていた。

「えーご説明のとおり、保有能力は水限定の念動力【アクアキネシス】です。
現状覚醒はしておりませんが、臨床データから言って今度こそ
広域型まで成長する可能性が極めて高い…
まず1年以内に70%…三年以内に99.9999%…広域型へ覚醒します。

いうまでもありませんがインフラは電気ガス水道により成り立っています…
そのどれ一つが失われても都市機能は破壊されます。
たとえば水道の蛇口をひねるだけで…その水に触れるだけで
繋がる上水道管全てを破裂させることが可能ならば?
いや水源そのものから根こそぎ水が奪われたら?
そう…水を支配する者に逆らえる者などいません。
どんな権力者も…国家も…水の前にはひざまづかざるをえません。
しかも第二世代の香水シリーズと違いあくまで水…とてもクリーンでエコな兵器となることでしょう。」






最終更新:2011年01月11日 19:26