『■ マーダースインテンツ-鞘師里保- ■』


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■ マーダースインテンツ-鞘師里保- ■

正直なところ鞘師は途方に暮れていた。
東京…
じぃちゃまは「向こうから見つけてくれる」と言った。
ならばきっと見つけてくれるだろう。じぃちゃまがそこまで言うのだから高橋愛という人は信用できる。こちらから動くこともないだろう。
だがそうだとしてもとりあえず向かうべき方向を決めねばならない。
また、名古屋で足止めしたであろう追手のことも考慮しなければならない。
いや、すでに東京にも別の追手が待ち伏せている可能性も高い…
鞘師はそこまで充分考慮はしている…が実のところ途方に暮れていたのはそんなことではなかった。
自分でもあきれるほど「命の重さ」を実感できぬ鞘師にとって自分が狙われていることなどさしたる問題でもないからだ。
そんな「些細なこと」よりとりあえず朝食だ。
食べ盛りの小学生にとって朝ご飯は命より重要だった。

鞘師が途方に暮れていること、それはまさに今察知した微弱な殺意だった
近い…殺意の発信源はすぐ目の前のタクシー乗り場にいた。
女の子…?鞘師の目に自分とごく近い年頃の少女がタクシーに乗るところが映る。
殺意は運転席から彼女へと向けられていた…
強さとあいまいさからすぐに殺すつもりではないようだ。
おそらく、どこか人目につかないところまで運んでから…
何故タクシーの運転手が初対面の少女を狙うのか?そういったことは鞘師は考えようともしない。彼女は事実と予測、そして直感を重んじる。だが憶測は判断を鈍らせるだけだ。
少女を乗せたタクシーが走り去る。
ほんの少しの間、朝ご飯と見知らぬ少女を天秤にかけた後、鞘師はタクシーを追うことに決めた。
「すいません。目の前のタクシーに付いて行ってください。」