風のために・・・ (2) 


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「いくら歩いても建物なんて見えないの。」
「さゆ、だらしないとよ。」
「さゆみはれいなみたいにはなれないの。」
「そうだよ、れいなは鍛え方が違うんだから。元病人と運動音痴には無理だよ。」

ガサガサ!
茂みの中で何かが動いている。

「ふたりとも気をつけると。」

ガサ!でてきたのはヒョウだった。
違いがあるのはさっきの鳥と同じく頭に機械がつけられていることだった。
「あのヒョウも実験体?」
「たぶん、れいながやるけん。ふたりとも下がってると。」

ヒョウが飛びかかってきた。れいなはヒョウに負けない素早さでかわしていく。
しかしヒョウの爪がれいなの顔をかすり、少し血が流れた。

「やったな!」
れいなはすかさずヒョウの顔面に強烈なパンチを喰らわせた。
ヒョウは気絶した。

「終わったと。」
「見た感じは普通のヒョウみたいね。機械がついてる以外は・・・」
「あの男の考えがよくわからないの。」

ドドドドドド!
何かの大勢の足音が迫っている。大勢だけでなく重い感じだ。
3人は嫌な予感がして、振り返ると・・・・
頭に機械をつけた大量のサイが3人にめがけて突進してきた。

「逃げると!」
3人は全速力で走ったが、さゆみは2人に遅れている。

「さゆ、早く!」
絵里がさゆみの手を掴み、引っ張る。
しかしサイの大群と3人の距離は縮むばかり。

「このままじゃあ、追いつかれるの!」
「絵里に任せて!」

絵里がかまいたちを使って、大きな土煙りをあげた。
その隙に3人はジャングルの中で身を潜めた。

サイは3人を見失ったらしくそのままどこかへと走り去っていった。
「助かったの、絵里やるじゃない。」
「うへへ、絵里はやればできる子なんですよ。」
「少し休んでから、建物を探すとよ。」

れいなが体を休めようとすると・・・
ドン!背中に何か当たった。

「うん?岩かな?」
れいなが後ろを確かめようとすると絵里とさゆみが後ずさっていることに気付いた。

「二人ともどうしたとよ?」
「れ・・・れいな。後ろ、後ろ!」
「うん?」

れいなが振り返ると後ろに黒い毛が見える。
そして上を向くと・・・やはり頭に機械をつけたゴリラがいた。
ゴリラはれいなの頭を掴み、投げ飛ばした。

「「れいな!」」
ゴリラは続けてさゆみの方に殴りかかった。

「きゃあー!」
さゆみの前に絵里が立ち、ゴリラの拳に飛ばされた。
絵里は近くの岩に叩きつけられた。

「絵里!きゃあー!」
さゆみはゴリラに頭を掴まれ、持ち上げられた。
するとれいながゴリラの頭にとびかかった。

「さゆを放すと!この!」
れいなはゴリラの頭の機械を手でたたき壊した。
するとゴリラはさゆみを放し、その場に倒れた。

「さゆ、大丈夫と?」
「うん、そうだ。絵里は!」

ふたりは絵里の元に駆け寄った。
「絵里!絵里!」
「イタタ、足をくじいちゃったみたい。大丈夫だって、それ以外は大したことないから。」
「れいなが肩を貸すけん。」
「うん、ありがとう。」

れいなが絵里を支えて、3人は再び歩き出した。
そしてジャングルを進んでいると・・・

「あっ、建物があった!」
さゆみが指差す方向に建物が見えた。

「待つと、つり橋があるけん。れいなが先に行く。さゆ、絵里を頼む。」
つり橋は鉄で作ったものではなく木で結ばれたものだった。
れいなは先に橋を渡って橋の耐久性を調べようとした。

「じゃあ、行くとよ・・・」
れいなはゆっくり橋を渡り始めた。
橋は足踏みをするたびにぎしぎしといっているが、なんとか渡れそうだ。

「さゆ、絵里!大丈夫とよ。」
「絵里、行こう。」
「うん。」

さゆみは絵里を肩に乗せたまま、橋を渡り始めた。
相変わらず橋はぎしぎしといっている。

「さゆ、ごめんね。迷惑かけちゃって。」
「いいのよ。」

なんとか橋の半分を越えた。
「絵里、もうすぐよ。」

ブチッ!何か嫌な音がした。
ふたりはその音を聞いて、後ろを振り返ると橋の縄が切れている。

「絵里、さゆ!早く来ると!橋が壊れる!」

絵里とさゆみは急いで渡ろうとするが、橋が段々バランスを失い、動きずらくなっている。
そしてついに・・・橋が崩れ、さゆみと絵里の体が川に投げ出されようとしている。
「絵里!さゆ!」
「絵里、掴まって!」

れいなはかろうじてさゆみの手を掴み、絵里の手をさゆみが掴んだ。
「ふたりとも、しっかりつかまっとると。今、引っ張り上げるけん!」
れいなは力任せにふたりを引き上げようとしているが、なかなか上がらず逆にれいなが下に引っ張られそうになっている。
絵里はそれを下から見ていた。

(このままじゃあ、3人とも落ちる。)
すると絵里は自分の手を掴んでいるさゆみの手に片方の手を伸ばした。
さゆみがそれに気付いた。

「絵里、なにするの!」
「このままじゃあ、3人とも落ちるよ。誰かが落ちなきゃだめだよ。」
「何言ってると!3人で生きて帰ると!」
「そうよ、馬鹿なことを考えないで!」
「大丈夫、絵里たち今まで何回も奇跡を起こしてきたじゃん。絵里は落ちても大丈夫。」

絵里はさゆみの手を掴み、無理やり外そうとした。
「やめて!絵里、やめて!」
「絵里、やめると!そんなことするとれいな、愛ちゃんたちに怒られる!」
「そうね、特にがきさんは怒るだろうね。だから、怒られないようにちゃんと生きて帰るから。」

絵里は涙目でありながらも笑顔だった。
絵里はさゆみの手を振り払った。

「「絵里!」」

絵里は川に落ちていった。

さゆみはれいなの手によって引き上げられた。
ふたりとも涙が止まらなかった。

「え・・絵里が・・・絵里が・・・」
「ばか絵里!なんで、あんなことを!」

ふたりは顔をあげて、その場から見える建物を睨みつけた。
「許さない、絵里をあんな目に合わせた。あいつを絶対に許さない。」
「さゆ、れいなたち今度という今度は・・・・人を殺してしまうかもしれん。」
「覚悟はできてるの。」

ふたりは建物に向かって歩き出した。