モーニング戦隊リゾナンターR 第??話 「旅の途中」


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世界の破壊者 高橋愛 その瞳に何が映る?

               ★             

「お客さん、高速使いますけどよろしおまっか」

不意に呼びかけられ戸惑う愛。
気がつけばそこはタクシーの後部座席。
高速道路の料金所の前に停車している。

「…あの、私どこでこの車に乗りましたっけ?」

「何や、お客さんまだボケるには早すぎるんちゃいまっか」

制帽を深々とかぶった運転手はコテコテの関西弁を操る。

何か旅をしていた気がする。
そして誰かが私を読んでいたような気がと話す愛に運転手は…。

「人生は長い旅と言いまっさかいになあ。 お客さん頑張って気張ったんやね」

気さくな態度で話しかけてくる運転手にええ、まあと相槌を打つ愛。

「でもね、疲れたときはお客さん。 がんばらなくてもええねんで」

強い語気、消える気配。
制帽を脱ぎ捨てた運転手が、狡猾そうな顔を曝け出した。

「悪う思わんとってや。 ワシもこれがこれなもんやさかい色々と物入りやねん」

小指を立てて、腹が大きいジェスチャーをした男は高笑いを残し、スキップしながら闇へ消えていく。

爆発する料金所。
見渡せば道路を何かが逆走してくる。
ロビタ型のロボットの肩口にロケット弾の発射装置が見える。
ドアを開けようとしたが、異能の力で封じられたのか開かない、そして瞬間移動のチカラも封じられ…。

…あんな奴に騙されるなんて。

運転席に乗り移りハンドルを握るが、ポキリと根元から折れてしまう。
バックミラーに映る光。
目を凝らせば装甲機動車の車群が見える。

…挟み撃ちなんて念入りなことやざ。
でも、やられてたまるか。

シートの背もたれを掴むとサイドウインドに蹴りを叩き込むが、異様な硬さが返ってくるばかりだった。
ロボットからロケット弾が放たれる。

…ここまでか。

一瞬目を瞑り最期を迎えようとしたが、せめてもの抵抗とばかりに見開いた愛の目に映ったのは、装甲車の部隊がタクシーを取り囲むように停車した光景だった。
1台の装甲車にロケット弾が着弾した。
車軸が破壊され傾く車体。
装甲車の中からは迷彩服を着用した兵士が降り立ち、火器で応戦している。
隊長らしい兵士が指示を飛ばす。
タクシーのドアに何かを取り付ける。
下っていろというジェスチャー。
青白い炎、鈍い爆音、破壊されるドア。

「何か怪しげな文様の封印が施されていたな」

「あんたらはいったい?」

「俺たちは保全部隊」

隊長の口から状況が語られる。
自分たちはダークネスの残党の企てにより開戦した人類対共鳴者の戦争を最小限の被害で終結させる為に動いている。
その作戦の最中に空間の歪みに巻き込まれて気がついたら罠にはまっているあんたに行き当たったっていわけだ、と。

ありがとうと礼を言い、ロボットに反撃しようとする愛を手で制した隊長は…。

「いいから行けよ。 あんたは急いで行かなきゃいけない場所があるんだろ」

隊長の言葉に感謝しながらも、彼らの装備ではロボットに敵わないのではと話す愛。

「確かにな。 でも俺たち保全部隊は敵を倒すのが仕事じゃ無い。 守るのが仕事だ」

「守る?」

「そう大事な何かを守るのが仕事だ。 あんたが逃げおおせたら俺たちもさっさと撤退する」

だから、と愛を促がす隊長の言葉に愛も頷きその場を後にする、何度も振り返りながら。

「…准尉、これでよろしかったのですか。 あの高橋愛を助けるなんて」

「俺たちの認識している高橋愛は、世界を異界で満たそうとした反逆者だった。
そして俺たちはそんな高橋愛を倒すという田中れいなに協力した。 その選択に一寸の後悔も無い。
しかし高橋愛にも正義はあった。 次の世代の共鳴者のための世界を作るという正義が」

ですが、と反論する部下を押し留めると准尉は言った。

「百人の人間がいれば百の正義が存在する。
共鳴者のための世界を作るという高橋愛の正義。 
その為に無辜の人命が失われることを防ごうとした田中れいなの正義。
いずれの正義も実現しているとは言えず、世界の存在すら危うくなっている現在、俺は自分の正義を貫きたい。
それに異論があるものは今すぐこの戦線を離脱してくれて構わない」

准尉の言葉に従うものは誰一人いなかった。

「お前ら、勇敢と命知らずは別物だぞ」

「俺たちドンパチがやりたくて自衛隊に入ったんですよ」

弾数気にせず撃ちまくれるチャンスを逃せますか、と笑う部下たち。

「新手が来たぞ。 ここから先には行かせるな」

激しくなる攻撃。

                ★

料金所から1キロは離れただろうか。
銃声の音は遠くなった。
危機を救ってくれた兵士たちの安否を気遣いながらも、愛は自分を呼んだ声の主が誰なのか思いを巡らす。

あの声は聞き覚えがある。
私に救いを求めてた。
あの声は間違いない……ちゃん。

大きな爆音がした。
料金所の方だ。
炎が立ち煙が昇っている。
兵士たちの顔を思い浮かべた愛は踵を返し、今来た道を戻ろうとするが…。

軽快な音と共に打ち上げられた信号弾の軌跡が目に入った。
それを目にした愛の瞳に強い光が宿る。
瞳に呼応して全身に光を抱いた愛は救いを求めてきた声のもとを目指し跳んだ。
空には保全部隊が打ち上げた信号弾が青く光っていた…。