『motor virus』


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よ、読んではいけない・・・




「おい、まだなのか?」「そう、あせらせるなって、俺様の腕を信じなさいよ」

都内の某場所で数人の男達が集まり、パソコン画面をじっとのぞきこんでいる。
その中の一人は絶えずカタカタとキーボードにうちこみ、あーあーと唸っている
その作業を見ている男たちも落ち着かない様子でいらいらとしていた

彼らはホゼナンターの情報収集部隊
ダークネスへの抵抗勢力であるホゼナンター所属の支援部隊の1つである
所属部員は主に情報操作、コンピュータ、心理分析に優れたモノたちである

その部隊は今、一つの大きな任務の山場を迎えていた。
「急げよ、奴らにみつかったらこれまでのことが全ておじゃんになるんだからな!」
キーボードを打ちこんでいる男はぶつぶつと独り言を言ってばかりで注意を聞いていない
「そう焦らせるなって。こいつの汗見ろよ。集中しているんだから気をそぐようなことすんなよ」
いらいらしている仲間をたしなめるようにリーダー各の男がフォローを入れる

「・・・それで、これで、どうだ!」
パソコンに向かっていた男がEnterキーを打ちこむと、それまでのプログラムを組んでいた画面が一気に変化した。
その画面を見た男たちは歓喜の雄叫びをあげた。

新たに出てきた画面には、次の文字が浮かんでいた

            『Darkness main computer』

そう、彼らは先ほどからダークネスのメインコンピューターにハッキングしようとしていた。
何重にも覆いかぶさっていたロックを一つ一つ破っていき、彼らはついにメインコンピュータに侵入した。

「やりましたね、隊長!」
「うむ、みなのもの、御苦労。だが、気を抜くな。どこにシステムが潜んでいるか分からんからな」
リーダーが画面を覗き込みながら緊張の糸が切れないように注意を促した。

「どうやら、ここは・・・ダークネスの昔のデータバンクのようだな・・・」
「はい、そうですね。ところどころNとかAとかありますし、こっちにはニトロってありますね」
キーボードを打ちこんでいた男が画面を指差しながら説明し始めた。

「おそらく、これらは昔の武器貯蔵のデータと推測されます。
 NとかAというのは人名でしょうか?FとかGというのもありますね・・・」
男は内部コンピュータにアクセスできないか試行錯誤しながら呟いている。

「隊長、ちょっと・・・」
「ん?何か見つけたのか?」
「いえ、一か所、簡単にダークネス内部のコンピュータと接続できそうなんですが、いかがしましょうか?」
パソコンに向かっている男が振り向きもせず隊長に問いかけた

「あっさり見つかるとは怪しいが…それが、我らの任務なわけだからな…
『虎穴に入らずんば虎児を得ず』だ。よし、そのエリアに侵入するんだ」
「了解しました…(カチカチッ)・・・ハ?な、何だ、これ?」

男から間の抜けた声が発せられた。その声を聞いて、他の隊員も一気に画面を覗き込んだ
「なんでこんなものが・・・」
「ここは・・・ダークネス内のもの・・・ですよね・・・」
「簡単に繋がるのは納得だが…案外オープンな組織・・・では、ない、よな?」
隊長は唖然として何も言えず、ただ茫然として画面を見ていた

それは誰がどう見ても『ブログ』以外の何物でもなかった

誰とも言えずぽつりと呟いた
「・・・『のんピース』」

隊長がハッキングを担当した隊員に改めて確認を求めた
「お前・・・ダークネスのコンピュータにハッキングしたんだよな?間違いないよな?」
若干冷や汗をかきながら、何度もプログラムを確認しながら男は答えた
「まちがいないんですけど・・・おかしいな?なんでだ?」
カタカタ絶えず指を動かしても、画面に移ったブログはダークネス内部のものという事実は変わらなかった

「いや、でも、これも内部のモノということは、何か情報あるかもしれませんよ」
後ろから覗き込んでいた隊員が率直な意見を述べた
「一応、機密情報のはずですし、個人情報で癖とかわかるかもしれないじゃないですか!」
「ま~そう言ってしまえば、そうなるが・・・」
隊長は頭をかいているが、戸惑いを隠せない様子だった。

「これは、1か月前の日記ですかね…過去のデータというか日記もあるんじゃないか?
 ちょっと調べてみてくれ」
「あ、はい、わかりました・・・・」カタカタ「・・・確かにありますね」

そこには今から数年前の日記が表示されていた

「               『ぶたま~ん』

     今日もボスに怒られた。任務行く途中にコンビニでお菓子買うなって

     お腹すいたんだもん!!ブーブー

     でも、おいしかったな~ぶたまんさん

     そういえば、スーツのなかにケチャップの袋入れっぱなしにしちゃった

     ガキさんのスーツを借りて使っていたから後でしっかり言っておこうっと」

隊員たちはその内容の幼稚さにも愕然としてしまった
「こんなこと、日記に書くなよって感じですよね…」
「任務途中にコンビニって遠足かよ」
「こんな奴らに俺たちは手こずっているのか?」
隊員の口から出るのはあきれ返ったことを告げる言葉のみだ

「で、でも、最新の日記とかは、何かわかるかもしれませんよ、ほ、ほら」

しかし、そこに表示される記事もたいした情報は載っておらず、個人的にハマっているものを紹介しているだけであった

「・・・よし、他の所に至急ハッキングしろ」
隊長が見切りをつけた。自分を落ちつけさせようと部屋の窓を開けて空気の入れ替えを行おうと立ち上がった。

「あれ?ちょっと待ってください!ここ!見てください」
ハッキング作業を担当する隊員が何かを見つけ、デスクトップを指差している
慌てて隊員全員が画面を食い入るように見つめた

画面の右はじに「今日のお仕事❤」の文字があった

「お仕事?ってことは、こいつの任務報告ってことだよな?」
「この『辻』というものがどのランクかはわからんが、これは大きな情報じゃないか!でかした!!」
隊員に再び、活気がわき上がる

「隊長、それでは、早速、このページに飛びますよ」
「うむ、よし、お前ら、全員見るんだ」
隊員が改めて、パソコンに近づいた

飛んだ先のページには動画を見れるシステムが1つ用意されていただけだった
「あれ?おかしいな?文字じゃないのか?あんだけ日記を書いていたのに」
ちょっと不思議がる隊員達であったが、自然に動画が流れ始めた

そこに現れたのは小柄な女性であった。髪色は茶髪で、目が大きくクリっとしていてかわいらしい

「これがこのブログの書き手の『辻』か?」「けっこうかわいいじゃん」
隊長はどこかでみたことのあるような気がしたが思い出せなかった

動画の女性が話しかけ始めた

「こんにちは!『今日の任務』を見ているあなたにお仕事するよ~」

妙にゆっくりした口調もその声もどこかで聞きおぼえがある(誰だっけ?)

女性は一回すぅっと息を吸い込んで語りかけてきた

「『この動画を見たり、記事を読んだり、私の声を聞いた人の周囲から空気が消失する』」

その途端隊員たちは喉をおさえて苦しみ始めた。声を出そうとしても声が出て来ない。
隊員達は息が出来なくなり、喉をかきむしりながら、もがき始めた
ある者は床に倒れ込み、また別の者は口から泡沫状の泡を吹いている

隊長はそんな隊員の様子と自身の苦しみから女の正体を思い出した
(あ、安倍なつみだ・・・・て、天使の『言霊』か・・・)
意識が薄れゆく中でもパソコンから流れてくる音声は鮮明に聴こえていた

「『そして、私のこの動画が流れたパソコンや接続機器はデータが完全になくなり、爆発する』」

(そ、そんな、わ、われわれの苦労が・・・)
隊長をはじめとする男達の意識はそこで途絶えた

その女性―安倍なつみの無慈悲な笑顔は隊員たちの永遠の眠りを見守る形となった。
それからしばらくして、隊員達を追うかのようにパソコンがボンと音をあげ炎上した。