モーニング戦隊リゾナンターR 第13話 「闇を照らす光」


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【前回のストーリー】
太陽の昇らぬ常闇の世界に辿り着いた愛は、能力者が集められたQED学園の生徒として生活を送ることになった。
下級生のリサコに誘われて学園の七不思議を探索した愛は、裁きの女神の前で息絶えている生徒を見つける。

その謎を解き明かそうと閉ざされた学園を抜け出した愛は、後藤真希と名乗る能力者に戦いを挑まれた。
「アタシが後藤真希でキミが高橋愛であるなら、アタシ達は殺し合わなければならないんだよ」
後藤の美しさに見惚れたかのように、立ち竦んだ愛の危機を救う「A」―「お前あいつに勝てるのか?」


第13話 「闇を照らす光」

愛はリサコの案内で廃屋と化した喫茶店に来ていた。


「先輩、何かヤバそうです」

道案内と後藤真希の襲撃から守ろうとしてくれたことの礼を告げて学園に戻るように促す。

「夜道は暗いから気をつけて、って言うてもここはお日様が昇らんかったの」
「高橋先輩ってまるでどこか別の世界から来たみたいですね。 
 日本語もちょっと厳しいですけど、言ってることもどこか変です」

荒れ放題の店内には喫茶店の什器が残されていた。コーヒーのサイフォンをセットして眺めていると、不思議と落ち着く愛。

(…そこが随分と気に入ったみたいだね。)

誰かの声が聞こえたような、その声の響きはまるで…。

学園への道を急ぐリサコ。 その手には壊れたリミッターが。

…先生に叱られる。

自覚していなかった自分のチカラへの驚きと他人の役に立てたことへの喜びに耽っていたリサコは気付かなかった、自分が街の人々に見張られることを。
監視の輪が段々と狭まっていく。


ロフトのベッドで1枚の写真を見つけた愛は、後藤に渡された紙マッチを摺って、映っているものを確かめる。
喫茶店の店内に三人の女性が並んでいる。
一人は自分、一人は後藤、もう一人は…顔のところが切れていて判別できない。
愛の表情は固く、後藤は優雅な笑みを湛えている。

…映ってるのは私自身? それともこの世界にいた私?
此処に漂っている空気は私をとても懐かしい気分にさせる、でも私は此処にはいなかった…

写真がきっかけとなって存在するはずの無い記憶が愛を包む。
それは常闇の世界で暮らしていたもう一人の高橋愛の記憶。
自らのチカラを恐れ、捨て猫のようにさまよっていた愛。
後藤真希に拾われ、この喫茶店で暮らすことになった愛。
自分が能力者だということを知られたくなかった。
事故に巻き込まれた人の命を救うためにチカラを使ってしまった愛。
逃げ出そうとした愛を引き留めてくれた真希。
そんな真希に導かれて闇と戦う集団の一員として働くようになった愛。
生まれて初めて自分の居場所を見つけられたと思った、でもあの日…。

「後藤さん、止めて。 その人を助けてあげて」
「愛ちゃんは優しいんだね。 でもその優しさが此奴らに罪を重ねさせるんだ。 そこを退いてくれないか、さもないと!」

闇に魅入られた男を能力で裁こうとする真希。 精神感応の力で男の心の弱い部分に触れていた愛は、それを止めようとした。
自らが盾となって、男の命を救おうとした愛に裁きを加えようとする真希。
愛を包む深く暗い思念、心臓を誰かに鷲づかみにされたような感覚、死を覚悟した。
不意に消えた圧迫感、目から血を流し倒れている真希、そして…

あの時私は此処には居なかった、でも… 高橋愛が現れたことで後藤さんの居場所を奪ってしまった、高橋愛が後藤真希の世界を壊してしまった…


闇の中地上を睥睨するかのようにそびえ立つ高層ビル群を縫うように飛ぶジェットストライカー。
その内の一棟の壁面を機銃掃射で破壊して内部に侵入する「A」。
情報端末のケーブルを引き抜き、自分の首筋の端子に直結して情報を索る、やがて冷笑が浮かび…「ふん、そういうことか」


街の人々に監視されていることに気付いたリサコは、走って振り切ろうとしたが無様に転んでしまう。
リミッター無しに学園の外に出たことを咎められるリサコ。
謝罪してその場を離れようとするが、人々の強圧的な物腰に脅えて、念動力を発動させてしまう。
大型トラックに轢かれたかのように吹っ飛ぶ人間。
怯えた人々が包囲を緩めた隙をついて学園に逃げ込んだ。

気が付けばそこは裁きの女神の像の前だった。
走って息も絶え絶えなリサコの前に後藤真希が現れた。 怯えを隠しきれないリサコに対して真希は… 「可哀想にね」

後藤の慈愛の籠った声に安堵の息を洩らすリサコ。

…人が生きていくことは罪を重ねていくことに他ならない。殊に特別なチカラを持つ者は…。

「アタシが救ってあげる、罪深き生からキミを解放してあげる」

真希の真意が判ったリサコは発動した念動力で立ち向かおうとするが、敢え無く跳ね返されてしまう。
リサコの目に映る盾を持った戦士の姿。
真希は自分の念動力で具現化した戦神オーディーンの姿を認識したリサコの資質を賞賛する、並の能力者には見えなかっただろう、と。

「そんなチカラを持った人間を野放しにしておくことは出来ないね…グングニル」

逃げようとするリサコの足を強力な衝撃波が貫く。
倒れ伏したリサコの目に映ったのは駆けつけた愛の姿だった。
真希に喫茶店で見つけたもの、仮想経験した記憶のことを話す愛。
そして高橋愛が後藤真希の世界を壊してしまったことへの謝意を告げたが…

「愛ちゃんはバカだね。 そんなことを気にしてるの。 アタシの世界を壊したのはアンタなんかじゃない。 それはアタシ自身。 
 いや壊したんじゃない、アタシ自身が手放してしまったのさ」

愛は真希に罪を犯した能力者を裁くことを止めるように懇願する、彼らだって苦しんでいるのだからと。 だが、真希は…

「苦しんでいるからこそ、アタシが助けてあげたんだよ。アタシが助けてあげた人間はもう罪を犯すことはない、苦しむことも無い」
「違う、確かに人は罪を重ねながら生きていく生き物なのかもしれん。
でも、それでも人は人を救うことが出来る。
 人を救って、救われて、そこに生まれる喜びがある。 あなたがそれを否定するなら、私は…あなたを倒します」
「いい目になったね……デス」

真希の髪が逆巻いた。
闇より深い影が沸き立ち巨大な処刑鎌を手にした死神を形作る。
死神の形を与えられた念動力が愛に襲う。 瞬間移動で攻撃を回避する愛。
鎌の軌跡は愛のいた空間を根こそぎ引き裂く。 悲鳴を上げる空気、崩れる大地。
息もつかせず立て続けに攻撃を加える真希。
リサコを守りながら戦う愛は、直撃こそ免れているものの段々傷ついていく。
意を決して放った光も避けられてしまう。
発動までのタイムラグが原因だと察知した愛は、真希の懐に飛び込んでの零距離攻撃を決意する。

…瞬間移動とフォトン・マニピュレート。
異なる能力の連続発動に失敗すれば命は無いけど、やるしかない。
最大限の力で跳躍してリサコを安全な場所に降ろした愛は、残った力を振り絞って真希の至近距離に跳び、拳を突き出す、放たれる光。

真希は愛の攻撃を避けず、抱きしめるように受け止めた。
思わず息を呑む愛。

「…愛ちゃんの言ったことは正しいよ。 でも光に恋い焦がれながら闇の中でしか生きていけない人間もいる、アタシみたいに」
「後藤さん!!」

愛に真希の意識が流れ込んできた、が、それはすぐに途絶えた。
気づけば常闇の世界に光が差し込み始めていた。
太陽の光が照らす世界、そこは形あるものは全てが破壊しつくされていた。
動くものも無い。
その光景に衝撃を受ける愛。

…これは私がやったことなんか。 私がこの世界を壊してしまったの?

立ち尽くす愛の耳に、瓦礫を踏みしめる足音が響いた。

「もう行くぞ。 この世界は終わってしまった」 「A」が押し殺した声で告げる。

愛はリサコや学校に居た人、街の人々を助けなければと訴えるが…

「この世界にはもう誰も居ない、お前と私以外は」

イヤイヤと首を振り拒絶するが…

「お前は人間の心は見ることは出来ても、私の思考回路に感応する事は出来ないだろう。
だから、私の言うことが真実かどうかはお前自身で判断するしかない。 もしお前が自分の世界を救いたければ今すぐこの世界から抜け出すんだ。 さもないと…」


崩壊しつつある世界を眼下に飛行するジェットストライカー。
操縦席に「A」と愛の姿があった。
インカム越しに「A」が、自分の知りえた事実を愛に話している。

…世界は後藤真希の手によって一度は崩壊していたこと。
だが後藤真希のチカラによって、常夜の世界として再構築されていたということ。

「あの女は死病に冒されていた。 死期が近づいた時あの女は思い立った。 自分の人生を、因縁のある高橋愛という存在に締めくくらせようとな。
あの女にとっては、それが救いだった。
だからお前を、幾つもの世界を旅するお前を呼び寄せる為に常夜の世界を作ったんだ。
自分の手で一度は滅ぼした世界を再建し、命を奪った人間を蘇らせて…」
「…違う」

愛の言葉に顔を僅かに歪める「A」。 何が違うんだと問い掛けるが、愛は答えなかった。

…あの人は自分の滅びに救いを求めるような人なんかじゃなかった。 あの人は、ただ、ただ…。

愛は真希の最後の言葉を思い出す、それは愛の心に直接流れ込んできた真希の思い。

…愛ちゃんはかわいいねぇ…

愛の頬を涙が伝う。
それを見咎めた「A」は…

「お前は自分の命を奪おうとした者の為に涙を流すのか?」 暫しの沈黙の後で愛が言った。
「あんたにはこの思いは絶対判らない」と。

冷笑する「A」。
「この私に判らないだと、そんな筈がない。 確かに今は渾然としているが、情報が整理されれ次第、絶対に解いてみ…」
一瞬動きがフリーズした。

ジェットストライカーは加速し、やがて光点となり新たな世界へと飛んでいく。

三十程度のデスクがあるオフィス。
三分の一程度のデスクで社員がパソコンに向かっている。
その内の一人、平凡そうなサラリーマンが眺めている画面に、ジェットストライカーが映っている。
パソコンを操作してスペックを表示すると、溜息混じりにデスクを立ち上司の元に。
タイムカードを押して早退した彼が電車に揺られて向かった先は、今にも崩れ落ちそうなあばら家の前。
カマボコ板にマジックで住人の名が書かれていた、『石川』と。

――続く――


【次回予告】
愛はTVレポーター、ラブリー高橋として一軒の家を訪れた。その家の住人、石川梨華は朗らかで気立てのいい女性だったが、ストーカーに付きまとわれていた。
「A」と二人でストーカーらしき人物を捕まえた愛だったが、逆に噛み付かれてしまう。
「やいやい、お前、俺のR様に何をした、いや、むしろR様に何をされた、どんなお仕置きを受けたんだ」
モーング戦隊リゾナンターR 第14話「Avenger ―全てのRを消去せよ―」
世界を繋いでRを守れ!!