守りたい場所


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いつもの喫茶リゾナントでは
「そういえば、田中さんは今日どうしたんですか?モグモグ。」
「クスミ、バナナを勝手に食べるな!」
「いいじゃん、一本ぐらい。いっとくけど小春はジュンジュンの命の恩人なんですよーだ!」
「あの時、おまえの助けがなくても生き返ってるサ!」

小春とジュンジュンがバナナ一本で不純な争いを繰り広げているのを愛は苦笑していた。
「まったく、あのふたりにはもう少しどうにかしてほしいですわ。」

愛佳も毎日のように繰り返されるやりとりに参ってるようだ。
「それにしてもめったに休みをとらない田中さんがどうして休みなんかを?」
「いくところがあるんやて。」

その頃、れいなは大量の荷物を引っ下げ、丘の上を目指していた。
その先には小さな孤児院が建っていた。そう、それはれいながかつて生活していた孤児院だ。

「みんな、よろこんでくれるやろか。」

実は数日前に・・・
「愛ちゃん、お小遣いの前借りをお願いします。」とれいなは土下座で頼んでいた。
めったに土下座をしないれいながそれまでしておこずかいの前借りを頼むのはよほどのことだと思う。事情を聴いて、それを承諾した。

れいなは孤児院に住んでいる子供たちに時折、おもちゃなどを買い与えていたりしていたのだ。しかし今回に限ってはお金が不足したためにお小遣いの前借りを直談判したのであった。

ピンポーン!
れいなが孤児院のチャイムを押した。

「はい、どちら様ですか?」
「れいなです。」

するとドアが開かれてひとりの壮年の女性がでてきた。
「お久しぶりです、院長先生。」
「まぁ、また来てくれたんのね。子供たちが喜ぶわ。」

どたどたどた!二階の方から大勢のものと思われる足音が聞こえてきた。

「れいなお姉ちゃんだ。」
幼稚園から中学生ぐらいの子供たちがれいなのもとに集まってきた。

「みんな、いい子にしてたっちゃか?」
「「「「「うん!」」」」」
「そうか、そうか。今日もプレゼント持ってきたとよ。」
「「「「「わーい!」」」」

「ほんと、いつもいつもありがとう。」
「いえ、れいなができるのはこれぐらいですから。」

ここの院長先生はもともと高校の理事長をするほどの立派な教育者であったが、定年退職をしてから孤児院の経営をしており、れいなをはじめとする多くの親のいない子供たちの世話をしてきた。

子供たちを他の先生に任せて、れいなと院長先生は部屋にいった。
「でも、あなたが今は立派に世に出ていることは本当にうれしく思うわ。」
「小さいころは院長先生に迷惑ばかりかけとったとよ。」

元々腕っ節が強く、短気なれいなは中学生のころから喧嘩をよくしており、補導されたが、そのたびに院長先生が引き取りに来てくれた。

「そういえば、噂に聞いたけど。今あなたは喫茶店で働いてるらしいわね。」
「ええ、喫茶リゾナントです。」
「一度、寄ってみていいかしら。」
「いいですよ、子供たちと一緒に来ても。住所教えますね。」

たわいのない世間話を進めているとれいなは気にかけていることを話した。
「そういえば先生、噂に聞いたっちゃけど。この孤児院が潰されるって話。」

その話をすると院長先生は悲しそうな顔をしていた。
「やっぱり噂は流れていたのね。そうよ。この土地はね、今はたちの悪いやくざのものになってるの。前の持ち主をだまして土地を奪い取ったの。」
「そんなのひどいとよ。子供たちの居場所を奪ってどうするつもりとよ。」
「ここを潰して、マンションを建てるんだって。でも、私たちにはどうすることもできない。」
「警察はどうしてるとよ!」
「土地を騙して奪った証拠がないんじゃ。うかつに手を出せないって。」

れいなは怒りで拳を強く握っている。
「実は今日にもここをでていくの。明日からは取り壊しが始まる。」
「そんな・・・」

れいなはとぼとぼしながらも喫茶リゾナントに戻った。

「れいな、どうしたの?」
さゆみは心配になり話しかけるが、黙ったまんまだった。

翌日、孤児院前では院長先生たちが見守る中取り壊しが始まろうとしていた。
「よし、はじめろ!」
作業員がブルドーザーを動かし、孤児院に突っ込んでいく。

「待つっちゃ!」
れいながブルドーザーの前に立ちはだかった。

「れいなさん!」「れいなお姉ちゃん。!」
「ここは子供たちの大切な居場所とよ。絶対に潰させん!」
「かまわねぇ、やっちまえ。」

ブルドーザーがれいなに迫る。するとブルドーザーが止まった。運転手は前にすすもうと必死に操縦している。

そしたら子供のひとりが・・・
「あっ、パンダさんだ。」

ブルドーザーを後ろからパンダが抑えていた。
(ジュンジュン!)

「なんだ、こりゃ!」
やくざのひとりが銃をジュンジュンに向けた。

「穏やかでないな。」
後ろから冷たい声が聞こえる。
愛がやくざの腕を捻じ曲げた。

「いてっー!」
それと同時にジュンジュンがブルドーザーを横転させた。

「さぁ、こっちへ。」「愛ちゃん、みんなはまかせてなの。」
絵里とさゆみが院長先生たちと子供たちを安全な避難させた。

「数が30人ってところか。小春なら楽勝だけど。」
「やくざなんかに負けるリンリンではないですよ。」

いつの間にか小春もリンリンもいる。
子供たちは月島きらりがいると大騒ぎしている。

「なんで、みんないるとよ?」
「れいなの大切な場所なんやろ?だったらあーしらにとっても大切な場所やざ。」

するとやくざの親分が・・・
「てぇめら、ただじゃおかねぇぞ!」
やくざたちはハンマーや刀などを持ってかかってきた。

「れいなたちに手を出してただで済むと思うんじゃないとよ!」

翌日、喫茶リゾナントにて
やくざたちと乱闘騒ぎを起こした5人とそれを助けた絵里とさゆみは正座させられていた。
その前には仁王立ちする里沙と愛佳がいた。

「まったく、あんたたちは何でいつも力技で解決しようとするのさ!」
「やって、ガキさんだって。前あーしが騙された時に力技で・・・」
「私は正攻法でやったの。力技を使ったのは田中っち。」
「あんなん、正攻法じゃないとよ。」
「おだまり!」

次は愛佳がしゃべった。
「いいですか、こっちの言い分が正しくても乱闘騒ぎしたら認めてもらえないかもしれないんですよ!それにジュンジュン、獣化してブルドーザーを横転させんでもよかったんやないの?」
「だって、タナカが轢かれると思ったから。」
「あんなんわな、単なる脅し!」

「まったく、ふたりして証拠を集めたのに。あんたたちが先に片づけているから骨折り損だったわ。」
「「「「「えっ!」」」」」
「愛佳が連中のコンピュータにハッキングして犯罪の証拠を見つけて、警察に送りつけたんです。」
「それに私の精神干渉であんたたちが連中を叩きのめした後に、警察の前で寝させるように仕向けたわ。」

そういうと愛たちはにやけて。
「なんや、結局ガキさんたちも力技使ったんや。」
「同罪ですよ、同罪。」
「さゆみは力技使ってないの。」
「みっついも隅に置けないね。」
「私を怒る資格あるのか!」
「結局、みんな一緒ですね。AHAHAHA。」

するとれいなは・・・
「みんな、ありがとう。本当はれいなだけで済ませるつもりだったちゃけど。」
「いいやざ、あーしたちは仲間やろ?」
「それと田中っち。今朝警察から電話あったけど、例の孤児院はちゃんと持ち主に返されたそうよ。」

「本当!れいなたちが暴れた甲斐があったっちゃ。」
「調子に乗らないの。今日は一日使って大説教大会を始めるから。」

「「「「「えー!」」」」」

手段は乱暴だったかもしれないが大切な場所を守れたれいなの心は幸せに満ち溢れていた。