がんばりすぎちゃった


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ここはさゆみの父が院長をしている病院。Mの特別管轄の病院であり、他の病院では行われていない最先端の技術を使った治療を行っている。

かつてこの病院に絵里が入院していた。さゆみは偶然、ここを訪れた際に絵里と親友になった。言うなれば、絵里とさゆみにとっては思い出の地のひとつである。

「今日も忙しそう?」
絵里がほぼ病が完治して検査入院でしか訪れることのなくなった病院にさゆみがたびたび訪れているのにはある理由があった。
それは・・・治癒能力で患者を治すことであった。

過去何度もその治癒能力でリゾナンターの命を救ってきたがさゆみは自分の能力で他のひとの命も救いたいと思うようになっていた。

「さゆみ。」
婦長だと思われる女性がさゆみを呼びとめた。

「お母さん。」
この病院の婦長をしているさゆみの母だ。

「また、あなた勝手に患者さんの治療をして。」
「だって、お母さん。私の能力があれば怪我は何でも治るの。それでお母さんたちの負担は減るんだし。」

「いい、あなたは医者でもましては看護婦ではないの。非常時以外ではその力を使うのはやめなさい。さもないとお父さんにいってこの病院出入り禁止にするわよ!」

さゆみは母親の言い分に納得できず・・・
「お母さんのわからずや!」

さゆみは病院を飛び出した。さゆみはぶつくさ文句を言っていた。
「もう、お母さんたちを思って言ってるのに。何でわかってくれないの?」

医療界の厳しい現状に超能力による治癒能力は打開策になると思っていた。しかし、お堅い医師界の重鎮たちはまだメカニズムが完全にわかっていない治癒能力を医療の現場に持ち込むのを認めようとしない。

しかしさゆみの母が反対するのには別の理由があった。

院長室。そこにはさゆみの母と院長であるさゆみの父がいた。
「そうか、あの子がそんなことを。絵里ちゃんが退院したのにたびたび病院を訪れるので気になっていたんだが。」
「院長、いえあなた。あの子の気持ちはうれしいんです。でも、あの子が能力を使いすぎるとあの時みたいに。」
「そうだな、あの子は一度能力の過剰使用で命の危機に瀕した。あのような間違いを二度とするわけにはいかない。病院でのあの子の行動には目を光らせよう。」


さゆみが喫茶リゾナントに行こうとすると・・・
「さゆみお姉ちゃん。」
「あっ、彩花ちゃん。」

そこにいたのは絵里の妹・亀井彩花。絵里が入院している時からさゆみとは知り合いだった。

「どうしたの?」
「実はお姉ちゃんが忘れ物をしてしまって、それを届けにきたんです。」
「えらいわね、ほんと絵里とは大違い。」
「そんなことを言うとお姉ちゃんが怒りますよ。」
「「ふふふふ」」

ふたりして笑っていると救急車のサイレンが鳴り響いた。
サイレンのほうを見ると大量の救急車が走っていた。

「あの方向はお父さんの病院。もしかして・・・」
さゆみは病院の方に引き返した。

さゆみが病院につくとまさに戦場だった。どうやらどこかで大事故が起きて、そのけが人たちが運び込まれたようだ。

「先生、来てください!」
「くそ、人手が足りない!」

あまりのけが人の多さに対応しきれていないようだ。そんなとき、母の言葉がよみがえる。(非常時以外でその力を使うのはやめなさい!)

(お母さん。今非常時だよね。)
さゆみはまだ処置がされていないけが人に対して手当たり次第に治癒能力を使った。
手をかざすだけで怪我が治ることで周りの人間は驚いていたが、そんなことを気にせずさゆみは治癒能力を使い続けた。

その頃、さゆみの両親はけが人の治療に専念していた。その時、母の目にさゆみが一瞬映った。
(さゆみ?まさかあの子!)

さゆみに疲れが見え始めた。リゾナンターを治療した時にこれだけ疲れたのは瀕死の重傷の愛を治療した時以来だった。あの時はれいなの助けがあったから乗り切れたけど、今は自分ひとりだけだ。

さゆみの足取りは重くなっていた。でも、あきらめるわけにはいかなかった。
(後少し、後少しで終わる。)

そして最後のけが人に手をかざし、ケガを治していった。
(終わった。これでみんな・・・助か・・・る。)

さゆみは倒れそうになったがそれをさゆみの父が支えた。
「さゆみ!さゆみ!しっかりしろ!」
「さゆみお姉ちゃん!」

彩花もそこにいて、さゆみの手を握った。その時、彩花の能力が発動した。

「うん、ここは?」
さゆみが目を開けると彩花に両親の姿があった。
「さゆみ!」
バシッ!
さゆみの母がさゆみの頬をぶった。

「もうこんな無茶をしないで!あなた危うく死にかけたのよ!あなたが死んだら、お母さんどうしたらいいのよ!」

「ごめんなさい。」
落ち込むさゆみを父が少し励ました。
「さゆみ、無茶はいかんぞ。だが、お前のおかげで誰も死なずに済んだのも事実だ。しっかり休めば明日には退院できるから、今日はゆっくり休みなさい。」

両親は部屋を後にした。
「絵里お姉ちゃんもすぐ来るみたいですよ。」
「絵里、怒ってるだろうな。」
「ええ、かなり怒ってましたよ。」
「ありがとう彩花ちゃん、付き添ってくれて。」
「大したことはしてないですよ。あっ、そろそろお姉ちゃんを迎えにいかないとお姉ちゃん方向音痴ですから。」

彩花も部屋を後にした。
(さゆみ。)
(あっ、さえみお姉ちゃん。)
(また、無茶しちゃったね。あの時みたいに。)
(あの時?)
(覚えてないかもしれないけど、あなた小さい頃に能力を使いすぎて死にかけたの。)

さゆみはそれでわかった。母がなぜそこまで能力を普段使うことに反対し続けていたのかを

(その時、あなたの命を救うために私が生まれたの。)
(じゃあ、今回もお姉ちゃんが助けてくれたの。)
(いや、助けてくれたのは彩花ちゃんよ。)

予想外の返答にさゆみは驚いた。
(えっ、そうなの。)
(彩花ちゃんの能力が覚醒したの。あなたに大量のエネルギーを送り込んでいたの。別の意味での治癒ね。さゆみ、あの子に感謝すべきね。)
(うん、今度彩花ちゃんに何か奢らないと)

その時、さゆみの耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「さゆ!いったいどこにいるの!」

これから絵里の長い説教が始まるのだろう。でも、それを今聴けるのはなんとなくうれしく思うさゆみであった。