『死神』


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。





【但し書き】
  • 登場人物は℃-uteとJuice=Juiceと他二名ほど。 リゾナンターは名前だけ出てくるのみ
  • 改行含めて250行ぐらいありますが、一切話は動かない。痛々しい設定話が延々続きます
  • 詰め込み過ぎ

読んでやろうという方は以上の点だけ前もってご了承いただきたい




殺風景な部屋に置かれた細長いテーブルを挟み対峙する二組の集団。
かたやセルシウス、かたやジャッジメント
いずれも組織暗部の要となる強行部隊であった

テーブルの上のノートパソコンの画面には彼女たちが現在いるのとは別の会議室らしき場所が映し出されている
あるいは盗撮なのか
固定されたその画面の中には二つのグループを併せたのと同程度の人数が動いている

「こいつら暢気で幸せそうだなあ」
口を開いたのはジャッジメントの金澤朋子
イリュージョナリービースト【暴君竜】“ティラノ”を有する彼女の戦闘力は絶大だ

「でも笑顔がある生活って大事じゃない」
屈託無げな口調で応じたのは、セルシウスのリーダー矢島舞美
彼女が【無限回廊】という能力の保持者であることは、セルシウスのメンバーのみが知っている

「ドクターからのお話では共同戦線についてのお話ということでしたが」
能力者でもないのに関わらずジャッジメントのリーダーを拝任した宮崎由加は、この中ではもっとも異質な存在なのかもしれない

「はぁ、あんたなんかがなんでうちらと対等な口聞いてるわけ」
【慣性歪曲】を保有する萩原舞はその能力に影響されているのか驕慢さが目立つ

中島早貴と高木紗友希はその存在感をあえて殺している
一触即発のこの状況下、もし一戦交えることになればこの二人の存在は鍵となる

「相手は11人でこっちは10人。ただでさえ数が足りない状況でもそっちの歌姫さまは平和主義を貫かれますかね」

金澤に毒舌を浴びせられた鈴木愛理はわれ関せずと一人窓の傍に立ち、物憂げに外の風景を眺めている

「それはそっちも同じじゃなくて」
「何がだ」
「愛理に護衛が必要なように、佳林ちゃんを使いこなせるのはそっちのリーダーしかいないじゃない」

舞美の何気ない一言が金澤の中のなんらかのスイッチを入れたのか

「テメ―今なんて言った。使いこなせるだと。佳林のことを道具みたいに言うんじゃねえ」
「それは考え過ぎよ。私たちは組織にとってはあくまで一つの駒に過ぎないんだから」
「いかにも組織の忠犬らしい口の聞き方だな。犬なら犬らしくワンと吠えてみろよ。ジャーキーぐらい恵んでやるぜ」
「ワン」

舞美の気負うことない一吠えは部屋の緊迫した空気を一瞬だけ緩めたかに見えた。しかし次の瞬間…。

「お前さっきから何を突っかかって来てんだよ」

セルシウスの斬り込み隊長、岡井千聖がテーブルを一撃で破壊した。
それに呼応して金澤もまた立ち上がり、千聖に向かっていく。
両者が拳の応酬を交わさんとした瞬間、その間に割って入ったのは植村あかり。


「ケンカ、良くない」
彼女の能力は【治癒】。
しかし後方支援のヒーラーではなく最前線で戦う兵士である彼女の膂力は矢島舞美とも渡り合える。
現に左右の掌で金澤、岡井の拳を受けたあかりがふんと唸ると体力で劣る金澤は後方に飛ばされる。
セルシウスでは舞美に次ぐパワーを誇る岡井ですら押され気味だ。

「もういい加減にして!!」
穏和な愛理が珍しく叫ぶと同時に、部屋一面の天井がひび割れ落ちてきた。
鈴木愛理の第二の能力、【Song not hear(聞こえない歌)】
対象の固有振動数と同じ周波数の聞こえない歌声を発することで、破壊せしめる彼女の能力を以てすれば郊外の大学の小教室の天井など紙のようなものだ。
建材の粉塵や天井内に蓄積されていた埃が濛々と舞う中、両陣営は部屋の両端に飛び退き臨戦態勢を取った。

「セルシウス、敵視」
その端正な容貌から一切の表情を消し去った宮本佳林の声が響くと、それまでどこか余裕を残していた舞美の顔に緊張が走る。
佳林の能力は…。

「騒がしい童どもだな。お前たちの所為で眠りが妨げられた」

10人に緊張が走った。
彼女たちはただの人間ではない。
組織の謀略や破壊活動を暗部で支える戦士なのだ
たとえ戦闘行為を伴わぬブリーフィングの名目で集まられたとはいえ、警戒心を緩めることは無い。
なのに今、彼女たちに声をかけた存在の接近に気付いたものは誰一人いなかった。
それだけでも、その声の主が只者でないことがわかる。
さらに、その姿。
舞美と比べれば10センチ近く低い身体に載った顔は本来なら愛嬌のある可愛い顔と表現されるだろう
しかしそこには一切の感情が見受けられない
喜びも、悲しみも、怒りも無い無機質な容貌。
グレーのインナーとスパッツを身に着けたその肢体の露出している部分に幾つもの傷跡が見える
その傷口からは黒い物が覗いている
出血の止った傷口がそう見えているだけなのか
違う、いくつかの傷口から顔を覗かせた黒い物質がまるで生き物のように蠢動しているのだ

そんな不気味な乱入者に対する10人の態度は幾つかに別れた
直視する者と視線を背ける者。
直視する者の中でも憐みの視線を向ける者と、戦闘対象として値踏みする者とに別れる中、舞美だけは反応が違った。

「あ、あなたは」

立ち上がり不気味な乱入者に近づこうとするが、その腕を取って止めたのは中島早貴だった

「はいみなさん、今日はお忙しいところお集まりいただき恐縮です」

高まる緊張をはぐらかすような言葉と共に科学者が姿を現した。
トレードマークの白衣にOLの通勤時に持ち歩くようなバッグを肩に掛けた彼女が今日の会合を召集した当人だ。
のほほんとしたその口調を聞いた金澤と植村がセルシウスへの敵意と乱入者への警戒を隠そうとしない佳林の肩に手を軽く叩いた。
険しかった佳林の表情に少しだけ柔らかさが戻る。
リーダーの宮崎が粉塵を払った椅子に佳林を座らせるのを見計らって、科学者が話し出す。

「この部屋は借り物だから大事に使って欲しいのですがね」
「だいたい何でこんな田舎の大学くんだりまで呼び出されなくちゃいけないんだか」

金澤の毒言を受けた科学者はもっともらしく頷いてみせる

「それはですね、今回の対リゾナンター多方面作戦における重要な役割を果たす彼女とあなた達を引き合わせたかったからこのクソ田舎の大学まで来ていただいたのですよ」
「先せ、いえドクター。ということは彼女が11人目のリゾナンターに対処するのですか」

科学者の薫陶を受けた学者肌の宮崎は昔の癖が抜け切らない

「いえいえ。最初に言っておきますがあなたたち一人一人を全国に散らばったリゾナンターに個別で当てていくことは想定していません」


科学者の弁によれば、セルシウスとジャッジメント。
どちらの部隊にもリゾナンターを圧倒する一騎当千の強者がいる反面、支援タイプで戦闘力において劣る能力者も存在するのが実情であった。
それは本来、構成メンバー全員が揃って最大の戦闘力を発揮することを想定して結成されたのが二つの強行部隊だったからだ。

「ですから皆様方には一人一人で戦っていただくのではなく、いつも通り部隊編成で戦っていただくことになります」

科学者の発言に多くのメンバーは納得したようだ。

「それは部隊単位でリゾナンターを一人ずつ各個撃破していけということでしょうか」

部隊の長としての舞美の発言は尤もなものだろう。

「うーん、それも違いますね。今回能力者による同時多発テロの情報を流したのはリゾナンター全員を確実に喫茶リゾナントから誘き出すのが目的なのです」
「なんでそんなに回りくどいことをするのかねえ。そんなに奴らを倒したいならうちらジャッジメントとこいつらセルシウスで同時にリゾナントを襲えばいいと思うんだけど」

金澤の言葉に我が意を得たりと頷いたのは岡井千聖や植村あかり。
いずれも戦闘では肉弾戦を得意とするタイプだ。

「あ~それはまずいですね。そのやり方ではあの喫茶店を破壊してしまいかねない」
「じゃあ本当の目的は喫茶リゾナントの奪取で私たちは囮役?それとも足止め?」
「さすが矢島さんは呑み込みが早い。みんながあなたみたいだったら私も楽なんですけどね」

二人のやり取りに異を唱えたのは金澤だった

「ふざけるなよ。そんなつまらない目的で私たちを呼び出すなんていったい…」
「いったいボスは何を考えてるんだということですか金澤さん」

慇懃無礼な口調の科学者に流石の金澤も一瞬だけ気圧されてしまった。

「ボスの言葉をそのまま伝えます。“あの喫茶店は天使の揺り籠だから絶対に無傷で奪取せよ”です」

異論を唱えようとする金澤を手で制した科学者はさらに言葉を続けた

「こちらの情報操作によって彼女たちは全国11か所に分散させることが出来そうです。その上であなた達に東西二か所で動いていただきます」
「つまり彼女たち全員をリゾナントから誘き出して、さらに二つの軍団に分ける?」
「そう、そして彼女たちの中でも特記戦力ともいうべき存在を想定してあなた達に動いていただきます」

イリュージョナリービーストを保有する石田亜佑美と戦うであろう西方戦線には、【暴君竜】を保有する金澤朋子の属するジャッジメント
【時間編纂】を保有する小田さくらがと対峙する東方戦線には、対抗手段を有するセルシウス

「矢島さんは自分たちを囮役だとか言っておられましたし、その事自体は決して否定しません。ですが戦闘が始まれば後はあなた達に一任しますよ」
「つまり、奴らを打ち負かしてもいいんだな」
「打ち負かしていいんだななんて、金澤さん。あなたらしくもない弱気な発言ですね」
「何を」
「いいんですよ、殺したって全然構わない。むしろ徹底的に蹂躙してあなた達の実力を証明して下さいよ。重要なのはリゾナントの奪取なのですから」

科学者の不穏な発言に納得したのか、ようやく矛を収める金澤。

「ドクター。用意周到なあなたのことですから喫茶店の卒業生に対しても何らかの対策は立てておられると思いますが気がかりなのは、田中れいな率いるラベンジャーズのことです」

愛弟子である宮崎の発言を喜色満面で聞いているその様子からは、彼女が悪魔の科学者と恐れられているとはとても信じられない
そしてラベンジャーズ。
喫茶リゾナントを巣立った者達の多くは様々な形でリゾナンターを支援している
かなり荒っぽいやり口で組織の資金源や支援組織に対する破壊活動を行い続けている高橋愛
公安調査庁という官庁に籍を置き、公的な立場から組織に監視の目を注ぐ新垣里沙
表裏一体の手口で今もなおリゾナンターを支えている二人よりもよりフリーな立場にいるのが田中れいなだ
トラブルシューターの看板を掲げ、表社会と裏社会を行き来する最中に知り合った仲間と結成したラベンジャーズは三人という小世帯ながらリゾナンターの援軍たり得る存在だ


「そうラベンジャーズ、というよりも田中れいな。リゾナントアンプリファイアを保有する彼女が東西いすれかの戦線に加われば、その戦局は一変するかもしれません。ですから…」
「伝説の粛清人を召集だれたというのですか」

科学者の言葉を引き取った形の舞美は不気味な乱入者に視線を注ぐ。
自分の話題に移ったというのに、その様子は変わらないままだ。

「彼女は高橋愛との戦いで一敗地に塗れました。一命を取り留めたのですが、高橋愛、いやi914によって破壊された体の組織はいかなる科学技術を以てしても再生が不可能でした」

i914
それは忌わしき生体兵器としてこの世に生を受けた存在。
高橋愛の深層意識の中に眠るアイという人格だけがその能力を駆使できる
滅びの光“フォトン・マニピュレート”

「不可能でしたって、現在進行形で不可能だろうアレは。なんか蠢いてる」

現役時代の粛清人と接触したことの無い金澤は恐れを知らない

「ああ、お断りしておきますが、あの傷口は本人のご要望です」
「―私は敗北した」

屈辱の記憶を思い出したのか、彼女の唇がわずかに歪んだ

「―敗者は敗北の中から何かを見つけねばならない。土砂降りの雨で消えた焚火の中から泥まみれの炭を拾い上げるように・な」

その言葉を若き能力者たちはどう受け取ったのだろう
思い思いの表情で噛みしめる中、学究の徒としての興味が宮崎に口を開かせた

「あ、あのi914によって破壊された体の組織は再生不能というお話でしたが」
「そう、このアジアでも有数の遺伝子培養技術を有する○○大学の研究施設内で休眠状態を保たなければならないほどにね」

科学者の言葉を三色のフリクションペンでノートに書き留めていく宮崎。
その姿はまるで真面目な大学生といったところか。

「でも今現在はこうして活動できている、ということは」
「そう見つかったのですよ。空白を埋める素晴らしくもおぞましき物質がね」

“黒血”という物質が存在した
“G”と称された能力者に移植されたその生体細胞は、全身の細胞配列をナノメートル単位で調節し、体組織へと構成する。
理論的限界まで強化された肉体は、脳を除くあらゆる部位に加えられた物理、自然的損傷を一秒以内に修復し、あらゆる情報構造体の攻撃を遮断する。

「先生は黒血を造られてそれを彼女に移植したのですか」
「ええ、私自身は開発に携わっていませんでしたが、“G”のメンテを手伝った時に僅かばかり入手したサンプルから構成の化学式は導き出すことは出来ました。だが」

負傷した粛清人の為に科学者が製造した黒血はその役目を果たすことなく死滅していったという
宿主の意志に反応して自らを増殖強化させる黒血だ
傷ついた粛清人には黒血を従えるほどの意志の力が残っていなかったのが原因と推測されるという

「ではどうして…」
「和田さん、和田彩花さんはじつにいい仕事をしてくれましたよ」

唐突に出て来た和田彩花の名前を聞いて察しの良い者は事の詳細に気付いたらしい
和田彩花、それは組織へ刃を突きつけるアンジュルムの頭目にして鋼翼の悪魔と恐れられた“G”を粉砕した破壊の女王


「誤解を招かないように言っておきますが、私と和田さんとの間にはやましい関係は一切ありませんからね」

科学者の言葉をそのまま信じた者は、誰一人いなかった
彼女の愛弟子である宮崎ですら、何らかの接触があったのだろうと察している

「では和田彩花に敗れた“G”から回収した黒血を粛清人に移植した」

科学者は舞美の言葉に大きく頷くと、僥倖と称する事態が訪れたことを喜んでみせる

「いや“G”から回収した黒血は実に素晴らしかったですよ。本来宿主の意志が無ければ活動を停止してしまう筈なのにそれ自体がまるで生きているようで…」

“G”の体内に根付き、その意思を受けて強化された黒血を傷ついた粛清人に移植するに当たっての苦労話を熱に浮かれたように話す科学者
その自画自賛の傍聴者は殆どが醒めたような目で科学者を見つめていた

「ああ、失礼しましたね。というわけで皆さんが暴れたお蔭で順序が逆になりましたが改めてご紹介します。彼女こそ今回の作戦でラベンジャーズ田中れいなへの対応に当たっていただく粛清…」

科学者が口を噤んだのは、“G”の黒血を引き継いだ粛清人が手を挙げて制止したからだ

「ドクター、貴様の尽力には感謝する。ただ私は“A”の名も捨てようと思う」

“真実の探求者”と称する科学者がはじめて怪訝そうな顔をする

「あの方に忠誠を誓った時に私は自分の名前を捨て、“A”と名乗ることにした。しかし、それですら不十分だった」
「と申しますと…」
「私はあの方の殺意を実現する刃であることに徹する。だから“A”という仮称ですら不要だ」

でもそれじゃあ呼び方がなと呟く科学者を無感情な目で見据えながら元“A”は宣言した

「いいか生意気な戦士たちよ。お前たちがあの方のお役に立つのなら私は一切構わない。しかしもしあの方の意に背くようなことがあれば、その命刈らせてもらうぞ」

元“A”の身体中の傷口で蠢いていた黒血が、やがてその右腕に結集していった
不気味に蠢く生体細胞はやがて一つの物質を形成していく
それはデスサイズ
西洋の死神が生者の命を刈り取る為に振るう大鎌

「私は死だ。いや死を運ぶ死神だ」

そう宣言すると死神は大鎌を一閃し
その斬撃は建物に浸透し、ついには両断し…






投稿日:2016/11/23(水) 06:00:46.79 0