I WISH


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「I WISH」(かなしみの人ver)

次回予告
陽が昇りいつもと変わらぬ仕事や学園生活をこなしてゆく
陽が沈みいつもと変わらぬ時間・場所に集まってゆく
愛の瞳にうつるのはいつもと変わらぬミーティング風景・メンバー
愛はいつもと変わった質問をメンバーに問いかけた・・・



「みんなはいつも何を願って闇と戦っているの?」

『人類の為・正義の為・生きる為・自分自身に勝つ為』
皆それぞれの答えを出してゆくメンバー達

   最後にジュンジュンが答える番になり
      すかさず誰かが答える
『どうせいつもの バナナ腹イッパイ食べたい為でしょ!』
 少しムッ!としながらジュンジュンは答える




  「イイエ 違いマース!私の願い それは・・」
「ミンナが安心しテ バナナが食べられる 平和な世界デーース」

皆いい顔をしていた 今日は良いミーティングになったと愛は思った
 何気ない『いつも』はちょっとしたのきっかけで
    少しずつだが変化を見せていくのだ


次回かなしみ戦隊リゾナンター「I WISH」





  私の願いは・・・未来の希望である 
 あなた達の願いで世界を変えていくこと


【本編】
「I WISH」(46) 519ver

毎日同じことの繰り返し
いつも通り営業を終え、いつも通り集まっていたメンバーもそれぞれの帰路についた
愛はそんないつも通りの一日にちょっと変化をつけてみた







今日も一日を終えようとするころ、愛は喫茶リゾナントの屋上で夜空を見ている
この"夜のない街"では故郷で見ていたような星は見れないと思ってた
でもここに座って見上げる夜空にはたくさんの星が煌めいていた


「やっぱりここにいた」

背後からした声に特に驚きもしなかった
今リゾナントに残ってるのはあの同居人しかいない、それに・・・
こんな時間で、こんな場所だけど、なんとなく彼女がくるような気がしてたから
その声をかけてきたれいなも愛の隣に腰をおろした
れいなも愛と同じように夜空を見上げる


「わかっとーよ、愛ちゃん」

愛は「えっ?」とちょっと驚いた声をあげれいなの方に視線を移すが、れいなは夜空を見上げたまま続ける

「愛ちゃんがなんでみんなに"あんなこと"聞いたのかはわからんちゃけど、愛ちゃんの想いはわかっとーよ」

愛は無言のまま、再び夜空を見上げた
そして、数時間前のことを思い返してみる

愛の聞いた"あんなこと"とは・・・





喫茶リゾナントではほぼ毎日メンバーが集まってミーティングが行われている
ミーティング含め変わらない毎日を送っているリゾナンター
そんなリゾナンターを目の前にして一つ考えついた愛


少し前まで行われていた今日のミーティングにて愛の問いかけたいつもと変わった言葉





「みんなはいつも何を願って闇と戦っているの?」





いつもと違う愛の雰囲気を察したメンバーの表情はすぐに引き締まった
そんなメンバーを見て少し安心する愛

同時に誰もが発言しづらい空気になるなか愛は愛佳を指名する


「あ、愛佳ですか?」

いきなり話を振られたことに驚いた愛佳だったが、しばらく黙って考えた後静かに口を開いた


「愛佳は生きてても楽しくないと思ってました、それこそ死んだ方がマシって・・・」

線路に飛び込んで人生を終わらせようとしたところを愛に止められた経緯を持つ愛佳

「でも、みなさんと出会って今すごく楽しいって思っています
生きててよかったなって、人生ってすばらしいなって・・・
だからそんな愛佳達の未来を・・・明日を守らなきゃって・・・」

一息つき、愛の方を見つめ答えた

「この先もずっとこうやって過ごせるようにって願ってます」

愛佳の答えから強い意志が感じられたことで他のメンバーは自分の中での答えをより真剣に考えることになる
そんな中すぐに声を上げたのはリンリンだった

「リンリンも同じデス、光井サンの言った通り未来を守らなければなりまセン
それを奪うなんて誰にも許されることではありまセン、守るために日本に来たカラ・・・」

リンリンに続き、考えの整理がついた者から次々と口を開く

「ずっと入院してて思ったことだけど、絵里達やダークネスの関係ないところでも事件や事故が起きてて
それで傷ついたり、命を落としたりする人が毎日のようにいるんですよ」

心臓が弱く幼いころから入院していた絵里は、怪我して運ばれてくる人や病気で命を落とす人をずっと見てきた

「なのに争って自ら傷ついたりするなんて馬鹿らしいんです
だから、絵里は少しでもはやく争いが終わることを望んでいます」

「さゆみもそうかな、いつも"聞いて"て思うの、みんな戦いなんて望んでない
早く安心して暮らせるようになればいいのに」


「平和かぁ・・・、平和なんてなんの意味も持たない言葉だと思ってた、
でもみんなと一緒に過ごす時間を重ねていくうちにわかってきたような気がする
だからわたしも早く戦いが終わることを望んでいるのかも・・・」

「小春はとにかく奴らのやることが気に入らないから、あいつらのやることは小春の正義に反するんです
だから小春の正義の為に・・・その結果誰かが幸せになってくれればいいかな」

「れいなはみんなみたいな立派なこと思ってないと、戦ってるときはただ勝つことだけを考えてる
相手にも自分自身にも負けないように・・・負けるのは嫌やけん
それに勝たなきゃ先が開けんしね」

次々と答えてきたメンバー、最後のジュンジュンを前に流れがとまる

未だ流暢に日本語を話すことができないジュンジュン
いきなり自分の考えを日本語で答えるなんてジュンジュンには難しかったか
愛は助け船を出そうとしたが、すかさずメンバーから声が上がる

「どうせいつもの バナナ腹イッパイ食べたい為でしょ!」

少しムッとした表情を見せたジュンジュンもすかさず答える

「イイエ違いマース!私の願い、それは・・・」

それは・・・?
メンバーの注目を浴びながら答えを続ける

 「ミンナが安心しテ、バナナが食べられる平和な世界デーース」

真剣な顔をしていたメンバーの顔に少しずつ笑みがこぼれはじめた

「なーんだ、結局ジュンジュンはバナナじゃん」
「ほんとにいつもバナナのこと考えてんだね」

真剣な空気、表情を見たあとだから思う

やっぱりメンバーの笑顔はいいな・・・

「で、愛ちゃんは?」
「え?あたし?」

ジュンジュンの発言で愛がまだ何も言っていなかったことに忘れていたメンバーが次々と声をあげる

「そーだよ、愛ちゃんの聞いてなーい」
「みんな真面目に話したんだからね」

ザワついていたメンバーは静かになる

「あたしは・・・、えーと・・・」

真剣な視線が愛に集まる

「み、みんなの願いが叶ことカナ☆テヘッ!」

「・・・」
「・・・」

静かな部屋がまた別の静けさに包まれた感覚を、愛はもちろん、メンバーも感じ取れた
同時に赤らむ顔をごまかすように愛は再び口を開く

「は、はいはい、しゅーりょー、今日は解散!」

「「「えーーーーーーーーーっ!」」」

やりきったというか、なんというか、「ズルい」愛の答えにクレームは殺到



「愛ちゃん、なにそれ!」
「あ、愛ちゃん、それは『逃げ』ですよ!」
「リーダーしっかりしてください!」










「愛ちゃん、照れを隠すように言ったけん、でもあれは愛ちゃんの本心やと」

夜空を見上げながら思い出す愛の頬はまた少し赤らんでいた

「ずっと一緒にいたらわかるとよ、愛ちゃんは自分のことより人のことばかりな人やけん」
「買いかぶりすぎだよ」
「人もいいけど・・・」
「・・・?」
「・・・自分も大切にしてほしい・・・」
「れいな?」

愛はれいなの方を見るがれいなは夜空を見上げたままで表情は伺えなかった
それでも、月光に照らされ輝くれいなの潤んでる瞳は認識できた

「・・・不安になる・・・」
「・・・」
「急にあんな話になるとなんかあるんじゃなかって思うと・・・」


そんな顔が見たかったわけじゃなかった
不安にさせるつもりなんてなかった

「ごめんね、そんなつもりじゃなかったのに・・・」

ただ、この生活に変化をつけようとしただけ
みんなの気持ちが知りたかっただけ

「真剣なみんなも・・・笑ってるみんなもいい顔してた・・・でしょ?」
「うん・・・」
「それが見たくてあたしはあんなこと言ったのかもしれないな・・・」
「・・・」
「だかられいなもそんな顔しないで・・・」
「・・・あはっ、しんみりさせたっちゃね」

夜空を見上げたままニッ笑うれいなを見て安心した愛も再び夜空を見上げた

「こうやって星を見てるとさぁ」
「うん」
「夜空にみんなの顔が浮かんで見えるの」
「そやね」
「そのたびに思うの、『あたしまたみんなのことばっかり考えてるな』って」
「うん」
「みんなのおかげで生きていけるんだなって思う、だからみんなのことを1番に考えるんはあたしには普通のことなんやよ」
「れいなもみんながおらんかったら自分じゃなくなる気がする、愛ちゃんと同じかもしれんね」



2人の間に沈黙が流れる
でもそれは苦痛ではなく心地よく感じられた



「「あっ、流れ星!!」」

数分後、2人の沈黙を破ったのは夜空に流れる煌めきだった
示し合わせたように同時に瞳を閉じる愛とれいな


「愛ちゃん、なにお願いした?」
「れいなは?」

愛の方を向き照れなが笑顔でれいなが答える

「これからもみんなとずっと一緒にいられるようにってお願いした」
「いいね」
「愛ちゃんは?」
「・・・内緒!」
「えーーっ!?れいな言ったのにー」

ふてくされるれいなを可愛いと思いつつ再び空を見上げる愛


―――私の願いは・・・未来の希望である
―――あなた達の願いで世界を変えていくこと

―――その為ならこの命・・・


「愛ちゃん、なに考えとー?」
「ん?なんでもないよ」

穏やかで力強い決意
愛は静かに夜空に誓った





【解説】
ヒーローは何故戦うのか。
許せない敵がいるから、戦う使命を帯びてこの世に生を受けたから、大切な人を守るため
ただ強くなるため、組織から任務を与えられたから、復讐のため…それとも正義を守るため?
正義という言葉はとても心地良く響く。
だが「9・11同時多発テロ」も「イラク戦争」も、正義を守るための戦いだった。
正義の為の戦いで、平凡な家族の父親が、武器を持ったことのない子供たちが命を奪われていった。
価値観を異にする国家や集団が、各々の正義の旗を掲げて戦う時、正義は悪の顔を見せる。

何の変わり映えもしない平凡なある日、リゾナンターのリーダー、高橋愛はメンバーに問い掛けた。
「みんなはいつも何を願って闇と戦っているの?」
戸惑いながらも真摯に答えていくリゾナンターたち。
生まれも、育ちも違っているが、その思いは一つ。
高橋愛という光に導かれて、かなしみを乗り越えてきた自分たち。
今度は自分たちがみんなのかなしみを打ち払う。そしてみんなの笑顔が詰まった未来を守る為に戦う。
その思いはジュンジュンも同じだった。
だが日本語を上手く話せないジュンジュンは思いを言葉にすることが出来ない。
そんなジュンジュンをからかう仲間たち。
焦ったジュンジュンの口から飛び出した答え、それは… 「ミンナが安心しテ、バナナが食べられる平和な世界デーース」
平凡で他愛無い、ありふれた世界。
だがそんなありふれた世界だからこそ守る意味がそこに存在する。
リゾナンターは皆の笑顔を守る為に戦う。
そんなメンバーを見ながら愛は誓う。
リゾナンターのみんなが人々の笑顔を守るなら、私はそんなリゾナンターのみんなの笑顔を守る為に戦おう。そのためなら、この命…
トリビュート作品「I WISH」には、そんな高橋愛が描かれている。

ジュンジュンがメインだったかなしみの人の予告編とは異なった路線、存在しなかった場面を描いた本トリビュート作の作者は、トリビュートではなくリゾナントしただけの作品になってしまったことを悔やんでいるが、その言葉をそのまま受け容れる読者は誰一人いなかった。
一人の人間の中で生まれた、一つの場面が、違う人間の中で新しい想像を生み出す現象。
それをリゾスレではリゾナントと呼ぶが、生まれた想像を作品として形にする行為は、トリビュートの気持ちが無ければ成し得ない。
「I WISH」(46) 519verもまた、 かなしみ戦隊トリビュートアルバム のマスターピースとして、輝き続けることだろう。





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