■ ワンサイド -石田亜佑美X石川梨華- ■


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■ ワンサイド -石田亜佑美X石川梨華- ■

71

それが激闘の、いや、一方的な暴力の、繰り返された回数。

断ち斬られ、再生し、また断ち斬られ…
追い立てられ、押し込まれ、攻め立てられ…
やがて、再生も滞り、『現象化』を維持することすら、出来なくなるまで、の…

想定内。
全てが、想定内。

荒い息。
黒のエナメル、べっとりと血に染まる。
肩が、ない。
いや、わずかに繋がり、ぶら下がっている。
消えかかる最後の触手は、両断されながらも主を守り、その斬撃を右肩までに、食い留めた。

ごふっ…

吐血。
泥のような血痰が、とめどなくあふれる。
もはや、立ち上がることも、できない。

だが、まだだ。
その眼は、光を失わない。
憎しみの、執念の、その光を。


石田亜佑美は、視線を、真っ向から受け止める。

「石川さん、私、嘘をつくのが下手な人間なんです。」

既に言葉も発せぬ、その凶敵に、語り掛ける。

「私たちは本当に、だれも高橋さんの行方を知りません。
でもきっと、あなたは信じない。
いえ、言葉は信じても、それでもきっと、あきらめない。
何が何でも、私たちから情報を引き出そうとする…
…力づくで…」

「……」

「戦ってみてよくわかりました。
あなたはそういう人だ。
一回負けたぐらいのことでは、あなたは決してあきらめない。
死ぬまで…死んでも…あきらめない。
何度でも、私たちを襲う。」

鞘師は、石田に乞われ、二人の会話が聞こえない距離を、取った。
危険は承知、油断ではない。

「ウチ…私は、かつて高橋さんと戦い、負けました。
…完敗でした。
だから、私はもっと強くなって…いつか…
そのつもりで高橋さんの申し出を受けました。
でも正直…もうそれ、どうでもいいんです、私。」

凶敵から、目を離す。
天を見上げる。


「みんなのことを守るのは、いつか、高橋さんに勝つためだった。
でも、そんなの、一瞬で忘れちゃった。
だってみんな、みんな大好きだから。」


 石川さん、あなたでは、絶対に、高橋さんには、勝てません。


「それでもあなたはあきらめないでしょうね…
だから、私は、迷うことなく『みんな』をとります。」

石田は懐に手を入れる、小さな『なにか』を…。

「私は高橋さんの行方を知らない。
でも、約束してくれました。」

 いつか再び会ってくれると
 いつか私が強くなって…

「高橋さんは、いずれ自分は共鳴を失うとおっしゃっていました。
それでも会ってくださるとおっしゃった。
これは、そのときに…」

ぽとりと石川の前に落とす。
血濡れのエナメル、その胸元に。

「私は何もしゃべりません。
ただ、大事な頂き物を、どこかで落としてしまっただけ…
それを、誰が拾おうが、どう調べようが、その人の自由。」


もはや、再び見ることは無い。
その凶事を。その凶敵を。
踵を返す、背を向ける。

「石川さん、高橋さんに会ったら…いえ、なんでもありません。」

そうだ、謝る必要などない。
何も、伝えることなどない。
飲みこんだ言葉の代わり、白い紙片が、はらりと。
単語帳?
落ちる紙片を目で追いながら、歩み去る。



石田は元気です
石田は、リゾネイターのみんなが、大好きです



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投稿日:2015/03/17(火) 01:21:00.16 0