石田亜佑美 17歳記念『──意地張らないで仲間に入ってよ──』


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川c ’∀’)<1回目



「こんにちは!」

道重さんに頼まれた買い出しを済ませてリゾナントへ向かう途中
小柄な女の子に声をかけられた

本当に、ウチと同じくらいの背丈

でも、髪は黒くてショート

えーと、この子は……誰?
知り合いだっけ?

「こ、こんにちは……」
「もしかして、覚えてませんか? この前、助けてもらった……」

助けて……あ、あー!


──1ヶ月前


「うぅ寒っ! 」

いくら東北育ちでも、寒いものは寒い
早くリゾナントに行って暖まろう

今日はリゾナントの定休日
みんなでクリスマス・イヴと当日の下準備をする日


お客さん、楽しんでくれるかな

「あ、ヤバ」

今何時だろう?
ケータイ忘れて来ちゃったんだよね
もうすぐ集合時間かも

辺りを見回し、人が居ない事を確認

「……少しくらい良いよね?」

ホントはむやみに超能力を使っちゃ駄目なんだけど

──加速──アクセレレーション──

誰も居ない路地裏を選んで進む

ウチの能力がこれで良かった
昔はあんなに嫌がってたのに──あれ?

視界の端に違和感
気になって立ち止まる

「今のは……?」

来た道を少し戻って、気になった廃ビルに近づく
割れた窓を覗くと、女の子と男の人が居た


カップル……な訳ないよね?
子どもと大人って感じだし、親子?
いや、違う

女の子は脚を押さえて床に座ってる

きっと怪我をして立てないんだ


「ほら、怪我してるんだから無理しちゃいけない。おいで、僕が連れて行ってあげるから」
「嫌です!」

これって誘拐!?
もう、行くしかないでしょ!

──加速──アクセレレーション──

猛スピードで男の背後に回り体当たりをする

「うおりゃー!」
「ぐあっ!」

男はバランスを崩し転倒する
その隙に、女の子の所へ行く

「ちょっとゴメンね」

強引だけど手を引っ張って立たせる
素早く後ろに回って腰に腕を回す


「え! あのっ」
「よっこいしょ!」

力を入れて持ち上げる

ウチも小さいけど、この子も同じくらい小さい
だから、なんとか持ち上げられた

「しっかり掴まっててね」
「は、はい!」

──加速──アクセレレーション──

女の子を抱えて走る
でも、能力者ってバレない様に速さは抑え目で

「──ここまで来れば大丈夫でしょ」

着いたのは人通りの多い道のすぐ側

「あなた、立てる?」
「あ、はい……大丈夫です」

ゆっくりと女の子を降ろす
女の子は建物の壁に手をついて立つ


「お巡りさん呼びたいんだけど、ウチ今ケータイ持ってないんだ」
「あっ、だ、大丈夫です! 自分でなんとかします!」
「ゴメンね、役に立てなくて」
「いえ! 助けて、もらったのでもう大丈夫です! ホント大丈夫です!」


すっごいいっぱい手を振る女の子
冷静になって見ると可愛いらしい顔をしてる
綺麗な黒眼

リゾナントのみんなも可愛いけど、別の可愛さが……って

「あっ!」
「え! ど、どうしましたっ!?」
「今何時!?」

女の子のケータイを見せてもらう

「ヤバっ! 遅刻だ!」

──加速──アクセレレーション

控え目に、でも急いでリゾナントに向かう

リゾナントに着いて、色々と叱られた事は言うまでもない
ウチ、人助けしたんだけどなぁ



──


「あの時の子かぁ」
「助けていただき、ありがとうございました! 大人を1人でやっつけちゃうなんて、強いんですね!」
「いやいやいや! あれは、まあ……たまたま? アハハハ……」

戦い慣れてるなんてバレたら、都合が悪いんだよね
フツーのか弱い女の子で通さなきゃ

「そうだ! 脚の具合はどう?」
「この通りすっかり良くなりました! お礼がしたかったのにいつの間にか居なく なってて……」
「あーゴメンね。あの時ちょっと急いでてさ」
「でも、また会えて良かったです! 良かったらお礼にお食事でもどうですか?」
「いやいやいや、気持ちだけで充分だよ」
「でも、それじゃ私の気が済まないですよ」

どうしよう、えー、どうしよう?
これからリゾナントに戻らないと……そうだ!

「私、これから喫茶店に行くんだけど、一緒に来る?」
「喫茶店ですか?」
「そう。メニューはちょっと? 結構? 変わってるんだけど……でも、大体はおいしいから!」
「じゃあご馳走します! 行きましょう!」

ウチ、従業員だからお代はいらないんだけど……
ま、いっか





投稿日:2015/01/08(木) 23:20:38.49 0 & 2015/01/16(金) 11:41:53.18 0



ノハ*゚ ゥ ゚)<2回目





カランコロン

「ただいま戻りましたー! お客さん連れて来ましたー!」
「あゆみん、遅いよ」

はるなんがテーブルを拭いていた手を止めてウチを、睨む
ウチ、なんかした?

「え、どうしたの?」
「どうしたじゃないよ。今、何時だと思ってるの」

店内の時計を見ると、開店の10分前を指していた

ヤバ
30分前には戻って来なきゃいけなかったんだ

「ゴメンゴメン。実はさ
「飯窪? 準備は終わったの?」

店の奥から道重さんが出て来た

「道重さん、ゴメンなさい! 遅くなりま
「石田、いい加減にしなさい」


え?

「また遅刻じゃない。去年の遅刻で懲りたと思ってたけど、リゾナントの従業員だって自覚がないでしょ」
「そ、そんな事ありません! あの時は事情が
「出て行きなさい。この店にあんたは要らない」

ウチが、要らない?

「飯窪、準備急いで。1人少なくなるのよ」
「はい」

ウソ……
道重さんがそんな事を言うなんて……

今日だって理由なく遅れた訳じゃないのに
話も聞いてもらえないなんて
それに、はるなんまで……

2人の姿を見ていられなくて、顔を俯けた

「一度お店を出ましょう。ね?」
「……うん」

助けた女の子に言われるまま、リゾナントを出る


カランコロン

女の子は歩きながらウチの背中に手を添えてくれた

その優しさが、今は辛い

「大丈夫ですか?」
「……道重さんも、はるなんも、ウチの事は要らないんだ……」

ヤバ
泣いちゃう

ウチだってリゾナントで働いてるんだし、自覚あるよ
でも、困ってる人が居たら助けなきゃって思って

ウチらが助けるのは能力者だけじゃない
普通の人にも手を伸ばす

それに、悪い人はダークネスじゃなくても止める
普通の人が出来ない事も、ウチらで出来る事はする

いつもそうやってたはずなのに
どうして今回は違うの?

ウチは、仲間じゃなかったの?


「くっ……」

我慢出来ずに溢れる涙
コートの袖を強く押し付けて拭う

「石田さんは、要らない人じゃありません」
「……え?」
「石田さんは、私を助けてくれた優しい人です。それに強いです、能力者として」

……能力、者?

「実は、私も能力者です」

あなたが、能力者?

「石田さんと出会ったのはホントに偶然です。でもあの時の石田さんを見て、すぐに普通の人間ではないとわかりました」
「……バレてたんだ」
「もう一度会って話がしたかった」

ウチに話?

「私達の仲間になってください」
「仲間?」
「今は5人の能力者が居ます。そこに石田さんも入って欲しいんです」


話が急過ぎてついて行けない
ウチは能力者で、この子も能力者
ウチが能力者だってバレてて、この子は能力者だって教えてくれてて

「あなたは一体……」
「自己紹介まだでしたね。佳林です、宮本佳林です」





投稿日:2015/01/17(土) 10:17:00.32 0


ノリ・ 。・リ<3回目



宮本、佳林さん

「私達には石田さんの力が必要なんです。お願いします! 私達の仲間になって下さい!」

思いっ切り頭を下げる、宮本さん

お願いされても困るよ……
それに

「ウチを仲間にして、どうするの?」

頭を上げる宮本さん
すごい真剣な顔してる

「私達はまだ、小さな集団です。強い能力者集団を相手にしたら簡単に負けちゃうくらい……だから、どこにも負けない強さ欲しいんです!」
「でも、ウチじゃなくたって……」

宮本さんが近づいて、両手でウチの手を掴んだ

「石田さんは強いですよ。私を助けてくれた時、ちゃんと見てたんですから!」
「でも……」
「お願いします!」

必要って言ってくれて嬉しいよ
嬉しいんだけど……
ウチはやっぱり

「……リゾナントが良い」


だって

楽しくて
優しくて
暖かくて

大好きな人が居る

「あの場所が、ウチの帰る場所だから」

宮本さんの顔が、険しくなった

「で、でも! 意地を張っても、あの人達の所へは戻れないんですよ!?」

『この店にあんたは要らない』

さっきの道重さんの言葉が、心に刺さる

「そうかも、しれないけど……だけどウチは、あの場所が良い! リゾナントがウチの場所なんだもん! 嫌われたって何されたって、ウチはリゾナントが良いの!」
「石田さん……」

ウチの手を離した宮本さん
そのまま俯いた

わかって、くれたのかな

「仕方ない……〝あの人〟に頼んで強引にでも……」
「亜佑美ちゃんは渡さないよ」





投稿日:2015/02/22(日) 11:02:31.37 0


ノノ∮‘ _l‘)<4回目



声がした方へ振り返る

「譜久村さん!」

そこには息を切らした譜久村さんが居た

「道重さん達の様子から、もしかしたら能力者にって思ったけど……まさか、佳林だったなんて」

え?

「聖、ちゃん……」

ウソ
譜久村さんと宮本さん、知り合い?

「私達の邪魔をしないでください」
「佳林達の事情は聖にはわからない。けど、亜佑美ちゃんの心を傷付けて引き込もうとするのは許さないから」

一触即発
睨み合う譜久村さんと宮本さん

だけど
どうして2人共が辛そうな顔してるの?

「聖ちゃんには分かりっこないですよ、佳林達の気持ちは」
「……佳林は、今の仲間と居れて良かったって思う?」
「え?」
「聖は思ってるよ。どんな辛い事があっても、仲間と一緒なら乗り越えられるって信じてる」


ハッとした表情になった宮本さん
目線が一度ウチに向く
しばらくして、再び譜久村さんに戻った

「大切なんですね、今の場所が」
「……ごめん」

〝ごめん〟?
それって、どういう事ですか?

「……わかりました」

溜息をつく宮本さん

「さよなら……」

宮本さんは振り返って歩き始めた

行っちゃう!?
このままじゃダメだ!

「あの!」

宮本さんは振り返ってはくれなかったけど、立ち止まってはくれた

「えっと……」
「あぁ……店に居た人達なら大丈夫ですよ。もう元に戻ってる頃ですから」

道重さん達の事?
そっちも気になったけど


「そうじゃなくて」
「……なんですか?」
「あなた達の仲間になれなくても、能力者同士みんなで助け合う事は出来ると思う! だから、また会えないかな?」

宮本さんが振り返る

「優しいんですね。でも、助け合いは無理ですよ」
「どうして!?」
「私達は、皆さんと一緒には居られない」

ねえ
どうしてそんなに辛そうな顔してるの?
助けて欲しいんじゃないの?

そもそも

「あなた達は一体何者なの?」
「こうなった以上、詳しくは言えません。ただ今は〝J〟とだけ伝えておきます」

そう言って振り返り、宮本さんは去って行った
その背中は、とても淋しそうに見えた

「あの、譜久村さん」

訊かなきゃ
宮本さんとの事

「宮本さんと知り合いみたいでしたけど、どういう関係なんですか?」


目が合った譜久村さんは、気まずそうに逸らした

「……ごめん。言えない」
「え、どうしてですか!?」

私を引き込もうとしたのは宮本さん
その為に道重さん達をおかしくしたのも、きっと宮本さんのはず

その宮本さんと知り合いかどうかが言えないって
どうして?

「私はリゾナントを追い出されたんですよ!? それなのに
「今は駄目なの! 聖のワガママだって、勝手な事を言ってるってわかってるけど……いつか言う。だから、待ってて欲しい」

真っ直ぐ私を見る譜久村さん

その瞳から、後ろめたさは感じない
今の言葉が嘘だって思えない

だけど、 簡単に納得なんてできない

ウチはどうしたらいいの?

この瞳、信じていいの?





投稿日:2015/03/05(木) 18:37:34.71 0


jjj ´_`jj  ∬ б」б)  川´‘ c‘ リ  ノリ・ 。・リ リ| ・_ゝ・)<side J




「ハァ……失敗、しちゃったな」

1人での帰り道
出てくるのは溜息とネガティブな言葉ばかり

「待ち伏せしたり能力を使ったり、色々考えて行ったのに……上手くいかないな」

私達は弱い
まだまだ強くならなきゃいない
その為にも石田さんに仲間になって欲しかったのに

歩きながら段々と視線が下がり、顔も俯いていく

バシッ

「痛っ!?」

何!?
おでこ痛っ!

突然の額への痛みに、思わず手で押さえ顔を上げる

「暗いよ、佳林ちゃん」
「と、朋!?」

いつの間にか目の前には仲間の金澤朋子
その右手は佳林の額の高さまで挙げられていた


「で、デコピン?」

多分この痛みは間違いない
痛みの原因に納得した所で

「なんかムカついてきたー!」
「えーっ!?」

ゴスッ

なぜか突然、朋に打たれた

もう訳がわからない

「やっぱり朋は暴君だわ」
「りんか、大丈夫かー?」

笑いながら現れた同じく仲間の高木紗友希と植村あかり

あーりー、全く心配してないよね?

「佳林ちゃん」
「ハ、ハイッ!」

普段はおっとりしているリーダー=宮崎由加の真剣な声に、思わず背筋が伸びた

「1人で勝手に動かないで。これでもみんな心配したんだよ」
「ごめん……でも、佳林の怪我のせいでみんなに迷惑かけちゃったから……」
「そう思うなら、ちゃんと言って。私達も頼りにしてもらえるようにするから。頑張ろうよ、みんなで」

由加ちゃんの寂しそうな、でも強い眼が佳林を捉えてる


「ま、宮本さんに比べたら私は新人ですしねー」
「うわ、急に後輩感を出してきたよこの暴君」
「朋はウチよりも後輩なんやから、ウチのお願いはなんでも聞かなあかんでー。って事で抱っこしてー!」
「「外でかよ!!」」

楽しそうにはしゃぐ3人
それを優しく見る由加ちゃん

頼りにしていない訳じゃない
みんなの事、信じてる
ただ、足を引っ張った分を取り戻そうとしたかった

「……ごめんなさい。佳林が1人で焦ってた。もう1人で抱えない。みんなで、この5人で頑張ろう!」
「うん、良い笑顔! じゃあ帰ろっか、みんなで」
「「「おー!!!」」」

あーりーが由加ちゃんと朋に飛びついて、2人が仕方ないなんて顔しながら歩いて行く

聖ちゃんが大切にしている今の場所
佳林にとっては、ここが大切な場所

「……なんだ」

意地を張ってたのは、佳林の方だったのかも
期待されても、思う様に結果が出せなくて

でも今の佳林の近くには、助け合える仲間が居る

「みんな、ありがとう」

恥ずかしいから、誰にも聴こえない位の声で呟く


「それ、ちゃんと言って欲しんだけど」
「紗友、え、聴こえっ」
「ま、フツー照れるか」

あっけらかんとした顔で由加ちゃん達に付いて行く紗友希

「うえむー、わがままばかり言ってると、お昼にメロン食べさせるよー」
「由加ー! 朋ー! きーがあかりの事いじめてくるー!」
「「はいはい」」

この5人で頑張るって決めたんだ
何があっても、ずっと

きっと聖ちゃんも決心したんだから、佳林は佳林の場所で生きていく
大好きなこの4人と

「みんなー! 佳林も仲間に入れてよー!」





投稿日:2015/04/17(金) 12:03:32.55 0