■ マスクオブホース -田中れいな- ■


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■ マスクオブホース -田中れいな- ■

衝撃波。

一撃は、破裂音に弾かれた。


「はいはい!聞いてくださーい!ちょっとだけっ!止まってくださいっ!
この先、ちょっと!お取込み中なんで!ここで!ちょっとだけ!お時間くださいっ!」

繰り返されるセリフ。

彼女は決して戦おうとはしない。
だが、決して、田中をのがさない。

立ち塞がるは覆面の少女。
パーティーグッズによくある『馬』のゴムマスク。
身長は、田中と同じほど。

ただし、腕と脚の太さは、倍ほどに違う。

ラフな赤地のTシャツ、デニムのハーフパンツ。
黒のニーソックス、黒のスニーカー。

「さっきからなん?そこどき!」
「いやー!ちょっと!それはっ!どけないっ!どけないです!」
「ちっ!なんね!」


先ほどからこの繰り返し。

左へ行けば左、右へ行けば右。
踏み込めば退き、踵を返せば猛然と追随。
再び立ち塞がる。

どかんのなら、打ち倒しようだけったい。

「ストーップ!とーまってー!」

構わず踏み込む。

「ちょ!やめてって!」

フルスイング。
強引な一撃。
辛うじてかわす『馬』の少女。
そのまま距離をとるべく、さらに退く。

「まだまだ!」

田中の猛攻。
ことごとくかわす。

だが、起伏の激しい山腹、
植林された杉が連立し、斜度もある中、
途切れることなく繰り出される田中の連撃を、凌ぎきれるものではない。

ドン。


一抱えほどの杉を背に、『馬』の少女が追い詰められる。
クロスガード。
交差した両腕の上。
叩きつけられる、田中の拳。

衝撃波。

田中の拳が『馬』の少女を捉えた瞬間、
まるで、見えない壁が、爆発したかのように、田中の拳は弾き返された。

破裂音。

拳に走る激痛が、自らの攻撃と、
衝撃波のそれとが、ほぼ比例していることを直感させる。

「だっから!あぶないって!ゆってるのにっ!」

「ちぃ!」

これが、少女の能力か。


戦車の装甲の一種に”爆発反応装甲”あるいは”炸裂装甲”と呼ばれるものがある。
装甲板に対し、斜めに衝突した弾頭を、爆薬で吹き飛ばし、内部への浸透を防ぐ、
使い捨て、換装式の二次装甲。

本来の”炸裂装甲”は装甲板に対し角度をもって衝突した弾頭でなければ効果はないが、彼女の能力は、衝突の角度に関わらず、効果を発揮するらしい。

しかも、強く殴れば殴るほど、跳ね返る衝撃波もまた、強くなるのか?

もし、そうだとするなら、
能力として、直接の攻撃手段を持たない田中にとって、
これほど相性の悪い相手もいまい。

打撃はすべて防がれ、さらに、同じだけの衝撃波が田中を襲うことになる。

「もう!田中さん!あきらめて!じっとして!手ぇこわれちゃうよっ!」

『馬』の少女はへっぴり腰。
両手を前へ出し、田中を押しとどめる。
手のひらをこちらに向け、制止を促す。

手が壊れる?
なるほど、このまま殴り続ければ、結果は見えている。


…上等たい。


赤黒く腫れ上がる、自らの拳を握りしめる。


こん道草食ってる暇、ないけんね。

「なん知らん、弾きようなら、もっと強い力で打ちよう!」
「だーっ!なんでっ!そうなるのっ!」

猪突猛進。

身を低め、一直線。

再び構える『馬』。

交錯する両者。

山林に、破裂音が響き渡る。

衝撃波。



                               【index】





投稿日:2014/11/20(木) 17:29:17.48 0