■ ギルティ -中島早貴- ■



■ ギルティ -中島早貴- ■

だから、これは、私への、罰なんだ

「いだぁいぃ!いだいよぉ!」
「…えりか…ちゃん、だいじょう…ぶ?」
「だいじょうぶなわげないでじょぉ!早貴ぢゃんなんでだずげでぐれながっだのぉ」
「…あっ足が…すくんで…」
「いだああああい!」
「ひぃっ」
「もうじょっどで!あどちょっどで!勝でだのにぃ!
早貴ぢゃんざえ!ちゃんどやっだら!あだじ勝でだのにぃ!」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
「もういい!みんなに言う!早貴ぢゃんのぜいで負げだっでいう!早貴ぢゃんが!逃げだがら!みんなに!」
「やっ…やめて…いわ…ないで」
「役立たず!役立たず!役立たず!みんなに言う!みーんなに!舞美ぢゃんに!」

あの日、私は「罪」を犯しました
絶対に知られたくないひとに
絶対に知られたくないことを

「あ、ああ…ああああ…うぞ…うぞだ…ぞんな!早貴ぢゃん…ぞれはなに?」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
「まざが!まざが!うぞだ!早貴ぢゃんの、ほんどうの、のうりょぐって…」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
「まっで!まっで!いわない!わだじは何も見でない!
だれにぼ!だれにぼいばないがら!や!やめで!やめ…やめで、やべでええええええ!」


誰にも知られたくなかったから
誰にも知られないように

「ぎゃあああああ!やべえええええ!うぎぎ!うぎゃああああ!」

誰にも知られていない、私の、本当の

「や…べ…でぇ…ぜめで…ぜめで…ふづうに…ごろぢでぇ…」

あの日、私は見られてしまった
絶対に見られたくないものを
絶対に見られたくないひとに

「なっきー…?」
「舞美、ちゃん」

この世で一番知られたくなかったことを
この世で一番知られたくなかったひとに

「これって…」
「あ、あ、ちが…」

見られてしまった
知られてしまった

すべてを

私の「罪」の、すべてを

それなのに
彼女は、私を、


「辛かったね、なっきー」
「…?」
「ひとりで秘密を抱えてきたんだね、ずうっとひとりで、苦しんできたんだね」

抱きしめてくれた
強く、強く、強く

「これは、二人だけの秘密」

彼女は言った
私を抱きしめながら

「これからは、二人だけの秘密」

さわやかな笑顔。
ただ、『さわやかなだけ』の、笑顔。


ただ、優しく
ただ、あたたかく

「私が、全部、許してあげる、私が、すべて、許してあげる」

私は、もう、逆らえない
彼女は、私の、すべてだから
私のすべては、彼女のものだから

「もう何も心配しなくていい、ね?なっきー」

堕ちていく
どこまでも
堕ちていく


そして私は、彼女の『所有物』となった



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投稿日:2014/08/24(日) 03:02:23.33 0

























最終更新:2014年08月24日 07:14