■ ラグジュアリオウトモビル -勝田里奈- ■


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 ■ ラグジュアリオウトモビル -勝田里奈- ■

『全員っ!ぶうっっっとぉばぁああああああすっ!!!』

「あははー」
インカムから聞こえる竹内の怒声。
そして大ウケするタレ目の少女。

「あははーじゃないよっ!どーしよどーしよ!」
うろたえる八重歯の少女。

「まー大丈夫なんじゃない?タケもはりきってるし」
「ででもっ!でもっ!」

深夜、無人の駐車場、場違いな白い高級車。
世界中こんな車には、それこそ趣味の悪い成金ぐらいしか乗りたがらない、
外国産の大型車だ。
そんな車の運転席に、こんな少女が?なんとも不釣り合いな組み合わせ。

そもそも乗用車の運転ができるような年齢には見えない。
確かに肉付きはよい、身体も大柄な方なのだろう、遠目には大人の女性に、見えなくもない。
が、それでも肌艶が違う、醸し出す匂いが違う、どう考えても十代前半だ。


勝田里奈。
その少女は、うすら笑いを浮かべながら後部座席の、もう一人の少女に話しかける。

「いい車じゃない?こういう車欲しかったんだよねー、やっぱいいわー、あと10台ぐらい欲しい」

意外、といえばいいのか、どうやらこの悪趣味のカタマリのような高級車がいたく気に入っている様子。

「だいたいっ香奈ったらっ!外に向かって逃げながら『くっつけてけば』よかったのにっ!
なんで自分から奥の方に逃げてくのかなっ!もうっ芽衣わかんないよっ!」
「あははーまー急に撃たれてびっくりしたんじゃない?ひゃーとかいってたね、超うける」

インカムからは相変わらずの怒声と銃声、だが、息が荒い。
先ほどよりも、呼吸が乱れてきている。
少しづつ、押され始めている?
「あははータケばててんの、うけるー」

「ああああっ竹ちゃんやばいよっ、ああっ、ど、め、めい達もっ行かなきゃ!」
後部座席、お尻でぴょんぴょんと跳ねる。

「あははー芽衣行ったってしょうがなくない?
タケと違ってあんた『自動』じゃないんだし、屋内で囲まれて、
見えない所から撃たれたら当たっちゃうでしょ、香奈連れて帰って来なきゃいけないのに」

「ぬぐっ、だっ、だから二人で助けに行こうよっ!」

「ま、完全に全滅させちゃって、ゆっくり出て来るってことなら、ふたりで行ってもかわんないかもしんないけどさー」

そう言って、彼女はドアを開く。

「でもまー、この場合、あたしが行ってくるほうがよさそうだわ」

アスファルトに降り立つ。


「ええっ!ひとりでいくの?めいはっ?めいが運ぶよっ」
「あははー勘弁してよ、あたし気絶しちゃうよ、てゆうか落ちる時死にそうだし」
「でもっどやっていくの?いそがないとっ」
「ああ、タケがぶち抜いた跡たどっていけば、すぐつくでしょ、芽衣は車正面に回しといて。」
「ええっ!無理だよっ!芽衣運転できないよっ!」
「簡単だって、ハンドル回せばそっちに曲がるんだし、適当に踏めば進むんだから」
「ええっわかんないっわかんないっ」
「あははーやるだけやっといてよ、やってだめなら、そんとき車捨てちゃえばいいじゃん」
「えっいいの?里奈この車気に入ったって…」
「いいのいいの、そしたら歩いて帰ればいいんだから」


じゃそうゆうことで

「里奈!里奈!?」

居ない

消えた

「もうっだったら一緒に行こうよっ!里奈っ!ねぇ芽衣どうしたらいいのっ!」

『居なくても』わかる、まだそこに『居る』はずなのだ。

「もぅ!聞こえてるくせにっ!もうっ!ばか里奈っ!いじわるばか!」

バタム。

誰も居ない運転席、開け放たれたドアがひとりでに閉じる。
田村芽衣は、いつまでも悪態をつき続けていた。



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投稿日:2014/05/02(金) 19:43:45.07 0