4-6


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魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」4-6


935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 14:44:47.48 ID:6HXLExsP
――鉄の国、国境付近の街道、山裾の平地

片目司令官「何が起きているっ!? 何故止まるのだっ!」

将校「敵兵の抵抗かと……」

片目司令官「速度を行かして突破せぬかっ! 前進せよっ!」

将校「全軍前進っ! 敵は少数だっ! 押しつぶせっ!」

片目司令官「何をしているのだっ!」

  わぁぁぁぁ!!!
    わあああぁぁぁああ!!

軽騎兵「し、司令っ! 前方には足止めの網がっ!」
片目司令官「網!?」

軽騎兵「はっ! 鉄線で強化された魚取りの網が街路に
 配置され、それが馬に絡みついて足止めをっ!
 そこに石弓が飛来していますっ!」

片目司令官「敵数はっ?」
軽騎兵「未確認っ」

片目司令官「なぜ判らぬっ。撃たれているのだろうっ」

軽騎兵「敵はどうやら、地面に穴か溝のようなものを
 掘って落ちているらしく、視認が困難ですっ」

片目司令官「っ!! 機動力を生かせ。
 前線を押し上げると共に後列兵力を左右に回すのだっ!!」
943 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 15:00:25.98 ID:6HXLExsP
――鉄の国、国境付近の街道、山裾の平地

 ヒュダダン! ヒュダダンッ!!!
    ヒュダダン! ヒュダダンッ!!!

軍人子弟「いま隠れているのは塹壕と呼ぶでござる」

鉄国少尉「はっ、はいっ」

軍人子弟「また、こういった人工の地形全般を
 野戦陣地などというでござるね。
 もっとも先生から聞いたことで、他で聞いたことはござらんから
 先生の思いついたことかもしれないでござるが」

斥候「落馬多数! 前線は混乱していますっ!」

軍人子弟「敵の突破力を殺すための手法の一つとして
 覚えると良いでござるよ。
 ――連続射撃っ!!

 装填係の即席兵はあらかじめの割り振りどおり、
 防御と装填に班を分けよっ!
 防御班は陣地に侵入した敵兵の排除、および落下してきた
 馬などを邪魔にならぬように移動っ!

  射撃兵と装填は右翼に攻撃を集中っ!
 自由目標射撃でござるっ!
 焦らず照準をすることっ。
 おのおの方の隣では兵士ではないにも関わらず
 勇気を持って参加してくれた仲間が石弓に鉄矢を
 装填してくれているでござるっ!

  じっくり照準をしても、
 普段よりずっと早く射撃できるでござるよっ」
944 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage_saga]:2009/09/13(日) 15:01:49.05 ID:6HXLExsP
――鉄の国、国境付近の街道、山裾の平地

片目司令官「ええい、まだ突破できんのかっ!」

将校「はっ」

片目司令官「殺せっ! 殺すのだっ!!
 前線を突破した兵士には金貨百枚の褒賞を与えるぞっ!
 鉄の国の軟弱兵など、木っ端微塵に打ち砕いてしまえっ!」

軽騎兵「膠着打破っ!」

片目司令官「動いたかっ?」

軽騎兵「側面攻撃が効果をあらわしつつありますっ。
 左翼の防御は固いようですが、右翼は手薄の模様っ。
 まばらな林を抜ければ、敵の陣地の後背さえつけますっ!」

片目司令官「よっし! 全軍投入っ!
 正面の落とし穴に圧力を加えつつ右翼重心で前進っ!!」

  軽騎兵「「「白夜の勇猛をっ!」」」

 ダカダッ! ダカダッ! ダカダッ!

将校「……いや」
軽騎兵「どうされました、副官殿?」

将校「こ、これはっ」
片目司令官「何だと云うんだっ」

将校「右翼の前進が早いのでは……と。
 こ、これは……吸い込まれるようなっ」
946 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage_saga]:2009/09/13(日) 15:05:38.28 ID:6HXLExsP
――鉄の国、国境付近の街道、山裾の平地

鉄国少尉「敵が左翼へ流れ始めましたっ」

軍人子弟「そもそも、この陣地は斜線陣地でござるからね。
 前進を繰り返せば、主力軽騎兵ほど左翼へ流れるでござる。
 しかし、一度混乱した前線を抜けた騎兵に突破力はない。
 突破力はないが、後ろから押されるように狭い密集地帯に
 圧縮誘導される。そういう陣地でござるよ」

鉄国少尉 ごくり

軍人子弟「さぁ、仕上げでござる。少尉も拙者も出番でござるよ」

鉄国少尉「はっ!」

 ザッザッザッ

鉄国少尉「行くぞっ! 防御抽出部隊っ!!
 長槍装備で、左翼に集中した軽騎兵を叩くっ!
 恐れるなっ! 敵の数はもはや我らと変わらぬっ!」

軍人子弟(同数だなどと……。乗せるのが上手いでござるね)

鉄国少尉「農民兵の諸君!! 頭を低くして槍を突き出せっ!
 馬を恐れるな! 相手の剣は馬を下りない限り、
 塹壕の中の諸君には届きはしないのだっ!」にやり

鉄国少尉「行くぞっ! 大地のためにっ!」

鉄国兵士・即席兵士「「「大地のためにっ!!」」」
947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 15:07:08.33 ID:6HXLExsP
ザシュ! ザシュン!!
 ズビシャッ! ガシュッ!!!

斥候「左翼の長槍部隊、敵と接触。敵前線膠着、崩壊の兆し」

軍人子弟「右翼もどうやら敵が退いた様子。
 おのおの方っ! 今一度石弓の確認をっ!
 ――総攻撃の時は来たっ!!」

鉄国兵士 ガチャ、ジャキッ!

軍人子弟「敵はこの陣地の攻略を半ば以上断念し、
 左翼に向かって流れているでござるっ!
 この好機を生かすっ。照準! 馬の横腹、
 および司令官が目視できれば司令官とおぼしき騎士!
 連中は無防備に部隊の横っ腹をこちらに向けているっ!
 転進中の後列から順次撃って、部隊を混乱に陥れよ!
 左翼長槍部隊を助けるために、一兵でも多く倒すのだっ!

  行くでござるっ! 一斉射撃ッ!!!」

 ヒュダダン! ヒュダダンッ!!!
    ヒュダダン! ヒュダダンッ!!!

軽騎兵「なっ!?」

 ヒュダダン! ヒュダダンッ!!!
    ヒュダダン! ヒュダダンッ!!!

軽騎兵「うわぁぁぁーっ!!」
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 17:30:49.98 ID:6HXLExsP
――魔王城、最下層、冥府殿

メイド長「なぜ出てこないんですか……。まおー様」

オオオオン!
 オオオオオン!

メイド長「もう、一月ですよ? ――もう十分です。
 これ以上の吸収は魂の構成因子さえ汚染されます。
 何をやっているんですか」

 オオオオ……オン!!!
 オ……オオン
 オン……

メイド長「鳴動が……」

きぃ

メイド長「止まりました……」

きぃ

メイド長「……」

ギギィィィィィ
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 17:32:14.96 ID:6HXLExsP
メイド長「まおーさま……?」

魔王「良い気分だ」

メイド長「まおーさま?」
魔王「どうしたんだー? メイド長-。きょとんとした顔をして」

メイド長「まおー、様?」
魔王「おなかも減った、疲れた。まったく酷い目にあった」

メイド長「……」

魔王「ふふん。もう大丈夫だ。戻ろう」

メイド長「どこへ?」

魔王「――戦場へ」 にたぁり

メイド長「うわぁぁぁっ!!」 ザシュッ!

魔王「くぅっ! 主人に手を挙げるとは、
 しつけがなっていないぞ雌犬めっ」

メイド長「わたしのまおー様は! まおー様はっ!
 魔王なんかじゃ、ないっ!!」 ヒュバッ!

 キンッ! キンッ! ギキンッ!

魔王「どこから出した、その長剣……」

メイド長「わたしのまおー様は、そんな下卑た、物欲しげで
 下品に笑ったりはしませんっ!」
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 17:33:51.10 ID:6HXLExsP
魔王「それは残念、可哀想に。これからはこの表情で笑うのだ」

メイド長「せりゃぁぁっ!!」 ザッ! シュバっ! ヒュインッ!

魔王「上級魔族並みか。
“技”とはすごいな、獣鬼にまさる我が筋力さえも凌ぐのか」

メイド長「まおー様っ! まおー様っ!!」

魔王「ええいっ! 間抜けな呼び方で我が名前を連呼するなっ!」

メイド長「あなたなどの名を呼ぶつもりはないっ。
 わたしのまおー様は、マイマスターはただ1人っ」

魔王「こざかしいっ!」 ドシュっ!

メイド長「まおー様はっ。賢くて、聡明で、理知的で、
 合理的で、冷静で、シニカルで、嫌って云うほど現実的なのに
 はにかんだ笑顔は可愛らしいマイマスターっ。
 だらしなくて着替えも洗濯もいやがって、
 掃除も料理もろくに出来ない、わたしの選んだわたしの運命っ!」

魔王「これほどのっ……たかが魔族がっ」
メイド長「わたしはメイドですっ!!」 ギュバン!!

魔王「~っ!」

メイド長「はぁっ、はぁっ、はぁ……」
魔王「はっ。手駒になると手加減すれば……」
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 17:34:36.24 ID:6HXLExsP
メイド長「っ!」ぞくっ

魔王「ふふん。……執事やしもべなどいくらでも作れる。
 貴様の血液で喉を潤し、城へ戻るとしよう」

メイド長「……」じりっじりっ

魔王「死ぬが良いっ!!」

 ガキィィッ!

メイド長「~っ!! ま、お……」

魔王「ふっ。何処を狙っているのだ。相打ち狙いか?
 ……はははは、残念だな。我は無傷で、貴様の腕は。
 ほれ。ここだ」

 どしゃ

メイド長「はぁっ、はぁ……。まおー様?」

魔王「?」

メイド長「……ねぇ、まおー様?
 もう一回だけ、がんばりましょうよ……。
 ね? だって、あんなに黒くて、もふもふで、
 温かそうだったじゃありませんか?」

魔王「なにを笑わせる」

メイド長「きゃー」
魔王「きゃぁ?」
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/13(日) 17:35:53.29 ID:6HXLExsP
メイド長「そこでっ! あなたをっ! 投げるッ!!」

魔王「くっ、なんでっ。捉え……きれないっ!?」

メイド長「せぇい、やぁっ!!」 シュダン!!
魔王「突き飛ばし他くらいで何をっ」

 ガチン! ゴゴゴゴ!!

メイド長「はぁっ、はぁ……。もう一度出てきたら
 わたしは、死んじゃうのでしょうね……」

ギギギギギギギッ

魔王「ここはっ、玄室!? きさまっ!!」

ギギギギッ

メイド長「まおーさま。それでも、わたし待ってますから」

ギギッ

魔王「時間稼ぎかっ! ばかなっ!
 判らんのか、この身体は我の物だっ! 我が魔王なのだっ!!」

ドォォーン!!

メイド長「はぁっ、はぁ……。痴れ者め……。うくっ。
 まおー様は。……まおー様は。
 あなたなんかより
 ――何十倍も強いのです」



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