2-5


魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」2-5


966 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 14:55:42.77 ID:I63MLpWkP
魔王「それにしても」 じぃー
勇者「?」

魔王「なんだそのざまは」
勇者「そのざまって?」

魔王「ぼさぼさではないか」
勇者「なにが?」

魔王「そこでじっとしておれ。わたしが梳かしてやる」
勇者「ああ、髪か。いいじゃんよ。そんなの」

魔王「よくない。自覚を持て」
勇者「へいへい」


しゅるん、しゅるるん

魔王「むぅ、もっふもふだ」
勇者「ちゃんと拭いたよ」
魔王「判ってる。これは趣味だ」
勇者「なんだかなぁ……。面倒くさくない?」

魔王「これがいいのだ。だがしかし、
 いささか長くなってきたようだな。気にならぬか?」

勇者「んー。目に刺さると戦闘中困るな」
968 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 15:02:11.70 ID:I63MLpWkP
魔王「明日は、その……あれだろう?」
勇者「ああ、開門都市の連絡議会だ」

魔王「行くのだろう?」
勇者「あー。一応な。黒騎士が魔王の名代として出てるから
 何とかかんとか、形になってるわけで」

魔王「それはそうだが」
勇者「なんだ、なんかまずいのか?」


しゅるん、しゅるるん

魔王「まずくはないのだが、そのぅ、火竜王がな」

勇者「あー。あいつか? 確かに最初に会ったときは
 聞き分けのない頑固親父だったけれど、最近は協力的だぞ?
 特に娘が周辺魔族代表として、連絡議会の議員になって
 開門都市に住むようになってから、文句は言ってきてないぜ?」

魔王「や、それが問題の中心なんだが」
勇者「?」

魔王「あー。こほんっ。こほんっ。会議が終わったら
 まっすぐ帰ってくるのだぞ?」

勇者「いや、今回は街の大通りで縁日をやるっていうから」
魔王「縁日?」
971 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 15:07:56.96 ID:I63MLpWkP
勇者「東方のお祭りらしい。傭兵将軍の提案でな」
魔王「ふむ」

勇者「色々無料で、安いけれど珍しい食い物をだしたり
 夜に明かりをとも灯したりするんだってさ。
 あと、囃子とか言う音楽を流すんだと」

魔王「交流が目的か」

勇者「うん、人間商人と魔族の関係はまだぴりぴりしてるしな。
 これでも、この間の商店焼き討ちの頃よりは随分
 マシになったんだけどなぁ」

魔王「占領して、植民地にする意味がわかったか?」

勇者「あー。身にしみたよ」

魔王「今回は不幸な事例だがな。人間の聖鍵軍の統治が
 あまりにもひどかったのが災いしたな」

勇者「商人が魔族をあまり酷く扱ってこなかったのと
 東の砦将の評判が悪くなかったことだけが救いだよ」
972 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 15:20:00.01 ID:I63MLpWkP
魔王「少し落ち着いてくれればいいが」
勇者「まぁ、なんとかするさ。こっちは魔王の代理だ。
 上座に座って睨んでるだけで、大抵の議員はよい子になるって」

魔王「ふむ、そうか……。ところで今回の会議の議題は?」

勇者「傷病者治癒と保護の観点から病院を建てたいと」
魔王「ほう、良い着眼点だな」

勇者「火竜公女の発案でな。慈善事業ってわけじゃないけど
 火竜族から資金の半分と、加工用の石材を供出しても
 良いって云う打診を受けて居るぞ。
 この工事で大量の作業者が必要だし、それで周辺の
 貧しい魔族が街に流入して、言葉は悪いけれど
 “悪い感情が薄まる”効果を期待して、とか」

魔王「公共工事か。その経済効果に着目するとは
 瞠目すべきセンスだな」

勇者「それで、なんか縁日にもみんなで行くそうだ。
 火竜公女はそういってたぞ? 林檎飴がどうとか。
 帰りはそれで遅くなりそう」


魔王「へー」

勇者「顔を見せて住民の不安を払拭するのも役目なんだと」

魔王「へー」



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最終更新:2013年06月07日 20:44
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