人体の不思議展の違法性

人体の不思議展。
厚生労働省は、展示されている標本に対して「標本であっても遺体は遺体である」との認識を示しているそうだ。

ここでは死体解剖保存法に則って違法性を指摘されているが、別の点から違法性を指摘してみたい。

人体の不思議展は、9年前から全国各地のいたる所で開催されている。
倉庫や会場間の移動は運送業者が行っていることだろう。

以下、ソースのない私の推測ではあるが。
展示標本の輸送は霊柩運送事業の許可を受けた事業者が担ったのだろうか?

日本では世間一般に認識されている「霊柩車」は、道路運送車両法により特種用途自動車である「寝台車」として8ナンバーの自動車として定められている。
ただ、日本国内で寝台車として定められている自動車は小型トラックやステーションワゴンをベースとして作られており、人体の不思議展で展示されているようなポーズを取った遺体を運ぶことは荷室の広さの面からみて不可能であろう。
また、一部には遺族などが多数同乗することを想定して、大型バスをベースとした寝台車も存在する。この場合はシート下のトランクスペースを荷室として寝台車の認可を取っている。この場合も人体標本をそのままの形で積載することは厳しいだろう。

これらの理由から、人体の不思議展の標本を霊柩運送事業の認可を受けた事業者が運んだとは考えにくい。

恐らく、通常の貨物自動車運送事業者が標本を運んだことだろうと思われる。
ここがポイントで。
料金を取って遺体を搬送する場合、寝台車でなければならないと貨物自動車運送事業法で定められているんですね。
また、料金を取らない場合は霊柩車以外でも搬送可能ですが、その場合は運転者が「他人の需要に応じない」場合、要するに遺体の遺族やその関係者に限られるのです。

要するに、海外の人の遺体である人体の不思議展の標本を運ぶ場合は
  • 寝台車には荷室スペース的には乗らない
  • 一般の運送業者が遺体を運ぶのは違法(寝台車ではなく、通常の貨物自動車であるため)
  • 無料で運ぶのも違法(道路運送法で定められた「営業類似行為の禁止」に相当)

というわけで、どこかにパネルバンベースの寝台車を保有している霊柩運送事業者がいない限りは人体の不思議展で展示されている標本の輸送は違法行為になるわけですね・・・


まぁ、もっとも主催業者は荒稼ぎしているのでしょうし
違法を承知で運んでくれる運送業者に任せるのが一番いいんでしょう。

金銭的なリスクも、警察に捕まるのもリスクはリスク。
リスクに見合ったリターンがあるのなら運んでくれるような運送業者は沢山存在します。
霊柩運送事業関係の違反なんて地方では常態化していますし。

ご友人の遺体を頼まれて自分の車で運んであげるのも、営業類似行為なので違法。
霊柩車の料金を許可なく値引きするのも、届出運賃違反なので違法。
指導を受けることなんて、めったにありません。(勧告くらいなら受けるでしょうが)
最終更新:2011年02月15日 14:11