十津川のバイパス

昨日、ふと思い立って高野龍神スカイラインから国道425号線、十津川経由で国道168号を通って帰ってきた。
総走行距離は450kmほど。

十津川周辺では、とにかくどんどん新しいバイパス道路やら橋やら発電所を作っていた。
十津川は大雨が降るたびに道路が寸断されて孤立することや、今でも「とりあえず通れるように土砂をどけた」レベルの補修がなされていて、崩れそうになるとサイレンが鳴るような道路がメインルートであるので、新しい道路は雇用促進とかを抜きにして必要なものであるのだろう。

環境問題が~とか地域住民の理解が~とかそういう問題に触れるつもりはないのだが、少し気になった点があった。

十津川出身の方がいらっしゃったら申し訳ないのだが、十津川村のような産業のない村では、公共事業がとても有効な雇用促進になるのであろうと思う。
十津川村の土建業者の事務所だけが、新築できれいな物となっていた。
一方で、寮か倉庫と思しき一時的な建物・プレハブも大量に建っていた。
十津川の人口を超えるくらいの雇用が生まれているんじゃないかというくらい、とても大規模に工事を行っていた。超えていても驚かない。

ただ、気になったのはダンプカーや工事車両の標示やナンバープレートを見ていると、和歌山や奈良県の他地域からの業者が多いこと。
そりゃ、まぁ十津川の業者だけじゃあそこまで大きい公共事業は無理でしょうから当然のことではあります。仮設寮が多く設置されているところを見ると、恐らく、実際の労働者も和歌山など他地域から出稼ぎに来ている人が多くいるのだろう。ネット上にまで求人が出ているくらいだ。

そっと仮設寮を見てみたら、寮とは名ばかりというような畳敷きのただの部屋。1部屋に何人寝るのかは知らないが、合宿所のような部屋だった。
ここでかなりの長期間を過ごすことを考えると、過酷な生活なのかもしれない。工事現場付近に寮があるので通勤は便利であろうが、気分転換も難しそうだ。
タコ部屋労働とまではいかないまでも、辞めて帰ることすらしんどそうな場所だった。実際の労働環境を知らずに推測だけで物事を考えるというのはよくないことだけれども、どうしてもいろいろな(ファンタジーも交えたレベルの)想像をせずにはいられない。
その想像は仮設寮だけではなく、奥地にぽつんと建つ家や集落に対してもしてしまうものであるのだが。
実態をよく知らないが故の誤解って、こういうところから生まれるのだろうな。
最終更新:2010年09月16日 17:57