広域宇宙監視システム“ヘイムダルの眼”

L:広域宇宙監視システム“ヘイムダルの眼”={
t:名称=広域宇宙監視システム“ヘイムダルの眼”(技術)
t:要点=正20面体,配置,ヘリオドール
t:周辺環境=宇宙
t:評価=HQ
t:特殊={
*広域宇宙監視システム“ヘイムダルの眼”の効果=tera領域の共和国軍宇宙戦闘部隊はARを+3し、
さらにtera領域の宇宙エリアに侵入した敵に対し、敵の陣容を戦闘前に知ることが出来る。
t:次のアイドレス=自動迎撃システム(自律兵器),宇宙開発センター(施設),宇宙港(施設),瞑想通信防御網(技術)


『玄霧に 過ぎたるものは 二つあり。優れた技族に ヘイムダルの眼』


                              藩国史に記されることとなる一文


/*/

広域宇宙監視システムは、宇宙から迫る敵対勢力の存在をいち早く察知し、本土に情報を届けるためのシステムである。
情報を素早く得る事は、襲撃に対抗するための時間を得られることを意味する。
飛来するデブリの破壊が可能な程度の自衛能力しか持たず、戦闘になど耐えられるはずもないこの施設だが、
tera各国にとって非常に重要な意味合いを持つのは、確かだった。

/*/


広域宇宙監視システムの開発(イベント){
一般性能要求(要点){
広域宇宙監視システムは限られた宇宙戦力で最大の戦果をあげようとして開発された、
月・火星間の無数の人工衛星ネットワークである。
この監視システムを使用することで、敵が月軌道に乗る前に先手を打って攻撃できる。

広域宇宙監視システムの開発のイベントカテゴリ=藩国イベントとして扱う。
広域宇宙監視システムの開発の位置付け=生産イベントとして扱う。
その国用の広域宇宙監視システム(施設)を作成できる。

                                  『藩国政庁に届けられた書類より』 

その日、玄霧弦耶は悩んでいた。
広域宇宙監視システムの要求性能を見たからである。

『な、なんという性能!』
『というか、コレって勝利の鍵じゃね?』
『もしや・・・これが無いとヤバイ?』
『それはともかくなんという一般性能要求よ・・・・!』

といった具合であったものの、一つ、重大な問題があったのだ。

そも、玄霧は宇宙の法則などに関しては素人もいいところである。
藩国民にも詳しいものは恐らく居ないだろう。


そういうことで、悩んでいた。
悩んで悩んで悩んだ結果、結論が出た。

「とりあえず、詳しそうな奴に相談するか」


/*/


その日、GENZは喜んでいた。
広域宇宙監視システムの要求性能を見たからである。

『な、なんという大規模な施設!』
『コレは設計しがいがありそうな・・・・・・』
『でもウチの施設じゃないし・・・・・・』
『ああ、タダでいいから設計させてくれ』

といった具合である。

だが、これをもつのは無名騎士ではない。玄霧であった。
しかしGENZは生粋のメカスキーである。設定を考えるだけで楽しいのであった。


そういうことで、喜んでいた。
喜んでいたら、玄霧からの連絡が入った。

「よしきたまかせろ。待っていたぞ」


/*/


そうして、二人で話し合うこと十数時間。
作るべき衛星の性能やデザイン。規模に設定。問題は山積みであった。

その時。ふと、玄霧に天啓が降り立った。
ヘリオを使うことを思い至ったのである。玄霧はよほど嬉しかったのか、この事を日記に記している。

この瞬間に問題の殆どが消滅した。
無名が誇る『NKiD-06 ヘリオドール』の武装や自爆プログラム等を撤廃し、開いたスペースに情報演算用の機器を積み込む。
その上で、外付けとなる展開式の電波望遠鏡を用意して各ステーションに連結させ、
複数機体を連動して運用することで開口合成を行い膨大なデータを解析し、敵の射程よりも長い視野を得ることが出来ると考えられた。

電波望遠鏡とは。これは言わばミリ波レーダーと同じような代物である。
だが、そうなると(規模にもよるが)【こちらが監視のために利用できるレーダーの範囲≒敵のレーザーの射程】という事になってしまう。
そのため、複数の機体を組み合わせて使い、一つの大きな望遠鏡として使うことでそれを解消している。 ※これを『開口合成』と言う
技術的解説をしようとすると文量が途方もない多さになるため、ここではその原理を簡潔に説明することとする。

乱暴な言い方をすれば、『小さな望遠鏡を沢山集めて、物凄く先のものまで見ることができる』ということである。
多数の電波望遠鏡を集め、それらが得た情報を綜合することで、結果として巨大な望遠鏡一つを超える効果を得られるのである。
条件さえ揃えれば、1つ100㎥にも満たない施設を使うだけで、1億5000万mという途方もない遠くの情報を、かなりの精度で得ることが出来る。



※注:厳密にご説明すると長くなる上に難しくなるため(著者も非常に混乱するほど)、概要程度でお伝えしています。
※詳しくお知りになりたい方は、『超長基線電波干渉法(ちょうちょうきせんでんぱかんしょうほう、Very Long Baseline Interferometry, VLBI)』を調べてみたり、
当ページ一番下にある参考リンクをご参照下さい。



また、開口合成を利用した電波望遠鏡で遠くを見ようとすると、広大なアンテナ面積を必要とする。
地上に置ける基線の距離には限界があるが、宇宙空間ならば地上に置けないレベルの長さで基線を設置でき、観測距離・分解能が増大するのである
地上では土地代が高く、巨大なアンテナなど設置しようもないが、宇宙という無駄に広い空間を使うなら話は別、という事だ。
そして、その広さが観測の精度も引き上げてくれるのである。至れり尽くせり。

これらの条件を満たすために改修を施されたヘリオドールの仕様は、こうなる。



L:ヘリオドール改修型 『ギャラルホルン』={
t:概要=ヘリオドールを管制・推進ユニットとして流用した観測衛星。
t:レーダー能力=最大直径50mのモジュール型mm波レーダーを使用。
t:合成開口レーダー能力={
1グループ12機セットで運用することで基線長1400kmの合成開口レーダーを構成。
分解能は7.14E-10ラジアン、実に4.02E-8度にも達し、1AUの距離(1.50E11m…約1億5000万km)で100mほどの物体を識別可能。
勿論、それ以上の大きさならばもっと遠距離から判断できる。
t:システムエラーチェック ={
配置された機体からの通信が途絶した場合、即座に施設にデータ送信され、その後グループでチェックをかける。
遠隔復旧が可能な場合、即時復旧。不可能な場合、予備機が向かう。通信途絶した機体は予備機により破壊される。




これらの改修には、ヘリオドールの産みの親の一人であるGENZ自身が携わっている。彼の親友である猫野和錆という男も、非常に大きな役割を果たした。
玄霧藩国にも機械技術はあるが、宇宙開発には疎く、国民は改修意図とその仕様を理解するだけで精一杯な状態であった。

改修に関する会議が行われた際、1観測地点に配置するギャラルホルンの数と配置形状については、いくつか案がでた。
平面的に十角形をつくる。立方体をつくる。など、構成数と効率、配置について様々な案が出され、それぞれ検討された。
観測する方向は1方ではなく、非常に広い。かといって機体を回転させようものなら、膨大なねじりモーメントによってアンテナがねじ折れかねない。

検討に検討を重ねた結果、アンテナ機の配置は12機、形状は正二十面体と言う事で落ち着いた。

何故、正二十面体になるのか。
それは、二十面体を構成する12の頂点にそれぞれギャラルホルンを配置し、その中心に二つの管理機体を置いた、計14機一組のユニットで運用を行なうことで、コスト・観測精度の水準を試算上満たす事が出来たからである。
全20面20方向の観測ならば、ほぼ全周囲と変わらない監視範囲が確保できており、監視状態の悪い範囲も存在しない。
ギャラルホルンの必要数と管理対象数が膨大になる事には一同頭を悩ませたが、管理・演算用の機体を2機追加する事で、情報処理上の問題は解決されている。
(管理機を複数配置することで、情報処理の負荷を減少させることが出来、片方が故障した場合も予備として使用する事が可能となる)


(管理機は、全アンテナ機が得た情報を統括して綜合する役割を果たす。
また、元は無人機の人形であるギャラルホルンの管制も担当する)



但し、この組み合わせ一つで把握しきれるほど宇宙は小さくない。
そのため、複数ユニットを死角をなるべく減らすように配置することになる。

太陽=火星系のラグランジュポイントに4つ。
太陽=地球系のラグランジュポイントに3つ。
地球=月系のラグランジュポイントに1つ。

※ラグランジュポイント=二つの天体の重力及び遠心力がつりあうポイント。
そこに配置された物体は、重力に引かれて無秩序な動きをとったりしなくなる。
(所謂スペースコロニーが配置されるのもラグランジュポイント)


詳しくは、下の図を見ていただきたい。



青のL2~5が太陽・火星の。黄色のL3~5が太陽・地球の。
赤の円の中心に、月・地球のラグランジュポイントとなる。それらに、先ほどの14機一組の人形たちを配置する。
これらに中継/情報処理機4機と、その予備4機。
敵の攻撃により、14機一組が破壊された場合の予備28機。

これらをあわせると、総数は148機となる。






地上における管理施設は藩国の西部の山を利用することとした。
先にあげたヘリオ改修型を利用し、衛星軌道上に静止衛星と周回衛星として配置することで

地上施設-通信衛星-中継-レーダー

と言うリンクを行い、全区域からの通信を確保することに成功したのである。
また、敵確認などの情報は即座に各藩国に流され、情報共有が出来るように徹底されている。


これらの無数の機体による衛星ネットワークにより、遥か彼方を見通す『眼』を制御するシステム。
このシステムを、号して『ヘイムダルの眼』と呼ぶ。




北欧神話における監視者であるヘイムダル。彼は、100リーグ(約450km)先を見通す眼を持っていたという。
虹の橋の袂であるヒミンビョルグに住まい、巨人族を監視し、彼らが侵攻した時にはギャラルホルンを吹き鳴らしラグナロクを告げる神、ヘイムダル。
そのような神の名を使うのは少々大げさだと思われるかも知れない。


だが、これこそはヘイムダルの『眼』。
絶望の淵に立たされようと、諦めずに前を向く我らヘイムダルの子らに与えられた希望。
そして、『人々に平和と安息を』と願う我らの意地である。


※概要図


<イラスト:猫野和錆、しじま>
<超辛文章:玄霧弦耶、GENZさん>
<レイアウト:アルト>
<超辛サンクス:GENZさん>

※参考URL