祖の霧は我らをつつみ

祖の森は我らを守らん

おぉ我祖国

母なる大地よ

人々と共に

永きに栄えんことを!

L:国歌={
t:名称=国歌(絶技)
t:要点=歌を歌う姿,歌詞
t:周辺環境=音楽ホール,宮廷
t:評価=なし
t:特殊={
*国歌の保有国は戦闘時に国歌を歌う事で、戦闘判定に評価修正+3を得る。
*国歌を使用した戦闘では撤退できない。
→次のアイドレス:秋津隼人(ACE),希望号4号機(ACE),トラナ王女(ACE),善行忠孝(ACE)

国歌欲しいと最初にわめいたのは誰だったか、今やこの国の中でそれを知る者はいない。

いたところでたぶん数秒後には忘れて「一体誰だ!」という事になっているだろう。

そんなこんなで歌詞を作ることになった夜継である。

彼は時々床が抜けることで有名な森の中の塔に閉じこもり、「缶詰だー、缶詰だー、うー」とぶつぶつ繰り返しながら歌詞を考えていた。

ちなみに、静かにしているとすぐ近くにある大水車がガラガラと音を立てている様子が聞こえてくる。

静かに考えられると思っていたのにー、と思って、しかしよくよく考えれば森の中に村を築くこの国の習慣上、

森の中の塔にこもったところであまり意味はないことに気づいた。

「あほかー」と呟くと夜継は塔から出て行った。

そしてまだぼんやりと考えながら対岸の森の中に向かい、

またもや藩王が主の魚に食われていたり湖畔で巨大ヒトデがばしゃばしゃ水浴びしていたり、

河の製鉄所を経由して、ゆっくりと成長付近の瞑想通信施設にたどり着いた。

ちなみに、今日は霧で視界が悪かったため、これだけ歩いていると全身びしょ濡れになる。

そういや霧がやたらと多いよなぁーと、夜継は瞑想通信施設を眺めながら思った。

ちなみに、このまま政庁に戻る気にはならなかった。戻ったら最後また「出来た? 出来た?」と質問攻めに会うに違いない。

考えるのですら恥ずかしいというのにそんな風に質問攻めにされてはたまったものではない。

でも、まあ、何も考えていないわけでもなくて……。

――その翌日になって発表された国歌はやけに短く、しかも一番だけからなる物だった。

夜継はガタガタしながら感想を待ったが、政庁に集まった人々は「これでいいんじゃない?」と意外と好評のうちに許可を出した。

まあ、あれである。心の底にはみんながみんな「いやー俺にはできねー」という考えもあったのだろうが、

ここではあえてそうではないと書こう。

彼らは確かにそれを良いと思ったのだ。

それ故に彼らは、一番を歌え終えた後も、各々好きなように決まった言葉も旋律もない二番を歌い始める。

それこそが我らの歌であるとでも言うように、誇らし気に、声高に。

かくして、この国の国歌は誕生した。


<説明文:黒霧>