香川優斗(ACE)




L:香川優斗={
t:名称=香川優斗(ACE)
t:要点=眼鏡,青い目,グリーンブレザー,M92F
t:周辺環境=ピケ
t:評価=全能力19(幻影使いHQB継承)
t:特殊={
*香川優斗のACEカテゴリ = 逗留ACEとして扱う。
*香川優斗は敵を攻撃して倒した時、殺さないことを選択できる。(ゲーム上からは除去する)
*香川優斗は歩兵、学兵、学生として扱いそれらが使う特殊を使うことが出来る。
→次のアイドレス:・赤鮭(ACE)・学兵(職業)・茨城雷蔵(ACE)・香川専用ピケ(専用マジックアイテム)
L:みなし職業の特殊={
*歩兵はI=Dに乗っていないとき、独自で近距離戦闘行為ができ、この時、選択によって近距離戦の攻撃判定は評価+1できる。補正を選択した時は燃料1万tを必ず消費する。
*歩兵はI=Dに乗っていないとき、独自で中距離戦闘行為ができ、この時、選択によって中距離戦の攻撃判定は評価+2できる。補正を選択した時は燃料1万tを必ず消費する。
*歩兵はI=Dに乗っていないとき、独自で遠距離戦闘行為ができ、この時、選択によって遠距離戦の攻撃判定は評価+1できる。補正を選択した時は燃料1万tを必ず消費する
*学兵は順応性があり、任意の評価を評価+1補正することができ、この時燃料1万tを消費する。
*学生は戦闘時AR7以下の際に任意の評価を評価+2補正することができる。(燃料は消費しない)
}

この度、玄霧藩国に入国した香川優斗という青年、元の名前を竹内優斗という。
人となりは彼を知るものにして曰く「清潔で軽く、人のよさそう」「いい人すぎて騙されやすそう」。
その指摘はおおよそにして的を得ており、やや軽い人間だと見られがちではあるものの、人がよく、純朴そうな外見と性格をしている。
また非常に前向きであることも知られ、悩むよりもとりあえず行動をしようと歩き出すことも多々見られた。
彼自身も自らの人のよさを自覚しており、また周囲が思うほど鈍くはないようだ。
それでも、その生き方を変えたり悪用などしていないことを考えれば、彼の人の良さは本質的なものだと言う事が出来るだろう。

「明るく、人に優しく、前向き」
大抵の場合、人が竹内優斗・香川優斗を評する時にはこう語ってくれる。


”竹内”優斗


彼の故郷は幻獣との戦争真っ只中にある第五世界であり、(記録が確かならば)1984年、第六世代クローンと呼ばれる戦闘力強化人間としてこの世界に生を受けた。
(尚、彼と同じ年代に生まれた人類はすべからく第六世代クローンであり、強化人間とは言われるものの、彼が特別な出自を持っている訳ではない)


我々が彼を初めて目にすることになったのは、彼が齢15歳の頃のこと。
彼は、所謂九州以後の学兵として青森にある3241小隊(第二次第108警護師団第4中隊。つまり二線級の警護師団)に配属され、
1999年末から2000年春にかけて発生した幻獣による青森への侵攻に立ち向かうことになる。

それ以前は航空学校に在籍していたらしい。
何故航空学生が空軍ではなく陸軍である3241小隊に配属されたかというと、それには時代背景も含めたある事情が存在するが、詳細は本筋と離れるので一時割愛する。
ともあれ、そんな時の事情と大人たちの判断により、少年は航空兵への道を絶たれ、
数合わせの間に合わせである二線級部隊、3241小隊へと合流することになった。


彼の所属する3241小隊は俗に言う「不幸にも戦闘に巻き込まれた2000年の学兵部隊」の一つであったが、幸いにしてただ不幸なだけでは終わらなかった。
性格などには問題があるものの有能な隊員にも恵まれ、幻獣との戦いでも壊滅することなく戦いを続けていき、
ついには3月に入るまでの戦いをさしたる損害もなく乗り切っている。
それはあくまで、軍の書類上の話ではあるのだが。


その死と、『3年間』


セプテントリオンとアルファ残党による、谷口竜馬をめぐる戦いが冬の青森を戦場に変えている頃。
竹内優斗は友人である岩崎仲俊の力になるためとある事情に深入りしすぎ、謀殺されたと言われている。
それが会津閥に関する事件なのか、それとも時間犯罪に類する陰謀なのかは定かではない。
確実なのは、竹内優斗と呼ばれた少年が仲間達の前から姿を消し、死亡したと思われていたことだろう。
そして、その事実が岩崎や他の仲間の心を痛く苦しめ、悲劇的展開を加速させということも。

彼が再び青森の地に立つには、第五世界時間でおよそ2ヶ月、彼自身の主観からすると、実に3年もの年月を要することになる。


その間、彼が具体的に何をしていたのか知る物は少ない。

「レムーリア大陸で赤鮭などと交友を持っていた」「ハードボイルドペンギンの弟子として修行をしていた」
などという話は伝わるものの、それ以上の情報がないのだ。今後あるとしたら、頂天のレムーリア第二部が有力な候補だろうか。

ただし、その3年間がただ楽しいだけのものでなかったのは確かだろう。


そして”香川”優斗




銃の扱いに慣れ、より人と上手く付き合う術を心得え、精霊手も習得している。
落ちつつあったた視力を眼鏡で補い、世界移動者の視点で物事を判断する。
それらの事実に加えて名前も変え、『香川優斗』と名乗っているのだから、「彼は変わった」と言ってしまうのは、とても安易で自然ではあろう。

だが、ここでは敢えて「彼は少しも変わっていない」と表現したい。
彼は、名前こそ違っているものの、『竹内優斗』であることをやめたわけではないのだと、ここでは述べることとする。

時は2000年の2月に移る。俗に言う「白いオーケストラ」事件の最終段階、竜と化した岩崎を助けるために再び青森の地へ降り立った時、
彼は己のやるべきことについてこう語った。

「僕は、いつもどおりやるだけです。僕は軍人じゃない。僕は警官じゃない。僕は裁判官じゃない。
僕は、僕は、一言で言えば誰もが笑う、そんな仕事をやっている」

そう語る姿は確かに、あの優しいだけの少年のものではない。優しく、そして強い青年『香川優斗』である。
だが同時に、その根底に流れるものが何一つ変わっていないことも感じさせる。
成長こそして頼もしくなっているものの、『竹内優斗』の優しさや柔和さは、少しも失われていないのだ。


四人のオデュッセイアの力を借りて岩崎を解放し、谷口をはじめとする3241小隊の面々を第二世界(のちに行き先はレムーリア世界であったと発覚)に送った彼は、
その仲間達が無事戻ってきたタイミングを持って、『竹内優斗』と名を戻している。

それ以降は、大切な友人達と共に、楽しく日々を過ごしているようだ。
ただし、トップエースの一人であるロボ氏に対し
「僕も、貴方の仕事につけますか」
と問いかけている所から、見知らぬ誰かを助けるために生きたいと考えてもいるらしい。


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竹内優斗、そして香川優斗という青年について、確定している過去はこれまでである。
これより未来もまた、彼は自身の望むまま、大切なもののために生きて行くことになるのだろう。
そしてそれはまた、別の話になるはずだ。

我々はいつの日か見る事が出来るだろうか。
どこかで誰かが泣いている時に颯爽と現れ、またたく間にその涙を止める彼の姿を。
或いは、素直になるのが下手で実は甘えるのがとても苦手なある少年を陰で支え、優しい笑顔で見守る彼の姿を。
どちらであるにせよ、それがとても幸せな光景であることは、想像に難くない。


SS『ある一日』


その日も、玄霧藩国は平和だった。
慌しく駆け回る者もいれば、のんきに昼寝に興じる者もいる。
それを見て、ああ、確かに猫の国らしやと思う雅戌、政庁の窓から国を見渡していた。

世間では不謹慎な噂も多く、国内にもあまり喜ばしくないニュースが流れてはいるが、
だからといって普段から焦っていてもいい事はない。……と、言い切れるほどには余裕はないのだが、今日だけはちょっと事情が違った。

「予定だと今日、の正午。……楽しみだなあ」

少しだけ笑いながらぼんやりと空を見上げる。仕事サボるな。

                               /*/

一方その頃。
藩国国境付近の集落のはずれ、入国管理局の詰め所で、hakoは荷造りをしている。
ここ暫くの戦乱のせいもあって入国者(主に医療研修などにやってくることが多い)は増加気味ではあるが、基本的に入国審査は暇な仕事だ。
詰め所から程近い場所にあったので、空いた時間を有効活用しようとしていたのであった。
荷物は着替えに洗面用具に化粧品と、女の子の秘密あれそれ。どうも、ちょっとした旅行をしてくるかのようである。

「うふふー。仕方なしー、仕方なしー。忘れ物はなしでしょーかー?」

美しい金髪を弄りつつも手荷物点検。ノリノリで準備中であった。

ちなみにその日の当番はhako以外にもう一人いたのだが、そのもう一人の当番こと影法師、一身上の都合によりバイトである。
故あって、国から支給される給料だけでは本懐が果たせないのだった。

だからこそhakoも思うさま準備に没頭できるというもので、

――つまりその時、入国管理局は機能していなかったから、

「こんにちはー。あれ? 誰もいないのかな? おーい」

柔和な笑みを浮かべた青年が首を傾げつつ入国を果たした事に、この時点で気付いているものは誰一人としていなかった。――

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玄霧藩国きっての建築設計士アポロは、今日も今日とて忙しく働いている。
藩国政庁や最近新しく国に移り住んできた怪しい医者などから、こぞって設計の依頼がきていたためである。

「あ、そこに使う建材は来週届く予定だから、今は基礎の準備だけやって。防水シートの手配もお願い」

施工そのものは専門の御者に依頼するのだが、そもそも玄霧藩国の建築物は大部分が彼女の手によるものである。
もう工事依頼も指示もツーカーでピンポイントでクリティカルで、きっとブリリアントだった。とにかく凄いのだ。
そして、だからこそとても忙しい。

「こんにちはー。すみません、ちょっと道をきいてもいいかな?」

忙しかったので、見知らぬ青年が事務所に道を尋ねに着ても

「ごめんなさーい。ちょっと今手が離せないから、向こう隣の大きな木を尋ねて。そこで教えてくれますよ」

しっかりと取り合うどころか、目を向ける余裕さえないのであった。
むしろ、道をどこで聞いたらいいかしっかりと伝えただけでも親切といえよう。

「そうですか。ありがとう。じゃあ、そこに行って見ます」

その様子を見た後、にこやかに微笑んで去っていく青年。
彼の姿を偶然視界に納めていた事務所のスタッフの一人は、その笑顔があまりにも曇りのないものだったので驚いた。
ああいう笑い方が出来る奴は、そうそういるものじゃない。

「そういえば、今の子って誰? どこかで聞いたような声だったね」

机上の製図板から視界を外さないまま、アポロ。
(直接会った記憶はないけど、確かに知っているような……)
という、あまりはっきりしない感覚。例えばこれが山崎たくみ声だったら一発なのだが。

「俺は知らないっす。青い目でタレ目の子でしたよ。なんてーか、『とてもつもなくいいひとそう』な感じでした」

「……竹内くん?」

彼女が顔を上げた時には、もう青年は姿を消している。
アポロは2秒考えた後、まあうちに滞在してくれるなら、今無理して会いに行く事はないか。と結論を出して作業に戻った。
何せ、とても忙しいのだ。もう少し休んでもバチは当たらなさそうなのだが。

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猫の国ではついぞ同系統の兵器が開発されなかった便利兵器、エアバイク・ピケを走らせ、青年は先ほど案内された場所、藩国政庁へ向かっている。
向こう隣とはいえ、玄霧藩国は田舎だけあって建物と建物の間隔が広かったし、樹木を気にしてピケの速度を時速40km程に抑えていたから、
到着にはピケを用いても3分程の時間を要した。
燃費の悪い走らせ方ではあったが、安全第一であった。そして到着。

「空気の美味しい所だなあ。岩崎さんも連れてきたら楽しくなるかな」

ピケのフロートを停止させて降車。一度両手を広げ「うーん」と伸びをした後、目の前に聳える大樹に向かって歩いていく。
樹の根元に、入り口と思しき看板があったのでそのまま入った。インターフォンはない。

「こんにちはー。お邪魔します」

先ほどの女性の口ぶりからすると、ここで道の案内をしてくれるらしい。
挨拶に反応が返って来ない事を確認した上で、青年は大樹の中を進んでいった。

                               /*/

玄霧藩国の政庁を兼ねた大樹はとても風通しがよく見晴らしもいいため、仕事をするにはこの上ない好条件である。
ただ、ふとしたことで眠気に襲われてしまうのは考え物ではあった。

「打ち上げ機の管理が杜撰になっちゃうのは仕方ないとして……あの城も一度手は入れたいんだよなあ。予算が」

雅戌が、椅子の背もたれに体重をかけてシーソーのように揺れている。腕を組み、唸る。
サボってばかりいるといつまでたっても仕事が終わらないので、こちらも仕事をしている。
アポロと違うのは、一見すると遊んでいるようにしか見えないことだろうか。実際、あまり集中していない。行儀悪い。

「マタタビ酒の醸造工場は順調に稼動中、だけど食糧生産は需要に追いついてなくて……」

「輸出入に頼り切るのも……とはいえ、これ以上食糧生産地を増やすと圧迫が……」

「あんまり聯合国に頼るわけにもいかないし……」

「こんにちはー」


ぶつぶつと呟きながら椅子を揺らす。不安定。
部屋の外から軽い挨拶。気付かない。


「大体執務室に空席が多すぎて……」

「こんにちはー」

「で、今日が〆日になってる書類は」

「こんにちはー」


3度目になる挨拶と、盛大にバランスを崩して転ぶ音。
雅戌の90度回転した視界に、青い瞳と緑色のジャケットが見える。
冬の青森で皆が着ていたあの服。どんなに天気が良くても、外では上にコートを羽織ってしまっていたあの服。
そして、微妙にタレた目とその青い瞳。少し尖った髪の毛。
何より、優しそうなその笑顔。

「こんにちは。道を教えてほしいんですけど、いいかな?」

竹内。今は別の名前を名乗る、彼に間違いなかった。

「えー……ええ。こんにちは。どうぞ」

いつの間に入国してたんだろう。というかこんな無様晒してどうするよ僕。ああ、でもいい人っぽいなあ相変わらず。
GPO白では死なせまくってごめんよ。だけど君、仲良くなるとほぼ100%死んで石田さんと入れ替わるじゃないか。
雅戌、色々と混乱する。

だが青年は、そんな雅戌の内心などお構いなしに

「ええ。実は今日からこの国でお世話になる事になってるんですが、どこに行って申請したらいいですか?
あ、僕は香川優斗っていいます。よろしく」

一切曇りのない笑顔で、入国と滞在を告げ、そして名乗った。
時にアイドレスはターン8終盤(一説にはターン9とも言われる)。
それは、混迷を極めるニューワールドの片隅で起きた、ある楽しい一日の記録であった。


                               /*/


(イラスト・hako 設定文・雅戌)