肯定派の傾向と対策

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<目次>

「日本軍は慰安婦を強制連行した。なぜなら、『強制連行していない』という証拠はないからだ。」

米国政府は 宇宙人を すでに捕まえている。 なぜなら、 捕まえていないという 証拠はないからだ。
ネス湖には ネッシーが いる。 なぜなら、 いないという 証拠はないからだ。
フリーメイソンが 世界を 牛耳っている。 なぜなら、 牛耳っていないという 証拠はないからだ。
日本軍は 朝鮮人女性を 強制連行した。 なぜなら、 強制連行していないという 証拠はないからだ。
 これは、オカルトの論理です。

 「存在しない」という事を証明する事を、科学哲学では「悪魔の証明」と言います。そのため、裁判においても、罪を告発する側(原告)にのみ、「罪が存在する事を立証する責任」があり、罪を告発される側(被告)は「罪が存在しない事を立証する責任」はありません。この事を「挙証責任(きょしょうせきにん)」、あるいは「証明責任」と言います。

 このような理由から、これがオカルトの論理だと言えるのです。

「日本軍は慰安婦を強制連行した。証拠が見つからないのは、証拠を燃やしたり隠したりしているからだ。」

米国政府は 宇宙人を すでに捕まえている。 それが表ざたにならないのは、 エリア51に 隠しているからだ。
ネス湖には ネッシーが いる。 ネッシーが捕まらないのは、 すでに 死んでいるからだ。
フリーメイソンは 世界を 牛耳っている。 それが表ざたにならないのは、 マスコミを操って 自分の事を報道させないからだ。
日本軍は 朝鮮人女性を 強制連行した。 証拠が見つからないのは、 証拠を 燃やしたり隠したりしているからだ。
 これも、先ほどの論理と同じです。「悪魔の証明」や「挙証責任」の観点から、到底このような論法は信じられません。

 「真実は神のみぞ知る」なんて事を良く聞きます。私たち人間は「時空」を飛び越えられません。だから、「史料」という名の手がかりを基にして、歴史を知らなければならないのです。だから、「史料がどうしても見つからない」からと言って、「史料が燃やされた・隠された」というのは、ただ駄々をこねて時間稼ぎしているだけに過ぎません。

 よって、この論法もオカルト論理といえます。

「『白馬事件(別名 スマラン事件)』といってオランダ人女性を強制連行した事件があった。確かな証拠がある。」

 「責任はどこにあるか」も合わせてお読みください。

 この事件は日本軍の軍人がオランダ人女性を強制連行したという確かな事件です。しかし、この軍人が強制連行した動機は「国家・軍の命令」ではありません。したがって、国家に動機責任はないのです。この軍人達は事件後、日本軍から処罰は受けませんでした。しかし終戦後にオランダが「バタヴィア臨時軍法会議」にかけて死刑に処しました。

 すでに処罰が下ったわけですから、法的には解決した事件です。日本国憲法第39条 において「二重処罰の禁止 」の原則が定められていますし、死刑になっていますから、あの世から軍法会議に参加することはできません。また、日本政府は道義的責任として2億5500万円をオランダ人女性に支払いました。

 犯罪を犯した軍人に対する管理責任はありましたが、白馬事件の責任をこれ以上国家が負う必要はありません。事件の経緯について詳しくは「白馬事件について」をご覧ください。

「強制連行を命じる国家・軍の文書が無いから強制連行も無いだって?じゃあ、北朝鮮による日本人拉致だって命令書なんか無いじゃないか。」

 まず、論点のすり替えです。「祖国統一のための分工事業組織指導要綱」という文書に日本人拉致の指令が書いてあります。ジャーナリストの加藤昭氏が『WiLL』2004年4月号の誌上にて、全文公開しています。よって、北朝鮮による日本人拉致を命じる文書は確かに存在します。

「強制連行を命じる国家・軍の文書が無いから強制連行も無いだって?それはネオ・ナチが『ヒトラーがホロコーストを命じた文書は無い』と主張しているのと同じじゃないか。」

 これも、論点のすり替えです。ナチスの文書では、「死ぬ」「殺す」という言葉を避け、婉曲的、暗示的にかかれています。ナチスは反ユダヤ主義という差別を明確に掲げていましたが、日本では「反朝鮮主義」というような物は一切ありません。アドルフ・ヒトラーは1939年1月30日にドイツ帝国議会でこのような演説を行っています。
 本日、私はいま一度預言者となろう。もしヨーロッパ内外の国際的ユダヤ人資本家が諸国を再度の世界戦争
に陥れることが成功したら、その結果は地球のボリシェヴィキ化やそれによるユダヤ人の勝利ではなく、ヨー
ロッパのユダヤ人の絶滅である。
 はっきり、こう言っているのです。しかし、大日本帝国の政治家が堂々と国会で「朝鮮人を強制連行して慰安婦にせよ」というような事は言っていません。よって、ネオ・ナチの主張と我々の主張は異なります。


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最終更新:2010年04月12日 23:42