政治思想の対立軸

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<目次> #contents *■1.このページの目的 「自由主義」「保守主義」「社会主義」など、政治のあり方に関して様々な用語があり、混乱の種となっている。 ここでは、そうした政治思想や政策を表す用語を、&color(navy){&bold(){理念型}}という概念を使って大胆に5分類・8分類し、さらに「自由主義」と「全体主義」の対立という根本問題に落とし込んで整理する。 **◆ポイント:政治思想の対立軸は、右翼 v.s. 左翼 ではなくて 自由主義 v.s. 全体主義 である。 //&bold(){&size(20){政治思想の対立軸は、右翼 v.s. 左翼 ではなくて 自由主義 v.s. 全体主義 である。}} **◆理念型(ideal type)の定義 ※下記の理念型はあくまで政治現象を社会科学的に認識するための仮説であるが、複雑な現象を理解するうえで一定の意義はあると考える。(ご意見・ご批判を歓迎します) (1)広辞苑 りねん・けい【理念型】 (idealtypus ドイツ)マックス=ウェーバーの社会科学方法論の重要な概念の一。 ある現象について、現実には分散的に存在している諸特徴をとりだし、それ自身矛盾のない理想像にまで結合したもの。 現実に対する規範ではなく、実在の現象を測定し、比較し、またその文化的意義を明らかにするための手段。理想型。 (2)ブリタニカ百科事典 りねんけい【理念型】 idealtypus; ideal type 理想型ともいう。M.ウェーバーの社会科学方法論の基礎的概念。 現実の一定部分を理解するための手段として、それを思惟のなかで整序し、それ自体矛盾のない理想的コスモスとして構成された一種の理想像が理念型である。 この概念構成は、1904年に刊行された『社会科学的および社会政策認識の<客観性>』において展開された。 彼は理念型を、多数存在する経験的に与えられた所与の現実のなかからその概念を構成するのに必要と思われる本質的要素だけを取出し、一面的に高揚した結果を作り上げた一種のユートピア(思惟像)であるとした。 理念型はその純粋性において現実のどこにも存在しないものであり、現実型ではない。 さりとて平均型でもないし、また価値を伴った模範型でもない。 本質的要素だけを取出して作った思惟像であり、経験的事実と理念型とを比較することによって、現実の記述が明確にされる。 理念型の検証は、社会科学的認識にとって有効かどうかによって行われる。 *■3.政治的スタンス五分類・八分類 &ref(http://www35.atwiki.jp/kolia?cmd=upload&act=open&pageid=1380&file=all.PNG,with,hight=700) 他の政治的スタンス分析として、「ポリティカル・コンパス」がよく行われているが、以下の問題点があり、上の円環モデルの方が優れていると思う。 (1)ポリティカル・コンパスは、従来の左から右へ一直線に並んだ政治的位置関係を考察するだけの分析ではなく、①政治軸と②経済軸の2次元で、自身の政治的スタンスを分析できる、と謳っている。 (2)しかし、現実には①政治的自由度と、②経済的自由度は交差しており、両者を分離して考えることは不可能である。(②経済的自由がなければ、①政治的自由もない) (3)さらに、ポリティカル・コンパスの2次元モデルでは、極右と極左が実はその実質において双生児である(どちらも全体主義である)という、ハイエクやポパーが第二次世界大戦中に鋭く指摘し、英米圏では常識となっている事実を全く表現できない。(むしろ隠蔽しているように感じられる) (4)極右・極左の隣接を分かり易く表現できるのは、ここで示す円環モデルである。 (5)なお余りに詳細な分類は役に立たない。円環モデルにある5分類(内枠)および8分類(外枠)程度が適度である。 *■4.本当の対立軸は、自由主義 v.s. 全体主義 政治思想の本当の対立軸は、右翼 v.s. 左翼 ではなくて  自由主義(開かれた社会) v.s. 全体主義(閉ざされた社会) である。 それぞれに該当する諸概念を以下に対比する。 (※なお、社会主義・ファシズムは共に全体主義) ----------------------------------------------- 自由主義(開かれた社会) ⇔ 全体主義(閉ざされた社会)  ----------------------------------------------- 民主制(自由民主制) ⇔ 独裁制(全体主義体制) 資本主義 ⇔ 共産主義 保守主義 ⇔ 急進主義 真の個人主義 ⇔ アトム的個人主義+集産主義 解放的ナショナリズム(パトリオティズム) ⇔ 拡張的ナショナリズム(ジンゴイズム)or国家解体思想 立憲主義 ⇔ 専制主義(絶対主義) 法の支配 ⇔ 人の支配 批判的合理主義 ⇔ 設計主義的合理主義 歴史・伝統主義 ⇔ 反歴史主義、リセット主義 価値多元論・非決定論 ⇔ 価値一元論・決定論 ----------------------------------------------- *■5.政治的スタンス分析の応用 (1)支那・中共への抗議活動の性格 例えば、私たちが中共に反対しているのは、邪悪な全体主義体制だからである。 すなわち、自由を価値とせずデモクラシーでもない抑圧体制に反対しているのであって、マスコミなどが盛んに指摘するようなナショナリズム(この場合は拡張的ナショナリズム)ゆえに中共に反対しているのではない、ということをここで確認しておこう。(特に支那の民主化運動やチベット・ウイグルの解放運動の場合) もっとも、尖閣諸島問題は純粋に日本の国内領土への支那の侵略行為であり、これに反対することは日本人にとって正当なナショナリズム(解放的ナショナリズム)の発動であり、また国内の不法在留外国人の不当な土地占拠などに抗議する活動も、正当なナショナリズム(パトリオティズム)の発動と考えてよいと思う。 (2)連携の在り方 例えば、円環モデルの8分類について、本来は同じ「自由」に価値を置くはずの「保守」と「リベラル右派」が、郵政民営化問題などをきっかけに分断されてしまうと、「左翼」が選挙で得をすることになりかねない。 図的には、「保守」と「リベラル右派」が確り連携し、「右翼」「中間」まで取り込むか、「保守」と「右翼」が確り連携し、「極右」から「リベラル右派」さらに「中間」まで取り込むことで、「左翼」に打ち勝つ可能性が高まるように思われる。 #include_cache(政治理論・共通)
&include_cache(政治学の概念整理と、政治思想の対立軸)

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