新刊発売記念(銀子編)


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新刊発売記念(銀子編 )
  • 作者 2スレ489
  • 投下スレ 2スレ
  • レス番 492-494
  • 備考 紅

492 新刊発売記念(銀子編 1/3) sage 2007/11/24(土) 06:31:14 ID:lx/GpHDU
 後ろ手に、風呂場の戸をぴしゃりと閉めた。盛大かつ乱暴に、頭からかけ湯をかぶった。体ごと放り込むようにして、湯船に身を沈めた。湯が盛大に溢れだして、大きな水音を立てる。
 それだけして、ようやく何とか少し鬱憤が晴れた。
「お父さんのバカっ」
 いくらなんでも、あれはないだろう。娘をからかうのが生き甲斐の一つといっても、度が過ぎている。「おう銀子、風呂空いてんぞ。さっさと入んな」「これから真九郎が来んのよ。後にする」
「シンちゃんかい。まだ来てねえな。それよりガス代がもったいねえ。入らねえなら湯落としちまうぞ」「分かったわよ。さっさと入っちゃうから、真九郎が来たら待たせといてよ」というやりとりの挙げ句に、
真九郎がやって来てもあまり待たせないように慌てて飛び込んだ風呂の中、湯気の向こうで湯船につかっているのが真九郎と知ったときは、心臓が止まるかと思った。などと思い出していると、またぞろ動悸がぶり返してくる。
 そういえば、真九郎の方はいたって冷静だったように思えるのも、癪に障る。
「…バカ」
 いくら小さいころには一緒にお風呂に入ったこともある仲とはいえ、年頃の女の子の裸を目の前にして、もう少し何というか、慌てるとか赤くなるとか、年頃の男の子らしい反応があってしかるべきではないだろうか。
近眼の銀子には、真九郎の表情は今ひとつはっきりしなかったのだが、それでも真九郎の視線は素直で暖かくて、些かのいやらしさも含んでいなかった。銀子の肌が、それだけは確実に覚えている。いかにも真九郎らしくて、好ましいと思う。
 とはいえ、それはそれで、非常に腹立たしくもあるのだが。
 銀子は、湯船の中の自分の体を見下ろした。たしかに、魅力的ではない、かもしれない。やせっぽち。がりがり。特に、崩月先輩あたりと比べると、一部の肉付きに関しては劣等感を覚えざるをえない。精一杯の努力はしているというのに、人生というのは不公平なものだ。
「…そういえば、見たこと、あるのかしら」
 真九郎は八年間も崩月家に住み込んでいた。その間に、もしかすると崩月先輩のも見たことがあるのかもしれない。お淑やかな顔をしているくせに呆れるくらい積極的な、あの女なら、自分から見せることさえあり得る。
「…やだな」
 それで見比べられたとしたら。それで魅力がないと思われたのだとしたら。
 そこまで考えてから、銀子は苦笑した。
「関係ないでしょ。あたしってば」
 自分が真九郎に与えるのは、肉体的魅力などではない。もっと別のものだ。銀子自身がそのように決め、そうなるように努力してきたのだった。だから何をいまさら、くよくよすることがあろうか。理性はそう断じるのだが、
(見られた)
 銀子は、両手で顔に湯をかけた。
(見られた見られた見られた)
 さっきは正直パニくってしまっていて、風呂場を飛び出す時にあらぬところを手で隠すことにすら思い及ばなかった。立ち上がったとき、真九郎の目の前で思いっきり全てを晒してしまったようにも思う。
(あたしって、バカ)
 ずるずると、鼻のあたりまで湯に沈み込む。
 いつだって、そうだ。真九郎に関わることになると、自分は愚かになる。いくら冷静に賢明であろうとしても、叶わない。今だって、あのまま一緒に入っていたら、などと考え始めている自分がいる。



493 新刊発売記念(銀子編 2/3) sage 2007/11/24(土) 06:34:41 ID:lx/GpHDU
(真九郎も、いやだとか言わないわよね)
 それには確信があった。気弱で、優しい幼馴染み。銀子の頼みなら、たいがいのことには首を横に振らない。多少はためらったとしても、銀子が堂々と命ずるなら逆らわないはずだ。
(昔みたいに、一緒に湯船に…は、むりか)
 我ながらばかなことを考えているとは思ったが、止まらなかった。
(いや、だったら、あたしが真九郎の上に)
 そうしたら、真九郎は抱っこしてくれるだろうか。首筋に真九郎の息づかいを、背中に真九郎の細身ながら強靱な体を、胴回りに真九郎の優しい手を、感じることができるだろうか。
 銀子は、我知らず浴槽に背中をこすりつけた。真九郎が、ついさっきまで入っていた湯船。なら、この自分なら、真九郎の感触が残っているのを感じ取れるのではないか、
と思った瞬間、体の中を何とも言えない戦慄が走り抜けた。
(あたし…)
 分かっている。真九郎なら、こんなことはしない。分かっているのに、銀子は、自分の手が脇腹から腰、太股をゆっくりとなぞっていくのを止めることができなかった。目を閉じ、
ぼうっとした頭で、自分の掌を真九郎のものだと想像してみる。体の芯からぞくぞくした。
(真九郎…)
 現実の真九郎は、今、同じ屋根の下にいる。その事実が、銀子の想像にいっそう拍車をかけた。
(真九郎。真九郎。真九郎)
 右手が両腿の間に割って入り、さらにその奥に進んだ。すでに勃起した秘核をさぐりあてると、細い指先でなぞり上げる。
「んんっ」
 想像以上の快感に声が漏れ、腰が引けた。浴室内で声が反響し、外まで響いてしまったように思われて、銀子は一旦動きを止めた。誰も呼びかけてこないことを確かめ、唇をかみしめる。声を出すのは我慢しなければ。
今日のこのありさまでは、少し難しいかもしれないが。
 再び、クリトリスを軽くひっかく。
「!」
 眉根をきつく寄せ、口を軽く開き、大きくのけぞった。自分の体とは思えない敏感さだった。声を抑える分、感覚が鋭敏になっているのかもしれない。
(あっ、あうっ、し、しん、くろうっ)
 気弱で臆病で頼りなくて、自分自身以外の人間にはとんでもなく優しくて、己には生きる価値なんてないと思いこんでいる、はかなげな男の子。よりにもよって揉め事処理屋などという、どうみても適いていない仕事まで始めてしまった莫迦な少年を守るのは、
昔っから銀子の役目で、今だってそのつもりだ。崩月の連中など、知ったことか。柔沢紅香など、地獄に堕ちろ。たとえ表御三家と裏十三家の全てを敵に回しても、退いたりはしない。
 そのために、銀子は自分を鎧うことを覚えた。真九郎を守るためには、銀子が冷静で賢くあらねばならない、と思ったから。真九郎への想いに振り回されたり溺れたりすることなく、何が真九郎にとって最善かを見極め、助言し、そして、真九郎に何かあれば、必ず助ける。
何があっても。
 そのために余計なものは、全て切り捨ててきた。学校の友達も。情報屋を始めた時の、父親の心配顔も。将来のささやかな幸せへの望みも。真九郎から好かれたいという気持ちさえも。しばしば聞きたくもない苦言を呈する以上、嫌われたっていい、と覚悟を決めた。
 それなのに。
 真九郎はずるい。思ってもみない時に、欲しくてたまらない言葉をくれる。その全てが、銀子が築き上げたなけなしのガードを紙のようにあっけなく突き通して、心に刺さる。言われて初めて、自分がどんなにその言葉を心の底から欲していたかを、思い知る。
「もし何かトラブルがあったら、俺に言ってくれ。最優先で引き受ける」「タダでいい、銀子なら」と来た。そんな無防備でバカな科白に、どうしようもなく胸が熱くなるのを止められなかった。
「愛してるよ」と電話越しに言われた。その言葉ごと抱きしめられたようで、からだの底から、慄えた。
「おまえが美人だってことは、昔から知ってるよ」と面と向かって言われた。美人かどうかなんてどうでもいいことのはずだったのに、天にも昇る気持ちがした。
「キスしていいか?」と電話口で訊かれた。まざまざと真九郎の息や唇の感触を覚えて、電話を切ってから陶然と立ち尽くした。



494 新刊発売記念(銀子編 3/3) sage 2007/11/24(土) 06:35:55 ID:lx/GpHDU
(しん、くろぉ…)
 愛撫の手を休めることなく、薄目を開けて、水中の自分の体を見下ろす。小ぶりな乳房の上で屹立する乳首が、どうしようもなく淫蕩に見えた。自分は、こんなにも真九郎を求めているのか。片手の指先で乳首をいじり出すと、腰の中にずしりと響いた。
(あっ、あんっ、いやっ。やっ)
 浴槽の中で体を反転させて四つん這いに近い恰好になると、縁に手をかけ、声が漏れないようにと、その甲に口を押しつけた。突き出した尻が水面の上に出たのか、腰をうねらせる度に小刻みな水音がする。
(ああ…)
 今、自分はとんでもなくいやらしい姿をしているのに違いない。紅真九郎は、村上銀子のこんなに乱れた姿を、想像したことがあるだろうか。第一の親友の、こんな浅ましい有様を。
 いや。真九郎には知られるまい。気取られてもならない。そうしなければ、銀子が必死で築き上げてきた立ち位置が、失われてしまう。崩月夕乃や、九鳳院紫に対抗するための、唯一のよりどころなのだから。
 少なくとも、今のところは。
 だから。だから、今だけは。思いきり、溺れよう。このあと、水も漏らさぬ冷静さで、少年にとっては悪い知らせを口にできるように。
(んっ、あんっ、しんっ、くろうっ、そこっ、いやっ、あああっ)
 片手だけでは足りなかった。首だけを浴槽の縁にひっかけ、右の指で肉壺の中をかきまわし、左の掌で陰核をこねる。情報屋として見てきたさまざまなポルノ映像の中から、もっとも興奮したシーンを思い出す。
 腰が激しく跳ねるのも、もう気にならない。
(イくイくイくイくイくイくイくっ!)
 全身が硬直し、きつく目を閉じ、口を丸く開ける。
「は…ああああっ」
 やがて大きく息を吐き、体から力が抜けた。その拍子に顎が浴槽の縁から滑り、銀子はみっともなくも湯船の中へ沈んだ。慌てて浮き上がったが、少しお湯を飲んでしまったらしく、
「けほっ…けほっ」
 せき込むうちに、なんとなく笑いと涙がこみ上げてきた。全く、大人っぽく快楽の余韻にひたることもできない。これが素の自分。クールでドライな村上銀子の本当の姿。
 だから、まだ背伸びをしていよう。背伸びが必要なくなるくらい、強くなるまで。いつか、真九郎と何もかもを分かち合えるようになる、その日まで。
 いつになく素直な気分だった。だから、浴槽の縁に後頭部をあずけて天井を見上げながら、こんな科白も呟けた。
「…真九郎。好きよ」
「何か言ったかあ?」
 いきなり脱衣場の向こうから声をかけられて、銀子は文字通り飛び上がった。
「ななななによっ! おおお父さん?」
「いやー、なんかすんげえ音してたぞ。大丈夫か?」
「だだだ大丈夫よっ! 何でもないからっ! あっち行ってっ!」
「そうかあ? それよりシンちゃん、待ってンぞ。お前が呼んだんだろ。あんまり待たせんじゃねえぞ」
 そこで、銀正はわざとらしく声音を低くした。
「女磨くのもたいがいにな。でえじょうぶだって。多少出てるところが足りなくったって、風呂あがりの色っぽさで迫りゃあ、シンちゃんもいちころよ」
「へへへヘンなこと言ってないでっ! ほら、あっち行けっ!」
 わはははは、しかし娘ってのは難しいねえ、と笑いとぼやきを繰り返しながら銀正が去ったのを待って、銀子は大きくため息をついた。
 さあ。この後は、真面目なお仕事の時間だ。銀子がもたらす情報を、真九郎がどう受け取るか。不快な知らせではあろうが、真九郎は知る必要がある。である以上、それを報せるのは、銀子の役目だった。他の誰にも、こればかりは譲れない。
 しかし、だ。その前に。
「女を磨く、か…」
 銀子は、左腕を持ち上げ、右手をその上に滑らせてみた。まあ、あと少しぐらいは待たせても、罰は当たるまい。拝ませてやったものに比べれば、お釣りが来るくらいだ。新しく買ってきたコンディショナーとか入浴剤とか、まだ試してないものもあったし。
 かくして念入りに入浴を終えた銀子が、脱衣場で音符柄のパジャマを前に、これで女ぶりが上がるか下がるか、数分間真剣に悩んだのは、また別の話である。
「…お、やっと上がったか。おうおう、ほんとに妙に色っぺえな」
「そ」
「そっか今日からシンちゃんも俺の息子かあ。しかし、そのパジャマはねえだろう。スケスケのネグリジェとか今度買ってきてごぶぐはあ」
「おとーさんあとでゆっくりおはなししましょあらどうしてうずくまってるのあとずさるのおびえるのいっとくけどにげたらゆるさないわよおとーさん?」











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