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261 名無しさん@ピンキー sage 2006/07/30(日) 21:06:43 ID:/qJ5CW2f
真九郎×紫じゃないが>>250の続きを書いてみよう。
「そ、そうか……でも、紫、そういうことを覚えるのはまだ早いよ」
真九郎は紫の頭を撫でて曖昧に笑い誤魔化す。
こんな純粋で無垢な彼女を、穢れさせるのは人間として失格だよな、と溜息をつく思いで彼女の髪を撫でる。
もちろん、彼女がこの事実を知るのは時の問題だろう。九鳳院の特殊性を考えれば猶更だ。
これは、自己満足に過ぎないのかもしれない。それでも、彼女の高潔さを守りたいと思った。
「そうか…、わたしが覚えるには早いか…。理由は分からぬが、真九郎が言うのならそうなのだろうな」
残念そうに呟く彼女に、少しだけ嬉しさを覚えた。
事実を伝えないのは卑怯で、臆病なのかもしれない。でも彼女は自分のことを信頼してくれている。
ならば、自分の正しいことをしようと思った。それがせめてもの彼女の信頼に対する報いることだと思う。
「……やらしい」
「ぎ、銀子!」
「おおっ、銀子! また遊びに来てくれたのか!」
「ええ、このバカを迎えに来たついでにね。相変わらず、元気そうで何よりだわ、紫ちゃん」
…ええい、この天邪鬼め。子どもに優しいのはいいのだが、それぐらい普段から自分にも優しくしてくれないのだろうか。
真九郎はそう思ったが、言葉にはしなかった。
どうせ言ったところでバカにされるだけだろうし、お互いにそんな甘えれるほどの関係でもない。
それに、こうして銀子が紫に優しくしているところで自分は幸せなんだろうと感じていた。
クラスメイトには決して見せないその姿。それを見られる自分はそれだけでも満足している。
本当の彼女の姿を知っている、そのことに。
「いいわね、紫ちゃん。真九郎に頭をなでてもらって」
「うん? 銀子は頭を撫でて貰えないのか?」
「そうね。昔はあったかもしれないけれど、最近は特にないわね」
そう肩を竦める銀子。その様子に紫は不可解そうだ。
「何故だ! 真九郎、意地悪はするな。母様もそう教えてくれた。
銀子も頭を撫でてやれ!」
「「ええっ…!?」」
「なんだ? ふたりとも嫌なのか?」
「…そういうことじゃないけどね、紫ちゃん」
流石にこれには面食らっているのか、いつになく銀子が狼狽しているように見えた。
狼狽しているのは銀子だけでなく、真九郎もだが。
「母様が言っていたぞ。頭を撫でて貰えば、嬉しい気持ちになると!
さあ、銀子! 真九郎になでて貰え!」
まるで、天使のような笑顔。ああ、これだけには絶対に叶わないな。
仕方がないと言わんばかりに、真九郎は肩を竦めると、ぽんと銀子の頭を撫でた。
「ほらよ、銀子ちゃん。 こうしてると昔を思い出すよな。
昔はよく泣いてた俺を銀子がこうして撫でて、慰めてくれたよな」
「……バカ」
ごめん、エロくなかった。
最終更新:2007年06月29日 10:38