2スレ20

  • 作者 伊南屋 ◆WsILX6i4pM
  • 投下スレ 2スレ
  • レス番 20
  • 備考 電波 小ネタ

20 名前:伊南屋 ◆WsILX6i4pM [sage] 投稿日:2007/02/14(水) 00:43:39 ID:ZzD7HcjX
「ジュウ様、どうぞ」
「あ、あぁ……」
 ジュウが雨に渡されたのはシンプルな包装紙に包まれた、甘い香りを放つ物体だった――
「いや、ていうか箱から甘い匂いが漏れるってどんなんだよ!?」
 ――ごもっともな話だ。普通はこんなにはっきりと匂いはしない。
「……少々失敗してしまいまして」
 珍しく俯き、落胆を見せる雨の姿に、ジュウは心が痛んだ。
「いや、そのなんだ? ありがたく頂くからよ」
「……ありがとうございますジュウ様。」
「気にすんな」
「私の心を込めて、“身を削る”思いで作りました」
 雨の言葉にジュウは一瞬、疑問を感じる。
 そして、ジュウは見た。
「……なあ、その手」
 ジュウが指したのは、何ヶ所か絆創膏が巻かれた指先だった。
「チョコを刻む際に怪我をしまして」
「それだけか?」
「――……それだけですが」
「今の間は何だ!?」
「御心配なく。……病気にはなりませんから」
「入れたな。入れたんだな? 血を、チョコに血を入れたんだな!?」
「そんなこと――」
 そこまで言って、しかし雨は口を閉ざした。
「最後まで否定しろ!」
 かなり本気でチョコを食うのが恐ろしいジュウであった。

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最終更新:2010年11月19日 01:43
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