4スレ 391


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391 :名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 23:05:25 ID:z1zcO7u5
絶奈さんの純愛、というのではないが、なんとなく考えてみた。

暗く、日の光など欠片も通さない闇の中、彼女は居た。
「好き、嫌い、好き、嫌い」
闇に包まれ一寸先ですら見通せぬ部屋の中で、しかし彼女はまるで全てが見えているようにその『作業』を続けていく。
裏十三家が一角、身体改造を主とした星噛の陸戦壱式百四号にして悪宇商会最高顧問。
その身は全てを打ち砕き、そして耐え切る孤人要塞。
たとえ一度敗北しようともその真性の悪をゆるがせることなど無かった文字通りの人外。
星噛絶奈。
ゆえに彼女にとって、この程度のことが障害になるようなことはありえない。
そんな暗闇の中、彼女の声と。
「好き、嫌い、好き、嫌い」
ぷつり、と何かをちぎる音それが連続して響いている。
そしてまるで永劫のように続くと思われていたそれは唐突に終わりを告げる
「好き、嫌い、好き、嫌い、好き、嫌い、好き・・・・」
そして、彼女は見た。
無論、闇に閉ざされた部屋の中でそれを見ることができるのは彼女唯一人だけ。
腕が震える。
彼女は持っていた茎をへし折り
「なんでよーーーー!?」
そのまま人とは思えぬ速さで立ち上がり、己の拳を壁に打ち付けた。
壁は人知を超えた衝撃に一瞬だけ耐えた後に急速にその結合を解き放ち自らが壁であることを放棄した。
音を立てて壁が崩れさり、人工的な光が閉ざされた部屋に差し込まれる。
赤い髪を振り乱し、肩を怒らせた彼女。
周囲にある年代物の家具はその全てが見る影もなく主の手によって破壊されつくしその姿を無残にさらしている。
そして、その部屋の中にある夥しいまでの花びらのない無数の花と、その周囲に散らばるその花びら。
「なんで・・・好きってでないのよーーー!!?占いでくらい夢見せてくれたっていいでしょう!!?」
常人ならばそばに居るだけで鼓膜が割れてしまうような声量で叫び、彼女は頭をうなだれてからその場にへたり込んだ。
冷たいコンクリートの床が、今だけは心地よい。
彼女は床の一点を空ろに見続ける。
「これだけやってるんだから、一回くらいは好きってでたっていいでしょう・・・」
その姿には彼女が畏れられる要因は微塵も無く、まるで年相応の少女を思わせた。
そっと、己の左手に持っていたはな占いに使った最後の一本を見つめる。
「・・・真九郎くん・・・」
ある一言を呟くと同時に頭にとある少年が思い浮かんだ。
つい先日自分を打ち倒した少年。

小柄で、純血の崩月でもないくせに、己を打ち倒したその少年。
今まで受けたどんな衝撃よりも激しく、己の体を貫いたその彼を。
怒りを秘めたまっすぐな瞳。
薄汚れた服に手入れなどほとんどしていないような髪。
銃弾の嵐に打たれようとも、列車に吹き飛ばされようとも、どんな強い酒であろうとも、柔沢紅香と戦ったとき以上に、
彼女に衝撃を与えたその少年を・・・
そこまで思い出して、体が熱を放つ。
腹のやや下の奥から来たその熱は瞬時に全身を侵し、耳まで真っ赤にする。
その寒気すら感じるような熱にうなされて、彼女はそのまま床に頭を打ち付けると、鉄筋コンクリートの床にひびが入った。
彼女はそんなことに逡巡することなく、さらに連続して打ちつける。
しばらく続け、ひびが床はおろか壁にすら到達してからようやく彼女は頭を打ち付けるのをやめた。
「なんでよぉ・・・・」
血液型占いでは相性は最悪、誕生日占いでは付き合うべきではない、タロットカードでは『死』のカード、
最後の頼みの綱といわんばかりの花占いはどういうわけか最終的に『嫌い』になってしまう摩訶不思議。
ここまで同じ結果が出るのはある意味すさまじいのだが、そんなものは今の彼女にとって逆鱗に触れる以外の何物でもない。
「なんで、こんなに・・・」
呟き、ごろりと上を向く。
「どんな酒を飲んでも酔えないし」
横浜基地に惜しいってジェット機燃料をドラム缶で一気飲みしてもこの衝撃を打ち消せず。
「東京タワーの天辺から飛び降りても駄目だったし」
最初はエッフェル塔にしようとしたが、遠かったし東京タワーのほうが高いということで飛び降りてみたが、
それでも打ち消せず、むしろその後の事後処理によってさらに衝撃が響くようになってしまっていた。
「うぅう・・・こんなの私じゃないよぉ・・・」
まるで恋する乙女のような。
否、自覚はある。
己を打ち倒した男、柔沢紅香の弟子にして崩月の戦鬼である彼に、自分が恋をしているのも、惚れたのも。
それら全てに自覚はあるし、なんとなく納得はしている。
あの、どこまでも自分の人生観を侵しつくすような甘い暴力の塊が愛しいのも理解している。
彼が今、自分以外の女と一緒に居るかもしれないと思うだけで心が荒んでしまう。
しかし
「なんで、こんなに、動けないんだろう・・・」
彼女は動けないで居た。
世界最強の軍隊の基地に喧嘩を売り、最高の塔から飛び降りても、人類にとっての悪行を全て行うその強さを、
そしてその強さ(我侭)を押し通す強さ(暴力)を持っていながらも。
たった一人の、惚れた男の前に立つことが、できない。
ゆえに、部屋に篭り、そしてその心を発散させるために暴力と声を上げる。
「なんでなのよーーー!!!」

彼女の名前は星噛絶奈。
裏十三家が一角、身体改造を主とした星噛の陸戦壱式百四号にして悪宇商会最高顧問。
その身は全てを打ち砕き、目からはビームさえも放とうとも誰も驚かないような、天蓋魔境にして全てに耐え切る孤人要塞。
たとえ一度敗北しようともその真性の悪をゆるがせることなど無かく、別の感情に溺れた文字通りの人外。
そして、自分を叩き伏せた男に恋をした一人の女の子。
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