2スレ888


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2スレ888
  • 作者 2スレ827
  • 投下スレ 2スレ
  • レス番 888-889
  • 備考 電波 小ネタ 827の続き


888 名無しさん@ピンキー sage 2008/04/06(日) 07:04:01 ID:C7WXaiDh
んでは埋めに>827の続きでも。やっぱり青臭いジュウ雨。


 恣意的な解釈の入り混じって不安定な記憶を頼りにするならば、甘ったるい幻想に浸ったことなど
少なくとも中学以降は確実にないと思う。控え目に言っても高校以降。だと言うのに俺の寝覚めは
奇妙に安らいでいて、それは正しく甘ったるい眠気だった。起こした身体には寝汗もなく、ぼうっとする
頭も不快なほどのそれじゃない。十分な睡眠の後で自然と覚めた目、覚めた身体。どうしてこんなに
落ち着いているのか、どうにも理解が追い付かない。
 起き抜けは脳みそが情報をどこかに置き去りにしている、と俺はよく感じる。基本的な、刷り込まれた
ように染み付いたパーソナルデータこそ簡単に引き出せるが、それ以外となるとからきしだ。
具体的には、自分の名前は言えても、寝る直前の行動は思い出せない――とか。今日が何曜日
だったか。何時に寝たか。窓から入り込む日差しは明るく、太陽は中天に差し掛かっている。
学校はどうしたんだろう。そうか、今日は休みだ。週末。ならば俺は寝過したのだろうか。
それとも知らず、二度寝でも。

 目覚ましか携帯電話がないかと、シーツの上を手で探る。
 ふにゅりと生暖かいものに触れた。
 視線を下ろす。

 堕花雨が眠っていた。

 ああ俺が感じた甘ったるい安堵感はこいつの体温から来るものか。そんな理解を押し流すように、
怒涛の不理解が言語中枢を侵食して舌を痺れさす。なんだって俺の部屋の俺のベッドのしかも壁側に
堕花雨が横たわっているのか、なんだって俺は上半身に服を着ていないのか、なんだって俺の手は
雨の胸に触れているのか。最後の一つに関しては不可抗力に触れただけだと気付き、慌てて俺は
腕を上げる。柔らかい感触が微妙に手のひらに残っていて、顔いっぱいに熱が広がった。耳まで
茹でられたような気分になる。女の胸を触ったのは初めてだと気付いて、更に混乱が加速した。
なんだ。これは。どういう状況、だ。

「中々大胆な行動をするもんじゃないか、童貞の分際で」
「ッ!?」

 唐突に背後から強いニコチン臭が這い寄って来て、俺は慌てて振り向いた。
 佇んでいるのは、解り切っていたことながら、お袋だ。少しばかり皺が寄った赤いスーツ姿、
口元には火のついていないタバコが咥えられて、シニックな笑みすら浮かんでいる。肩を揺らして
可笑しそうに喉を鳴らしたお袋は、がっしと俺の前髪を鷲掴みにして顔を引き寄せた。煙草の先端が
鼻先に擦れるムズ痒さに、俺はやっと頭を醒まして腕を突っ張る。が、その腕はびくともしない。

「どんな感触だった? 着替えさせるのにブラ外させたからな、ノーブラだぞノーブラ。
柔らかくて照れちゃったか? まだ耳まで赤いぞ、青少年」
「う――うる、っせ! なんだこれ、どーなってる!?」
「騒ぐな馬鹿が、堕花が起きるぞ」

 容赦ない右ストレートで強制的に黙らされた。
 寝起きには流石に効いた。
 お袋はフンと鼻を鳴らしてから、思い出したように煙草に火を点ける。

「大体状況の所以を聞きたいのは私の方だ。朝に来てみたらお前が堕花に寄り掛かって眠っていた
んで、堕花に説明を求めたんだが、お前が求めたとしか言わなかったぞ。体勢が寝苦しそうだったんで
とりあえずベッドに寝かせて、堕花を適当に言いくるめて着替えさせてお前の隣に寝かせたのは私だが」
「結局あんたかよ。しかも雨が着てるの俺のシャツだな」
「そうだ。お前のシャツを堕花がノーブラで着てる」
「…………」
「ああ、残念だがノーパンじゃあないぞ。流石にそれは警戒された」
「誰も期待してねえよ」


889 名無しさん@ピンキー sage 2008/04/06(日) 07:04:53 ID:C7WXaiDh
 むしろ脱がそうとしたのか。
 にやにやと笑うお袋を無視して部屋を見渡すと、なるほど机に向かう椅子の上に、綺麗に畳まれた
セーラー服が置いてあった。その上にはシンプルな下着がくるりと丸められている。思わず視線を
逸らして、俺は殴られた頬を押さえた。熱をじんじんと溜めて行く皮膚とは別に、頭は冷静になっていく。
そう、思い出してきた。朝に眼を覚まして、雨が来て、そして、一緒に。
 思い出してみれば何の疑問もない。隣に眠っていたから何事かと動揺しただけのことだ。ふうっと息を
吐いて、俺はお袋を見上げる。携帯用の灰皿をポケットから出す途中だったお袋は、俺の目に気付き、
一瞬逡巡してから――煙草を指に挟み、あろうことか煙を思いっきり吹き掛けてきた。

「ッ、何すんだ」
「可愛げがなかったんでついな」
「この年でそんなんあるか。そもそも誰の子だと思ってんだよ」
「だからに決まってるだろ」

 くっくっく。お袋は笑う。

「私の息子の分際で、私の手より堕花雨に擦り寄ったんだ。そんな可愛げのない息子には、
煙ぐらい吹き掛けてやりたくなるね」

 昼食と夕飯の用意はしてあるから、二人で仲良く食うが良い。お袋は言い残してひらひらと手を振り、
部屋を出て行った。間もなく玄関の開閉音もあったから、恐らくはまた出て行ったんだろう。どこまで
気まぐれな女だと、呆れるよりも先に、俺はその言葉の意味を咀嚼する。
 お袋の手よりも堕花雨に擦り寄った。まさかあの女、寝てる俺に付き添っていたのか。あまつさえ
手でも伸ばしていたのか。子供扱いするように。子供のように。いつかのように怪我をしているわけでも
ない、休日の二度寝に浸る俺に。
 そして俺はそっちじゃなく、雨に擦り寄ったらしい。
 部屋にはお袋が残して行った煙草のニオイが広がっている。傍らを見下ろせば、雨は少しも呼吸を
乱さずにぐっすりと眠っていた。前髪が散って長い睫毛に縁取られた目元が覗ける。眼を閉じていても、
その端正さが解った。大きなシャツは肩幅が合わず、襟元からは胸が見えそうになっている。広がった
髪からは、シャンプーの甘い匂いが微かに香った。まどろみに感じた安堵感と、多分同じの甘ったるさ。

「……あー」

 込み上げる気恥かしさに、俺は意味のない唸り声を漏らす。

「雨、起きろ。昼飯にするから」
「ん……ん~……」
「おい。……おーい、起きろー」
「んぅう……」

 ごろごろとむずがる雨の肩を揺すり、俺は声を掛ける。いやいやするように繰り返される寝返りは、
動物の匂い付けを連想させた。今夜ももしかしたら、雨の匂いは残るのかも知れない。体温はなくても、
その存在の確かな残滓として。煙草の匂いよりも、少しだけ強く。
 洗う予定だったシーツは、もう少しこのままにしようか。
 目を覚ました雨が寝てる間置き去りにしてしまった情報をもう一度脳に取り戻すまでの間、一通り慌て
ふためきながら布団に潜り込むのを見て、俺はそんなことを思った。

終わり。朝、昼と来たから、夜でエロまで持って行きたい かも



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