雨のジュウ様監視もとい観察日記

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2スレ512 -作者 2スレ525 -投下スレ 2スレ -レス番 525-532 -備考 電波 小ネタ 525 名無しさん@ピンキー sage 2007/12/09(日) 01:26:26 ID:9yAi9fgZ >>512を読んでいて受信した毒電波をどうしても遮断できなかったので、 これより信号ログを投下。 シチュエーションを勝手に拝借したことについては申し訳ない。というか、 妄想のネタをありがとう。 雨が明らかに原作準拠でないので、原作のイメージを大事にしたい人は 読まぬが吉。 526 雨のジュウ様監視もとい観察日記 1/7 sage 2007/12/09(日) 01:27:04 ID:9yAi9fgZ ○月○日  今日は光ちゃんにイエローカード1枚。累積4枚です。  どうも最近、様子が変でした。朝はいつもより早く家を出ていくし、帰りは妙に遅いのです。わたしを起こすのが大の楽しみのはずだったのに、それもさぼりがちになっていましたし。そのことを指摘してみたら、それとなく話題をそらしたりしましたね。  もしやと思って、今朝あとをつけてみたら案の定、向かったのはジュウ様の家の近くでした。交差点で物陰に隠れながら何か呟いていましたので、唇を読んでみましたところ、 「落ち着けあたし最初は偶然を装うのよそれであたしがなんでこんなところにいるか問いつめられたら何よあんたに会いにきたのよなんか文句あんのってそしたらあいつがえっもしかしてお前俺のこととか言っちゃってきゃあー!」とかなんとか。  人目もはばからず、真っ赤になった頬を両手で挟んで頭を左右に振り回していた可愛い光ちゃん。あまりに可愛いので食べてしまいたいくらいでした。ええ本当に。文字通り、頭からばりばりと。  残念ながらわたしがそれを実行に移す前にジュウ様が来られたので、光ちゃんは勢いよく飛び出していったのですが、二、三言葉を交わしただけで、ジュウ様はそのまま一人で学校へ向かってしまわれました。残念でしたね光ちゃん。  ただね光ちゃん。世の中には、未遂罪というものもあるのです。知っていますか? まあ、もし学校で習っていなくても大丈夫ですよ。そのうちに、お姉ちゃんがちゃんときっちり骨身に沁みるまで教えてあげますからね。 527 雨のジュウ様監視もとい観察日記 2/7 sage 2007/12/09(日) 01:28:43 ID:9yAi9fgZ  今日のところはそっとしておいてあげても良かったのですが、せっかくなので、ジュウ様の後ろ姿を見送りながらがっくり肩を落とす光ちゃんの背後5センチのところまで音もなく近づいて、声をかけてみました。  無駄な努力に一生懸命な光ちゃんを可哀想と思わなかった訳ではありませんけれど、姉としてはやはり、登下校時の寄り道は良くないと諭してあげるのが義務ですから。  どうでもいいですけど光ちゃん、全身を強張らせて膝をかくかくさせながら、首だけ180度回転させて真っ青にひきつった半泣きの顔を見せることができるなんて、ホラー女優としての才能があるんじゃないでしょうか。  でもね光ちゃん、お姉ちゃんのことをまるで幽霊みたいに「ででで出たあ」なんて、それはちょっとどうかと思います。貴女は大事な大事な妹なのですから、お姉ちゃんはいつも貴女の側にいますよ? 貴女がジュウ様のまわりをうろうろしているような時は特に。  けっこう傷ついたので何も言わずにじっと光ちゃんを見つめていたら、どんどん血の気が失せていったかと思うと、驚いたことに、いきなりばったり倒れて気絶してしまいました。  だから、貧血を起こしたりしないよう朝ご飯はちゃんと食べなさいっていつも言っているじゃないですか。いけない光ちゃん。本当にいけない子。  ですから、明日からは途中まで光ちゃんと一緒に行くことにしました。光ちゃんが寄り道をしないよう、中学校へ向かうのをしっかり見届けてから、そのあとはジュウ様と合流することにしましょう。完璧です。一石二鳥です。  これで、光ちゃんが累計5枚で次節出場停止になることも、当分は避けられます。良かったですね光ちゃん。わたしも実の妹に厳しい処分を下したくはないですから。  光ちゃん。貴女はあの、なんといったか名前など憶えていませんが、背が高くてイケメンで頭が良くてケンカが強くて女の子に優しい男の子と、ふつうに青春していればよいのです。お姉ちゃんからの心からの忠告です。光ちゃんなら分かってくれると、信じています。  信じていますからね。 528 雨のジュウ様監視もとい観察日記 3/7 sage 2007/12/09(日) 01:29:47 ID:9yAi9fgZ ×月×日  今日は監視カメラの画像を見ながら書いています。あの母親がまたジュウ様に手を上げるなどという大罪を犯したときに、すぐに飛んでいけるように設置しておいたものが、いろいろと役に立ってくれています。  そろそろ、円がジュウ様にDVDを貸しにやって来る時間です。画面に映っているのは、ジュウ様の家の玄関。円がやって来る時間は、学校でジュウ様に確認済みです。円とジュウ様の間に何もあるはずはありませんが、念のためです。  ああ、やって来ました。ジュウ様が玄関でDVDを受け取り、円はそのまま帰り  いけません。目の前で起こっていることが信じられず画像に夢中になるあまり、記録がおそろかになってしまうところでした。  でもなぜ、ジュウ様の家のリビングの映像に円が映っているのでしょう。なぜ、ジュウ様とソファに並んで座ってDVDを観ているのでしょう。  ジュウ様は、そんなDVDには本当はあまり興味がないのです。借りたからすぐに観ないといけないなどという法もありません。暇な、本当に暇なときにでも、時間つぶしに観ればよいのです。  その時に退屈しのぎに会話の相手が必要なら、円などよりもわたしにお声がかかるはずなのです。あのアニメについてなら、わたしだって優に三日はぶっつづけで語れる自信があります。決して寝かしたりなどしませんよジュウ様。  ほらジュウ様、円などと観ているから少し眠たそうではありませんか。ああ、うつらうつらしています。体が傾いて、ジュウ様そちらはだめですああ良かったそうそちらの方へ  シャーペンが折れていましたので取り替えました。いつの間に折れたのでしょう。  いえ、今はそんなことより、一大事です。ジュウ様が、円に寄りかかって眠っておられます。ジュウ様が眠りに落ちる瞬間、円がソファの上で微妙に自分の体重を移動させて、ジュウ様の倒れる方向を操作したのです。  ……肩枕。いいですね、肩枕。わたしもまだしてさしあげたことがない肩枕。  少し目を離していた隙に、こんなに円との距離が近づいてしまうなんて、わたし、思いませんでした。ええ、思いませんでしたとも……。  しかも、ジュウ様の目を覚まさないよう、細心の注意を払ってジュウ様が倒れ込んできたのを柔らかく受け止めていましたね。最初の体重移動は微妙すぎて、さすがのわたしも少々判断に迷ったのですが、おかげで偶然ではないとはっきり確信できました。  そう思って観察すると、いつものポーカーフェイスのようでいて、ほんの少し唇の端が上がっていませんか? 頬に僅かに紅が差していませんか? 目尻が微かに下がっていませんか? わたしの目はごまかせませんよ円。  それにしても、貴女の含羞んだ表情をこの目で見られる日が来るなんて、人間長生きはしてみるものです。  わたしの親友、円堂円。そのうちに腹を割って話す必要がありそうです。まずは貴女の腹を実際に割ってみるところから始めてもいいですね。いえ別に、どこかのゲームみたいに、貴女のお腹の中に何かあるなどと疑っている訳ではありませんよ?  ジュウ様の貞操はわたしが日夜お守りしているのですから、そんなことなどありえません。 529 雨のジュウ様監視もとい観察日記 4/7 sage 2007/12/09(日) 01:31:08 ID:9yAi9fgZ  ああ、ジュウ様が目を覚まされました。円の肩から頭を持ち上げて、ちょっとびっくりした表情をしておられます。そうでしょうとも。とっとと離れて下さい。  円は平静な顔ですが、かすかに舌打ちしたのが聞こえました。寝起きのジュウ様はお気付きにならなかったでしょうが、わたしの記憶にはしっかり刻み込みましたよ円堂円。  ああ、そろそろDVDも終わりです。あのうジュウ様、円なんかに気を遣って、小さい頃の思い出話なんて始めなくてもよいのです。こんなに遅い時間なのですから、円もさっさと帰りたいはずです。  円がちょっと目を細めて熱心に聴いているように見えるのも、そのふりをしているだけなのに決まっています。男嫌いの円が、男の子の話を面白がるはずなどある訳がないではありませんか。  いえ、ジュウ様の話は面白いです。どのキャラのファンかで友達とケンカになって負けて泣きべそをかいた話などは、特にぐっと来ました。そこにわたしが居たら、ジュウ様を泣かした不逞の輩など、とっくの昔に短い生涯を終えることになっていたでしょうに。  そしてそのあと、幼いジュウ様を慰めて涙を拭ってあげたり。ああ、考えただけでぞくぞくしてきます。  だからジュウ様、ジュウ様のお話の真の価値はわたしが一番良く分かるのです。わたししか分からないのです。わたしだけが伺えばよいのです。円などには豚に真珠猫に小判ですから、勿体ないのでもう止めてください。  よし、DVDが終わりました。さあ円が帰ります。立ち上がってジュウ様に別れを  またシャーペンが折れていました。どうもこのごろはすべからく、安かろう悪かろうで困ったものです。単に文字を書いているだけなのに割れ目が入ってしまうなんて、よほど粗悪な材料を使っているのでしょうか。まあ、今この状況ではどうでもよいことです。  台所のカメラの映像の中で、ジュウ様と円が並んで流しの前に立っています。優しいジュウ様の社交辞令を、常識のかけらもない円が額面どおりに受け取って、この有様です。ぶぶ漬け食べていきなはれと言われたら大人しく去るのが人の道というものですよ円堂円。  ですからジュウ様、お好みの料理のことなど円に話される必要はありません。わたしだけに教えて下ればよいのです。円にしても、ジュウ様から畏れ多くもレシピを教えていただくなんて、中学の家庭科が全滅だった空手バカの貴女がそれでどうしようというのですか。  もし貴女がこしらえた毒物をジュウ様に摂取させようとでもいうのでしたら、こちらにも考えがあります。覚悟した方がよいですよ円堂円。  ほら結局、ほとんどジュウ様が作ってしまわれたではないですか。だから、貴女など役に立つはずがないとあれほど。ジュウ様の手料理に変な手出しをすることはまかりなりません。そう、ジュウ様の手料理にああジュウ様の手料理それにジュウ様のエプロン姿 530 雨のジュウ様監視もとい観察日記 5/7 sage 2007/12/09(日) 01:32:14 ID:9yAi9fgZ  日記の上に鼻血を垂らしてしまいましたので、ページを改めます。  それにしても最近のシャーペンは本当に脆いですね。なんだってこうも次々と折れてしまうのでしょう。仕方がないので頑丈な万年筆を使うことにしましたが、今はそれどころではありません。  ジュウ様の手料理。手料理。それをジュウ様と円が。一緒にいただきますとか。あら柔沢くん意外と美味しいじゃない料理上手なのねとか。そんなことねえよ普通だろとか。なんですかその仲睦まじげな会話は。  頭がぐるぐるしてきました。  え。ジュウ様。今なんとおっしゃいました。雪姫も。ホットケーキを。ジュウ様が焼いて。雪姫がぶんどって食べて。そのまま寝て。  ということは。ジュウ様の手料理を。いただいていないのは。わたしだけ。  わたし。だけ。  そんなバカなことがなんてことどうしてわたしだけがどうしてどうしてどうして  気付いたら、すでに円は帰ってしまった後でした。わたしとしたことが、あまりの衝撃の事実に我を忘れて茫然としていたなんて。その間にジュウ様に何もなかったのだとよいのですが。従者失格です。  この失意は、浴室のカメラ映像で癒すことにしましょう。ジュウ様、そろそろシャワーのお時間ですよ。  大丈夫、万年筆はなぜか四つにへし折れて床に転がっておりましたけれど、このボールペンは書き味がとても良いのです。余すところなく全てを記録することができますから、いつでも始めて下さい。  それにしても円堂円。今日の貴女は、イエローカード3枚です。一気に累積5枚です。最初はピッチに立つそぶりも見せなかったので、油断していました。  ナニもぶち込まれないようにがちがちにガードを固めるだけのキーパーなんですから、大人しく自陣に引きこもっていなさい。勝手に予想外の攻め上りを見せるばかりか、そのまま敵陣エリア内に留まるなんてことをしてはいけません。  これはどうやら、次節出場停止だけでは処分が甘すぎるようです。3ヶ月ほど試合禁止とか、そういったレベルでしょう。ああ、怪我で半年間欠場とか、そういうことも起こりますね世の中では。気を付けた方がよいですよ円。親友として心からの忠告です。  貴女に聞く耳があればですが。なくても、わたしは全然構いませんけれど。 531 雨のジュウ様監視もとい観察日記 6/7 sage 2007/12/09(日) 01:33:16 ID:9yAi9fgZ △月△日  今日は休日なので遅くまで寝ていようと思っていたら、アラーム音で目が覚めました。ジュウ様の家に誰かが電話してきたのです。電話機に盗聴器を仕掛けて置いたのが役に立ちました。  ジュウ様に関する限り寝起きのよいわたしが、すぐさまイヤホンを耳にすると、流れてきたのは雪姫の声でした。強引にジュウ様を誘いだす雪姫に、ジュウ様もさんざん抵抗はされたのですが、結局折れてしまって、一緒に出かける約束をしてしまわれました。  雪姫。貴女はいちど、他人の迷惑ということを真剣に考えてみた方がよいです。何ならこのわたしが、貴女の皺の少なそうな脳味噌に直接そのことを擦り込んで差し上げましょうか。  当然ながら、わたしも同行することにしました。二人の背後に、影のように付き添いながら。主に余計な配慮をさせないように、ひっそりと。従者としては当たり前のことです。  ただ残念なことに、ジュウ様の衣服に盗聴器を仕込んであったのですが、雪姫の指がジュウ様の周囲をしきりに舞ったかと思うと、全て機能を停止しました。二人が立ち去った後の地面の上に、真っ二つになった盗聴器がいくつも散らばっているのを確認。  さすが雪姫。斬島の名は伊達ではありません。指の間にカミソリかカッターの刃でも仕込んでいましたか。二人の会話を捕捉できないのは困ったものですが、やむをえません。そのまま護衛任務を続行しました。  それにしても雪姫。その恰好はどんなものでしょう。奇天烈とまではいいませんが、いつの時代の衣装ですかそれは。ジュウ様も困惑しておられたではありませんか。  ああもういったい何ですか。不満げに頬を膨らませたかと思えば、非常に嬉しそうににこにこするなんて。何を話しているのか、気になって仕方なかったではありませんか。  それに雪姫。もしかして、わたしに気付いていましたか? 幾度か、挑戦的な視線がこちらに投げてよこされたように思えたのは、わたしの気のせいですか?  だいたい雪姫。あんな露出の多い衣装を試着してジュウ様の気を引こうなどと、不届き千万です。高潔なジュウ様が目のやりどころに困っておられたではありませんか。ちょっとばかり人より出るところが出ているからといって、図に乗ってはいけません。  いつぞや二人でメイドの恰好をしたとき、ジュウ様の視線がもっぱらわたしに注がれていたのを、もう忘れましたか? ジュウ様の好みは、控えめな子なのです。性格も体型も。例えばわたしのような。あくまで、例えばの話ですけれど。 532 雨のジュウ様監視もとい観察日記 7/7 sage 2007/12/09(日) 01:34:27 ID:9yAi9fgZ  それにしても雪姫。楽しそうでしたね嬉しそうでしたね浮かれてましたね良かったですねジュウ様と一緒に街を歩くことができて。盗聴器はなくとも、唇の動きは読めるのですよ。「二人っきりでデート」とか、そんなことまで口走っていましたね。  貴女はいつでも躁いでいるように見えますが、本当は冷静な人間です。そんな貴女が、あんな風に気持ちを上下させるのは、ジュウ様の前にいる時だけですね。  貴女がジュウ様に会ってどんなに変わったか。自分でもそれなりに分かっているつもりでしょうが、わたしから見ればまだまだ自覚が足りません。自分自身に戸惑っている斬島雪姫は可愛いです。貴女を可愛く感じることがあるなど、思ってもみませんでしたが。  でも雪姫。ジュウ様は貴女になど興味はありません。だから、途中で機嫌が悪くなったのでしょう? うわべは変わらず笑っていたけれど、わたしはごまかせません。ジュウ様から何を言われたか存じませんが、なにげにジュウ様に一発入れてもいましたね。  ジュウ様に危害を加えたら命はない、と言っておいたはずですね?  まあいいでしょう。今回は特に何もなく済んだようですから。別れ際に「雨には内緒ねっ」とか「また二人きりでねっ」とかそんなこともぬかしていたようですが、わたしは別段気にしていません。  貴女がジュウ様とどうにかなるなど、天地がひっくり返ってもありえないのですから。いつだったかジュウ様が雪姫と付き合っているなどと言い出したときも、ちょっと、ええほんのちょっとだけ、やきもきしたりもしましたが、結局はお芝居でしたからね。  ジュウ様のお相手には、もっと相応しい人がいるはずです。例えば誰のような、とは申しませんが。  それでも雪姫。今日はレッドカードものです。累積も12枚です。ちょっとカレーにアサガオの種の粉が入っていたり、実家に匿名で善意の電話連絡があって呼び戻されたりと、二度も出場停止処分を受けたというのに、反省の色というものが一切見えませんね貴女には。  これはそろそろ、わたしも本気になっていろいろ考えねばならない潮時ということでしょうか。仮にも親友たるもの、やはり遠慮も会釈も仁義も人情も躊躇も容赦もなく本音で付き合わなければならないものなのですね。  ジュウ様。どうぞご安心ください。わたしは忠実な僕として、いつでも貴方様を見守っております。ジュウ様、とわたし、の平穏に仇なす者は、なんぴとたりとも容赦いたしません。わたしが必ずや排除いたします。  はい。二人の前世の縁に誓って。なんぴとたりとも。 .
雨のジュウ様監視もとい観察日記 -作者 2スレ525 -投下スレ 2スレ -レス番 525-532 -備考 電波 小ネタ 525 名無しさん@ピンキー sage 2007/12/09(日) 01:26:26 ID:9yAi9fgZ 512を読んでいて受信した毒電波をどうしても遮断できなかったので、 これより信号ログを投下。 シチュエーションを勝手に拝借したことについては申し訳ない。というか、 妄想のネタをありがとう。 雨が明らかに原作準拠でないので、原作のイメージを大事にしたい人は 読まぬが吉。 526 雨のジュウ様監視もとい観察日記 1/7 sage 2007/12/09(日) 01:27:04 ID:9yAi9fgZ ○月○日  今日は光ちゃんにイエローカード1枚。累積4枚です。  どうも最近、様子が変でした。朝はいつもより早く家を出ていくし、帰りは妙に遅いのです。わたしを起こすのが大の楽しみのはずだったのに、それもさぼりがちになっていましたし。そのことを指摘してみたら、それとなく話題をそらしたりしましたね。  もしやと思って、今朝あとをつけてみたら案の定、向かったのはジュウ様の家の近くでした。交差点で物陰に隠れながら何か呟いていましたので、唇を読んでみましたところ、 「落ち着けあたし最初は偶然を装うのよそれであたしがなんでこんなところにいるか問いつめられたら何よあんたに会いにきたのよなんか文句あんのってそしたらあいつがえっもしかしてお前俺のこととか言っちゃってきゃあー!」とかなんとか。  人目もはばからず、真っ赤になった頬を両手で挟んで頭を左右に振り回していた可愛い光ちゃん。あまりに可愛いので食べてしまいたいくらいでした。ええ本当に。文字通り、頭からばりばりと。  残念ながらわたしがそれを実行に移す前にジュウ様が来られたので、光ちゃんは勢いよく飛び出していったのですが、二、三言葉を交わしただけで、ジュウ様はそのまま一人で学校へ向かってしまわれました。残念でしたね光ちゃん。  ただね光ちゃん。世の中には、未遂罪というものもあるのです。知っていますか? まあ、もし学校で習っていなくても大丈夫ですよ。そのうちに、お姉ちゃんがちゃんときっちり骨身に沁みるまで教えてあげますからね。 527 雨のジュウ様監視もとい観察日記 2/7 sage 2007/12/09(日) 01:28:43 ID:9yAi9fgZ  今日のところはそっとしておいてあげても良かったのですが、せっかくなので、ジュウ様の後ろ姿を見送りながらがっくり肩を落とす光ちゃんの背後5センチのところまで音もなく近づいて、声をかけてみました。  無駄な努力に一生懸命な光ちゃんを可哀想と思わなかった訳ではありませんけれど、姉としてはやはり、登下校時の寄り道は良くないと諭してあげるのが義務ですから。  どうでもいいですけど光ちゃん、全身を強張らせて膝をかくかくさせながら、首だけ180度回転させて真っ青にひきつった半泣きの顔を見せることができるなんて、ホラー女優としての才能があるんじゃないでしょうか。  でもね光ちゃん、お姉ちゃんのことをまるで幽霊みたいに「ででで出たあ」なんて、それはちょっとどうかと思います。貴女は大事な大事な妹なのですから、お姉ちゃんはいつも貴女の側にいますよ? 貴女がジュウ様のまわりをうろうろしているような時は特に。  けっこう傷ついたので何も言わずにじっと光ちゃんを見つめていたら、どんどん血の気が失せていったかと思うと、驚いたことに、いきなりばったり倒れて気絶してしまいました。  だから、貧血を起こしたりしないよう朝ご飯はちゃんと食べなさいっていつも言っているじゃないですか。いけない光ちゃん。本当にいけない子。  ですから、明日からは途中まで光ちゃんと一緒に行くことにしました。光ちゃんが寄り道をしないよう、中学校へ向かうのをしっかり見届けてから、そのあとはジュウ様と合流することにしましょう。完璧です。一石二鳥です。  これで、光ちゃんが累計5枚で次節出場停止になることも、当分は避けられます。良かったですね光ちゃん。わたしも実の妹に厳しい処分を下したくはないですから。  光ちゃん。貴女はあの、なんといったか名前など憶えていませんが、背が高くてイケメンで頭が良くてケンカが強くて女の子に優しい男の子と、ふつうに青春していればよいのです。お姉ちゃんからの心からの忠告です。光ちゃんなら分かってくれると、信じています。  信じていますからね。 528 雨のジュウ様監視もとい観察日記 3/7 sage 2007/12/09(日) 01:29:47 ID:9yAi9fgZ ×月×日  今日は監視カメラの画像を見ながら書いています。あの母親がまたジュウ様に手を上げるなどという大罪を犯したときに、すぐに飛んでいけるように設置しておいたものが、いろいろと役に立ってくれています。  そろそろ、円がジュウ様にDVDを貸しにやって来る時間です。画面に映っているのは、ジュウ様の家の玄関。円がやって来る時間は、学校でジュウ様に確認済みです。円とジュウ様の間に何もあるはずはありませんが、念のためです。  ああ、やって来ました。ジュウ様が玄関でDVDを受け取り、円はそのまま帰り  いけません。目の前で起こっていることが信じられず画像に夢中になるあまり、記録がおそろかになってしまうところでした。  でもなぜ、ジュウ様の家のリビングの映像に円が映っているのでしょう。なぜ、ジュウ様とソファに並んで座ってDVDを観ているのでしょう。  ジュウ様は、そんなDVDには本当はあまり興味がないのです。借りたからすぐに観ないといけないなどという法もありません。暇な、本当に暇なときにでも、時間つぶしに観ればよいのです。  その時に退屈しのぎに会話の相手が必要なら、円などよりもわたしにお声がかかるはずなのです。あのアニメについてなら、わたしだって優に三日はぶっつづけで語れる自信があります。決して寝かしたりなどしませんよジュウ様。  ほらジュウ様、円などと観ているから少し眠たそうではありませんか。ああ、うつらうつらしています。体が傾いて、ジュウ様そちらはだめですああ良かったそうそちらの方へ  シャーペンが折れていましたので取り替えました。いつの間に折れたのでしょう。  いえ、今はそんなことより、一大事です。ジュウ様が、円に寄りかかって眠っておられます。ジュウ様が眠りに落ちる瞬間、円がソファの上で微妙に自分の体重を移動させて、ジュウ様の倒れる方向を操作したのです。  ……肩枕。いいですね、肩枕。わたしもまだしてさしあげたことがない肩枕。  少し目を離していた隙に、こんなに円との距離が近づいてしまうなんて、わたし、思いませんでした。ええ、思いませんでしたとも……。  しかも、ジュウ様の目を覚まさないよう、細心の注意を払ってジュウ様が倒れ込んできたのを柔らかく受け止めていましたね。最初の体重移動は微妙すぎて、さすがのわたしも少々判断に迷ったのですが、おかげで偶然ではないとはっきり確信できました。  そう思って観察すると、いつものポーカーフェイスのようでいて、ほんの少し唇の端が上がっていませんか? 頬に僅かに紅が差していませんか? 目尻が微かに下がっていませんか? わたしの目はごまかせませんよ円。  それにしても、貴女の含羞んだ表情をこの目で見られる日が来るなんて、人間長生きはしてみるものです。  わたしの親友、円堂円。そのうちに腹を割って話す必要がありそうです。まずは貴女の腹を実際に割ってみるところから始めてもいいですね。いえ別に、どこかのゲームみたいに、貴女のお腹の中に何かあるなどと疑っている訳ではありませんよ?  ジュウ様の貞操はわたしが日夜お守りしているのですから、そんなことなどありえません。 529 雨のジュウ様監視もとい観察日記 4/7 sage 2007/12/09(日) 01:31:08 ID:9yAi9fgZ  ああ、ジュウ様が目を覚まされました。円の肩から頭を持ち上げて、ちょっとびっくりした表情をしておられます。そうでしょうとも。とっとと離れて下さい。  円は平静な顔ですが、かすかに舌打ちしたのが聞こえました。寝起きのジュウ様はお気付きにならなかったでしょうが、わたしの記憶にはしっかり刻み込みましたよ円堂円。  ああ、そろそろDVDも終わりです。あのうジュウ様、円なんかに気を遣って、小さい頃の思い出話なんて始めなくてもよいのです。こんなに遅い時間なのですから、円もさっさと帰りたいはずです。  円がちょっと目を細めて熱心に聴いているように見えるのも、そのふりをしているだけなのに決まっています。男嫌いの円が、男の子の話を面白がるはずなどある訳がないではありませんか。  いえ、ジュウ様の話は面白いです。どのキャラのファンかで友達とケンカになって負けて泣きべそをかいた話などは、特にぐっと来ました。そこにわたしが居たら、ジュウ様を泣かした不逞の輩など、とっくの昔に短い生涯を終えることになっていたでしょうに。  そしてそのあと、幼いジュウ様を慰めて涙を拭ってあげたり。ああ、考えただけでぞくぞくしてきます。  だからジュウ様、ジュウ様のお話の真の価値はわたしが一番良く分かるのです。わたししか分からないのです。わたしだけが伺えばよいのです。円などには豚に真珠猫に小判ですから、勿体ないのでもう止めてください。  よし、DVDが終わりました。さあ円が帰ります。立ち上がってジュウ様に別れを  またシャーペンが折れていました。どうもこのごろはすべからく、安かろう悪かろうで困ったものです。単に文字を書いているだけなのに割れ目が入ってしまうなんて、よほど粗悪な材料を使っているのでしょうか。まあ、今この状況ではどうでもよいことです。  台所のカメラの映像の中で、ジュウ様と円が並んで流しの前に立っています。優しいジュウ様の社交辞令を、常識のかけらもない円が額面どおりに受け取って、この有様です。ぶぶ漬け食べていきなはれと言われたら大人しく去るのが人の道というものですよ円堂円。  ですからジュウ様、お好みの料理のことなど円に話される必要はありません。わたしだけに教えて下ればよいのです。円にしても、ジュウ様から畏れ多くもレシピを教えていただくなんて、中学の家庭科が全滅だった空手バカの貴女がそれでどうしようというのですか。  もし貴女がこしらえた毒物をジュウ様に摂取させようとでもいうのでしたら、こちらにも考えがあります。覚悟した方がよいですよ円堂円。  ほら結局、ほとんどジュウ様が作ってしまわれたではないですか。だから、貴女など役に立つはずがないとあれほど。ジュウ様の手料理に変な手出しをすることはまかりなりません。そう、ジュウ様の手料理にああジュウ様の手料理それにジュウ様のエプロン姿 530 雨のジュウ様監視もとい観察日記 5/7 sage 2007/12/09(日) 01:32:14 ID:9yAi9fgZ  日記の上に鼻血を垂らしてしまいましたので、ページを改めます。  それにしても最近のシャーペンは本当に脆いですね。なんだってこうも次々と折れてしまうのでしょう。仕方がないので頑丈な万年筆を使うことにしましたが、今はそれどころではありません。  ジュウ様の手料理。手料理。それをジュウ様と円が。一緒にいただきますとか。あら柔沢くん意外と美味しいじゃない料理上手なのねとか。そんなことねえよ普通だろとか。なんですかその仲睦まじげな会話は。  頭がぐるぐるしてきました。  え。ジュウ様。今なんとおっしゃいました。雪姫も。ホットケーキを。ジュウ様が焼いて。雪姫がぶんどって食べて。そのまま寝て。  ということは。ジュウ様の手料理を。いただいていないのは。わたしだけ。  わたし。だけ。  そんなバカなことがなんてことどうしてわたしだけがどうしてどうしてどうして  気付いたら、すでに円は帰ってしまった後でした。わたしとしたことが、あまりの衝撃の事実に我を忘れて茫然としていたなんて。その間にジュウ様に何もなかったのだとよいのですが。従者失格です。  この失意は、浴室のカメラ映像で癒すことにしましょう。ジュウ様、そろそろシャワーのお時間ですよ。  大丈夫、万年筆はなぜか四つにへし折れて床に転がっておりましたけれど、このボールペンは書き味がとても良いのです。余すところなく全てを記録することができますから、いつでも始めて下さい。  それにしても円堂円。今日の貴女は、イエローカード3枚です。一気に累積5枚です。最初はピッチに立つそぶりも見せなかったので、油断していました。  ナニもぶち込まれないようにがちがちにガードを固めるだけのキーパーなんですから、大人しく自陣に引きこもっていなさい。勝手に予想外の攻め上りを見せるばかりか、そのまま敵陣エリア内に留まるなんてことをしてはいけません。  これはどうやら、次節出場停止だけでは処分が甘すぎるようです。3ヶ月ほど試合禁止とか、そういったレベルでしょう。ああ、怪我で半年間欠場とか、そういうことも起こりますね世の中では。気を付けた方がよいですよ円。親友として心からの忠告です。  貴女に聞く耳があればですが。なくても、わたしは全然構いませんけれど。 531 雨のジュウ様監視もとい観察日記 6/7 sage 2007/12/09(日) 01:33:16 ID:9yAi9fgZ △月△日  今日は休日なので遅くまで寝ていようと思っていたら、アラーム音で目が覚めました。ジュウ様の家に誰かが電話してきたのです。電話機に盗聴器を仕掛けて置いたのが役に立ちました。  ジュウ様に関する限り寝起きのよいわたしが、すぐさまイヤホンを耳にすると、流れてきたのは雪姫の声でした。強引にジュウ様を誘いだす雪姫に、ジュウ様もさんざん抵抗はされたのですが、結局折れてしまって、一緒に出かける約束をしてしまわれました。  雪姫。貴女はいちど、他人の迷惑ということを真剣に考えてみた方がよいです。何ならこのわたしが、貴女の皺の少なそうな脳味噌に直接そのことを擦り込んで差し上げましょうか。  当然ながら、わたしも同行することにしました。二人の背後に、影のように付き添いながら。主に余計な配慮をさせないように、ひっそりと。従者としては当たり前のことです。  ただ残念なことに、ジュウ様の衣服に盗聴器を仕込んであったのですが、雪姫の指がジュウ様の周囲をしきりに舞ったかと思うと、全て機能を停止しました。二人が立ち去った後の地面の上に、真っ二つになった盗聴器がいくつも散らばっているのを確認。  さすが雪姫。斬島の名は伊達ではありません。指の間にカミソリかカッターの刃でも仕込んでいましたか。二人の会話を捕捉できないのは困ったものですが、やむをえません。そのまま護衛任務を続行しました。  それにしても雪姫。その恰好はどんなものでしょう。奇天烈とまではいいませんが、いつの時代の衣装ですかそれは。ジュウ様も困惑しておられたではありませんか。  ああもういったい何ですか。不満げに頬を膨らませたかと思えば、非常に嬉しそうににこにこするなんて。何を話しているのか、気になって仕方なかったではありませんか。  それに雪姫。もしかして、わたしに気付いていましたか? 幾度か、挑戦的な視線がこちらに投げてよこされたように思えたのは、わたしの気のせいですか?  だいたい雪姫。あんな露出の多い衣装を試着してジュウ様の気を引こうなどと、不届き千万です。高潔なジュウ様が目のやりどころに困っておられたではありませんか。ちょっとばかり人より出るところが出ているからといって、図に乗ってはいけません。  いつぞや二人でメイドの恰好をしたとき、ジュウ様の視線がもっぱらわたしに注がれていたのを、もう忘れましたか? ジュウ様の好みは、控えめな子なのです。性格も体型も。例えばわたしのような。あくまで、例えばの話ですけれど。 532 雨のジュウ様監視もとい観察日記 7/7 sage 2007/12/09(日) 01:34:27 ID:9yAi9fgZ  それにしても雪姫。楽しそうでしたね嬉しそうでしたね浮かれてましたね良かったですねジュウ様と一緒に街を歩くことができて。盗聴器はなくとも、唇の動きは読めるのですよ。「二人っきりでデート」とか、そんなことまで口走っていましたね。  貴女はいつでも躁いでいるように見えますが、本当は冷静な人間です。そんな貴女が、あんな風に気持ちを上下させるのは、ジュウ様の前にいる時だけですね。  貴女がジュウ様に会ってどんなに変わったか。自分でもそれなりに分かっているつもりでしょうが、わたしから見ればまだまだ自覚が足りません。自分自身に戸惑っている斬島雪姫は可愛いです。貴女を可愛く感じることがあるなど、思ってもみませんでしたが。  でも雪姫。ジュウ様は貴女になど興味はありません。だから、途中で機嫌が悪くなったのでしょう? うわべは変わらず笑っていたけれど、わたしはごまかせません。ジュウ様から何を言われたか存じませんが、なにげにジュウ様に一発入れてもいましたね。  ジュウ様に危害を加えたら命はない、と言っておいたはずですね?  まあいいでしょう。今回は特に何もなく済んだようですから。別れ際に「雨には内緒ねっ」とか「また二人きりでねっ」とかそんなこともぬかしていたようですが、わたしは別段気にしていません。  貴女がジュウ様とどうにかなるなど、天地がひっくり返ってもありえないのですから。いつだったかジュウ様が雪姫と付き合っているなどと言い出したときも、ちょっと、ええほんのちょっとだけ、やきもきしたりもしましたが、結局はお芝居でしたからね。  ジュウ様のお相手には、もっと相応しい人がいるはずです。例えば誰のような、とは申しませんが。  それでも雪姫。今日はレッドカードものです。累積も12枚です。ちょっとカレーにアサガオの種の粉が入っていたり、実家に匿名で善意の電話連絡があって呼び戻されたりと、二度も出場停止処分を受けたというのに、反省の色というものが一切見えませんね貴女には。  これはそろそろ、わたしも本気になっていろいろ考えねばならない潮時ということでしょうか。仮にも親友たるもの、やはり遠慮も会釈も仁義も人情も躊躇も容赦もなく本音で付き合わなければならないものなのですね。  ジュウ様。どうぞご安心ください。わたしは忠実な僕として、いつでも貴方様を見守っております。ジュウ様、とわたし、の平穏に仇なす者は、なんぴとたりとも容赦いたしません。わたしが必ずや排除いたします。  はい。二人の前世の縁に誓って。なんぴとたりとも。 .

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