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**先天的女体化ジュウ様
-作者 98
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-レス番 117-121
-備考 電波 TS
117 先天的女体化ジュウ様 sage 2007/03/29(木) 23:22:43 ID:aSVkmxBM
雪姫と付き合う様になって、2ヶ月が過ぎようとしていた。
今日は土曜日で学校が休みなので、ジュウは雪姫の家に遊びに来ていた。
とは言っても、雪姫の家に泊まっていく。という選択肢は殆どなかった。
雪姫の家にも親が居ない為に、気にしなくてもいいよ? とは雪姫に言われたが、彼氏の家に入り浸るというのは、あのろくでなしの母親の様になるみたいで癪だ。という理由で、ジュウが雪姫の家に泊まるという事は殆どなかった。
その代わり、というのだろうか。雪姫の家に朝から遊びに行く事が多く、一緒に昼飯を食べ、午後は散歩か部屋の中で一緒に過ごす。というのが、二人の休日の過ごし方になっていた。
本日は休日で、時刻は12時前。まだまだ成長期らしい彼氏を満腹にするべく、雪姫の家で昼飯を作っているのだが―――
118 先天的女体化ジュウ様 sage 2007/03/29(木) 23:23:25 ID:aSVkmxBM
「ねぇねぇ、まだできないのー?」
「………」
「お腹すいたよーぐぅぐぅだよーペコペコだよー」
「………」
「どの位ペコペコかと言うと、食前なのにジュウちゃんというメインディッシュを――」
「黙って待っていろ。もう少しで出来上がるから」
「ハーイ」
両手をワキワキとさせながら満面の笑顔で近付いて来た雪姫を、険の篭った声と睨みで制する。だが実際には、これ位の事で雪姫が怯む訳が無い。その証拠に、雪姫に堪えた様子はなく。むしろ嬉々とした表情で、自分の椅子に向かっていく。
コイツの場合はただ単に、食事が出来上がるのを待っている間、私が料理に集中するせいで自分に構ってくれなくて退屈なだけなのだ。
それでも食欲は雪姫にとって大切な物であるらしく、たまに自分に構ってくれれば満足――とまではいかないが、我慢位ならばできるらしい。
だが以前、こちらが料理中なのにも関わらず余りに煩く構うものだから、無視を決め込んだ事があった。
その時の報復は酷いもので、オレは口に出すのすら恥ずかしい様な辱めを受け、しかもその時は料理中だったのも併さって辺りが酷い有り様になったものだ。
119 先天的女体化ジュウ様 sage 2007/03/29(木) 23:24:26 ID:aSVkmxBM
だからオレはその時の教訓を胸に、調理中だろうと雪姫との会話だけは最低限交そうと心に決めてあった。
先程もそうだ。あのまま構ってやらなかったら何をされていたか分かったものではない。いや、大体されそうな事は想像がつくのではあるのだが。
そう考えて、その事自体はそれほど不快に思っていない自分に気がついた。口ではあれこれ言いながらも結局の所、自分はやはり雪姫の事が好きなのだ。
だからこそ、自分の手料理をおいしく食べて欲しい為に、料理を作る時は黙って集中していたいのだが。
全く、オレも丸くなったものだ。昔の自分がこの状況を見たら何と思うだろうかな、とジュウが自嘲を含んだ笑みを浮かべながら思った時、背中に視線を感じた。
料理の火加減を確かめてから振り向いてみると、オレをこんな風に変えた原因の張本人がニコニコと笑いながらこちらを見ていた。
120 先天的女体化ジュウ様 sage 2007/03/29(木) 23:25:19 ID:aSVkmxBM
「何を笑っている」
「んー? 僕はただ、台所に立って料理してくれているジュウちゃんも甲斐甲斐しくて可愛いなー、って思ってるだけだよ? これに着ている物が裸エプロンなら――」
「出来上がったぞ。ホラ」
話が雪姫のペースの軌道に乗りそうだった所を、ぶっきらぼうぼうに言い放ちながらドン、と料理を目の前に置く事によって言葉を切らせる。
言葉を遮られた事を気にした様子もなく、雪姫は目の前に置かれた料理を嬉しそうに見る。
「いただきまーす」
そう高らかに宣言すると、やはり嬉しそうに笑いながら、雪姫は食べ物を勢いよく口に運んでいく。
「あまり急ぎすぎるなよ。作った側としては、もうちょっとゆっくり食べて欲しいんだけどな」
「んぅ~? だっふぇ」
「口に物を入れて喋るな」
口一杯に頬張りながら喋る雪姫に注意を促す。
まるで子供そのものみたいなその行動は、雪姫の中性的な顔も相まって実年齢よりも幼く見える。
「……んぐ……んぐ……ごきゅん……だって僕お腹ペコペコだったし。それにジュウが作ってくれた料理ってとっても美味しいからさ、料理が暖かい内に食べちゃいたいんだよ」
121 先天的女体化ジュウ様 sage 2007/03/29(木) 23:26:07 ID:aSVkmxBM
好きな奴から純粋な笑みで、料理が美味しいと言われて嬉しくない筈がなく。オレは少し顔が赤くなったのを誤魔化す様に、料理を口に運ぶ振りをしながら顔をうつむかせ、口を開いた。
「ん……そうか」
「そうだよ」
オレの小さく呟いた言葉にもにこやかに笑いながら返事を返し、雪姫はまた自分の皿に手を出していく。
口に持っていく速さは先程と変わらなかったが、それでも口の中で噛む回数は先程より少し増えたかな、と思う。
なんにしろ、自分が作った料理をこんなにも美味しそうに食べてくれるのなら、こちらも作り甲斐があるというものだ。
雪姫の幸せそうに食べる姿を見て、柔沢ジュウはそう思った。
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