4スレ 129

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129 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:21:17 ID:BVPyjrJx 「し~んくろ~っ!」  放課後、買い物を済ませて五月雨荘へと帰って来た真九郎を迎えたのは五月雨の門に寄りかかるように立つ九鳳院紫の明るい声だった。 「紫?」  小走りに駆け寄ると、紫は嬉しそうな笑顔を浮かべて真九郎にすり寄って来る。 「どうしたんだよいきなり」  約束はしていない。携帯にもやってくると告げるような連絡は入っていなかったはずだが。 「急に会いたくなってな。せっかくだから驚かせてやろうと待ち構えていたのだ!」 「なんだよそりゃ……」  大人びた口調とは裏腹に、やることは年相応に子供じみた紫に少しだけ呆れながら、歩き出す。 「ちょっと待ってて。今部屋を開けるから」  言って鍵を取り出す為に、両手をふさぐ内、片手の買い物袋を下ろす。 「ふむ。部屋まで私が持つぞ!」  鍵を取り出す間に、買い物袋を両手で持ち上げた紫が勝手に歩き出す。  五月雨荘の門から部屋までならば心配するような距離でもないし、下ろした袋には卵や豆腐のような落としていけないような物は入っていない。 「じゃあ、折角だからお願いしようかな?」  頼られた事が嬉しいのか、満面の笑みで紫が頷いてみせる。  扉の前に立った紫に遅れて真九郎は鍵をノブに差し込む。カチャリと小気味良い音をさせて鍵が開く。 「それではどうぞ、姫?」 「んむ」  ちょっとだけふざけながら部屋へと二人で入る。 「そういえば紫?」  冷蔵庫を開けて買ったものをしまいながら問う。  自分の分を持ってきた紫が首を傾げて「なんだ?」と返した。 「今日は晩御飯食べてくのか?」 「あぁ。屋敷のご飯も美味しいが真九郎のご飯が恋しくなってきていたしな」 「あはは。一流シェフと並べなれると肩身が狭いな」  苦笑しながら、今一度冷蔵庫の中身を確かめる。 「う~ん……。急だったしあんまりスゴいのは作れないかな……それでも良い?」 「はんばーぐはっ!?」 「無理」  む~っ、とむくれる紫だったが、すぐに気を取り直したようで、むくれ顔を正した。 「まぁ真九郎のご飯ならなんでも良いぞ。私は寛大なのだ」  真九郎はそんな紫の頭を撫でてやるとせめて少しでも喜んでくれる献立は何かと頭を捻らせ始めた。 130 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:22:33 ID:BVPyjrJx  † † †  真九郎の部屋のチャイムが慣らされたのは夕飯もそろそろ出来上がろうかという頃だった。  さしずめ夕飯の匂いに釣られて環さんが来たのではないかと判断し、ちょうど良い塩梅になった味噌汁の火を止める。 「はい、今出ます!」  扉の向こうの客人に声をかけながら、扉を開く。 「こんばんは。真九郎さん」 「あ……夕乃さん」  想定していなかった相手に一瞬呆気に取られていると、夕乃が手にしたタッパーを掲げて見せた。 「家のお夕飯なんですけど、作り過ぎちゃって」 「それでわざわざ家まで?」 「ええ……ご迷惑でしたか?」 「いや、そんな事はないよ。上がってよ夕乃さん」 「はい」  笑みを浮かべる夕乃を招き入れ、自分は台所に向かう。受け取ったタッパーの中身を暖めようと蓋を開こうとして―― 「なぜお前が!」 「む、紫ちゃん!?」  二人の大声に溜め息を吐くことになった。 「二人ともどうしたのさ? 会うなり大声上げて」 「だって真九郎!」 「せっかく二人きりだと思ったのに!」 「はいはい、とりあえず落ち着こうよ。夕乃さんはご飯食べた?」 「いえ、まだ」 「じゃあ食べていかない?」 「真九郎!」  抗議の声を上げる紫を無視して台所に戻る。出来上がった料理を盛り付けていく。その間にタッパーの中身――煮付けを鍋で暖めてそれもよそる。 「さぁ、出来たから食べよう」 「し・ん・く・ろ・う!」 「うるさくするとご飯食べさせないよ?」 「……う~っ」  ふんっ、と鼻を鳴らして紫が席に着く。 「全く、あんま家の事は……」 「家は関係ない」 「は?」 「一人の女として敵なのだ」  溜め息ひとつ。確かに紫が夕乃を嫌う素振りを見せるのは家云々よりは人間としての部分が理由のようだ。  もっとも、人間として夕乃が嫌われる理由までは分からないが。別に子供受けが悪いわけでもないのだが。 「仕方ありませんね……?」  夕乃が苦笑を向けるのに苦笑で返す。 「そうだね。とりあえずは夕飯かな?」 「ええ」 「真九郎、はやく“いただきます”をするぞ!」 「はいはい」  紫に急かされて真九郎は手を合わせる。 「じゃ、いただきます」 「「いただきます」」  紫と夕乃も返して、夕食が始まった。  † † †  それを紫が言い出したのは夕飯が半分も減った頃だったろうか。 「真九郎、口移しをしてくれ」 「……はい?」 131 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:24:26 ID:BVPyjrJx  思わず箸を取り落としそうになりながら真九郎は問いを返した。 「……なんで?」 「環が言っていたのだ。親しい男女はあ~んをして食べさせあう。そして更に親密になると口移しをするのだと」  あんの害悪女子大生! 「……真九郎さん。ちょっと環さんにご挨拶してきますね?」 「ちょっと待った! 良いから! 俺から言っておくから!」  確かに環には苦情というか報復が必要だが、それをこの一流の武闘家にやらせるわけにはいかない。  相手も一流だけにお互いただでは済まなそうだし。厳しい夕乃だから本当に洒落にならないだろう。 「で、真九郎。口移しは?」 「しない!」 「何故だ! 私達は親密な男女だろう。それこそ口移しするくらいには親密ではないのか!?」 「親密だからって口移しするなんて話は聞いたことがない! 紫は環さんに騙されてるんだよ!」 「……そうなのか?」 「そう」  ふむ、と頷いて紫が引き下がる。 「だから学校のみんなは知らなかったのか」  いやそりゃ知らないだろう。口移しが常識の小学生なんて嫌すぎる。 「と、とりあえずご飯は自分で食べたら? 紫ちゃん」  夕乃が促すが、紫はまた考え込んでしまう。 「……あ~んはどうなのだ?」 「「え?」」  思わず真九郎と夕乃の声が重なる。 「口移しが駄目なのは分かった。しかしあ~んはどうなのだ?」  ……確かに親密な男女はあ~んくらいするだろう。しかしそれをしていいものやら。 「駄目か?」 「……駄目じゃないけどさ」 「駄目です!」 「あ~んはおかしいのか?」 「いやおかしくはないですけど。……私だってしたいですし……」 「そうか!」  言うが早いか紫は真九郎の隣にすり寄ると口を開いた。 「あ~ん」 「う……」  安易に応えてしまったものだと思う。心の準備もままならない内に相対してしまうとやはり照れが先行してしまい、躊躇いが生まれる。 「……あ?」  動かない真九郎に「どうした?」と視線を投げ掛ける紫。こうなっては仕方ないと腹を括るしかないだろう。  おかずの煮付けを取り、紫の口にそっと入れてやる。 「はむ」  むぐむぐと咀嚼する様子を見ながら溜め息を吐く。 「ありがとう真九郎!」 「どういたしまして」  笑いかけて、紫はまた普通の食事に戻っていく。 「……甘やかしすぎなんじゃないですか?」 「はは、そうかな?」 132 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:25:41 ID:BVPyjrJx  夕乃の言葉に苦笑で返して真九郎もまた箸を進める。  しばらく和やかな夕餉が過ぎていく。自分のような者には身に余る幸せだろう。そう感じる。  緩やかな時の流れだった。 「ごちそうさま!」  紫の声にはっと我に返る。気が付けば箸が止まっていた。 「お粗末様。紫迎えは?」 「ん、ちょっと待て」  言って紫は懐から携帯を取り出す。 「……もうすぐ来るな」 「そうなの?」 「ああ」  紫が応えると、部屋のチャイムが鳴らされた。 「来たようだ」  ……この完璧すぎるタイミング。監視されてるって事だよな……。 「見送りはいいからな。……そうだ真九郎」 「ん?」  一度玄関に向けた足を戻して紫が歩み寄ってくる。 「んーっ!」  そのまま抱きつかれた。数秒そうしてから紫は、またな、と言い残して玄関から出て行った。  まるで一連の動作が幻だったんじゃないかと思うほどあっさりと。 「行っちゃいましたね」 「……うん」 「真九郎さん」 「ん?」 「さっきも言いましたけど、紫ちゃんを甘やかし過ぎなんじゃないですか?」 「……甘やかしてるというか一方的に甘えられてる気がするけど」 「大して変わりませんよ。……正直、少し羨ましいですけど」  ふと零した夕乃の言葉に、真九郎は思い当たる事があった。  学校でも、家でも頼られる事の多い彼女は、甘えられる相手がいないのではないかと。  生徒会長として、法月家次期当主として、責任ばかりを被って、誰にも頼れないのではないか。 「……夕乃さん」 「はい?」 「俺で良かったら、甘えてよ」 「え……?」 「年下で、夕乃さんより弱くいし……でも、少しでも気が楽になるんだったら……」 「ふふ」 「……笑うことないでしょう? 確かに頼もしくないだろうけどさ」 「いえ、ごめんなさい。違うんです。真九郎さんは頼もしいです。……嬉しくて」 「……」 「本当に甘えていいんですか?」 「勿論」 「じゃあ」  夕乃が悪戯っぽい笑みを浮かべる。 「あ~ん」 「え!?」  驚き固まる真九郎に、夕乃はむくれた表情を作ってみせる。 「紫ちゃんには出来て、私には出来ないんですか?」 「いやその……」 「甘えさせて……くれないんですか?」  ……その上目遣いは反則だろう。 「分かりました」  緊張しながら、先に紫にしたように煮付けを箸で掴んで差し出す。 「……あ、あ~ん」 「あ~ん」 133 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:27:06 ID:BVPyjrJx  箸が夕乃の口に含まれた瞬間、舌の動きすら箸に伝いに手に感じられ心臓が跳ねる。  紫の時と違うのは、やはり異性として認識しているからだろうか。 「美味しいです」 「作り手が良いからね?」 「お母さんの料理だからじゃないですよ? 真九郎さんが食べさせてくれたからです」  そう言って照れくさそうに笑う夕乃に、真九郎の胸が高鳴る。 「それじゃ、真九郎さん。……あ~ん」 「え?」  差し出された箸に真九郎が硬直する。  食べろと、そう言うのだろうか。 「あ~ん」 「いや、その今は夕乃さんが甘えるんでしょ?」 「あ~ん」 「……」  仕方なく口を開いて少しだけ頭を前に出す。差し込まれた箸が料理を舌に乗せるが正直味など分からないくらいに緊張している。 「美味しいですか?」 「う、うん」 「そう言えば間接キスですよね?」 「んぶふっ!」  危うく吹き出す所をなんとか堪える。 「ゆ、夕乃さん?」 「だって、さっき真九郎さんが使ったのも、今私が使ったのも、自分の箸じゃないですか」  ……そうだった。と言うことは先に間接キスをしたのは自分が原因か。 「なんなら口移しもしてみますか?」 「なっ!? ちょっと夕乃さん冗談にも」 「私なら……いいですよ?」  ――二の句が継げない。  いやちょっと待て。口移しって。間接キスどころか直接のキス吹っ飛ばして口移しって。 「真九郎さんは嫌……ですか?」  いや、いやいやいや。  嫌じゃないけど。そういう問題か? 「口移しで食べさせてくれないですか?」  本気なのか? 何も分からなくなってくる。視界が狭くなる。ただ狭くなった視界には夕乃の唇だけが映って――。 「もっと甘えさせてくれませんか?」 「いいの?」 「はい」 「いや、その口移しがじゃないよ? その……俺が、好きなの?」 「――はい」  言い逃れは出来ない。言い逃れして行為を避けたとして、それは結局夕乃の想いを受け取れないと応えるのと同じだ。  夕乃は行為を盾に聞いているのだ。私の想いを受け取ってくれるかと。  だとしたら――。 「夕乃さん……一度食べさせて」 「……はい」  再び箸が差し出される。それを口に含み、真九郎は夕乃に身体を近付ける。  意志は固まった。覚悟も決めた。  紅真九郎は、法月夕乃を――受け入れる。  そうして、薄く開かれた夕乃の唇に、自分のそれを重ねた。 134 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:28:35 ID:BVPyjrJx 「……ふ」  微かに漏れる吐息を塞いで、軽く咀嚼した料理を流し込む。  少しずつ、少しずつ。それを夕乃が改めて咀嚼し、嚥下する。  夕乃から舌で差し出された分を舌で絡めとり、また咀嚼して真九郎も飲み込む。 「んく、ん」  じわりと滲む唾液を互いの舌で混ぜながらそれも飲み下す。  とうに口の中に料理はない。それでも、貪るように唇を重ね舌を絡める。  熱に浮かされたように一心に互いを求める。 「んぁ……ちゅ。んむっ、ちゅぱ」  時折微かに零れる甘い声と吐息。それすらも吸い取るかのように尚も舌を絡め合う。  気が付けば真九郎は夕乃を押し倒していた。  夕乃を抱き締めながら身体ごと触れあわせる。 「ん……ちゅ。んぁ……」  背中に夕乃の腕が回され、更に密着が深まる。伝わる体温の暖かさが更に真九郎を煽る。 「夕乃さ……」  腕を夕乃の服の中に滑らせる。素肌を伝い、行き着いた先の下着に包まれた夕乃の膨らみを手のひらで包む。  片手には収まりきらないサイズのそれを揉みしだくと、夕乃が切なげな声を漏らして身を捩った。 「ごめん……ちゅ、痛かった?」 「や……違うん……ん、です」  口付けを交わしながら夕乃は答える。 「その……ちゅ、気持ちよくて」  かっ、と頭の中が熱くなった。自分の行為で夕乃が感じてくれている。そう考えると、もっと感じさせたいと思うようになる。 「夕乃さん……ん、もっと……」  抱き寄せて夕乃の身体を浮かし、背に回した手でホックを探り当て外す。そのまま下着の間に出来た隙間に手を差し込む。 「は……ぁ、真九郎さ……ちゅ、しんくろ……ぅんっ、さん」  胸元の膨らみ。それを包む布地の下で自分の手が夕乃に直接触れている。  手のひらにはどこまでも沈み込みそうな柔らかさと心地よい弾力が伝わってきて、真九郎の興奮を更に煽る。 「夕乃さん……下、いい?」  真九郎の問いに頷いて応える。了解を得た真九郎は夕乃の下半身に手を滑らせた。  胸とはまた違う柔らかさの太股を撫でるとくすぐったそうに脚が震える。掌を内股に触れさせるとその震えは一層大きくなった。 「は……ぁ、真九郎さん……ちゅ、んちゅ……」  するすると内股から付け根へと近付けていく。  やがて、下着に包まれた中心に指先が触れる。 「ふ……っんぅ」  夕乃の身体が跳ねる。 「大丈夫?」 「……はい」 135 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:29:33 ID:BVPyjrJx  返事を受けて真九郎は再び夕乃に指先を触れさせる。再び夕乃の身体がびくりと震える。 「ふく……っ、んん……」 「……夕乃さん。我慢しないでいいから」  身体の震えと声を押し殺そうと必死に耐える夕乃の耳元で囁いてやる。 「は……あ……やっ、だって……やぁっ!」  大きく身体を捩りながら、真九郎にしがみついて夕乃が声を上げる。 「はず……か……しいです……っ」 「大丈夫。可愛いよ、夕乃さん」 「あ、やっ、だめっ! そんな……言われたら……っ、ん、んぅうう!」  一際大きく夕乃が身体を跳ねさせる。そのまま深い息を吐いて夕乃が脱力する。しばらく痙攣が止まず、呼吸も荒い夕乃をそっとしておいてやる。  やがて落ち着いた夕乃が、真九郎を抱き締めてきた。 「大好きです。真九郎さん」 「俺も……大好きだよ夕乃さん」  そっと口付けを交わす。優しく、永いキスを終えて唇が離れていく。 「真九郎さん。して……くれますか?」 「うん……」  深いキスを重ねながら、真九郎は自身の硬直した下半身を晒し、それをそっと夕乃の入り口にあてがう。 「……いくよ?」 「はい」  腰を前に押し出す。きつい抵抗を押し分けながら進んでいく。 「夕乃……さ……っ」  熱い。その熱が夕乃の体温だと思うだけで快感は際限なく高まり、剛直は更に硬く、敏感になっていく。  ず、と肉同士が擦れる。潤みきった夕乃のそこでさえ拒絶するように締め付けられる。 「しんくろ……さんが、っはぁ……入って……っ」  互いを強く抱き締め合いながら繋がりを深くしていく。ある所まで進むと抵抗が一気に緩み、根元まで入り込んだ。 「……入った」 「はい……っ、真九郎さんの……奥まで……」  ゆっくりと引き抜いて再び挿入する。先までの抵抗感が嘘のようにスムーズに動く。 「ん……っうぅ」 「……痛い?」 「痛い……です。でも、大丈夫ですから……」  健気に笑う夕乃に、ざわざわとした感情が込み上げてくる。  刷毛で撫でられるような擽ったさ。胸を締め付けるような切なさ。  心の底から愛しかった。 「ごめん……でも、我慢できない」  腰の動きを再開させる。一度奥まで貫く度に達してしまいそうな快感を耐えながら動く。 「夕乃さん……」 「ふ……っ、んぅ、く……っ」  蕩けるような熱さと柔らかい圧迫。絡めとるような肉の動き。  交歓の悦びに身を振るわせながら更に貪欲に貪る。 136 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:30:52 ID:BVPyjrJx  突き上げる度に揺れる胸元を指先で捉え、その柔らかさに陶然となる。  重ねた唇の端から涎が垂れれば舌先ですくい取りまた口内を行き来させる。  全てが溶け合いそうな中で、下半身の脈動が大きくなり限界が近いことを告げる。 「夕乃さん……もう少しだから」  未だ苦痛に耐える夕乃に、頭を撫でながら囁きかける。こくこくと頷くのを見て真九郎は抽送を早めた。 「あ……っ、あくっ! んぅっ!」 「夕乃さん……っ!」  ――爆ぜる。身体の奥から熱が奔流となって溢れ出す。  とっさに引き抜いて、真九郎は白濁を夕乃の腹上に撒き散らす。  今までにないほど強く脈動して、大量の精液が夕乃の腹を白く染める。 「……終わったんですか?」 「うん……」  自らに降りかかった精液を指先ですくい取り、弄ぶ。 「これが……真九郎さんの……」 「……そうだよ」 「なんだか不思議。これが赤ちゃんの元なんですよね」  夕乃がくすっと笑う。真九郎もつられて笑って、どちらからともなく口付けた。  抱き締め合いながら、夕乃が真九郎の耳元で囁く。 「いつかは……中に下さいね?」 「うん」  満たされる。どうしようもなく。  身に余る程に幸せだった。諦めていた幸せがここにあった。愛している人がいて、愛してくれる人がいる。  それのどんなにかけがえのないことか。 「大好きだよ、夕乃さん。愛してる」 「……私も、です」  失いたくない。そう願って抱き締める。互いが互いを捕らえるかのように、抱き締め合う。  この幸せよいつまでも、そう願って。  了
129 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:21:17 ID:BVPyjrJx 「し~んくろ~っ!」  放課後、買い物を済ませて五月雨荘へと帰って来た真九郎を迎えたのは五月雨の門に寄りかかるように立つ九鳳院紫の明るい声だった。 「紫?」  小走りに駆け寄ると、紫は嬉しそうな笑顔を浮かべて真九郎にすり寄って来る。 「どうしたんだよいきなり」  約束はしていない。携帯にもやってくると告げるような連絡は入っていなかったはずだが。 「急に会いたくなってな。せっかくだから驚かせてやろうと待ち構えていたのだ!」 「なんだよそりゃ……」  大人びた口調とは裏腹に、やることは年相応に子供じみた紫に少しだけ呆れながら、歩き出す。 「ちょっと待ってて。今部屋を開けるから」  言って鍵を取り出す為に、両手をふさぐ内、片手の買い物袋を下ろす。 「ふむ。部屋まで私が持つぞ!」  鍵を取り出す間に、買い物袋を両手で持ち上げた紫が勝手に歩き出す。  五月雨荘の門から部屋までならば心配するような距離でもないし、下ろした袋には卵や豆腐のような落としていけないような物は入っていない。 「じゃあ、折角だからお願いしようかな?」  頼られた事が嬉しいのか、満面の笑みで紫が頷いてみせる。  扉の前に立った紫に遅れて真九郎は鍵をノブに差し込む。カチャリと小気味良い音をさせて鍵が開く。 「それではどうぞ、姫?」 「んむ」  ちょっとだけふざけながら部屋へと二人で入る。 「そういえば紫?」  冷蔵庫を開けて買ったものをしまいながら問う。  自分の分を持ってきた紫が首を傾げて「なんだ?」と返した。 「今日は晩御飯食べてくのか?」 「あぁ。屋敷のご飯も美味しいが真九郎のご飯が恋しくなってきていたしな」 「あはは。一流シェフと並べなれると肩身が狭いな」  苦笑しながら、今一度冷蔵庫の中身を確かめる。 「う~ん……。急だったしあんまりスゴいのは作れないかな……それでも良い?」 「はんばーぐはっ!?」 「無理」  む~っ、とむくれる紫だったが、すぐに気を取り直したようで、むくれ顔を正した。 「まぁ真九郎のご飯ならなんでも良いぞ。私は寛大なのだ」  真九郎はそんな紫の頭を撫でてやるとせめて少しでも喜んでくれる献立は何かと頭を捻らせ始めた。 130 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:22:33 ID:BVPyjrJx  † † †  真九郎の部屋のチャイムが慣らされたのは夕飯もそろそろ出来上がろうかという頃だった。  さしずめ夕飯の匂いに釣られて環さんが来たのではないかと判断し、ちょうど良い塩梅になった味噌汁の火を止める。 「はい、今出ます!」  扉の向こうの客人に声をかけながら、扉を開く。 「こんばんは。真九郎さん」 「あ……夕乃さん」  想定していなかった相手に一瞬呆気に取られていると、夕乃が手にしたタッパーを掲げて見せた。 「家のお夕飯なんですけど、作り過ぎちゃって」 「それでわざわざ家まで?」 「ええ……ご迷惑でしたか?」 「いや、そんな事はないよ。上がってよ夕乃さん」 「はい」  笑みを浮かべる夕乃を招き入れ、自分は台所に向かう。受け取ったタッパーの中身を暖めようと蓋を開こうとして―― 「なぜお前が!」 「む、紫ちゃん!?」  二人の大声に溜め息を吐くことになった。 「二人ともどうしたのさ? 会うなり大声上げて」 「だって真九郎!」 「せっかく二人きりだと思ったのに!」 「はいはい、とりあえず落ち着こうよ。夕乃さんはご飯食べた?」 「いえ、まだ」 「じゃあ食べていかない?」 「真九郎!」  抗議の声を上げる紫を無視して台所に戻る。出来上がった料理を盛り付けていく。その間にタッパーの中身――煮付けを鍋で暖めてそれもよそる。 「さぁ、出来たから食べよう」 「し・ん・く・ろ・う!」 「うるさくするとご飯食べさせないよ?」 「……う~っ」  ふんっ、と鼻を鳴らして紫が席に着く。 「全く、あんま家の事は……」 「家は関係ない」 「は?」 「一人の女として敵なのだ」  溜め息ひとつ。確かに紫が夕乃を嫌う素振りを見せるのは家云々よりは人間としての部分が理由のようだ。  もっとも、人間として夕乃が嫌われる理由までは分からないが。別に子供受けが悪いわけでもないのだが。 「仕方ありませんね……?」  夕乃が苦笑を向けるのに苦笑で返す。 「そうだね。とりあえずは夕飯かな?」 「ええ」 「真九郎、はやく“いただきます”をするぞ!」 「はいはい」  紫に急かされて真九郎は手を合わせる。 「じゃ、いただきます」 「「いただきます」」  紫と夕乃も返して、夕食が始まった。  † † †  それを紫が言い出したのは夕飯が半分も減った頃だったろうか。 「真九郎、口移しをしてくれ」 「……はい?」 131 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:24:26 ID:BVPyjrJx  思わず箸を取り落としそうになりながら真九郎は問いを返した。 「……なんで?」 「環が言っていたのだ。親しい男女はあ~んをして食べさせあう。そして更に親密になると口移しをするのだと」  あんの害悪女子大生! 「……真九郎さん。ちょっと環さんにご挨拶してきますね?」 「ちょっと待った! 良いから! 俺から言っておくから!」  確かに環には苦情というか報復が必要だが、それをこの一流の武闘家にやらせるわけにはいかない。  相手も一流だけにお互いただでは済まなそうだし。厳しい夕乃だから本当に洒落にならないだろう。 「で、真九郎。口移しは?」 「しない!」 「何故だ! 私達は親密な男女だろう。それこそ口移しするくらいには親密ではないのか!?」 「親密だからって口移しするなんて話は聞いたことがない! 紫は環さんに騙されてるんだよ!」 「……そうなのか?」 「そう」  ふむ、と頷いて紫が引き下がる。 「だから学校のみんなは知らなかったのか」  いやそりゃ知らないだろう。口移しが常識の小学生なんて嫌すぎる。 「と、とりあえずご飯は自分で食べたら? 紫ちゃん」  夕乃が促すが、紫はまた考え込んでしまう。 「……あ~んはどうなのだ?」 「「え?」」  思わず真九郎と夕乃の声が重なる。 「口移しが駄目なのは分かった。しかしあ~んはどうなのだ?」  ……確かに親密な男女はあ~んくらいするだろう。しかしそれをしていいものやら。 「駄目か?」 「……駄目じゃないけどさ」 「駄目です!」 「あ~んはおかしいのか?」 「いやおかしくはないですけど。……私だってしたいですし……」 「そうか!」  言うが早いか紫は真九郎の隣にすり寄ると口を開いた。 「あ~ん」 「う……」  安易に応えてしまったものだと思う。心の準備もままならない内に相対してしまうとやはり照れが先行してしまい、躊躇いが生まれる。 「……あ?」  動かない真九郎に「どうした?」と視線を投げ掛ける紫。こうなっては仕方ないと腹を括るしかないだろう。  おかずの煮付けを取り、紫の口にそっと入れてやる。 「はむ」  むぐむぐと咀嚼する様子を見ながら溜め息を吐く。 「ありがとう真九郎!」 「どういたしまして」  笑いかけて、紫はまた普通の食事に戻っていく。 「……甘やかしすぎなんじゃないですか?」 「はは、そうかな?」 132 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:25:41 ID:BVPyjrJx  夕乃の言葉に苦笑で返して真九郎もまた箸を進める。  しばらく和やかな夕餉が過ぎていく。自分のような者には身に余る幸せだろう。そう感じる。  緩やかな時の流れだった。 「ごちそうさま!」  紫の声にはっと我に返る。気が付けば箸が止まっていた。 「お粗末様。紫迎えは?」 「ん、ちょっと待て」  言って紫は懐から携帯を取り出す。 「……もうすぐ来るな」 「そうなの?」 「ああ」  紫が応えると、部屋のチャイムが鳴らされた。 「来たようだ」  ……この完璧すぎるタイミング。監視されてるって事だよな……。 「見送りはいいからな。……そうだ真九郎」 「ん?」  一度玄関に向けた足を戻して紫が歩み寄ってくる。 「んーっ!」  そのまま抱きつかれた。数秒そうしてから紫は、またな、と言い残して玄関から出て行った。  まるで一連の動作が幻だったんじゃないかと思うほどあっさりと。 「行っちゃいましたね」 「……うん」 「真九郎さん」 「ん?」 「さっきも言いましたけど、紫ちゃんを甘やかし過ぎなんじゃないですか?」 「……甘やかしてるというか一方的に甘えられてる気がするけど」 「大して変わりませんよ。……正直、少し羨ましいですけど」  ふと零した夕乃の言葉に、真九郎は思い当たる事があった。  学校でも、家でも頼られる事の多い彼女は、甘えられる相手がいないのではないかと。  生徒会長として、崩月家次期当主として、責任ばかりを被って、誰にも頼れないのではないか。 「……夕乃さん」 「はい?」 「俺で良かったら、甘えてよ」 「え……?」 「年下で、夕乃さんより弱くいし……でも、少しでも気が楽になるんだったら……」 「ふふ」 「……笑うことないでしょう? 確かに頼もしくないだろうけどさ」 「いえ、ごめんなさい。違うんです。真九郎さんは頼もしいです。……嬉しくて」 「……」 「本当に甘えていいんですか?」 「勿論」 「じゃあ」  夕乃が悪戯っぽい笑みを浮かべる。 「あ~ん」 「え!?」  驚き固まる真九郎に、夕乃はむくれた表情を作ってみせる。 「紫ちゃんには出来て、私には出来ないんですか?」 「いやその……」 「甘えさせて……くれないんですか?」  ……その上目遣いは反則だろう。 「分かりました」  緊張しながら、先に紫にしたように煮付けを箸で掴んで差し出す。 「……あ、あ~ん」 「あ~ん」 133 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:27:06 ID:BVPyjrJx  箸が夕乃の口に含まれた瞬間、舌の動きすら箸に伝いに手に感じられ心臓が跳ねる。  紫の時と違うのは、やはり異性として認識しているからだろうか。 「美味しいです」 「作り手が良いからね?」 「お母さんの料理だからじゃないですよ? 真九郎さんが食べさせてくれたからです」  そう言って照れくさそうに笑う夕乃に、真九郎の胸が高鳴る。 「それじゃ、真九郎さん。……あ~ん」 「え?」  差し出された箸に真九郎が硬直する。  食べろと、そう言うのだろうか。 「あ~ん」 「いや、その今は夕乃さんが甘えるんでしょ?」 「あ~ん」 「……」  仕方なく口を開いて少しだけ頭を前に出す。差し込まれた箸が料理を舌に乗せるが正直味など分からないくらいに緊張している。 「美味しいですか?」 「う、うん」 「そう言えば間接キスですよね?」 「んぶふっ!」  危うく吹き出す所をなんとか堪える。 「ゆ、夕乃さん?」 「だって、さっき真九郎さんが使ったのも、今私が使ったのも、自分の箸じゃないですか」  ……そうだった。と言うことは先に間接キスをしたのは自分が原因か。 「なんなら口移しもしてみますか?」 「なっ!? ちょっと夕乃さん冗談にも」 「私なら……いいですよ?」  ――二の句が継げない。  いやちょっと待て。口移しって。間接キスどころか直接のキス吹っ飛ばして口移しって。 「真九郎さんは嫌……ですか?」  いや、いやいやいや。  嫌じゃないけど。そういう問題か? 「口移しで食べさせてくれないですか?」  本気なのか? 何も分からなくなってくる。視界が狭くなる。ただ狭くなった視界には夕乃の唇だけが映って――。 「もっと甘えさせてくれませんか?」 「いいの?」 「はい」 「いや、その口移しがじゃないよ? その……俺が、好きなの?」 「――はい」  言い逃れは出来ない。言い逃れして行為を避けたとして、それは結局夕乃の想いを受け取れないと応えるのと同じだ。  夕乃は行為を盾に聞いているのだ。私の想いを受け取ってくれるかと。  だとしたら――。 「夕乃さん……一度食べさせて」 「……はい」  再び箸が差し出される。それを口に含み、真九郎は夕乃に身体を近付ける。  意志は固まった。覚悟も決めた。  紅真九郎は、法月夕乃を――受け入れる。  そうして、薄く開かれた夕乃の唇に、自分のそれを重ねた。 134 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:28:35 ID:BVPyjrJx 「……ふ」  微かに漏れる吐息を塞いで、軽く咀嚼した料理を流し込む。  少しずつ、少しずつ。それを夕乃が改めて咀嚼し、嚥下する。  夕乃から舌で差し出された分を舌で絡めとり、また咀嚼して真九郎も飲み込む。 「んく、ん」  じわりと滲む唾液を互いの舌で混ぜながらそれも飲み下す。  とうに口の中に料理はない。それでも、貪るように唇を重ね舌を絡める。  熱に浮かされたように一心に互いを求める。 「んぁ……ちゅ。んむっ、ちゅぱ」  時折微かに零れる甘い声と吐息。それすらも吸い取るかのように尚も舌を絡め合う。  気が付けば真九郎は夕乃を押し倒していた。  夕乃を抱き締めながら身体ごと触れあわせる。 「ん……ちゅ。んぁ……」  背中に夕乃の腕が回され、更に密着が深まる。伝わる体温の暖かさが更に真九郎を煽る。 「夕乃さ……」  腕を夕乃の服の中に滑らせる。素肌を伝い、行き着いた先の下着に包まれた夕乃の膨らみを手のひらで包む。  片手には収まりきらないサイズのそれを揉みしだくと、夕乃が切なげな声を漏らして身を捩った。 「ごめん……ちゅ、痛かった?」 「や……違うん……ん、です」  口付けを交わしながら夕乃は答える。 「その……ちゅ、気持ちよくて」  かっ、と頭の中が熱くなった。自分の行為で夕乃が感じてくれている。そう考えると、もっと感じさせたいと思うようになる。 「夕乃さん……ん、もっと……」  抱き寄せて夕乃の身体を浮かし、背に回した手でホックを探り当て外す。そのまま下着の間に出来た隙間に手を差し込む。 「は……ぁ、真九郎さ……ちゅ、しんくろ……ぅんっ、さん」  胸元の膨らみ。それを包む布地の下で自分の手が夕乃に直接触れている。  手のひらにはどこまでも沈み込みそうな柔らかさと心地よい弾力が伝わってきて、真九郎の興奮を更に煽る。 「夕乃さん……下、いい?」  真九郎の問いに頷いて応える。了解を得た真九郎は夕乃の下半身に手を滑らせた。  胸とはまた違う柔らかさの太股を撫でるとくすぐったそうに脚が震える。掌を内股に触れさせるとその震えは一層大きくなった。 「は……ぁ、真九郎さん……ちゅ、んちゅ……」  するすると内股から付け根へと近付けていく。  やがて、下着に包まれた中心に指先が触れる。 「ふ……っんぅ」  夕乃の身体が跳ねる。 「大丈夫?」 「……はい」 135 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:29:33 ID:BVPyjrJx  返事を受けて真九郎は再び夕乃に指先を触れさせる。再び夕乃の身体がびくりと震える。 「ふく……っ、んん……」 「……夕乃さん。我慢しないでいいから」  身体の震えと声を押し殺そうと必死に耐える夕乃の耳元で囁いてやる。 「は……あ……やっ、だって……やぁっ!」  大きく身体を捩りながら、真九郎にしがみついて夕乃が声を上げる。 「はず……か……しいです……っ」 「大丈夫。可愛いよ、夕乃さん」 「あ、やっ、だめっ! そんな……言われたら……っ、ん、んぅうう!」  一際大きく夕乃が身体を跳ねさせる。そのまま深い息を吐いて夕乃が脱力する。しばらく痙攣が止まず、呼吸も荒い夕乃をそっとしておいてやる。  やがて落ち着いた夕乃が、真九郎を抱き締めてきた。 「大好きです。真九郎さん」 「俺も……大好きだよ夕乃さん」  そっと口付けを交わす。優しく、永いキスを終えて唇が離れていく。 「真九郎さん。して……くれますか?」 「うん……」  深いキスを重ねながら、真九郎は自身の硬直した下半身を晒し、それをそっと夕乃の入り口にあてがう。 「……いくよ?」 「はい」  腰を前に押し出す。きつい抵抗を押し分けながら進んでいく。 「夕乃……さ……っ」  熱い。その熱が夕乃の体温だと思うだけで快感は際限なく高まり、剛直は更に硬く、敏感になっていく。  ず、と肉同士が擦れる。潤みきった夕乃のそこでさえ拒絶するように締め付けられる。 「しんくろ……さんが、っはぁ……入って……っ」  互いを強く抱き締め合いながら繋がりを深くしていく。ある所まで進むと抵抗が一気に緩み、根元まで入り込んだ。 「……入った」 「はい……っ、真九郎さんの……奥まで……」  ゆっくりと引き抜いて再び挿入する。先までの抵抗感が嘘のようにスムーズに動く。 「ん……っうぅ」 「……痛い?」 「痛い……です。でも、大丈夫ですから……」  健気に笑う夕乃に、ざわざわとした感情が込み上げてくる。  刷毛で撫でられるような擽ったさ。胸を締め付けるような切なさ。  心の底から愛しかった。 「ごめん……でも、我慢できない」  腰の動きを再開させる。一度奥まで貫く度に達してしまいそうな快感を耐えながら動く。 「夕乃さん……」 「ふ……っ、んぅ、く……っ」  蕩けるような熱さと柔らかい圧迫。絡めとるような肉の動き。  交歓の悦びに身を振るわせながら更に貪欲に貪る。 136 : ◆WsILX6i4pM :2009/07/07(火) 15:30:52 ID:BVPyjrJx  突き上げる度に揺れる胸元を指先で捉え、その柔らかさに陶然となる。  重ねた唇の端から涎が垂れれば舌先ですくい取りまた口内を行き来させる。  全てが溶け合いそうな中で、下半身の脈動が大きくなり限界が近いことを告げる。 「夕乃さん……もう少しだから」  未だ苦痛に耐える夕乃に、頭を撫でながら囁きかける。こくこくと頷くのを見て真九郎は抽送を早めた。 「あ……っ、あくっ! んぅっ!」 「夕乃さん……っ!」  ――爆ぜる。身体の奥から熱が奔流となって溢れ出す。  とっさに引き抜いて、真九郎は白濁を夕乃の腹上に撒き散らす。  今までにないほど強く脈動して、大量の精液が夕乃の腹を白く染める。 「……終わったんですか?」 「うん……」  自らに降りかかった精液を指先ですくい取り、弄ぶ。 「これが……真九郎さんの……」 「……そうだよ」 「なんだか不思議。これが赤ちゃんの元なんですよね」  夕乃がくすっと笑う。真九郎もつられて笑って、どちらからともなく口付けた。  抱き締め合いながら、夕乃が真九郎の耳元で囁く。 「いつかは……中に下さいね?」 「うん」  満たされる。どうしようもなく。  身に余る程に幸せだった。諦めていた幸せがここにあった。愛している人がいて、愛してくれる人がいる。  それのどんなにかけがえのないことか。 「大好きだよ、夕乃さん。愛してる」 「……私も、です」  失いたくない。そう願って抱き締める。互いが互いを捕らえるかのように、抱き締め合う。  この幸せよいつまでも、そう願って。  了

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