2スレ784

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2スレ784 -作者 伊南屋 ◆WsILX6i4pM -投下スレ 2スレ -レス番 784-788 -備考 電波 BADエンドネタ 784 伊南屋 ◆WsILX6i4pM sage 2008/02/16(土) 07:16:37 ID:l4KL/Vbp  ――かつて彼は英雄であった。  いや、英雄であろうとしていたと言った方が正しいのかも知れない。  彼は意図せずとも他人の不幸に関わり、そして彼は他人の不幸を見過ごせなかった。  それが、彼にとっての不幸だった。  救いたくて、無力を嘆いて、それでも救いたくて。  それで、一体何人を救えただろうか。  決して多くはない。むしろ、不幸を運んだとすら言えるかも知れない。  必死で足掻いて、足掻いて、足掻いて。  そうして彼は――折れてしまった。  その心が耐えるには、彼は余りに世界の闇を、人の闇を見てしまった。  絶望の暗黒に染まってしまう程に、余りに多い闇を――。  † † †  ――その姿は金色。しかし一片の光すらなく、故にそれは闇だった。  怠惰な表情で柔らかな愛撫に身を任す少年は、闇に染まりきっていた。  彼の象徴たる金髪を指で梳きながら、少女はただ少年を見ている。  ただ二人の閉じた世界が、そこに在った。 「はむ……ん、ちゅ」  少年の首筋から胸元を少女の口唇と舌とが擽り、指が身体を撫で、必死に快楽を送る。それに何かを感じているのか否か。少年は少女を変わらぬ表情で見つめるだけだ。  丹念に舐る少女は時たま少年に熱っぽい視線を送る。  舌が這い、その後に唾液の跡が残る。それを唇で吸いたて、拭う。  繰り返される動作が不意に止み、少女が頭を上げた。 「ジュウ様」 「続けろ」  少年――ジュウという“獣”を表すような名を呼ばれたが、彼は少女が何かを言うより早く続きを強要し、彼女の言葉を封じる。  それに対し、少女は何も言わず命じられた通りにした。  再び口元を少年の胸元へ寄せ、愛撫を再開する。  無数の口づけ、舌先と指先の愛撫、繰り返されるそれを少年はただ享受する。 「は……あふ。ん、ちゅぱ」  少女はただ無心に奉仕する。それが少年の心を動かす事はないと知りながらも、そうせずにはいられなかった。  いきなり少女の身体が引き上げられた。  彼女の細い肢体を少年の腕が抱き締め、少女の顔を自らのそれに近付ける。 「んく……っ」  唇と唇が触れた。  荒々しく、擦り付けるような接吻を、それでも少女は健気に受け入れた。 「ふぁ……」  吐息と共に唇が割開かれる。その隙を見逃さず、ジュウの舌が侵入する。 「は……ん、ちゅぷ、んはっ……ぁ。……はぁむ……ん」 785 伊南屋 ◆WsILX6i4pM sage 2008/02/16(土) 07:17:53 ID:l4KL/Vbp  絡み、包まれ、吸い、引き込まれ。互いの柔らかな舌が蠢き合う。  歯茎が撫でられ、微かなくすぐったさが走る。歯茎を撫で返し、唾液を啜る。  まるで繋がった部分が性器であるかのような深い接触。  少女は自分の中で、熱が高まっていくのを感じた。求められる喜びと官能の疼きに、躰が反応を示す。  唯の一度とて少年の指すら触れていないのに、まるで深く貫かれたような快楽に、芯が潤む。  少年の首に回した腕をそっと抱き締めて、更に深い繋がりを求める。  決して豊かとは言えない胸元に少年の胸元を合わせ、鼓動を重ねようとする。  しかし、それは叶わなかった。  際限なく高まる少女の心臓と比して、少年のそれは凪の如く平穏を保っていた。  平坦に、一定の脈を打ち続ける。  改めて、久しぶりに彼女は自分が最早少年の心に届く事はないのだと思う。  それが哀しくて、それでも諦めきれなくて、彼女は意地であるかのように身を擦り寄せた。  赤らんだ肌が少年の身体を撫でる。  細く、しかし柔らかな指先が少年の幹を掴む。  唾液をたっぷり絡めた舌が少年の下腹をくすぐる。  丹念な愛撫に、少年の身体が本能に疼いた。  ゆっくりと勃ち上がったそれを見て、少女は知らず、ほうと吐息を漏らした。  熱を帯びて脈打つ肉柱にそっと舌をあてがい、根元から先端までを舐め上げた。  びくん、と跳ねる少年の肉樹の様子に少女は微かな、妖艶とすら言える笑みを浮かべる。そのまま舌先を何度も往復させ、快感を送らんとする。  しきりに這い回る舌のぬるりとした感触に、悦びの声の代わりに先走りが吐き出される。  それすら舐めとり、ついでとばかりに先端の裂け目を割開いて、刺激を与えて、少女は少年の絶頂を誘う。 「ちゅ、んむっ……はふっ、んぁ」  先端への責めから、唇を広げ飲み込むように竿を咥内に収めてのストロークに転じる。  口の中にたっぷり溜められた唾液が卑猥な音を立てて泡立つ。 「んぐっ、ぐちゅっ、ちゅぶっ、んぶっ」  リズミカルに前後し、銜え込んだ唇を締めてより強い官能を与える。 「ぐっちゅ、ふむっ……ん、れるっ、んぷぁっ……はぐっ……んぅん」  口端から漏れ出た涎がとろりと流れ落ち、付け根を濡らす。  それも喉を突く程に深くまで受け入れた際に唇で拭っていく。  時折、苦しげな吐息を混じらせながらも、少女は絶えず呑み込んでは吐き出すのを繰り返した。 786 伊南屋 ◆WsILX6i4pM sage 2008/02/16(土) 07:19:45 ID:l4KL/Vbp  それが幾分も続く。その間にも舌は複雑なうねりで絡みつき、変化に富んだ快楽で限界まで追い立てる。 「……雨」  ――久方振りに少女は名前を呼ばれた。  熱心に口唇でもって奉仕しながら、少女――雨は視線を少年に向けた。  少年の顔にようやく表情らしい表情が浮かんだ。  せき止められたものを決壊させたいという願望。それを必死で堪える少年を、雨は不謹慎だと思いながらも可愛いと、そう感じた。 「く……っ!」  不意に、頭を掴まれて根元に押し付けられた。  雨がその意図を察するより早く、ジュウは熱の塊をその喉に叩きつけていた。 「んぶっ!? んぐっ、ぅぷっ! んんっ、ん……んくっ、んく……うっ……ん」  何度か噎せながらも、必死に粘る液体を嚥下する。 「んっ、ん……ぷはっ……はぁっ、はぁっ」  口端を微かに精液が垂れ、桃色の唇を白く染める。  それを舌を滑らせて掬い取り、雨は陶然と息をついた。  漂う青臭い香りを深く肺に入れ、吐き出す。  また、雨の体の芯が熱くなる。  縋るような、懇願するような視線を主たる少年に向けると、そっと指先を欲望を吐き出したばかりのものに添える。  ジュウは、何も言わない。ただ胡乱な瞳で雨を見つめ返すだけだ。  許容はなく――拒否もなかった。  好きにしろと、そう言っているようであった。  するりと、雨の掌が滑った。  唾液にまみれた樹幹に柔らかな愛撫が施され、萎えかけていたそれが俄かに息を吹き返し直立する。  身を乗り出すようにして、雨がその直上に体を置いた。  深呼吸を重ね、タイミングを計るようにゆっくりと体が沈んでいく。ぬかるみに切っ先が触れると、にちゃりという淫猥な水音がした。 「ふっ……ぅん」  ぐっ、と一息に雨の腰が降りた。さほどの抵抗もなく、ジュウが雨の内に滑り込む。 「あっ……っっ!」  ずしりと響くような快感の衝撃が雨の胎内を貫く。内臓すら押し上げてしまいそうな程深く打ち込まれた剛直に幾ばくかの恐れすら感じる。  だが、それすらも白く染め、霧散させるように、ジュウが腰を律動させた。  粘着く摩擦音が互いの結合を主張する。ジュウの腰が雨を突き上げる度に淫らな破裂音が炸裂した。 「あくっ! ふっ……くぅ! んはぁっ!」  それらの音と同期して、雨の口から官能の声が溢れる。 787 伊南屋 ◆WsILX6i4pM sage 2008/02/16(土) 07:21:58 ID:l4KL/Vbp  あまりに強い刺激に、意識せず雨の腰が浮きがちになった。それを、ジュウは手に腰を添えて抑える――否、引き寄せた。 「っっっ!!」  これまでになく深く、深く打ち貫かれ、呼吸すらままならずに雨は総身を震わせた。  肉壁が収縮し、電流にも似た悦楽が子宮を中心に駆け巡る。声ならぬ声をあげ雨がジュウの体にしがみついた。  それを、ジュウは更に深くを――抉った。 「――――っ!?」  血液が沸騰するかのような熱が快感と共に走り抜ける。思考が吹き飛び、ただ絶頂に身を任せる。  体が言うことを聞かず激しく痙攣する。その度に雨の脳内に白い閃光が瞬き、意識が吹き飛びそうになる。  ぞくぞくとした感覚が背筋を抜け、それなのに体は燃えるように熱い。 「んぁあっ!」  手心も加減もなく、ジュウは雨を穿ち続ける。  肉と肉の擦過音が耳朶を叩くたび弾け飛んだ意識が引き戻され、それすらも体内を迸る衝撃に打ち消される。  跳ねる雨の肌から汗の滴が舞い飛ぶ。髪が振り乱され、前髪が揺れる度に快感に蕩けた瞳が垣間見えた。  ただがむしゃらに己の絶頂だけを求める動きに弄ばれ、絶え間ないオーガズムの中で雨は嬌声を上げ続ける。  ――終わりは唐突に訪れた。 「……っ!」  ジュウが声にならない呻きを上げて身を強張らせる。  雨の胎内に熱が広がり、精液が注ぎ込まれた事を知らせる。わだかまるようにして熱を保つそれを感じて、雨は一際強い絶頂に打ち上げられた。  しばらく躰を硬直させていた雨は一つ、大きな息を吐いて身をくたりと弛緩させた。  呼吸を徐々に緩やかにし、息を整える。  そうしてから見上げた少年の顔は、痛みに――或いは悼みに耐えるかのような表情だった。  † † †  ――気が付いたら眠っていたらしい。暗い部屋の中で雨は意識を覚醒させた。  鈍い思考と体を御して、周囲の認識に努める。 「…………っく……」  ――微かにしゃくり上げる声が聞こえた。  すぐ側、ベッドの傍らに眠る少年の声だった。  目尻に涙の跡がある。眠りながら泣いていたらしい。  雨は知っている。  こんな時、彼は夢を――悪夢を見ているのだと。  かつて救いたくて、しかし救えなかった人達の夢。彼等の幻影を見ながら少年は悲しみに暮れているのだ。  ――雨は知っている。  彼をこの悪夢から救う事は出来ないのだと。既に絶望してしまった少年を、立ち上がらせる事は出来ないのだと。 788 伊南屋 ◆WsILX6i4pM sage 2008/02/16(土) 07:22:58 ID:l4KL/Vbp  ただ、そばに居て彼の全てを許すことしか出来ない。  だから、雨は少年の側に居続ける。それが使命なのだと言うように。他に出来る事などないのだからと。 「ジュウ様……」  小さく呟いて、ジュウの瞼に口付ける――涙を拭う。  これ以上、彼が傷つかぬよう少女は彼の側に居続ける――。  たった一つの誓いを絆として。 終 .

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