まだ冷たい風が吹きつける季節
時折強い風が吹いて、大きな樹が静かな音を立てる
それ以外に目立つものは無い殺風景な丘に、今日は二つの人影が加わっていた
そして
「じゃあ一樹君、本番だと思って遠慮なく来なさい」
「は・・・はいっ!!」
二人のデュエルが始まろうとしていた。
第参夜『The boy's Effort-First Volume』
東 一樹
『僕の彩色歯車』
vs
月夜 礼奈
『月の導きに』
『僕の彩色歯車』
vs
月夜 礼奈
『月の導きに』
DUEL START!!
「先攻はもらいます、ドロー!!」
僕の先攻でゲームは始まった。
今日は僕の実力を推し量るということで、先輩とデュエルすることになった。
正直惨敗するような気がしてならないけど・・・頑張るんだ!!
「パープル・ガジェット(ATK1600/DEF1500)を召喚!!
カードを一枚セットします。
エンドフェイズにパープルの効果で、デッキから『ブルー・ガジェット』を手札に加えます。
ターンエンドです!」
カードを一枚セットします。
エンドフェイズにパープルの効果で、デッキから『ブルー・ガジェット』を手札に加えます。
ターンエンドです!」
「私のターン、ドロー」
先輩の手が空を切る。
「月の戦士(ATK1400/DEF1500)を召喚
効果によってデッキの一番上のカードをめくり、それが『月下』『月影』『月輪』『月光』と名のつくカードなら手札に加える」
効果によってデッキの一番上のカードをめくり、それが『月下』『月影』『月輪』『月光』と名のつくカードなら手札に加える」
一番上は・・・
「月光の天使エアトスを手札に加え、特殊召喚するわ」
い・・・いきなりエース級モンスターがでてきた!?
「エアトスでパープルを攻撃、『フォビトゥン・ゴスペル』!!」
- させない!!
「罠発動、機械部隊の防壁!!」
モンスターのまわりに防壁が現われ、攻撃を防いだ。
「機械部隊の防壁は機械族モンスターが攻撃対象にされたときに発動できるカード
その攻撃を無効にしてカードを一枚ドローできます」
その攻撃を無効にしてカードを一枚ドローできます」
「じゃあカードを一枚伏せて、ターンエンド」
とりあえずこのターンは防いだ・・・ここでエアトスをなんとかしないと・・・
「僕のターン、ドロー!」
よし、地砕きを引いた!これでエアトスを安全に破壊できる!
「魔法カード地砕きを発動します!!」
その刹那
「カウンター罠、月影の衣を発動」
エアトスの前に黒い衣が現われ、魔法を吸い込んだ
「自分フィールドにレベル7以上の『月下』『月影』『月輪』『月光』と名のついたモンスターが存在する場合に発動
カードを破壊するカードの発動、効果を無効にし破壊するわ」
カードを破壊するカードの発動、効果を無効にし破壊するわ」
「さらに他にモンスターが存在する場合、そのモンスターをリリースすることで、カードを二枚ドローするわ」
一気にカード差が開いてしまったようだ・・・
ここは耐えないと・・・
「モンスターをセットして、パープルを守備表示に。・・・ターンエンドです」
そのときだった
「・・・駄目ね」
先輩は突然ため息を吐き
「一樹君、このターンで終わりよ」
そう宣告した
「・・・!!」
いや、僕にはバウンス効果を持つブルー・ガジェット(ATK1200/DEF600)がいるんだ
それに手札にはガジェット・シールド(ATK0/DEF1900)もある・・・
ガジェットシールドは墓地に捨てることで『ガジェット』の名のつくモンスターの守備力をエンドフェイズまで1000ポイント上げるカード。
「私のターン、ドロー」
このターンは凌げる・・・うん、大丈夫
「月下の竜騎士(ATK1900/DEF600)を召喚
自分フィールド上の『月影』『月輪』『月光』と名のつくカードは貫通効果を得るわ」
自分フィールド上の『月影』『月輪』『月光』と名のつくカードは貫通効果を得るわ」
エアトスに貫通効果が付与されたのか・・・
確かにこれはピンチかも・・・
「更に魔法カード聖銀の砂を発動
相手フィールド上に守備モンスターが二体以上存在するとき、自分のレベル7以上の天使族モンスター一体はこのターン二回攻撃することができるわ」
相手フィールド上に守備モンスターが二体以上存在するとき、自分のレベル7以上の天使族モンスター一体はこのターン二回攻撃することができるわ」
当然対象は・・・エアトス!!
「エアトスでパープル・ガジェットを攻撃するわ」
1000ポイント上げれば持ち堪えられる・・・今だ!!
「手札からシールド・ガジェットを捨てて、パープルの守備力を1000ポイントアップ!
エアトスの互角になります!!」
エアトスの互角になります!!」
エアトスの攻撃をパープルが受け止めた・・・のは一瞬だった。
なんと受け止めたはずのパープルが次元の狭間に吸い込まれたのだ。
「エアトスの効果発動、戦闘を行なったモンスターを除外するわ」
そ・・・そんな効果があったなんて・・・
「続いて伏せモンスターを攻撃するわ」
よし、除外されてもリバース効果は関係ない、このターンは凌げる!!
でも先輩は諭すような目で
「だから駄目だと言ったのよ」
そう言ったとき、ブルー・ガジェットが次元の狭間に吸い込まれた
「ブルー・ガジェットはリバース効果でバウンスがあるけど、エアトスの効果で無効にされるから意味が無いわ
この状況では悪い選択ね、貫通ダメージを受けなさい」
この状況では悪い選択ね、貫通ダメージを受けなさい」
一樹 4000→2100
「うっ・・・そんな効果が・・・」
迂闊だった、それなら別の手段を探せばよかった
「まだよ、月下の竜騎士で直接攻撃するわ」
竜騎士がこちらへ駆けてくる・・・
とてもソリットヴィジョンとは思えない足音だ。
「・・・でもまだライフ残ります、まだチャンスは」
そう希望を持とうとしたら
「聞いてなかった?このターンで終わりよ
速攻魔法月の矢を発動、竜騎士の攻撃力を1000ポイントアップさせるわ」
速攻魔法月の矢を発動、竜騎士の攻撃力を1000ポイントアップさせるわ」
呆気なくまた砕かれた
一樹 2100→0
「あ・・・負けちゃった・・・」
結局何もできずに負けてしまったわけか。
DUEL END WINNER 月夜礼奈!!
「カードの効果を知ることが大切よ」
デュエルが終わって最初に言われたことがそれだった。
「ブルーガジェットとシールドガジェットのミスが痛かったわね
なにか他の手段があったんじゃないかしら?」
なにか他の手段があったんじゃないかしら?」
手札には・・・『機械融合-マシンフュージョン-』があった。
ガジェットモンスター専用の融合カードだ。
「それを使えば、もしかしたら結果は多少変わっていたかもしれないわね
少なくとも、あのターンでエアトスは倒せたわ」
少なくとも、あのターンでエアトスは倒せたわ」
確かに破壊できた。
「まぁ罠を警戒していたってとこかしら」
- そういうこと。
まぁそれは失敗に終わったわけだが・・・w
「確かに私の使うカードは希少なものだけど、効果を知ることはできるわ
前の不良とのデュエルのとき、見なかったの?」
前の不良とのデュエルのとき、見なかったの?」
「あ・・・あのときはそれどころじゃなくて・・・」
あの時は緊張と恐怖を抑えるので必死だったのだから。
それを聞くと、先輩は何かを考えるような仕草をしたあと
「一樹君はプレイングミスへの注意が不足してるわ
もっと自分のプレイを見直すべきね」
もっと自分のプレイを見直すべきね」
確かに効果を知らなかったのは痛い。
勉強不足だなぁ・・・
そう考えていると
「一樹君にこれをあげるわ」
先輩に一枚のカードを差し出された。
「『繁栄の宝札』・・・?珍しいカードですね」
少なくとも僕の知らないカードだ、珍しいんだろうか。
「一樹君のデッキときっと相性が良いわ
そのカードを使いこなしてみて頂戴
きっと一樹君なら使いこなせるはずよ」
そのカードを使いこなしてみて頂戴
きっと一樹君なら使いこなせるはずよ」
そう言って手渡された。
「あ・・・ありがとうございますっ!!
大切にします大事にします使いこなして見せます!!」
大切にします大事にします使いこなして見せます!!」
初めて先輩からもらったカード、僕はその場でデッキに投入した。
「今日のところはこれでお終いね
また明日のこの時間に会いましょう」
また明日のこの時間に会いましょう」
そう言って先輩はスカートを翻し、その場を去っていった。
先輩との特訓で周りも暗くなってきた頃、一樹は一人寮への道を歩いていた。
視界に綺麗な湖━━━アーリア湖というらしい━━━が入る頃、いきなり茂みから複数の人影が現われ、囲まれた。
「兄貴、コイツですよね、この前のヤツ!!」
「そーですよ、コイツコイツ!!」
「あぁ、コイツだ・・・よぉにぃちゃん、この前もあったなぁ」
現われたのは、先輩に助けられたときの不良だった。
「へへっ・・・今日は一人みたいだな・・・今度こそカードとDPもらおうか」
「へへへ、この前の女は今日は来ないぜ?(多分」
先輩がいないときを狙ってきた・・・!?
「アニキー、いじめちゃ可哀想でっせ、ハンデやりましょうよハンデ」
子分がまだぺちゃくちゃと喋る。
アニキ分はふん、と鼻を鳴らすと
「まぁオレもデュエリストの端くれだ、デュエルで勝ったら見逃してやる」
そう条件を提示した。
「ひゅ~、アニキカッコイイィィ!!」
「おっとこまえ~!!」
「ハッハッハ、本当の事を言うな、照れるじゃねぇか」
デュエルで勝てば・・・助かる・・・?
でも僕は弱い・・・この前の実技テストでも最下位辺りだったし、ルームメイトにもパシリ扱いされるし・・・
「さぁ、どうする?」
大人しく従ったほうがいいのかな・・・
『一樹君のデッキときっと相性が良いわ
そのカードを使いこなしてみて頂戴
きっと一樹君なら使いこなせるはずよ』
いや
「する・・・よ・・・」
違う
「あん?」
戦うんだ。
「君と・・・デュエルする」
戦って、勝つんだ。
「それで・・・見逃してくれるんだろ?」
そうしないと、前には進めないんだ。
「おぅ、わかっとるじゃないか」
僕は・・・信じられてるんだ!!
「このデュエル、受けて立つよ!!」
旅「・・・ふぅ、やっと三話か」
一樹「僕のデッキはガジェットなんですね」
旅「・・・お前、いたの?」
一「ひどい!?さっき来ましたよ!?」
旅「さて・・・今回は前編後編なんだが」
一「無視!?」
旅「五月蝿いなぁ・・・こんなキャラだったか?」
一「書いてるの誰ですか!?」
旅「次回は一樹vs不良が始まるぞ
結果は・・・来週の連載で!!」
結果は・・・来週の連載で!!」
一「人事ですね!?」
礼「まぁ、頑張って頂戴」
一「先輩まで!?」