朝。
ほのかな日差しが射し、暖かい風が吹く。
夜とはまた違った趣きがあるこの時間も、私は好きだ。
聞こえてくる小鳥のさえずりをBGMにして、コーヒーカップに口をつける。
ほのかな日差しが射し、暖かい風が吹く。
夜とはまた違った趣きがあるこの時間も、私は好きだ。
聞こえてくる小鳥のさえずりをBGMにして、コーヒーカップに口をつける。
しかし、そんな一時を遮るかのごとく
「せ、先輩!!」
そのの声によってBGNは掻き消され、鳥たちは慌てて飛び立った。
「大変です、大変なんです!!」
私には彼の慌てぶりのほうがよほど大変のように見えた。
「なにが大変かって・・・って痛っ!!」
とりあえず鉈(ゴム製)で殴っておいた。
「い、いきなりするんですか1?」
私のティータイムをジャマした罰よ。
-side一樹-
「で、『次はお前の連れだ』って言ったんです」
日曜日の朝、僕は昨日の出来事を先輩に話していた。
蒼炎寺に会うまでのこと、いきなり仇討ちのような空気でデュエルを挑まれたということ、そして…負けたこと。
蒼炎寺に会うまでのこと、いきなり仇討ちのような空気でデュエルを挑まれたということ、そして…負けたこと。
「『次はお前の連れだ』…ねぇ」
先輩は不機嫌そうな顔でコーヒーを飲みつつ、話を聞いていた。
なんでか分からないけど、今日は会ったときから不機嫌だった。
なんか悪いことしたかなぁ・・・
なんでか分からないけど、今日は会ったときから不機嫌だった。
なんか悪いことしたかなぁ・・・
「…私のことかしら?」
「多分…そうだと思いますけど…」
「…気に入らないわ」
もしかして、僕が負けたこと怒ってるのかなぁ。
『私が教えてるのに負けるなんて~』って感じなんだろうか。
『私が教えてるのに負けるなんて~』って感じなんだろうか。
「どうして私があなたの連れなのよ」
「知りませんよ!!」
全然関係なかった!!
「むしろ一番大事な所よ。
『次はお前だ、とあの女に伝えておけ』とでも言えばいいと思わない?」
『次はお前だ、とあの女に伝えておけ』とでも言えばいいと思わない?」
「まぁ、そのほうがしっくり来ますけど…」
僕はどうでもいいと思うが、先輩にとっては重要らしい。
ますます不機嫌になっている…気がする。
怒っている先輩を見るのは初めてかも…
ますます不機嫌になっている…気がする。
怒っている先輩を見るのは初めてかも…
「まぁ、私のところに来るなら丁度いいわ」
コーヒーカップを置き、椅子から立ち上がる。
「いい暇潰しになるわね」
いつもの表情で、いつもの口調でそう言った。
逆にそれが怖かった。
-side蒼炎寺-
灯台、校舎、公園、湖、そして岬━━
見つけた。
女は海を眺めていた。
あれが何人ものウチの奴等を倒した女か…。
見たところ、普通の女子生徒にしか見えない。
殴りかかっても、あっさり倒れてしまいそうだ。
見たところ、普通の女子生徒にしか見えない。
殴りかかっても、あっさり倒れてしまいそうだ。
さて、どうやって声をかけようか━━そう考えていたときだった。
「そこにいるんでしょう?出てきなさい」
気付かれた!?
いや…落ち着け、俺。
ここからあの女の場所までは(多分)25mはあるんだ、偶然に決まってる。
いや…落ち着け、俺。
ここからあの女の場所までは(多分)25mはあるんだ、偶然に決まってる。
「そこの茂みに隠れてるあなたよ」
場所まで特定された!?
よく分からんが、これ以上隠れても無駄なようだ。
茂みから姿を現す。
よく分からんが、これ以上隠れても無駄なようだ。
茂みから姿を現す。
「聞いた通りの大男ね…ホント、制服が似合わないわ」
「うるせぇよ!!」
なんで俺はいきなり服装について指摘されないといけないんだ。
「お前がウチの奴等をやってくれた女だな?」
聞くまでもないが、確認をとっておく。
「人聞きが悪いこと言うわね。
むこうが勝手にやってくるんじゃない」
むこうが勝手にやってくるんじゃない」
「んなこと知ったことかよ、俺はお前にデュエルを申し込むぜ」
「ええ、構わないわ」
抵抗するかと思ったが、異論はないようだった。
蒼炎寺 照
『獣人世代』
vs
月夜礼奈
『月の代行者達』
『獣人世代』
vs
月夜礼奈
『月の代行者達』
「俺のターン、ドロー!
【ジェネティック・ワーウルフ】を召喚だ。
永続魔法【絶対魔法禁止区域】を発動!
カードを二枚伏せて、ターンエンドだ!!」
【ジェネティック・ワーウルフ】を召喚だ。
永続魔法【絶対魔法禁止区域】を発動!
カードを二枚伏せて、ターンエンドだ!!」
「私のターン、ドロー」
この伏せカードは前回の二枚、【奈落の落とし穴】に【トラップ・スタン】だ。
次のターンにワンキルしてやるぜ…
次のターンにワンキルしてやるぜ…
「【月の戦士】を召喚よ。
効果でデッキの一番上のカードをめくり、『月下』『月影』『月輪』『月光』と名のつくモンスターなら手札に加えるわ」
効果でデッキの一番上のカードをめくり、『月下』『月影』『月輪』『月光』と名のつくモンスターなら手札に加えるわ」
一番上のカードは…【月下の竜騎士】
「『月下』と名の付くカードなので、このカードを手札に加えるわ」
だがこのターンはもう通常召喚することはできない。
魔法の効かない【ジェネティック・ワーウルフ】を倒すことはできない、ターンエンド
魔法の効かない【ジェネティック・ワーウルフ】を倒すことはできない、ターンエンド
「と、でも思ってるのかしら?」
読まれた!?
「バトルフェイズ、【月の戦士】で【ジェネティック・ワーウルフ】を攻撃よ。
ダメージステップに速攻魔法【月の矢】を発動。
【月の戦士】の攻撃力を1000アップ」
ダメージステップに速攻魔法【月の矢】を発動。
【月の戦士】の攻撃力を1000アップ」
月の戦士 ATK1400→ATK2400
蒼炎寺 4000→3600
「俺のジェネティックが…」
「知ったことじゃないわ。
カードを二枚伏せてターンエンド」
カードを二枚伏せてターンエンド」
この女、よくも俺のジェネティックを…
「俺のターン、ドロー!」
ジェネティックの敵!!
「墓地の【ジェネティック・ワーウルフ】を除外し、【ジェネティック・シルバーウルフ】を特殊召喚!!」
「罠カード【奈落の落とし穴】を発動、シルバーウルフを破壊よ」
「罠カード【トラップ・スタン】を発動。
このターンの罠は無効になるぜ!」
このターンの罠は無効になるぜ!」
よし、これでシルバーウルフは助かった。
「更にライフを半分払い、永続魔法【ジェネティック・ジェネレーション】を発動だ!」
蒼炎寺 3600→1800
「【ジェネティック・ワーウルフ】を召喚。
バトルフェイズ、シルバーウルフで【月の戦士】を攻撃だ!」
バトルフェイズ、シルバーウルフで【月の戦士】を攻撃だ!」
「速攻魔法発動、【月の書】よ。
シルバーウルフは裏側守備表示になるわ」
シルバーウルフは裏側守備表示になるわ」
「じゃあジェネティックで攻撃だ!」
礼奈 4000→3400
「カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
今伏せたカードは【万能地雷グレイモヤ】、コイツで攻撃モンスターを吹っ飛ばしてやるぜ…
「私のターン、ドロー」
【ジェネティック・ジェネレーション】は『ジェネティック』と名の付くモンスターが破壊されたときに、デッキから
破壊されたモンスターの攻撃力より少ない攻撃力のモンスターを一枚手札に加えるカード。
コイツで俺の布陣は万全だぜ!!
破壊されたモンスターの攻撃力より少ない攻撃力のモンスターを一枚手札に加えるカード。
コイツで俺の布陣は万全だぜ!!
「魔法カード【大寒波】発動よ。
お互いのプレイヤーは魔法・罠カードをセット、発動できないわ」
お互いのプレイヤーは魔法・罠カードをセット、発動できないわ」
…まぁこのターンさえ凌げば
「【天空戦士パーシアス】(2000/1500)を特殊召喚。
更に【奇跡の代行者 ムーン】(300/300)を召喚!!」
更に【奇跡の代行者 ムーン】(300/300)を召喚!!」
代行者ムーン…チューナー!?
「レベル5パーシアスに、レベル3ムーンをチューニング。
『天空を制した光の騎士よ、神の力を身にまとい、地上を照らせ!シンクロ召喚!光輝け、神聖騎士パーシアス!』」
『天空を制した光の騎士よ、神の力を身にまとい、地上を照らせ!シンクロ召喚!光輝け、神聖騎士パーシアス!』」
シ、シンクロ召喚にはビビッたが…所詮は2600、シルバーウルフには敵わない!!
「パーシアスの効果を発動するわ。
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の表示形式を変更できる。
シルバーウルフを守備表示に変更よ」
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の表示形式を変更できる。
シルバーウルフを守備表示に変更よ」
「チッ…だが守備表示モンスターを倒しても、俺のライフは削れないぜ!」
「バトルフェイズ、【神聖騎士パーシアス】でシルバーウルフを攻撃よ」
ふっ、シルバーウルフが墓地にあれば俺の切り札が出せる。
次の俺のチートドローさえあれば
次の俺のチートドローさえあれば
「忘れてるみたいだから、教えてあげる。
パーシアスが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与えるわ」
パーシアスが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与えるわ」
「…しまったぁぁ!!!!」
蒼炎寺 1800→0
DUEL END
WINEER 月夜礼奈!!
WINEER 月夜礼奈!!
「くっ…この俺がこんなにもあっさりと…」
チートドローの隙すら与えてくれないとは…何者だ、この女?
「予想通り、見かけ倒しなのね。
あなたには知識も経験も欠如しているわ」
あなたには知識も経験も欠如しているわ」
…確かに俺はまともに授業を受けず、我流でここまで上り詰めたから知識は不足してるだろう。
だが経験はそれなりに積んできたはずだ…。
だが経験はそれなりに積んできたはずだ…。
「これに懲りたら、もう関わってこないで頂戴ね」
その女は颯爽と去っていった。
俺は久しく感じる敗北感に立ち尽くしていた。
俺は久しく感じる敗北感に立ち尽くしていた。
-side一樹-
「た、倒したぁ!?」
会った途端、結果を告げられ思わず大声を上げてしまった。
「えぇ、呆気なかったわ」
そ、そんな当然のような顔されるとけっこう落ち込むんだけど…
「まぁとりあえず」
先輩が笑顔で僕の肩を掴む。
「これからはもっと特訓を厳しくしましょうね?」
すごく、こわかった。
旅「なんかもう、疲れたぜ・・・」
礼「いままでサボってたからよ」
旅「うっ」
旅「ま、まあ次はとうとう旅人のオリキャラが登場します」
一樹「え、先輩じゃないんですか?」
礼「よく勘違いされるらしいわ」
旅「次回は…いつ更新しようかしら」
礼・一樹「「できたらすぐ」」
旅「はぃ」