「第弐拾伍夜 迫り来る現実主義者!」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「第弐拾伍夜 迫り来る現実主義者!」(2011/10/02 (日) 12:37:50) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
「どこのどいつかは知らねぇが・・・お前ら、やっちまえ!」
「「おぉー!」」
親玉である剛瑠怒の号令と同時に、子分どもが少女を取り囲む。
その数、実に7人。体格差もあって、圧倒的に少女が不利な状況だ。
「へっへっへ・・・観念するんだな」
「兄貴にたてついたこと、後悔させてやるぜ!」
「泣いて懇願したら許してやるぜ?ハッハッハ!」
当然、彼等は自分達の優位を疑わない。
そして、そこへ一人の子分が近づいていく。
「おーぅ…いい体してんじゃねぇか。…ちょっと見せてみろよ」
そう言って、少女に触れようとした、その時。
「やめてくれないかしら」
少女がそう告げた刹那、近づいた子分が音もなく地へ伏した。
突然の出来事に、誰もがなにが起きたかを理解できない。
一人を除いて。
「悪いけど、そういう趣味はないの」
一人、また一人。子分たちが地へ伏していく。
「こ、コイツ…つ、強いぞ!」
「やべぇ・・・あの一瞬で4人もやられちまった・・・!」
「この女・・・化け物だ・・・!」
子分たちは動揺を隠せない。
しかし、剛瑠怒がそこへ激を飛ばす。
「あ、慌てるな!お前ら3人がかりでデュエルで叩きのめせ!」
「そ、そうだ・・・3人がかりのデュエルなら負けるはずがねぇ!」
「よ、よし!この女を取り囲むぞ!」
3人の子分たちが再び少女を囲む。
そして各々がデュエルディスクを構えた。
「3人がかり…上等ね。遊んであげるわ」
そう言って、デュエルが始まった。
一方その頃、剛瑠怒は一人バイクに跨り、その場から逃走していた。
(あの女はまずい・・・!ここは一旦退却するしかねぇ!)
剛瑠怒の勘が告げていた。
歴戦の修羅場を潜り抜けてきた剛瑠怒だからこそ、養える勘である。
(とりあえずは子分どもが時間を稼いでいるだろう…その間にどこかへ隠れなければ…)
と、その時。
剛瑠怒の目にスタジアムが映った。
「コイツは、明日から始まる大会とやらの会場じゃねぇか…」
ライディングデュエルの会場…ここならバイクのまま潜伏が可能・・・!
(へっへっへ…オレ様はツイてる!ここならバレる心配もねぇ!)
そう考え、剛瑠怒は会場へ入っていった。
「あら、思ったより遅かったわね」
「な・・・なぜお前がここに・・・!?」
あ…ありのまま、今起こった事を話すぜ!
『オレ様はあの女から逃げてこのスタジアムへ潜伏したはず
なのに、その本人がなぜか先にスタジアムで待ち伏せをしていた』
な…何を言っているのかわからねーと思うが、オレも何をされたのかわからなかった…。
頭がどうにかなりそうだった…。
超能力だとか座標移動(ムーブポイント)だとか、そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。
「簡単よ。あの3人を片付けた後Dホイールでここに来ただけよ。
あらかじめ、あなたが逃走経路に利用しそうなポイントを予測して、ね」
チッ…なら、オレ様の行動は最初から計算通りってか・・・気に食わねぇ。
「・・・何が狙いだ?」
「最初に言ったでしょう?"鬼ごっこ"よ」
鬼ごっこだと・・・?
分かったぞ!邪"鬼"威剛瑠怒…つまり最初からオレ様が狙いだったということか。
と、そこで相手の名前を聞いていないことに気付く。
「・・・お前の名はなんだ」
「月夜礼奈。あなたは名乗らなくていいわ。
私は興味なんて無いし、聞く必要もないものね」
と、こちらを挑戦的な目で見る。
そう言われてまで逃げるほど、オレ様は臆病じゃねぇ…!
「そうかよ…月夜礼奈とやら!ならオレ様が直々に相手をしてやるぜ!」
月夜礼奈
『月夜煌星』
vs
邪鬼威剛瑠怒
『もし現実主義者がデッキを組んだら』
―フィールド魔法【スピードワールド2】発動―
スピード・ワールド2 フィールド魔法
「Sp(スピードスペル)」と名のついた魔法カード以外の魔法カードを
プレイした時、自分は2000ポイントのダメージを受ける。
お互いのプレイヤーはお互いのスタンバイフェイズ時に1度、自分用の
スピードカウンターをこのカードの上に1つ置く。(お互い12個まで)
自分用スピードカウンターを取り除く事で、以下の効果を発動する。
●4個:自分の手札の「Sp」を見せることで、800ポイントダメージを相手ライフに与える。
●7個:自分のデッキからカードを1枚ドローする。
●10個:フィールド上に存在するカードを1枚破壊する。
●12個:自分、または相手の墓地のチューナー一体を特殊召喚する。
「デュエルモードオン・・・オートパイロットスタンバイ」
「「ライディングデュエル!アクセラレーション!」」
第一コーナーは剛瑠怒が獲得する。
「いくぜ!オレ様のターン!」
コイツは良い手札だ…クケケ・・・!
「瞬殺してやるぜ!《ガトリング・オーガ》を召喚!」
《ガトリング・オーガ》
効果モンスター
星3/炎属性/悪魔族/攻800 /守800
自分フィールドの魔法・罠ゾーンにセットされた魔法・罠カードを
任意の枚数枚を墓地へ送る。この効果で墓地へ送ったカード1枚につき、
相手ライフに800ポイントダメージを与える。
「ガトリング・オーガ…」
「オレ様はカードを5枚セット…コイツがどういう意味か分かるよな?」
イヤらしい笑みを浮かべ、剛瑠怒が言う。
ガトリング・オーガは魔法・罠を弾丸にしてダメージを与えるモンスター。
その弾丸の威力は1発800ポイント。つまり、いま伏せた5枚のカードを
弾丸にして発射すれば、いきなり4000ポイントのダメージを与えることができる・・・!
「・・・それが、どうかしたのかしら?」
が、月夜礼奈は余裕を崩さない。
それどころか、挑発的な目を剛瑠怒に返す。
「ハハハ!!強がるのも今のうちだ。きさまが黒こげになるのをゆっくりここで見物してやるわ!
いけ、ガトリング・オーガ!場の魔法・罠カード5枚を墓地に送り、5発の弾丸を装填!全弾発射ぉ!!」
ガトリング・オーガから弾丸が放たれる。
魅せデュエルが基本な創作デュエルでの先攻1ターンキル…狂喜の銃鬼!
「ひゃあはは!どうだ、くやしいか!くやしいかぁ!はははぁ!!」
勝利を確信した剛瑠怒が、高らかに相手を嘲笑う。
…が、彼女はその幻想を躊躇いも無く粉砕する・・・!
「私は手札の《朱光の宣告者》の効果を発動」
《朱光の宣告者》
チューナー(効果モンスター)
星2/光属性/天使族/攻 300/守 500
このカードと天使族モンスター1体を手札から墓地へ送って発動する。
相手の効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。
この効果は相手ターンでも発動する事ができる。
「このカードと『月輪の解天使キルエル』を墓地へ送り、ガトリング・オーガの効果を無効にして破壊するわ」
「なん…だと…?」
一度に5枚のカードを放ち発動したガトリング・オーガ。
しかし、たった2枚のカードに防がれ、破壊されることとなった。
だが、この男…邪鬼威剛瑠怒はその程度では終わらない・・・!
「チッ…だが、墓地へ送った《炸裂弾》と《採掘弾》の効果が発動するぜ!」
《炸裂弾》
通常罠
フィールド上にセットされたこのカードが「ガトリング」と
名のつくカードの効果によって墓地へ送られたとき、相手に
1000ポイントのダメージを与える。
《採掘弾》
通常罠
フィールド上にセットされたこのカードが「ガトリング」と
名のつくカードの効果によって墓地へ送られたとき、コイントスを
1度行なう。表が出た場合、カードを2枚ドローする。裏が出た場合、
自分は1000ポイントのダメージを受ける。
「採掘弾の効果により、オレ様はコイントスを行なう…表!
オレ様はカードを2枚ドロー!お前は1000ダメージを受けろ!」
礼奈 4000→3000
「オレ様はカードを1枚伏せてターンエンド!」
「私のターン、ドロー」
後攻1ターン目からは、互いにSp(スピードカウンター)が増える。
剛瑠怒 Sp…1
礼奈 Sp…1
「《魔轟神レイヴン》を召喚」
《魔轟神レイヴン》
チューナー(効果モンスター)
星2/光属性/悪魔族/攻1300/守1000
自分の手札を任意の枚数捨てて、その枚数分このカードの
レベルをエンドフェイズ時まで上げる事ができる。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、
この効果によって捨てた手札の枚数×400ポイントアップする。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
「ほぅ、チューナーモンスター…」
レベルを調整できるチューナー…だが、非チューナーがいなければ意味はない。
「私はレイヴンの効果を発動。手札の『月下の天使ウル』を
捨て、そのレベルを1上げ、攻撃力を400ポイント上昇させる」
魔轟神レイヴン レベル2→3 ATK1300→ATK1700
「そして、捨てられた《月下の天使ウル》の効果が発動」
《月下の天使ウル》
効果モンスター
星2/光属性/天使族/攻 400/守 400
このカードが手札から墓地へ捨てられた時、
このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
「墓地から、ウルを守備表示で特殊召喚。カードを2枚セット」
礼奈のフィールドにはチューナーと非チューナー。
当然、プレイヤー…礼奈はシンクロ召喚を選択する。
「レベル2、月下の天使ウルに、レベル3、魔轟神レイヴンをチューニング。
&italic(){&html(<font color="#0000ff">月界に仕える忠実なる天使よ。神の炎となりて、未来を照らせ!</font>)}
&italic(){&html(<font color="#0000ff">シンクロ召喚!輝ける未来を約束せよ、煌月の智天使ウリエル!</font>)}」
《煌月の智天使ウリエル》
シンクロ・効果モンスター
星5/炎属性/天使族/攻2200/守1900
光属性チューナー+チューナー以外の「月」と名のついた天使族モンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地の天使族モンスターを3枚まで
選択して除外することができる。
除外した枚数によって、このカードは以下の効果を得る。
●1枚:このカードがフィールドから離れた時、相手の
墓地のカード2枚を選択し、ゲームから除外する。
●2枚:自分のデッキの上からカードを3枚めくり、
その中から1枚を選択して手札に加え、
残りのカードをデッキに戻す。
●自分のデッキからカードを2枚ドローする。
「墓地の天使族モンスター3枚を除外し、カードを2枚ドロー。
バトルフェイズ、ウリエルで相手プレイヤーにダイレクトアタック」
「残念だったなぁ!罠カード《魔法の筒》を発動!」
《魔法の筒》
通常罠(準制限カード)
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
相手モンスター1体の攻撃を無効にし、
そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
「そいつの攻撃力分のダメージを受けなぁ!」
「残念、私は手札の《月影の使者カイエン》の効果を発動」
《月影の使者カイエン》
効果モンスター
星7/光属性/天使族/攻2700/守2500
効果ダメージを与える効果が発動したとき、手札のこのカードを
特殊召喚することができる。
このカードがフィールド上に存在する限り、互いのプレイヤーが
受ける効果ダメージは0になる。
効果モンスターの効果が発動した時、
フィールド上に表側表示で存在するこのカードをリリースしなければならない。
このカードがフィールドから離れる場合、ゲームから除外する。
「カイエンを特殊召喚し、効果ダメージは0になる。よって、攻撃は続行される」
剛瑠怒 4000→1800
「続いて、カイエンでプレイヤーにダイレクトアタック」
「ちぃ…だが、更に罠発動!《ディメンション・ウォール》!」
《ディメンション・ウォール》
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
この戦闘によって自分が受ける戦闘ダメージは、
かわりに相手が受ける。
「コイツの効果はカイエンの影響を受けねぇ。
よって、お前がカイエンの攻撃力分の戦闘ダメージを受けてもらうぜ!」
礼奈 3000→ 300
「思ったよりやるのね。カードを2枚伏せ、ターンエンド」
「へっ。ほざいてろ!」
オレ様のライフは残り1200、次のターンを生き残ることは難しい。
だが、ヤツのライフはわずか300・・・まさに、風前のともし火だ。
(そして、オレ様の手札のカードは『スフィア・ボム 球体時限爆弾』…)
《スフィア・ボム 球体時限爆弾》
効果モンスター
星4/闇属性/機械族/攻1400/守1400
フィールド上に裏側守備表示で存在するこのカードが
相手モンスターに攻撃された場合、そのダメージ計算前に
このカードは攻撃モンスターの装備カードになる。
次の相手のスタンバイフェイズ時に装備モンスターを破壊し、
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
(ライフを削るには十分な火力だが…場にはカイエンがいる。
あのモンスターがフィールドにいる限り、オレ様の勝機は薄い…)
「オレ様の・・・ターン!」
礼奈 Sp…3
剛瑠怒 Sp…3
ドローしたカードを見た途端…剛瑠怒が嫌らしい笑みを浮かべる。
「オレ様の勝ちだ!お前のモンスター2体をリリース!
いでよ、オレ様の嫁!《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》!ヒャッハー!」
《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》
効果モンスター
星8/炎属性/悪魔族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。
相手フィールド上に存在するモンスター2体をリリースし、
手札から相手フィールド上に特殊召喚する。
自分のスタンバイフェイズ毎に、自分は1000ポイントダメージを受ける。
このカードを特殊召喚するターン、自分は通常召喚できない。
「ご自慢のカイエンも消えちまったなぁ?ヒャッハッハッ!」
ラヴァゴーレムはスタンバイフェイズにプレイヤーに1000ダメージを与えるカード。
そして、このモンスターは相手モンスターを生贄に相手の場に特殊召喚される・・・!
礼奈のライフはわずか300。とても耐えることはできない・・・!
「ターンエンドだ!勝てばいいんだ!なに使おうが勝ち残りゃあ!」
「・・・そうね。なに使おうが、勝ち残れば、ね」
そう、礼奈は同意する。
「その通りだ。だがオレ様の方が上手だったな!お前の負けだ!」
「・・・それはどうかしら?永続罠《奇跡の光臨》を発動」
《奇跡の光臨》
永続罠
ゲームから除外されている自分の天使族モンスター1体を選択し、
自分フィールド上に特殊召喚する。
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。
「私は除外された天使族モンスター1体を特殊召喚する」
「天使族モンスター…だが、カイエンは墓地にいるはず。奇跡の光臨の効果で特殊召喚することは―」
「残念ね…カイエンは"フィールドから離れる時、ゲームから除外される"わ」
「な・・・!?」
フィールドに再びカイエンが現われる。
そして、礼奈のターンが訪れる…が、カイエンによりダメージはない。
「私のターン、ドロー」
そして、剛瑠怒のフィールドのカードは0。
対する礼奈のフィールドにはカイエンと…ヤツの嫁、ラヴァゴーレム。
「終わりよ。ラヴァゴーレムでダイレクトアタック。ゴーレムボルケーノ!」
剛瑠怒 1800→ 0
DUEL END
WINNER 月夜礼奈!
「自分が嫁と呼んだカードにやられるなんて…皮肉ね」
デュエルは意外と呆気なく終わりを迎えた。
と言っても、先攻1ターン目から大荒れではあったが。
「ぐぬぅ…宣告者さえなければ先攻1Killだったものを…!」
「残念だけど、現実はそう甘くはないものよ」
そう冷たく言い放つ。
その言葉に剛瑠怒は表情を歪め、
「こ、これが欲しいんだろ!くれてやる、こんなもの!」
そう言って、剛瑠怒は奪ったデッキとDPカードを投げ渡す。
「くっ…つ、次はこうはいかないからな!お、覚えてろよー!」
そしてそう捨て台詞を残し、バイクに乗って逃げ出した。
その姿からは、いかにも小物臭が漂っていた。
「ミッションコンプリート、ね」
― 一樹Side ―
「ぼ、僕のデッキが広場に落ちてた!?」
大会の当日。
昨日デッキを失った僕は、気分が上がらないまま先輩との
待ち合わせ場所へ着いてすぐに、衝撃の真実を告げられた。
「えぇ。ベンチの下に捨てられてたのをたまたま見つけたの。
良かったわね一樹君。これで、無事大会に参加することができるわ」
先輩の話によると、そういうことらしい。
しかし、にわかには信じられない…そんなことがあるなんて。
「そういえば、先輩のDPカードは―」
「流石に、あれは見つからなかったわ」
「そうですか…」
やっぱり、そこまで
「気にしないでいいわ。大した額じゃないもの」
た、大した額じゃないんだ。
0が沢山見えてた気がするけど…うん、気にしないでおこう。
ふと時計を見ると針は9時を指している。
ちょうど、開会式が始まる時間だ。
「さて、じゃあ…いきましょう」
「はいっ」
先輩の声を合図に、僕らは会場へ向かいだした。
これ書いてる最中、諸事情によりテンションの低い旅人です。
どうでもいいけど、今日ポケモンHG買ったぜ!…ホントにどうでもいいですね、サーセンww
自分で見てて幼稚ですが、地道に頑張っていこうと思います。
- もしもガトリング・オーガの効果を複数回に分けて発動していたら・・・どうなっていたかしら -- Mr.Guest (2011-09-28 01:44:33)
- ゴルドsの名前かっけぇ……( -- 会長 (2011-09-29 21:34:52)
#comment
「どこのどいつかは知らねぇが・・・お前ら、やっちまえ!」
「「おぉー!」」
親玉である剛瑠怒の号令と同時に、子分どもが少女を取り囲む。
その数、実に7人。体格差もあって、圧倒的に少女が不利な状況だ。
「へっへっへ・・・観念するんだな」
「兄貴にたてついたこと、後悔させてやるぜ!」
「泣いて懇願したら許してやるぜ?ハッハッハ!」
当然、彼等は自分達の優位を疑わない。
そして、そこへ一人の子分が近づいていく。
「おーぅ…いい体してんじゃねぇか。…ちょっと見せてみろよ」
そう言って、少女に触れようとした、その時。
「やめてくれないかしら」
少女がそう告げた刹那、近づいた子分が音もなく地へ伏した。
突然の出来事に、誰もがなにが起きたかを理解できない。
一人を除いて。
「悪いけど、そういう趣味はないの」
一人、また一人。子分たちが地へ伏していく。
「こ、コイツ…つ、強いぞ!」
「やべぇ・・・あの一瞬で4人もやられちまった・・・!」
「この女・・・化け物だ・・・!」
子分たちは動揺を隠せない。
しかし、剛瑠怒がそこへ激を飛ばす。
「あ、慌てるな!お前ら3人がかりでデュエルで叩きのめせ!」
「そ、そうだ・・・3人がかりのデュエルなら負けるはずがねぇ!」
「よ、よし!この女を取り囲むぞ!」
3人の子分たちが再び少女を囲む。
そして各々がデュエルディスクを構えた。
「3人がかり…上等ね。遊んであげるわ」
そう言って、デュエルが始まった。
一方その頃、剛瑠怒は一人バイクに跨り、その場から逃走していた。
(あの女はまずい・・・!ここは一旦退却するしかねぇ!)
剛瑠怒の勘が告げていた。
歴戦の修羅場を潜り抜けてきた剛瑠怒だからこそ、養える勘である。
(とりあえずは子分どもが時間を稼いでいるだろう…その間にどこかへ隠れなければ…)
と、その時。
剛瑠怒の目にスタジアムが映った。
「コイツは、明日から始まる大会とやらの会場じゃねぇか…」
ライディングデュエルの会場…ここならバイクのまま潜伏が可能・・・!
(へっへっへ…オレ様はツイてる!ここならバレる心配もねぇ!)
そう考え、剛瑠怒は会場へ入っていった。
「あら、思ったより遅かったわね」
「な・・・なぜお前がここに・・・!?」
あ…ありのまま、今起こった事を話すぜ!
『オレ様はあの女から逃げてこのスタジアムへ潜伏したはず
なのに、その本人がなぜか先にスタジアムで待ち伏せをしていた』
な…何を言っているのかわからねーと思うが、オレも何をされたのかわからなかった…。
頭がどうにかなりそうだった…。
超能力だとか座標移動(ムーブポイント)だとか、そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。
「簡単よ。あの3人を片付けた後Dホイールでここに来ただけよ。
あらかじめ、あなたが逃走経路に利用しそうなポイントを予測して、ね」
チッ…なら、オレ様の行動は最初から計算通りってか・・・気に食わねぇ。
「・・・何が狙いだ?」
「最初に言ったでしょう?"鬼ごっこ"よ」
鬼ごっこだと・・・?
分かったぞ!邪"鬼"威剛瑠怒…つまり最初からオレ様が狙いだったということか。
と、そこで相手の名前を聞いていないことに気付く。
「・・・お前の名はなんだ」
「月夜礼奈。あなたは名乗らなくていいわ。
私は興味なんて無いし、聞く必要もないものね」
と、こちらを挑戦的な目で見る。
そう言われてまで逃げるほど、オレ様は臆病じゃねぇ…!
「そうかよ…月夜礼奈とやら!ならオレ様が直々に相手をしてやるぜ!」
月夜礼奈
『月夜煌星』
vs
邪鬼威剛瑠怒
『もし現実主義者がデッキを組んだら』
―フィールド魔法【スピードワールド2】発動―
スピード・ワールド2 フィールド魔法
「Sp(スピードスペル)」と名のついた魔法カード以外の魔法カードを
プレイした時、自分は2000ポイントのダメージを受ける。
お互いのプレイヤーはお互いのスタンバイフェイズ時に1度、自分用の
スピードカウンターをこのカードの上に1つ置く。(お互い12個まで)
自分用スピードカウンターを取り除く事で、以下の効果を発動する。
●4個:自分の手札の「Sp」を見せることで、800ポイントダメージを相手ライフに与える。
●7個:自分のデッキからカードを1枚ドローする。
●10個:フィールド上に存在するカードを1枚破壊する。
●12個:自分、または相手の墓地のチューナー一体を特殊召喚する。
「デュエルモードオン・・・オートパイロットスタンバイ」
「「ライディングデュエル!アクセラレーション!」」
第一コーナーは剛瑠怒が獲得する。
「いくぜ!オレ様のターン!」
コイツは良い手札だ…クケケ・・・!
「瞬殺してやるぜ!《ガトリング・オーガ》を召喚!」
《ガトリング・オーガ》
効果モンスター
星3/炎属性/悪魔族/攻800 /守800
自分フィールドの魔法・罠ゾーンにセットされた魔法・罠カードを
任意の枚数枚を墓地へ送る。この効果で墓地へ送ったカード1枚につき、
相手ライフに800ポイントダメージを与える。
「ガトリング・オーガ…」
「オレ様はカードを5枚セット…コイツがどういう意味か分かるよな?」
イヤらしい笑みを浮かべ、剛瑠怒が言う。
ガトリング・オーガは魔法・罠を弾丸にしてダメージを与えるモンスター。
その弾丸の威力は1発800ポイント。つまり、いま伏せた5枚のカードを
弾丸にして発射すれば、いきなり4000ポイントのダメージを与えることができる・・・!
「・・・それが、どうかしたのかしら?」
が、月夜礼奈は余裕を崩さない。
それどころか、挑発的な目を剛瑠怒に返す。
「ハハハ!!強がるのも今のうちだ。きさまが黒こげになるのをゆっくりここで見物してやるわ!
いけ、ガトリング・オーガ!場の魔法・罠カード5枚を墓地に送り、5発の弾丸を装填!全弾発射ぉ!!」
ガトリング・オーガから弾丸が放たれる。
魅せデュエルが基本な創作デュエルでの先攻1ターンキル…狂喜の銃鬼!
「ひゃあはは!どうだ、くやしいか!くやしいかぁ!はははぁ!!」
勝利を確信した剛瑠怒が、高らかに相手を嘲笑う。
…が、彼女はその幻想を躊躇いも無く粉砕する・・・!
「私は手札の《朱光の宣告者》の効果を発動」
《朱光の宣告者》
チューナー(効果モンスター)
星2/光属性/天使族/攻 300/守 500
このカードと天使族モンスター1体を手札から墓地へ送って発動する。
相手の効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。
この効果は相手ターンでも発動する事ができる。
「このカードと『月輪の解天使キルエル』を墓地へ送り、ガトリング・オーガの効果を無効にして破壊するわ」
「なん…だと…?」
一度に5枚のカードを放ち発動したガトリング・オーガ。
しかし、たった2枚のカードに防がれ、破壊されることとなった。
だが、この男…邪鬼威剛瑠怒はその程度では終わらない・・・!
「チッ…だが、墓地へ送った《炸裂弾》と《採掘弾》の効果が発動するぜ!」
《炸裂弾》
通常罠
フィールド上にセットされたこのカードが「ガトリング」と
名のつくカードの効果によって墓地へ送られたとき、相手に
1000ポイントのダメージを与える。
《採掘弾》
通常罠
フィールド上にセットされたこのカードが「ガトリング」と
名のつくカードの効果によって墓地へ送られたとき、コイントスを
1度行なう。表が出た場合、カードを2枚ドローする。裏が出た場合、
自分は1000ポイントのダメージを受ける。
「採掘弾の効果により、オレ様はコイントスを行なう…表!
オレ様はカードを2枚ドロー!お前は1000ダメージを受けろ!」
礼奈 4000→3000
「オレ様はカードを1枚伏せてターンエンド!」
「私のターン、ドロー」
後攻1ターン目からは、互いにSp(スピードカウンター)が増える。
剛瑠怒 Sp…1
礼奈 Sp…1
「《魔轟神レイヴン》を召喚」
《魔轟神レイヴン》
チューナー(効果モンスター)
星2/光属性/悪魔族/攻1300/守1000
自分の手札を任意の枚数捨てて、その枚数分このカードの
レベルをエンドフェイズ時まで上げる事ができる。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、
この効果によって捨てた手札の枚数×400ポイントアップする。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
「ほぅ、チューナーモンスター…」
レベルを調整できるチューナー…だが、非チューナーがいなければ意味はない。
「私はレイヴンの効果を発動。手札の『月下の天使ウル』を
捨て、そのレベルを1上げ、攻撃力を400ポイント上昇させる」
魔轟神レイヴン レベル2→3 ATK1300→ATK1700
「そして、捨てられた《月下の天使ウル》の効果が発動」
《月下の天使ウル》
効果モンスター
星2/光属性/天使族/攻 400/守 400
このカードが手札から墓地へ捨てられた時、
このカードを自分フィールド上に特殊召喚する。
「墓地から、ウルを守備表示で特殊召喚。カードを2枚セット」
礼奈のフィールドにはチューナーと非チューナー。
当然、プレイヤー…礼奈はシンクロ召喚を選択する。
「レベル2、月下の天使ウルに、レベル3、魔轟神レイヴンをチューニング。
&italic(){&html(<font color="#0000ff">月界に仕える忠実なる天使よ。神の炎となりて、未来を照らせ!</font>)}
&italic(){&html(<font color="#0000ff">シンクロ召喚!輝ける未来を約束せよ、煌月の智天使ウリエル!</font>)}」
《煌月の智天使ウリエル》
シンクロ・効果モンスター
星5/炎属性/天使族/攻2200/守1900
光属性チューナー+チューナー以外の「月」と名のついた天使族モンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地の天使族モンスターを3枚まで
選択して除外することができる。
除外した枚数によって、このカードは以下の効果を得る。
●1枚:このカードがフィールドから離れた時、相手の
墓地のカード2枚を選択し、ゲームから除外する。
●2枚:自分のデッキの上からカードを3枚めくり、
その中から1枚を選択して手札に加え、
残りのカードをデッキに戻す。
●自分のデッキからカードを2枚ドローする。
「墓地の天使族モンスター3枚を除外し、カードを2枚ドロー。
バトルフェイズ、ウリエルで相手プレイヤーにダイレクトアタック」
「残念だったなぁ!罠カード《魔法の筒》を発動!」
《魔法の筒》
通常罠(準制限カード)
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
相手モンスター1体の攻撃を無効にし、
そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
「そいつの攻撃力分のダメージを受けなぁ!」
「残念、私は手札の《月影の使者カイエン》の効果を発動」
《月影の使者カイエン》
効果モンスター
星7/光属性/天使族/攻2700/守2500
効果ダメージを与える効果が発動したとき、手札のこのカードを
特殊召喚することができる。
このカードがフィールド上に存在する限り、互いのプレイヤーが
受ける効果ダメージは0になる。
効果モンスターの効果が発動した時、
フィールド上に表側表示で存在するこのカードをリリースしなければならない。
このカードがフィールドから離れる場合、ゲームから除外する。
「カイエンを特殊召喚し、効果ダメージは0になる。よって、攻撃は続行される」
剛瑠怒 4000→1800
「続いて、カイエンでプレイヤーにダイレクトアタック」
「ちぃ…だが、更に罠発動!《ディメンション・ウォール》!」
《ディメンション・ウォール》
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
この戦闘によって自分が受ける戦闘ダメージは、
かわりに相手が受ける。
「コイツの効果はカイエンの影響を受けねぇ。
よって、お前がカイエンの攻撃力分の戦闘ダメージを受けてもらうぜ!」
礼奈 3000→ 300
「思ったよりやるのね。カードを2枚伏せ、ターンエンド」
「へっ。ほざいてろ!」
オレ様のライフは残り1200、次のターンを生き残ることは難しい。
だが、ヤツのライフはわずか300・・・まさに、風前のともし火だ。
(そして、オレ様の手札のカードは『スフィア・ボム 球体時限爆弾』…)
《スフィア・ボム 球体時限爆弾》
効果モンスター
星4/闇属性/機械族/攻1400/守1400
フィールド上に裏側守備表示で存在するこのカードが
相手モンスターに攻撃された場合、そのダメージ計算前に
このカードは攻撃モンスターの装備カードになる。
次の相手のスタンバイフェイズ時に装備モンスターを破壊し、
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
(ライフを削るには十分な火力だが…場にはカイエンがいる。
あのモンスターがフィールドにいる限り、オレ様の勝機は薄い…)
「オレ様の・・・ターン!」
礼奈 Sp…3
剛瑠怒 Sp…3
ドローしたカードを見た途端…剛瑠怒が嫌らしい笑みを浮かべる。
「オレ様の勝ちだ!お前のモンスター2体をリリース!
いでよ、オレ様の嫁!《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》!ヒャッハー!」
《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》
効果モンスター
星8/炎属性/悪魔族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。
相手フィールド上に存在するモンスター2体をリリースし、
手札から相手フィールド上に特殊召喚する。
自分のスタンバイフェイズ毎に、自分は1000ポイントダメージを受ける。
このカードを特殊召喚するターン、自分は通常召喚できない。
「ご自慢のカイエンも消えちまったなぁ?ヒャッハッハッ!」
ラヴァゴーレムはスタンバイフェイズにプレイヤーに1000ダメージを与えるカード。
そして、このモンスターは相手モンスターを生贄に相手の場に特殊召喚される・・・!
礼奈のライフはわずか300。とても耐えることはできない・・・!
「ターンエンドだ!勝てばいいんだ!なに使おうが勝ち残りゃあ!」
「・・・そうね。なに使おうが、勝ち残れば、ね」
そう、礼奈は同意する。
「その通りだ。だがオレ様の方が上手だったな!お前の負けだ!」
「・・・それはどうかしら?永続罠《奇跡の光臨》を発動」
《奇跡の光臨》
永続罠
ゲームから除外されている自分の天使族モンスター1体を選択し、
自分フィールド上に特殊召喚する。
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。
「私は除外された天使族モンスター1体を特殊召喚する」
「天使族モンスター…だが、カイエンは墓地にいるはず。奇跡の光臨の効果で特殊召喚することは―」
「残念ね…カイエンは"フィールドから離れる時、ゲームから除外される"わ」
「な・・・!?」
フィールドに再びカイエンが現われる。
そして、礼奈のターンが訪れる…が、カイエンによりダメージはない。
「私のターン、ドロー」
そして、剛瑠怒のフィールドのカードは0。
対する礼奈のフィールドにはカイエンと…ヤツの嫁、ラヴァゴーレム。
「終わりよ。ラヴァゴーレムでダイレクトアタック。ゴーレムボルケーノ!」
剛瑠怒 1800→ 0
DUEL END
WINNER 月夜礼奈!
「自分が嫁と呼んだカードにやられるなんて…皮肉ね」
デュエルは意外と呆気なく終わりを迎えた。
と言っても、先攻1ターン目から大荒れではあったが。
「ぐぬぅ…宣告者さえなければ先攻1Killだったものを…!」
「残念だけど、現実はそう甘くはないものよ」
そう冷たく言い放つ。
その言葉に剛瑠怒は表情を歪め、
「こ、これが欲しいんだろ!くれてやる、こんなもの!」
そう言って、剛瑠怒は奪ったデッキとDPカードを投げ渡す。
「くっ…つ、次はこうはいかないからな!お、覚えてろよー!」
そしてそう捨て台詞を残し、バイクに乗って逃げ出した。
その姿からは、いかにも小物臭が漂っていた。
「ミッションコンプリート、ね」
― 一樹Side ―
「ぼ、僕のデッキが広場に落ちてた!?」
大会の当日。
昨日デッキを失った僕は、気分が上がらないまま先輩との
待ち合わせ場所へ着いてすぐに、衝撃の真実を告げられた。
「えぇ。ベンチの下に捨てられてたのをたまたま見つけたの。
良かったわね一樹君。これで、無事大会に参加することができるわ」
先輩の話によると、そういうことらしい。
しかし、にわかには信じられない…そんなことがあるなんて。
「そういえば、先輩のDPカードは―」
「流石に、あれは見つからなかったわ」
「そうですか…」
やっぱり、そこまで
「気にしないでいいわ。大した額じゃないもの」
た、大した額じゃないんだ。
0が沢山見えてた気がするけど…うん、気にしないでおこう。
ふと時計を見ると針は9時を指している。
ちょうど、開会式が始まる時間だ。
「さて、じゃあ…いきましょう」
「はいっ」
先輩の声を合図に、僕らは会場へ向かいだした。
これ書いてる最中、諸事情によりテンションの低い旅人です。
どうでもいいけど、今日ポケモンHG買ったぜ!…ホントにどうでもいいですね、サーセンww
自分で見てて幼稚ですが、地道に頑張っていこうと思います。
- もしもガトリング・オーガの効果を複数回に分けて発動していたら・・・どうなっていたかしら -- Mr.Guest (2011-09-28 01:44:33)
- ゴルドsの名前かっけぇ……( -- 会長 (2011-09-29 21:34:52)
- ↑↑まぁ、それが賢明な手段ではありますね。ですが、今回は勝利を確信した剛瑠怒の慢心が敗因なわけです。 -- 旅人 (2011-10-02 12:37:50)
#comment
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: