ジャスティスバトルロワイアル
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ジャスティスバトルロワイアル
ja
2011-07-17T22:39:18+09:00
1310909958
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とるにたりないもの
https://w.atwiki.jp/justicerowa/pages/274.html
**とるにたりないもの ◆yCCMqGf/Qs
――――――『あなたを愛してる』
◆
―――今夜、一人の『警官』が死んだ
―――彼の名は『ジェームズ=ゴードン』
地下水路に響く、放送よりその名を聞いた時、
『バットマン』こと、『ブルース=ウェイン』に脳に渡来したのは、
哀しみでも、怒りでも無く、強烈な『疲労感』だった。
狂気にも似た鋼の精神力で抑えつけていた怪我による痛みと疲労が、
堰を切った様に、怒涛となってバットマンの体に襲いかかってくる。
倒れ、力なく地に伏せる事すら無かったが、思わず下水道の緩いアーチを描く壁面に彼はその身を預けた。
―――『ジェームズ=ゴードン』
『シカゴ』から『ゴッサム』へとやってきた男。
今時珍しい程の『正義感』と『職業意識』をもった男であり、
数少ない『本物の警官』の一人であった男。
そして、『バットマン』にとっては本当に僅かな心を許せる『戦友』であり、『理解者』であった男。
その彼が、死んだのだ。
「…………」
不思議と、悲しみも怒りもわかない。涙も出なかった。
有り得ない事では無かった。“あの”『ポイズン・アイビー』すら、読み上げられた死者の名簿の中にあったのだ。
如何に鋼の意志を持った警察官であったとしても、彼が死ぬ事は充分にありえた事なのだ。
この殺し合いの場に限った話では無い。
バットマンとゴードンの相手にしていたゴッサムの闇は余りに深く、そしてどす黒い。
命を狙われ、死に瀕した経験も、もはや両手の指で数える事が出来ない程であった。
いつも、死と隣合わせだった。そして自分も、ゴードンも、それを了解していた。
その上で、自分達は戦い続けて来たのだ。
『悪』と――――
そしてゴードンは死んだ。
病んだ社会、どうしようもない世界を、その病巣を最前線で見ながら、戦い続けた男は死んだのだ。
『ジェイソン=トッド』と同じ様に、自分を置いて先に逝ってしまった。
この、終わりの無い、血を吐きながら続けるマラソンの様な、戦いの最中で。
バットマンの肩に、戦友の死が、重みとなってのしかかる。
暗い視界は暗さを増して、天井が酷く低くなった様に錯覚する。
まるで、自分を押し潰さんとせんが為に。
空気は
2011-07-17T22:39:18+09:00
1310909958
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◆UOJEIq.Rys
https://w.atwiki.jp/justicerowa/pages/273.html
**◆UOJEIq.Rys氏
*氏が手がけた作品
|話数|タイトル|登場人物|
|074|[[正義の味方 ‐Crime avenger‐(前編)]][[(後編)>正義の味方 ‐Crime avenger‐(後編)]]|黒神めだか、衛宮士郎、ヨハン・リーベルト|
#comment
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2011-06-28T22:13:51+09:00
1309266831
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正義の味方 ‐Crime avenger‐(後編)
https://w.atwiki.jp/justicerowa/pages/272.html
**[[←>正義の味方 ‐Crime avenger‐(前編)]]
4/理想『正義の味方』
―――踏み込んだ。
身体能力で衛宮士郎は黒神めだかに敵わない。それを承知で地面を蹴った。
勝算はある。
黒神は俺を殺さない。
彼女が不殺を謳う以上、どれだけ攻撃を受けようと、死ぬことはあり得ない。
後はただ、俺の体が動く内に黒神の隙を見つけ、渾身の一撃を炸裂させるだけだ。
打ち下ろす陰剣莫耶。
その白刃の刃に必殺の意思を籠めて叩き込む。
―――だが。
渾身の力で繰り出された短剣は、
渾身の力で止められた。
「……なんで避けようとしない」
何を思ったのか、黒神は両腕をだらりと下げている。
攻撃も、防御も、回避すらもする様子がない。
俺が剣を止めなければ、彼女は確実に首を断ち切られていただろう。
「――――あなたから、攻撃を受ける理由がありません。故に、避ける理由がありません」
黒髪めだかはそう答えた。
そのまま右手の剣を手放す。
手放された剣は、容易く床へと突き刺さる。
そしてカラになった右手を、俺へと差し出してきた。
「衛宮士郎。確かに私には、あなたの絶望も、覚悟も、その理想にかけた意志の重さも、真に理解することは出来ないでしょう。
けど、今ならまだ間に合うはずだ。あなたの本当の願いを取り戻せるはずだ」
「……………………」
「あなた一人の力で足りないのなら、私が力を貸します。
あなたが味方を出来なかった人は、私が味方になって救います。
私が手伝います。誰も傷つかないように。誰も悲しまないように。誰もが幸せになれるように。
……あなたの夢が叶うように。
だから――――」
戻って来い、と。
手を伸ばしている。
名前を呼んでいる。
孤独の道を歩もうとする俺を、
黒神めだかは、今なお救おうとしていた。
貫いた。
躊躇わず、微塵も情を零さず、黒神の体に短剣を突き刺した。
抵抗はなかった。
きっかりと一撃で、黒神の体を貫いた。
「――――――――、―――」
思い出があった。
ちゃんと、今でも生きている感情があった。
忘れようのない、彼女との日々がすぐ近
2011-06-29T11:14:16+09:00
1309313656
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正義の味方 ‐Crime avenger‐(前編)
https://w.atwiki.jp/justicerowa/pages/271.html
**正義の味方 ‐Crime avenger‐◆UOJEIq.Rys
1/喪失『私にとって必要な――――』
――――放送が終わった。
告げられた死者は十二名。その中に、自分の知人はいない。
だが、それは決して喜ぶべき事ではない。
たった六時間。それだけの間に十二人もの人間が死んだのだ。
その中に、誰かにとっての大切な人が入ってない方がおかしく、そしてそれは――――
「…………ぜん……きち……?」
複数人で行動している自分“たち”でさえ、例外ではない。
黒神めだかが、茫然と立ちつくしていた。
あの毅然とした態度の面影は何処にもない。
どこにでもいる当たり前の少女の様に、ただ静かに涙を流していた。
「……黒神…………」
その様子を見ていられず黒神に声をかけるも、言葉が続かない。
大丈夫か。などとは口が裂けても言えない。
確認するまでもない。
彼女は――――大切な誰かを失ったのだ。
ニナもそれを判っているのか、声をかける様子はない。
朝焼けを迎えるカフェテリアは、ただ静かに、声無き慟哭を響かせていた。
◇
「すまない、迷惑をかけた」
あれから数分。動揺の落ち着いた黒神は、静かにそう言って謝った。
「気にしなくていいって。それより、もしまだ辛いなら休んでていいからな」
「そうですよ。無理をして体を壊してしてしまっては元も子もありません」
「……心遣い、感謝します。けれど休んでいる暇はありません。これ以上誰かを死なせる訳にはいかいきませんから。
大丈夫です。いきなり倒れるようなへまはしませんので」
「……わかった。けど無茶だけはするなよ。限界だと思ったら、無理やりにでも休ませるからな」
黒神に今までの覇気はない。だが、今はこれ以上休めと言ったところで黒神は聞かないだろう。
それに、何かをしていた方が心を紛らわせる事も出来るだろう。
心配は拭えないが、それなら無茶をし過ぎないよう俺が気をつけていればいいだけだ。
黒神が頷いたのを確認して、今後の方針を練る。
本来、こういったリーダーシップを執るのは黒神の方が得意なのだろうけど、今の彼
2015-03-04T00:40:59+09:00
1425397259
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舗装された分かれ道/名探偵は逃げ出した
https://w.atwiki.jp/justicerowa/pages/270.html
**舗装された分かれ道/名探偵は逃げ出した ◆2XEqsKa.CM
「ふむ……やはり、Isiの参加者が犠牲になる向きが強いか」
「俺や金田一君の説……Horが他人を守る者、Setが他人を害する者、Isiが他人に守られる者として設定されている以上、
参加者はそれらの属性に見合った人格と能力の持ち主である……ってのも、これで推測の域を超えたかもねぇ」
「でも、Isiの人たちが一方的に虐殺されてるって……Setの人たちの方が、Horの人より強大って事なんでしょうか?」
「いや……単に、Hor達によるIsiの保護が遅れているだけだろう。参加者達が凡そ己の属性を読めている、とすれば。
Set、ヨハンのような者たちは見つけた弱者を付け狙い、殺すだけで目的を達成するのだから当然行動も早くなる」
「……」
朝日が差し込む病院のエントランスに、五人の人間が頭をつき合わせている。
彼らは今しがたこの『実験』の経過報告を聞き、それぞれがそれぞれのリアクションを取っていた。
死者に送る十字を切る神父。放送の内容に想いを馳せる情報屋。冷や汗を浮かべる少年。顔を歪める医者。
そして……放心する、名探偵。
「何より気になるのは……『テンマ』と『賀来巌』の寸劇。これが何を意味するのか、だな」
「ん? どうかしたのかい、金田一君。一緒に推理しようよ。名探偵なんだろう? 推理しなよ、ほら」
「美雪が……死んだ」
「退場ってことは、そういうことだろうね。これで君の知り合いは残り二人だ」
「金田一一。君の気持ちもわかるが、今は悲しんでいる場合ではないだろう。
君が我々に語った『信じてくれ』という言葉は―――その意志は。もう揺らぎ始めているのかね?」
「美雪だけじゃない、12人だぜ! 12人も……死んだんだぞ! なんでそんなに落ち着いて……」
数多くの難事件を解決してきた金田一にとっても、この『事件』は未曾有の災厄だった。
規模もさることながら、探偵の周囲で起こらない性質。
そして近しい者の死と言う最悪の形でじわじわと迫ってくる感覚。全てが、初の体験だった。
焦燥する名探偵に、神父と情報屋が哀れむような視線を向ける。あるいは、嘲るような目線か。
2011-06-28T22:06:15+09:00
1309266375
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各種資料集
https://w.atwiki.jp/justicerowa/pages/269.html
このロワ内ではなぜか各キャラの背景を窺わせる資料が様々な場所で発見される。
以下、ここに出展と内容を示す。
** **原作のネタバレを含みます。**
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**511キンダーハイムの資料
E-10、551キンダーハイムで発見。
文字通り、マップ上の施設、551キンダーハイム@MONSTERについての資料。
旧東ベルリンにあった551キンダーハイム(孤児院)にだが、551キンダーハイムは旧東ドイツの内務省直轄の「実験場」であり、
精神改造、人間改造の研究が行われていた。
ちなみに作中でも551キンダーハイム自体は話に挙がっただけで、建物自体は既に存在しない。
さらに、作中ではベルリンの壁崩壊とキンダーハイム内で起きた事件により資料はほとんど焼失しているはずである。
[[空条承太郎]]が発見、いくつかそのまま保持している。
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**ビデオ・ライブラリー
H-4、テレビ局で発見。
ビデオテープの山。VHSかβかVDかは不明。ディスクではない。DISCでもない。
日本のテレビ局であるが、どの言語でどこで収録、放送されたものなのは不明なものが多い。
[[杳馬]]が発見し、深夜から空の白み始めるこの時間まで、ぶっ通しで見続けた。以下に挙げた他にも多数ビデオがあったようだ。
物語内資料の詳細は以下↓
#region(close,詳細を見る)
・現代のマリー・セレスト号!? 洋上で忽然と消えたトレジャーハンター達の謎
「ジョジョの奇妙な冒険」からの出展。
Part1で相討ちで敗れた吸血鬼DIOは、ジョナサンの肉体を乗っ取り海底の棺桶で生き延びる。
作中の1989年、その棺桶の乗った船をトレジャーハンター達が引き上げ、トレジャーハンター達の船の上で棺桶を開けてしまい、その後船は無人のまま残される。
原作では12巻のエピソード。だが、トレジャーハンターのその後については載っていない。DIOは彼らを海にでも捨てたのだろうか。
・中田栄角、緊急入院で国会紛糾!? 毒ガスMWの真相は―――
「MW」からの出展。
原作最終部「MW事件」終結後、事件の責任問題について議論している場面のニュース映像のようだ。事件の首謀者である結城美知夫についてもある程度触れられている
2011-05-04T00:08:01+09:00
1304435281
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支給品以外のアイテム
https://w.atwiki.jp/justicerowa/pages/268.html
*支給品以外のアイテム
*<主催者から支給品として与えられたもの以外のアイテム。
* 参加者が自力で民家やマップから見つけることで増えていく>
**【下水道】
会場の地下に存在する下水道網。
**【[[各種資料集]]】
マップ内随所で発見される各々の世界に関する資料。
詳細はタイトルをクリック。
**【シュガーポット@現地調達】
[[L]]がコーヒーハウスで調達。
コーヒーの中に入れるための角砂糖が詰まったシュガーポット。
角砂糖などどうするのかというと――そのまま食べる。名推理に糖分は欠かせないのである。
ロールシャッハも角砂糖を食べる。というかむしろ彼にとっては主食のひとつである。
2011-05-04T00:07:18+09:00
1304435238
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参加者別支給品一覧
https://w.atwiki.jp/justicerowa/pages/267.html
//参加者の支給品情報
|参加者|支給品|行方|
|衛宮士郎|不明|士郎|
|~|不明|士郎|
|~|不明|士郎|
|アーチャー|高級お茶会セット|アーチャー|
|~|不明|アーチャー|
|~|不明|アーチャー|
|言峰綺礼|激辛麻婆豆腐|言峰→消費|
|~|不明|言峰|
|~|不明|言峰|
|藤村大河|スーパーマンのコスチューム|大河|
|~|Pちゃん・改|大河|
|~|装甲機ゴウラム|大河|
|間桐慎二|ナチス武装親衛隊の将校服|慎二|
|~|ドクロの徽章付き軍帽|慎二|
|天馬賢三|コルトガバメントM1911A1|天馬|
|~|不明|天馬|
|~|不明|天馬|
|ヨハン・リーベルト|ニナへの女装グッズ|ヨハン|
|~|S&W/M37チーフス スペシャル|ヨハン|
|~|バギブソン|ヨハン→善吉→由乃→放置(F-4)|
|ハインリッヒ・ルンゲ|『黒の船』のコミック|ルンゲ|
|~|不明|ルンゲ|
|~|不明|ルンゲ|
|ニナ・フォルトナー|ハンドガン|ニナ→吉良|
|~|ビデオカメラ|ニナ→吉良|
|ヴォルフガング・グリマー|ゾンビルーツのスプレー|グリマー→由乃|
|~|不明|グリマー→由乃|
|~|不明|グリマー→由乃|
|L|不明|L|
|~|不明|L|
|~|不明|L|
|夜神月|ニューナンブM60|月→高遠→月|
|~|不明|月|
|メロ|スローイングナイフ|メロ→放置(I-9)|
|~|ダガーナイフ|メロ→放置(I-9)|
|松田桃太|ジョーカーベノムガス噴霧器|松田|
|~|巴の笛|松田|
|夜神粧裕|不明|粧裕→ヨハン|
|~|不明|粧裕→ヨハン|
|~|不明|粧裕→ヨハン|
|天野雪輝|雪輝の無差別日記のレプリカ|雪輝|
|~|ハンドガン|雪輝→破壊|
|~|不明|雪輝|
|我妻由乃|雪輝日記(レプリカ)|由乃|
|~|アストロライト液体爆薬|由乃|
|~|ベレッタM92|由乃→本郷|
|平坂黄泉|黄泉の正義日記のレプリカ|黄泉|
|~|心音爆弾|黄泉|
|~|雨流みねねの爆弾セット|黄泉→みねね|
|雨流みねね|日本刀|みねね|
|~|みねねの逃亡日記のレプリカ|みねね|
|~|シルクスペクターのコスチューム|みねね|
|東方仗助|不明
2011-02-20T23:03:01+09:00
1298210581
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プリズナーNO.1,2,3,V,4
https://w.atwiki.jp/justicerowa/pages/266.html
**プリズナーNO.1,2,3,V,4 ◆JR/R2C5uDs
想定より、早い。
それが、ルンゲが「放送」を聞いた最初の感想だった。
Hor2名、Set1名、Isi9名、合計12名。
12名もの人間が、たった6時間で死んだ、という。
それが事実かどうかの確証はないが、この主催者の性質上、嘘は無いと思える。
実験を進めるという目的からすれば、ここで嘘をつくことには利点がない。
そして何より、属性ごとの人数を伝えてきたこと。
それは正に、「自分が属する属性の法則に気付け」というメッセージに他ならない。
ルンゲは既に、グループ分けの法則に一つの仮説、推論を立てている。
それは、「法の執行者と、犯罪者、それ以外の無辜の市民」という分け方だ。
その推論を推し進めば、恐らくIsiが、「無辜の市民」である。
犯罪者と法の執行者の対立を主軸としているとするならば、真っ先に犠牲となるのは、特別な訓練を受けていない市民になる確率が高い。
また、人数配分においても、法の執行者や犯罪者より、無辜の市民を多く配置している可能性は高い。
であらば、例えば放送で聞いたヴォルフガング・グリマーは、Isiである、と考えられる。
また、結城によって殺されたと推測される、七瀬美雪という日本人の少女も、このグループであろう。
後は、HorとSetの何れかが法の執行者で、何れかが犯罪者であるという事になる。
勝利条件を素直に受け取れば、Horが法の執行者で、Setが犯罪者という可能性が高いが、それはまだ確証を得た推論とも言えない。
ジェームズ・ゴードン。数刻前にその死体を確認した、ニューヨーク(本人は、ゴッサムなどと洒落めかして言っていたが)の市警察本部長。
ポイズン・アイビー。ゴードンより聞いた、毒と植物を使う異常犯罪者。
後数人、呼ばれた名前の中で、犯罪者か法の執行者であるという事が確認できる人物がいれば、この推論からさらに進める事が出来るだろう。
つまり、死んだ犯罪者がポイズン・アイビー1人だけなら、Setが犯罪者という可能性が高く、死んだ法の執行者がジェームズ・ゴードン1人ならば、Setが法の執行者である可能性が高くなる。
しかし ―――。
結城美知夫。ジョー
2011-05-30T23:46:37+09:00
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正義戦隊ゴ12th 第五話 熱烈歓迎新たな仲間!
https://w.atwiki.jp/justicerowa/pages/265.html
**正義戦隊ゴ12th 第五話 熱烈歓迎新たな仲間! ◆GOn9rNo1ts
『正義が必ず勝つんじゃない。勝ったものが正義なんだよ』
◇ ◇ ◇
バットマンが出て行って、少し後。
地下空間は、思っていたよりずっとずっと静かだった。
耳を澄ましても、何処か遠くで行われている戦いの音はここには聞こえて来ない。
代わりとでも言うようにポタリと、どこからか雫が垂れる。
ちょっとした音がやけに大きく響き、思わず心音が跳ね上がる。
その時のドキドキさえも痛いほど耳に残り、僕は小さく溜息をついた。
「大丈夫、雪輝君?」
そう言った武藤まひろちゃんは、けろっとした顔をしている。
明るく、表情豊かに僕に話を振ってくれる彼女の存在が、今はなにより有り難い。
『殺し合い』の舞台の隅っこでたった一人きりで待っているよりも、何倍も楽な気分だった。
情けない。本来は男である僕の方が気概を見せなければ行けないというのに。
だけど、自分の臆病さをこの場で嘆いていても仕方ない。
携帯を見ると、時刻は5時44分。
もうすぐ放送だ。メモや名簿を取り出そうとデイパックに手をかける。
……知らず知らずのうちに、手が震えていた。
「まひろちゃんは、さ」
「どうしたの?」
「怖くないの?」
言うまいか迷っていた思いを、吐き出した。
僕に習うように自分のペンを取り出したまひろちゃんに、問いかける。
放送。彼女はその意味をきちんと理解しているのだろうか。
誰が死んだかを知らされる、ということは、つまり。
「もしかしたら、もしかしたらだよ?」
「自分の大切な人が……死んでる、かもしれないんだよ?」
「…………」
「僕は、正直言って怖いよ」
我妻由乃。
色々あった。本当に色々あったけれど、彼女は僕の恋人だ。
幾度となく僕の命を救い、敵対する未来日記所有者を返り討ちにした最強の少女。
それでいて、僕なんかを怖いくらい好きで、愛してくれている、彼女。
「死ぬなんてありえない、なんて、言えない」
死ぬなんてショッキングな出来事が画面の向こうでしか起こらない、なんて幻想はここに来る以前からなくなっている。
殺人鬼に襲われたりテロリストに襲われたり猟犬に追われたり
2011-02-20T02:23:01+09:00
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