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禁忌惹厄アフター・ラジオ(後編) ◆GOn9rNo1ts



◇ ◇ ◇



『親友一人と知り合い三人。どちらを取るべきなのか。その一例』



ぱちりと目を開けた。
視界に映るのは、ほの暗い天井。
顔を動かすと、すぐ横には水色の髪(触手?)と白い帽子。
ここは、ファーストフード店の従業員仮眠室だ。
そこまでを確認し、高町なのはは静かに息を吐いた。

「アリサちゃん」

小さく、言葉を漏らす。呟きは誰かに聞こえることもなく、儚げにカーペットに落ちた。
ウサギのように真っ赤に染まった目を、ごしごしと拭う。
いくら拭っても、高町なのはの気は晴れなかった。
むしろ、拭えば拭うほど、目の奥からじわじわと悲しみが襲ってきて。
声には出さぬまま、胸の痛みに耐えながら彼女は泣いた。

高遠遙一や夜神月がなんと言っていたかは、ほとんど覚えていない。
人の話はちゃんと聞きましょう、なんて当たり前の道徳は、なのはを襲った衝撃で紙風船のように吹き飛んだ。
きっと、慰めの言葉や希望的観測をつらつらと並べてくれたのだろうが、今はそんなものに全く価値を見いだせない。
悪い人間だ、と思う。
高遠も月も、放送で親しげな人物の名を聞いたのかもしれないのに、あの時のなのはを精一杯励ましてくれて。
それを全て聞き流している自分は、他人の好意の上に胡座をかいて、メソメソしていただけ。
そんな自分が、嫌になる。

「アリサちゃん」

アリサ・バニングス。高町なのはの親友。
なのは、すずかを引っ張るリーダーのようなポジションにいた、金髪の少女。
勝ち気で行動的で、でもとっても頭が良くてテストではいつも100点を取っていた。
喧嘩をすることもあるけれどいつも仲直りして友情を深め合っていた、高町なのはにとってとっても大切な人。
そんな彼女の名前が、先程死亡者として、放送で呼ばれた。
あまりにあっさりと告げられたその名前の意味を、なのはは何度も何度も頭の中で反芻した。
結論。アリサ・バニングスはもうこの世にはいない。死んでしまっている。
そう思った時は、まだ泣かずにいられたはずだ。
脳が、現実を現実として認識することがなかなか出来なくて、フリーズしていた。
出来事が、出来事として理解できない。理解したくない。
今の状況が、自分のものとして認識できない。認識したくない。



心配そうに声をかける夜神月も。
声を挙げて泣いているイカ娘も。
こちらの頭を撫でる高遠遙一も。

高町なのはは、現実として受け入れることが、出来ない。
どこか向こう側の世界をモニター越しに見ているような錯覚が、彼女を襲う。
ぼんやりと、ここに来て会った彼らがフェードアウト。
代わりに網膜に映るのは、幸せな過去。
アリサちゃんとすずかちゃんと、お弁当を食べている。
アリサちゃんとすずかちゃんと、一緒に授業を受けている。
アリサちゃんとすずかちゃんと、沢山お話をしている。
アリサちゃんとすずかちゃんと、バイバイを言い合って。
ずっとずっとそんな日が続いていて。


でも。


『なのは君』


『泣きたい時には、泣いても良いんです』


駄目だった。
誰かに言われたその言葉が、トリガーとなって。
がくんと、甘い過去が遠くへと飛び去ってしまう。
遠い世界から、苦い現実へと引き戻されて。
一気に、泣いちゃ駄目だと思う間もなく、彼女の涙腺は崩壊していた。

それから先のことは、あまり思い出したくなかった。

「どうして、なの」

恐らく、その問いに対する答えなど、ない。

主催者がこんな実験を開催したから。
アリサ・バニングスがその参加者となったから。
彼女が力のない少女だったから。
彼女の近くにいた誰かが、殺人を犯せる人間だったから。

どの選択肢を選ぼうが、高町なのはがその解に満足することは、一生無い。
いくら論理的だろうと、納得など出来ようもないし、する気などさらさらないのだから。

「どう、して」

最初の問いを諦めて、次の問題。
ドロドロと焼き焦げた塊が、なのはの中で蜷局を巻いていた。
火の玉が中で暴れ回っているような錯覚さえ感じる、激情的な感情の渦。
絶対零度の悲しみを溶かし、身体を奥から熱くするそれは。
実験を開いた主催者に対する怒り。アリサを殺した加害者に対する憎しみ。そして。
己に対する、後悔。


分かっている。
何故、Vと別れた後に今の三人と共に行動しようと思ったのか。
甘かったのだ。何もかもが。
どんなに焦っていても、どんなに急いでいようと、心の何処かで。
友達が死ぬなんてことは、ないと思いこんでいたのだ。
己は間桐慎二に襲われたというのに、親友二人が同じ目に遭っている可能性から、目を逸らしていたのだ。
その場の雰囲気に流され、イカ娘と森を歩き。
月や高遠と言った年上達と一緒にいる安心感に、身を委ねて。


本来なら、足手まといな彼らなど放っておくべきだったのに。


「なん、で」

そんな答えにあっさり辿り着いたことに、愕然とした。
普段のなのはならば絶対に至らない、エゴ的な発想。
自分さえ良ければそれで良いと言う、唾棄するべき考え。
理由はなんとなく察しが付く。放送前の問答のせいだ。
高遠に言われた言葉が、じわじわと身に染みこんでくる。


『貴女がそれほど強くお友達を案じていらっしゃるのなら――――何故、私たちは貴女に殺されていないんでしょうか?』

言われた意味が全く分からなかった。

『それは、貴女がお友達を本気で捜すつもりが無いからですよ』

信念とでもいう固い意志に、綻びが生じた。

『貴女は強い人だ。そしてそれゆえに、残酷だ』

その綻びはどんどん、どんどん広がっていって。

『貴女が出来もしない夢想で偽りの希望を持たせて、人の心を弄ぶような人物だったとは』

遂に、表層に顔を出した。

『貴女がそれを望むのなら、私はこの命を差し上げましょう』



わたしはあのときなにをかんがえていたの?



自分が、ガラガラと崩れていく。
正しいと信じ切っていた己の行動全てが、間違いだと断言されているよう。
奥深くに覆い隠していた、醜いものを剥き出しにされたよう。

「私は、間違ってなんかない……」

力なく、ほとんど消え入るように言う。
だって、人を殺すことは許されないし、自分だけじゃなくて皆のことを考えるべきだ。
自分は正しいことをしている。自分は間違っていない。そう言い聞かせてみる。
貴方は良い人間ですと、頭の中で天使がさえずった。
その言葉に心がこもっていないことは、自分が一番よく知っている。

反対側から、良い子にしていてどうなるの?と悪魔の囁きが心を刺した。
良い子にしていた結果がこれじゃないの?と。頭の中の彼女は意地悪げに微笑む。
また過ちを繰り返すつもり?と、悪魔は大声で笑った。

「だけど、それなら……!」


「……どうすれば、良いの?」


悪魔はとっくの昔に解答を出している。
自分が必死に目を逸らして、見ないようにしていただけだ。
天使が、止めなさいと制止の声を挙げる。
正しくあれ、善くあれ、と高町なのはの倫理観と道徳観を呼び起こす。

「すずか、ちゃん」

だけど。
頭の中で、思い描いてしまったから。
今、何の力もないすずかが、酷い目に遭っているところを。
名前も知らない誰かが、彼女めがけて凶器を振り下ろすところを。
次の放送で、小さな背中が、また泣いているところを。
想像だけで、息が苦しくなる。胸がジクジクと痛む。
己の痛みならば、苦しみならば、耐えることが出来ただろう。
死ぬまで続くような責め苦に、それでも屈することはなかっただろう。
しかし、すずかのことを考えると、その覚悟はあっさりと砕け散る。



『貴女は殺し合いの中で何の力も無い少女が、友にどんな手段を使っても良いから助けて欲しいと
 ただ、そう心の中で願うことさえ許さないと仰るわけですね? それは非常に興味深い考え方です』


またも、高遠の言葉が奥深くまで突き刺さる。
彼の言葉は間違っているのか、それとも正しいのか。
自分の考えは本当に正しいのか、それとも、間違っているのか。
頭の中で、グルグルと正誤が揺れる。
彼の考え方はおかしいと、断言できる根拠があるのだろうか。
既に一人の友を助けることが出来なかった自分に、綺麗事を吐く権利などあるのだろうか。
失敗は自信の喪失に繋がり、絶対的価値を持っていたはずの己の意志が、ガクガクとぶれる。

このまま考え続けていると、頭がおかしくなってしまいそうで。
命と言う名の重圧に押し潰されかけた幼き少女は、希望に縋る。
そうすることで、最善の解が得られるとでもいうように。
己の内の天使に、己自身に、ゆっくりと問いかけた。


正しいことをしていれば、幸せはやって来るの?

己の信念を貫き通せば、大切なものを守れるの?

幸せも大切なものも、たった六時間で一人分失ってしまったというのに?

答えは、なかった。でなかった。
悪魔だけが、ケタケタと嘲笑っていた。




「やらなきゃ」


自分の成すべきことを、頑張って頭の中で形にする。
それは、設計図のないお城を粘土で作ることに似ていた。
だけど、不鮮明で曖昧模糊とした頭の中の道筋を、何とか渡り終える。
見出したのは一筋の、光。無数の選択肢から選び取った、「一番良い方法」
でも、最善とは程遠く、最良とは言えない、選択肢。
イカ娘や、高遠や、月からは、同意を得られるとは思えなくて。
非難囂々。お前なんか仲間じゃないと、罵倒されるかもしれない。
それは、想像するだけで堪らなく辛い。
仲間だと思っておいた人達から、友達になった子から。
軽蔑の目で見られると思うと、想像するだけで吐き気がする。

「でも、私が、やらなきゃ」

アリサの顔を思い出して。すずかの顔を思い浮かべて。
はっきりと断言できる。自分がしたいことを。自分に出来ることを。
立ち止まることも大事かもしれないけど。考えることは必要だけど。
やっぱり、動かなきゃ、行動しなきゃ、駄目なのだ。
ベッドの中で暗く沈むよりも、やらなきゃいけないことがある。
弱気の虫が顔を出す前に、決意が鈍ってしまう前に、行動を起こす必要がある。
今この瞬間から動こうと思い、幼きエースは。


デバイスに、手をかけた。




◇ ◇ ◇






「ゲ、ゲソォォォォォォ~~~~~~~~~~!!!」






「ひゃっ!?」


突然の奇妙な悲鳴に、心臓が飛び出したかと思った。
バクバク、バクバクと、高鳴る胸をおさえて深呼吸。深呼吸。
そっとベッドから上体を起こし、今の声が夢ではないことを確認。
目を見開いて隣を向くと、そこには、脂汗を流している同行者の姿があった。

「イカ娘ちゃん?」

返事はない。
ただ、件の主は苦しそうな顔で時折、手や足をジタバタさせていた。

(嫌な夢でも、見てるのかな?)

恐らく、これが演技でもなければ、そういうことだろう。
うなされる、という反応がぴたりと当てはまる。
見ていてとても可哀想だが、自分に出来ることなど何もない、と考えてしまった。
揺り起こしてあげるべきなのか。でも、そうして現実に戻ってきても……彼女がどう思うかは分からない。
暗い現実をずっとずっと生きていくのと、少しの間だけでもそこから逃れるのと、イカ娘はどちらを望むのだろうか。
行動に躊躇が生まれる。一挙一動が間違っているかもしれないと、恐怖が襲いかかってくる。

失敗を、怖がっている。

普段のなのはならば、こうはならなかっただろう。
相手にこっぴどく打ち負かされても、更なる高みを目指し己を研磨しただろう。
己の力不足を解消するため、いかなる努力も惜しまなかっただろう。
だが、この場では拳の振り上げた先に何もないし、何を頑張ればいいかも定かではない。
彼女は全てを見通す賢人でもなければ、ただ欲望に従うだけの愚人でもない。
少し周りよりも大人びた考え方の出来る、小さな女の子に過ぎないのだから。
魔法による戦闘ならばいざ知らず、殺し合いという舞台で心を揺さぶられて、平気でいられるわけがなかった。

「た、す」

でも。



「たす、けて……!」

イカ娘から必死に伸ばされた右手が、自分の方を向いた時。
何かを求めるような、懇願の叫びを聞いた時。


「あっ」


思わず、魔法少女はその手を握っていた。
あたたかい。汗で少し湿っている。
そして、小さく震えている。

「大丈夫、だよ」

それが自分の喉から出ているものだと理解するのに、数秒かかった。
迷う。こんな無責任な発言をしても、良いのかと。
自分に、こんなことを言う権利があるのかと。

「大丈夫だから」

でも、自分の心に嘘はつけなくて。
イカ娘の手を、両手でぎゅっと握る。
頑張って、と彼女にエールを送るが為に。
自分はここにいる、仲間はここにいる、と教えてあげたくて。

身体に、違和感。



「ふぇっ?」



まわりを見ると、彼女の身体にイカ娘の触手が迫ってきていた。
身をよじるも、イカ娘の手を離して良いものか、少しだけ悩んでしまった隙に。
全身を、水色に染められる。拘束するように、抱きしめるように。

細い首許をなぞり、下の鎖骨を占領した。
年相応の薄い胸の部分を隠すように、触手が這っていく。
柔らかなお腹の部分を、二本できゅっと締め付けて。
捩った腰を逃がすか、と言わんばかりに襲いかかる。
その下、下腹部に進行をはじめた触手が、一本。
更に、剥き出しになっている右のふとももを撫でるように巻いていく。
くすぐったいなと思う間に、左足の方も絡め取られて。
最後に、左手も右手も、脇を通り付け根からグルグル巻きに。
高町なのはの肉体、侵略終了。

思わず実行犯の顔を覗くも、どう見ても眠っている。悪気はないようだ。
イカが寝ぼけるとこんな惨事になるのか、と他人事のように考えると、少しだけおかしみが沸いてくる。
イカ娘は眠っていても、まわりを癒してくれるオーラを発しているのかもしれない。



ふと気分を弛緩させると、急激に睡魔が迫ってきた。間延びした欠伸を一つ。
ずっとこのままでいたいと、このまま眠ってしまいたいと、思わず考えてしまう。
爆睡中のイカ娘から、こちらにおいでと手招きされている錯覚さえ覚える。
それは確かに、楽な道だろう。嫌なことは、眠ってしまって考えなければ良い。
本来、高町なのはくらいの年頃の少女には、それが許される事態だったのだ。

だけど、それが親友を助けるための道だとは、決して思えない。


「ごめんね、イカ娘ちゃん」


十本の触手は、思いの外簡単に外すことが出来た。
少しずつ、少しずつ、離れていく二人の身体。温かさが消えていく。
最初に握った右手を、名残惜しげにベッドに置く。
触手が動いたせいで乱れていた掛け布団を、そっと被せ直す。
身体は軽くなったはずなのに、気は重い。
それでも、友を救うためだと、ベッドから出ようとして。


「いか……」


「……イカ?」


「いか、ないでっ……!」


駄々をこねるように、眠ったままのイカ娘が苦しそうに手足を動かした。
直したばかりの布団がまたも、皺を作り歪んでいく。
また、少し、迷う。だけど、やっぱり無視することは出来なくて。
再び彼女の白い手を握り、寄り添うように小さな身体を近づける。
帽子で覆われた頭を愛でるように撫でて、優しく耳元で呟いた。


「大丈夫だよ。どこにも、行かないから」




ずきんと、罪の意識が頭をもたげる。
眠っているとはいえ、苦しんでいる友達に嘘をつくことは、やはり辛い。
でも、このまま何もせずに無視することは、もっと辛かった。
結局の所、彼女は罪悪感を少しでも打ち消すために、事に及んだのかもしれない。
でも、そんなことは関係ないのだ。
結果として、イカ娘は苦悶の表情を安堵へと塗り替えて、深い眠りに落ちたのだから。
そこに、なのはの意志は汲まれない。行動のみが結果として現実に反映される。


そうだ。


大事なのは、過程ではなく結果だ。
何を思って状況を変革しようが、功績は刻まれるし、大罪は消せない。
大いなる世界に言い訳は一切通用せず、ゲームのようにやり直しなど出来るわけもない。
変わってしまった盤をひっくり返すことなど、それこそ神にしか出来ない芸当なのだから。


「ごめんなさい、夜神さん。ごめんなさい、高遠さん」


「ごめんなさい、イカ娘ちゃん」





だからこそ、彼女は――――



◇ ◇ ◇



『悪魔は実在するのか否か。その一例』




熱い。

ああ、熱い。




身体が蝋燭のように、熱かった。
芯から火が付き、ぐずぐずに溶けながら生きている。
そんな感触を、馬鹿らしいと思いつつも否定できない自分がいた。
さながら、地獄の釜でゆでられているようだ。
さながら、獄炎に身を焼かれているようだ。
火を噴くように呼気が漏れる。
真っ赤な色がチロリチロリと、目の端に浮かんでは消えていく。
あまりの熱さにとても耐えられず、何も考えられない。
私は誰だ。ここはどこだ。何もかもが曖昧だ。
ぼうっとした思考が、ぽつりぽつりと浮かんでは消え浮かんでは消え。

「ぁうぃぁ」

ガラガラとした呻き声が聞こえた。近い。思わず身構える。
ドンガラガッシャンと大きな音を立てて揺れる脳味噌の痛みを無視して、大きく周りを見渡す。
誰もいない。暗闇に潜んでいるのか、と目をこらすも見えないものは何時まで経っても見えなかった。
いくら待ってもそれ以上の反応はなく、苛立ちが募る。足下の石ころを蹴飛ばしてみる。
それでも反応がない。遂に痺れを切らし、大声でこちらから呼びかけようとして。

「……ぁぁ」

気付く、それは自分の出した声の紛い物だったらしい。
過去の糸を辿ってみると、魔法としか思えない不可思議な現象が、私の舌をもぎ取ってしまったのだった。
テンマとかいう、二人目のメフェストフェレスによって……!
嫌なことを思い出してしまい、気分が滅入る。これから一生このままかと思うと最悪な気分だ。
もう、他人の懺悔を聞き、迷える子羊を助けることは出来ないかもしれない。
誰とも話が出来ず、普通の生活も難しいものになるだろう。
料理の味を感じることすら、食の楽しみを得ることすら叶わないことだろう。




「……ぅっぅっぅ」


また一つ、記憶の欠片を取り戻して、自虐的に笑いたくなった。
私は既に、死んだ人間だったのではなかったか。
覚悟の果てに地獄へ堕ちたかと思えば、実験という名の煉獄にて神からの赦しを請う身ではなかったか。
そんな私が、今更舌の一つや二つ無くしたくらいで、何を悲しむというのか。全くお笑いぐさだ。
……そんな空元気も一人では寒々しく、皮肉気に歪んだ口元から、精気が漏れた。
本当に、最悪な気分だった。暗雲の形を持った絶望が、心の淵に立ちこめる。

だがそこに思考が及び、ようやく私の中の自動熱がり機から、まともな思考回路が構築されたようだ。
前提条件を確認。私は賀来巌。神父と名乗るもおこがましい大罪人である。
大量殺人の片棒を担いだ罪を償うために、決死の覚悟でメフェストフェレス、結城美智夫と対決し。
そして、MWのつまった袋と共に海の藻屑となった……はずであった。
しかし、気がつくと私は未だ五体満足で、三人の見知らぬ男達に介抱されていた。
彼らの話を聞くに、私達は実験なるものに参加させられ、人殺しを強要させられているという。
しかしそれは違う、これは神が愚かなる私に与えた試練に他ならない。
私は覚悟新たに、結城美智夫を『殺す』ために行動を始めたのだった。

そして、それから。
テレビ局で悪魔に唆され、嵌められて、舌をもぎ取られてから。
何をどうしたのかを話すには、トンチンカンな口先が許してはくれなかった。
飛び飛びの記憶を繋ぎ合わせ、張り付けて考えてみると……。

私は舌の消滅という痛みに悶え苦しみ、声にならない叫びをあげた……はずだ。

その後、半乱狂になりながら、命からがらあの場から逃走を図った……はずだ。


(そうして、今に至るのか……?)


どうも、足下がおぼつかない。
ふう、ふうと荒くなった息を整え、現状を認識しようと試みる。
茹だった頭がキリキリと痛むが、そんなことを気にしている暇など無い。
当面の目標を、確認する。為すべきは二人の悪魔を倒すことだ。
二人の悪魔(メフェストフェレス)、結城美知夫とテンマの好きにさせるわけにはいかない。
今もあの二人は何処かで他人を陥れ、高笑いをしているに決まっている。
そんなことを許してなるものか。無垢なる魂を汚すなど、神に仕える身として断じて見過ごせまい。
そうだ。これは私が今まで結城を見逃していた罰に対する、神からの試練なのだ。
一度死んだ汚きこの身を贖罪に費やせと、父なるイエスが仰っておられるのだ。
必ず、神の名においてあの二人には裁きを受けさせなければなるまい。



地盤が固まった体がした。
頭の中の小会議を終え、次に周囲を見定める。
さっきまでいたはずのテレビ局は、何処を見渡しても見えやしない。
どうやら私は、思っていたよりも遠いところまで来ていたようだ。
人気のない廃れた町の中で、ぽつんと佇む。
前を見ると、立ち並ぶ建物群の中心に一際大きな円形のドームが見える。
後ろを振り向くと、ちらほら見える民家と共に木々が立ち並んでいる。
雄大な陽の光が目を差し、ちっぽけな己の影を色濃く生やす。
私は何処まで来たのか。何処に行くのか。

さっぱり分からない。

分からないなら、分からないなりに進まねばなるまい。
私だけが、悪魔達の本性を知っているのだ。
ガンガンと鳴る頭痛など、何の問題になりはしない。
やけに霞む目ん玉も、何の足枷になりはしない。
一㎜でも近く、一秒でも早く、私は役目を果たさねばならぬ。
私がここにいる意味を、成し遂げねばならぬのだ。

使命感が、鉛のような足を動かす。
公園が、百貨店が、八百屋が、民家が、倉庫が、前から後ろへと流れていった。
ああ、進んでいる。そう実感することが、どれほど嬉しいことか。
己の意志で一歩一歩進むごとに、私はまだまだやれると、そう思う。



そうして。



ほうほうの体で、やっとこさ意志を持ち、目標へと歩き始めた私の前に。



「ぁ」



悪魔は、現れたのだった。



◇ ◇ ◇




「ぁ、ぁ、ぁぁぁぁぁぁぁ」




ああ、悪魔だ。
地面を這う私を蛞蝓のようだと指さし笑い。
青い大空を、我が物顔で突っ切りながら。
悪魔が、私の許へやって来た。

黒い翼を羽ばたかせながら。
二本の巻き角を揺らしながら。
おぞましい得物を手に持ち手に持ち。
私の命を取りに、やってきた。



私のすぐ傍に降りてきた悪魔は、三日月のように裂けた口を開く。
狼のような牙が、ずらりと並ぶ。私を噛み殺そうとガチガチと鳴る。
蛇のように長い舌が、伸びる伸びる。私を絞め殺そうと言葉を紡ぐ。


「シンプサン、イッショニアソボウヨ」


突然だった。
少し前の光景が、フラッシュバックした。
そして、今、目の前に立ちはだかるモノとぴったり重なった。

思い出した。全て、思い出した。

どうして忘れていたのか。

忘れることなど、出来ようもないのに!

私がテンマに舌を奪われ悶え苦しんでいた時に。

そいつは、現れたのだ。

屍に群がるハイエナのように、獲物に飛びかかる大鷲のように。
メフェストフェレス、地獄の大公が現れたのだ。
悪魔が、私を喰いにやって来たのだ。
哀れな犠牲者を、贄として腹の中に収めるために。


「ワタシト、オトモダチニナリマショウ?」


大げさに首を傾ぐその様は、出来損ないのヒトの真似を必死でやっているようだ。
嫌悪感が吐いて捨てるほど溢れ出す。冒涜者に返す言葉もないし、舌を失った私に返せる道理もない。
こんな化け物を相手にどうやって逃げることが出来たのか、分からない。
今はそんな些細なことに気が回らない。いや、回す隙間などありはしない。
全神経が、感覚器官が、ソイツを捉えて放さない。吸引される。
悪魔の発する無色の吐息が、風に乗っかって襲いかかって来た。
芳しき甘い匂いが、すうと私の世界に浸蝕していく。

死だ。

死のかほりが、鼻を通って上へ上へ、私の中核に、やって来る。
腐った林檎の皮と絞りたての血液をミキサーにかけた代物を、飲まされている気分。
吐き気がする。嘔吐をこらえて、呼吸が止まる。息が詰まる。
一度滅びた身なれど、これはたまらない。鼻が心が曲がりそうだ。
私はそう何度も死にたがる自殺志願者ではないのだ。
ならばどうする。決まっている。
痺れたボロボロの身体に鞭打ち、焼き焦げた意識を無理矢理に引き摺りながら。



走って逃げた。





◇ ◇ ◇



ひたひたと追いかけてくる濃厚な死の気配を感じながら。
舗装された道路を、ひたすらに駆けていく。
寂れた住宅街を縫うように、出来るだけ直線的に進まないように。
その甲斐あってか、それとも慢心でも持っているのか、悪魔は未だ私の腕を取りはしない。


(悪魔などという非現実的存在をこの目でしかと見届けた私は、狂ってしまったのだろうか。
いいや、そもそもこの世界こそが狂いきっている。死んだはずの私が今ここに立っているだけで、何があろうとおかしくない。
もしもここが煉獄ではなく地獄だったのだとしたら、悪魔の一つや二つ出るなど日常茶飯事に相違有るまい。
結城は、悪魔の魂を持った人間だった。
テンマは、人の皮を被った正真正銘の悪魔だった。
そして次は、おぞましい姿を隠すことなく、あくまで悪魔のカタチで三匹目の登場というわけだ。
ああ、神よ。私に、己が罪を浄化することなく朽ちたまへと申されるのか。
それはあんまりな仕打ちにございます。私はまだここでやり残したことが多くあります)


そうこう徒然と駄想を垂れ流して、辿り着いた先に。
肥だめの臭いがぷんぷんする路地裏を通り過ぎて。
痴れ者の訪問を頑なに拒否する鍵だらけの小さな倉庫を素通りして。
逆におおっぽらに開け晒された、民家の前の申し訳程度の門には目も暮れず。
古き良き駄菓子屋も、何故か商品を前にして店主が存在しない八百屋も。
全て全て無視して。
辿り着いた先に。
終着駅。

ブランコと砂場のみが備え付けられた公園で、私は足を止めた。

何度も転び、その度に擦り傷が増えた両足は、最早機能を果たしていなかった。
二つの肺は仲良く息切れを起こし、酸素供給をサボっている。
混濁した脳味噌が、ぐちゃぐちゃに天と地を行ったり来たり。
限界だ。私は砂場に足を取られ、無様に倒れる。

「ぁっ……ぁっ……ぁっ……」

何年ぶりかに地上に出てきたウミガメのように、空気を貪る。
固形物を呑み込んで、吐き出しているような、違和感。
一息吸うたびにガラガラの喉がひりひりと痛む。頭から蒸気が上がる。
実は、私は炎の塊を食らっているのではないだろうか。吐き気がした。
喉から迫り上がって来た嘔吐物を、恥も外聞もなく外気に晒す。

「ぉ、ぉっぅぇええええ」

気持ち悪い。年甲斐もなく全力疾走などするものではない。
汚らしい己の排出物から少しでも遠ざかろうと、ゴロンゴロンと砂場で転がる。
そのまま力尽き、仰向けになる。閉じそうになる瞳を根性で開き続ける。
このまま眠ってしまえば、次に目覚めるのは悪魔の胃袋の中だろう。そんなことは御免被る。
身体中が、壊れかけの時計のごとく軋んでいた。一週間は筋肉痛に悩まされること請け合いだ。
だが、神は私にそんな苦しみの時間さえ与えてくださるつもりはないようだった。




「オニゴッコハ、モウオシマイ?」


びゅうと少し強い風が吹いたかと思えば、招かれざるお客様のご登場だ。
私がどれだけの時間足掻いていたのかは分からないが、追いついた悪魔は呼吸一つ乱してはいなかった。
ゆっくりと、絶望の色に染まる私を楽しげに見つめながら、近づいてくる。
私は、動かない。指一つ震わすことなく、脱力する。


「ソレジャア、イタダキマス」


そんな私の様子を観念したと見たのか否か、嬉しそうに吠える畜生一匹。
こちらの気も知らずに、雀のように飛び跳ねまわる。
遂に、ソイツが足下までやって来た。顔を覗き込まれる。
私は、力のない目で気弱そうにそいつを見つめ返した。
生死の判断でも見極めているのだろうか、楽しそうな様子からすると踊り喰いをご所望らしい。
調理される、というのも気が狂いそうになる話だが、勿論生きたまま喰われるのだって同じくらい嫌だった。

悪魔はぐわりとアギトを開き、じゅるりと舌なめずり。

電池切れのご馳走に、黒い剛毛で覆われた醜い顔を近づけて。





そして、私の罠に嵌った。





弛緩していた肉体を一変。がばりと、死力を振り絞り起き上がる。
既に私が精魂果てて動けないのだろう、と勘違いしていた悪魔の顔が驚愕の色に染まる。
それを見て馬鹿めと笑う頃には、私の第一行動は終了してしまっていた。

動け動けよ我が手足。今動かねば何になる。
隅々までの筋繊維よ、休みを許可した覚えはない。
私よ私、あと少しだけ頑張れ。負けるな。勝つのだ。



そう己に念じ、願い、思い描く軌道に乗せて。
私は、全力で左の手をグーからパーにして悪魔の顔に突き出した。
ついさっき砂場に倒れた際に掴んでおいた細かな砂利が、解き放たれて宙を舞う。
真っ赤な悪魔の瞳に吸い込まれていく様は、やけにスローモーションに感じた。


「アアアアアアアアアアアアアアアア!?!?」


我、奇襲に成功せり。
まずは目を潰す、という当初の計画は、あまりにもあっさりと成し遂げられる。
次に、ポケットに幾つか入れておいた小粒の尖った石ころ――転ぶふりをしながら集めていた物だ――を取り出す。
右手に握り、当然の事態に混乱している悪魔の顔に打ち付ける。
目を狙ったが、流石に二度も上手くはいかず、先の部分で頬を裂くのみとなる。
まだまだこれからだ。一度食らいついたら離れるわけにはいかない。
今この瞬間だけが、私の生命線なのだから。
マウントポジションを取り、がなるように吼える。
声は出ない。出るのは音でしかない。
己を昂ぶらせるために、それでも叫ぶ。力の限り。
そうしないと、歯の震えが止まらない。
もう後戻りは、出来ないのだ。


「……ぁ、ぁぁぁぁあああああああああああああッ!」


私は、何も考えずにただ逃げていたのではない。
通った道に公園が有ったのを思い出して、悪魔に気取られぬよう色々と迂回しながらそこに向かっていたのだ。
何のため?勿論、悪魔をこの手で殺してやるためである。
選んだ道は抵抗、闘争、殺害。その一点のみだ。
悪魔から逃げ切るなんて想定は、はじめから選択肢に含まれてなどいない。
そんな弱気で、どうやってこれから奴らと戦うというのか。
私は、きっと慈悲深い神に選ばれたのだ。
人間を不幸にするだけの存在、悪魔を倒し己の罪を贖う者として。
煉獄に堕とされ、罪深き悪魔どもを皆殺しにすることこそが、唯一の天国への道と悟った。

だから私は、コイツを殺す。

コイツの次に、テンマと結城美知夫を殺す。

きっと他にもいるであろう、悪魔共を根絶やしにする。

神よ、見ていてください。

私は、やり遂げてみせます。

血を枯らし、心の臓をもぎ取られようとも。


必ず。必ず!




獣のように雄叫びを上げ、己を奮い立たせる。
悪魔の、心なしか怯えた顔に胸が透く。ざまあみろだ。
今の私は、猫を噛む窮鼠だ。狩人を喰らう獣なのだ。
ヒトとしての、神父としての甘さなど存在しない。
胸の内で荒れ狂う凶暴な十字架が、ヒステリックに金切り声を挙げた。

断罪せよ!断罪せよ!断罪せよ!

神の名において、悪を処刑し正義を示せ!

勝てる。確信する。今の私ならなんだって出来そうだ。
果てしない高揚感が脳髄を駆け巡り、思わずイキかけた。
頭を振る。まだだ、まだ終わってはいない。
トドメを刺すまで神に代わり神罰を、鉄槌を下せ。
悪魔の顔がテンマに見えた。結城に見えた。まだ見ぬ悪の背信者共に見えた。
地獄に堕ちた悪魔共を、煉獄に落ちた私が倒す。

「うぉおおおおおおおおおおお!」

二発目をだらしなく開いた悪魔の口の中に押し込もうと、腕を戻し、再度振る。
それと同時に、左手にも石を持ち、連撃を繰り出そうと力を込めて。
放つ。右ストレートと左のフックを、同時に。

そして。


見えない壁に、吹き飛ばされた。



「……ぁ?」



背中に衝撃。激痛が走る。
公園の地面に叩き付けられた、と気付くのに少し時間が必要だった。
ぐわんぐわんと、耳鳴りがうるさい。世界が遠くなっていくのを感じる。
何故。どうして。真っ白になりかけた頭を無理矢理、現実へと引き戻す。
ここでオネンネするとまずいことになりそうだ、と本能が囁いていた。
苦痛に歪む顔を正面に向けると、赤い血をぽたりと落とし、悪魔がこちらを睨め付けている。
どうやら、テンマが使ったような妖術で私の攻撃に対する即席の防御を成したようだった。
それが、私を一瞬の空の旅に連れて行ってくれたらしい。大したカウンターだ。




まずい。


嫌な汗が、背中に沸いて出る。


非常にまずい。


もはや私の持っていた優位性は消滅した。
今の私はボロボロの身体で、武器はそこらで拾った石ころ二つ。
対する向こうは目と頬にダメージを与えたものの、まだまだ万全だ。
これでは、まともな戦いになるかさえ怪しい。嬲り殺されてしまう。
どうして、敵の持ちうる怪しげな技について思考を及ばせなかったのか。
どうして、口の中に広がる苦い教訓を、生かすことが出来なかったのか。
今更に己を責め立てても、詮無きことだ。
それに、分かっていたところで只人たる自分にどんな対策が練れた事やら。
それよりも、これからどうするか。それが重要である。

またしても逃げるか?

――体力も身体も限界だ。不可能の一言に尽きる。

命乞いでもしてみるか?

――そんなものが通じるなら、はじめからやっている。


ならばどうする?

――どうしようもない。


死ぬのか。



私は、死ぬのか。



(諦めて、たまるか)


ふらふらと立ち上がり、両手に尖った石を持ち。
私は、自分で思っていたよりも悪あがきを好む人間らしかった。
闘志は萎えることなく、殺意は治まることなく。
やってやる。口の中で呟く。舌がないから言葉にはならなかったが。

「ぅ、ぅぅぁぁああああああああああああああああああああ!」

地を、持てる限りの力で蹴り……行く。
無我夢中になって突進。玉砕戦法。カミカゼ特攻。
芸がないと言われようが、私にはそれくらいしか残されていなかったのだ。
肩に顔に腕に足に、全てにまとわりついてくる風が気持ちいい。
火照った身体が、ほんの数瞬で冷え切るような錯覚を受ける。
無様に足を出し、次の足を出す。縺れてバランスを崩さないのが不思議なくらいだ。
たった数メートルがとてつもなく遠い。距離感が狂っているのかもしれない。
構わない。身体の何処かが壊れようが頭の何処かがイカれようが、関係ない。
私は、私の贖罪を成す。それだけだ。
だから。



死ね。


思い切り、右手を後方に伸ばす。走る勢いそのものに振りかぶる。
こちらが突っ込んでくるもの、と予想している悪魔の顔に照準を定め。


死ね死ね死ね。


拾った石の中でも一番大きな、例えるなら野球のボール大の原始的な「武器」に全てを賭ける。
これが上手いことヤツを怯ませてくれれば、その隙に零距離まで詰めて、妖術を使われないうちにケリをつける。


死ね死ね死ね死ね死ね死ね。


私のコントロールがいかほどかは定かではない。
だが、私は神を信じる。己を信じる。


死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね。




信じる者は、救われるのだ。


(滅せよ、悪魔――――!)



「があああああああああああああああああああ!!!」



次の瞬間、わたしがかんじたのは





ももいろの、ひかり。





「ぁ……?」

からだが、つめたい。

ちが、どばどばと。

なにがおきたのか。

わたしはまだ、たたかえる。

ほら、うごけからだよ。

にくむべきあくまを、うちたおすのだ。

うごけ。

うごけ。

うごけ。うごけうごけうごけうごけ。

…………もはや、うごかない。


……わたしは、しぬのか。




なぜだ。

どうしてだ。かみよ。


わたしはまだ。


まだ、つみを。


……ああ。


ああ、ねむい。




ゆうき。



みちお。



わたしは、おまえを――――。




◇ ◇ ◇





「あ……あ、あ、あ、あ、ああああぁぁ?」




          『3人の参加者を排除した場合の報酬』



「な、んで」



『3人を殺した報酬で、自分とお友達の所属するグループを知り』



「だって、だって、ひさっしょうせってい、だった……?」



   『もしHorが居なければ、他の参加者を手当たり次第に殺して実験を終わらせれば良いんですよ 』



「わたし、は」



           あと、二人……?



      『貴女がそれを望むのなら、私はこの命を差し上げましょう』






「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」






結局。
賀来巌は、優しき男は。
最初から最後まで。
頭から尻まで。
狂いきっていた、ということだった。


どこか遠くで、メフェストフェレスが嗤っている。



【賀来巌@MW 死亡】




【Gー5/公園内:朝】


【高町なのは@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
 [属性]:正義(Hor)
 [状態]:疲労(小)、頬に擦過傷。目が少し痛む。
 [装備]:聖祥大附属小学校制服、S2U@魔法少女リリカルなのはシリーズ、核金(シリアルナンバーLXI)@武装錬金
 [道具]:基本支給品一式
 [思考・状況]
 基本行動方針:すずかとの合流と、この場所からの脱出(?)
1:?????。
【備考】
※「魔法少女リリカルなのはA's」、あるいはその前後の時期からの参戦。
※魔法の非殺傷設定はできません。
※核金@武装錬金は武藤カズキと蝶野攻爵しか武装錬金にできません。



【H-4/ファーストフード店内 朝】


【イカ娘@侵略!イカ娘】
 [属性]:その他(Isi)
 [状態]:健康
 [装備]:風紀委員会特服『白虎』Sサイズ@めだかボックス
 [道具]:基本支給品一式、海の家グルメセット@侵略!イカ娘
 [思考・状況]
  0:あ……れ……?
  1:とりあえず月と高遠に付いていく
  2:タケルがなにをしているのか気になる


【夜神月@DEATH NOTE】
 [属性]:悪(set)
 [状態]:健康
 [装備]:ニューナンブM60(残弾1/5、予備弾数30)
 [道具]:基本支給品一式、不明支給品0~1
 [思考・状況]
  0:?????
  1:イカ娘を利用した、スタンス判別方の模索と情報収集のための集団の結成
  2:「悪意」を持った者が取る行動とは……?
  3:自身の関係者との接触
  4:高遠に警戒
  5:イカ娘の純粋さを気に入っています
 [備考]
 ※参戦時期は第一部。Lと共にキラ対策本部で活動している間。



【高遠遙一@金田一少年の事件簿】
 [属性]:悪(set)
 [状態]:健康
 [装備]:カリバーン@Fate/stay night
 [道具]:基本支給品一式、不明支給品0~1、サンジェルマンの紙袋@ジョジョの奇妙な冒険
 [思考・状況] 今まで通りの「高遠遥一」として、芸術犯罪を行う。
  0:?????
1:なのはを人形に仕立てる。
  2:「人形」を作るのであれば人選、状況は慎重に選ぶ。
  3:Vに多大な興味


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AN INNOCENT PEOPLE(前編) イカ娘 [[]]
夜神月 [[]]
高遠遙一 [[]]
高町なのは [[]]
メフィストフェレスの一滴 賀来巌 死亡










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