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混沌の落とし子たちに捧ぐ僕からの鎮魂歌 ◆JR/R2C5uDs



 DaBaDa DuDulu DaDu... PaPaPi La DuLaDu...
 奇妙な旋律が、その建物の中で聞こえている。
 意味を成さぬ、音の羅列だが、それはある種の物憂げな、それでいて奇妙なおかしみをも伴う旋律だった。
 杳馬は、これが何かを知らぬ。
 知らぬが、今の沸き上がる高揚感を微かに押さえてくれる様で、妙に心地よい。
 誰が唄ったかも分からぬスキャットを流しながら、来るべき時を待っている。
 その時間が来たときに、この喜びをどれほど押さえられるか、彼自身分からなかった。 

◆◆◆

 結論から言えば、ピラミッドに行くのは後回しになった。
 後回し、と言ってもほんの数時間のつもりで、今はオアシス近くの広い館にいる。
 エジプト様式の建築は広々としていて、地下室付きの3階建て。なかなかの物件だ。
「ふうむ。悪くないな。
 これなら、別荘にしてもいいくらいだ」
 そう結城が感想を述べるが、どこまで本気かなど誰にも分からない。
 当初の目的だったピラミッドを後回しにしたのは、まだ空が明け切っていないからだ。
 砂漠地帯に足を踏み入れて、まず気がついたのは想像以上に寒い、という事だ。
 実際に熱帯の砂漠では、昼間は40度を超えることがあっても、一転夜になると恐ろしく寒くなると聞く。
 もちろん、ここは本当の砂漠ではない。結城はそう思う。それでも、かなりの広さのこの砂地が、夜間に昼間の熱の多くを失っていること自体は確かなようだ。
 美雪の変装を解いた結城は、既に元々着ていた部屋着に戻っている。その姿である程度歩き出してから、ずいぶん身体が冷えているのに気がつき、身震いをした。
 これならば、ゴードン達の居た館で着替えを調達してくれば良かったと思ったところで、あのオアシスの近辺には、地図上家がいくらかあったはず、と思い出したのだ。
 とはいえ、もう一つの理由の方が、結城にとっては大きい。
 暗い、のだ。
 ピラミッドを目指した切欠は、勿論支給品の中にあった鍵とメモ。そこに乗り物が用意してあるという事からだ。
 しかし既に結城の中では、ただ単純に「ピラミッドを見てみたい」という事の方が大きい。
 となると、遠目に見てもただの黒いシルエットでしかないこの時間帯に行っても、うまみが少ない。
 見るならば、日の光の下で、だ。
 この寒さをのこのこ歩いていって、震えながら夜明けを待つ、なんてのはまっぴらごめんだ。
 だとしたら、それまでを他のことに使うか、身体を温めて休んだ方がよい。
 そこで見つけたのが、この区域で一際大きな館だった。

 規模としては、先程の洋館よりは幾分小さい。
 それでも一般的な日本人の感覚からすれば、やはりこれは「お屋敷」だった。
 エジプト風の丸い尖塔や、白い壁の様子も、エキゾチックで洒落ている。
 一つ奇妙なのは、その門扉が鋼鉄製でかなり厳重だという点だ。
 まるで、何者たりともこの敷地内に侵入することまかりならん、とでも言うように、威圧的で重厚だ。その厚さ、20㎝はあるかもしれない。
 となると、俄然好奇心がそそられる。
 入るなと言われれば入りたくなるし、ダメだと言われればやりたくなるのが人情というもの。特に結城はその傾向が強い。
 押してみる。確かに硬く重い門であったが、問題なく開く。やや拍子抜けしたものの、これは中に住人が居ないという事の証左であろう。
 今更ながら、この「実験場」とやらには、集められた者達以外誰も居ないのだと思い知らされる。
 邸内もやはり静まりかえり、人はおろか生命の気配がない。
 静寂。
 世界に自分一人しか居ないかの如き、街では決して感じられぬほどの静寂である。
 かつて、これほどまでの静寂を感じたことはあるだろうか?
 沖の真船島でのときすら、隣には賀来と言う生命が在った。
 珍しく、結城の心に怖気が走るが、それでも躊躇無く邸内を探し回り、3階の尖塔部に、それを見つけた。
「これはこれは…」
 緊張に汗ばみながらも、にやり、と笑みを浮かべる。
 これは、例の主催者の趣向か、はたまたこの館の元の持ち主によるものか。
 先程の門扉よりも、さらに頑丈な、鋼鉄製の棺桶。
 黒い外見には意匠が施され、内側は更に真っ赤なビロードを敷き詰めているそれは、棺桶の形をしたベッドの様だ。
「まるで映画に出てくる、吸血鬼ドラキュラの棺桶だな」
 しかも、その頑丈さたるや、個人用核シェルターとでも言うかの如く、だ。
「ふふ、この中にこもっていれば、100年くらい軽く生き延びられそうじゃないか」
 勿論、食事や排泄、呼吸などの問題さえクリアできれば、だが。
 とはいえそれは困ったものだろう。手帳と共に付いていた小さなペンライトで照らしつつ眺めても、外からも内からも鍵が掛けられぬよう、それらしき場所が無い。中に閉じこもったところで、分厚い蓋を持ち上げるそれなりの力さえあれば、簡単に開けられてしまうだろう。
 逆に言えば、中に入っても鍵を閉めて閉じこめられる事はない、という事でもある。
 結城はそこで、一息つこうと考える。
 せっかくのこの洒落た趣向には、やはりのってやるべきだろうというわけだ。
 地下階のワインセラーからは、グラスとワインを失敬してきているし、味気はないが支給された食料もある。
 棺桶の縁に座りくつろいで、グラスのワインを一啜り。
 血のような赤ワインを飲みつつ、与えられた乾パンとジャーキーをつまみ、今日の見事な働きを思い返す。
 まさに、人の姿をした吸血鬼とでも呼ぶに相応しい己の所業を。
 そうして、30分ほどゆったりとした時間を過ごしてから、結城は棺桶の中に入って軽く目を閉じる。
 確か早朝、6時には何か知らせがあると言っていたはずだから、休むと言っても精々後数時間も無い。
 それでも、結城はしばし身体を休め、まどろみに心委ねる。
 うつらうつらとしたまどろみの中、結城の切れ切れな意識の中に思い返された言葉が、後になって結城の心に微かな揺らぎをもたらすのだが、今はその時間ではない。
「…そういえば、三人殺した時点で、何かボーナスがあるとか書いてあったな…」 
 結城は既に二人を殺している。
 つまり、後一人でその権利が得られる。
 異なる歴史を持つ世界を越えた力を持つ者がもたらすボーナス、その者が叶えてくれる願いとは、どれほどのものなのだろうか。
 寝過ごすことを心配するまでもなく、結城はあとさらに30分ほどして、急激な頭痛と嘔吐感により問答無用で意識を引き戻されるのだ。
 結城自身が覚悟し、それでも悩ませられ続ける頭痛。
 殺人兵器、毒ガスの"MW"によってもたらされた後遺症。決定的な、確定的な、死の予兆。
 異なる歴史を持つ世界を越えた力を持つ者にとって、それは決定的、確定的なものなのだろうか?
 その答えを知れるのは、結城が更に一人の命を手に掛けてからだろう。

◆◆◆

 その、かつての館の主はというと、今は真っ暗な汚れた通路を歩いている。
 通路、というより、そもそもそこは本来人が移動する事を主目的とした場所ではないのだが、今はその為の場所として機能している。
 下水道、である。
 人間を辞め、そして人間を越えたDIOにも、その吸血鬼という性質から来る弱点が一つだけ在る。太陽光、或いはそれと同じ波長を持つ波紋エネルギーだ。
 それを浴びた途端、驚異的再生力も何も無く、塵と化し、或いは熔けて死んでしまうのだ。
 だから、夜が明ける前に、日の出ている時間のねぐらを確保することは、DIOにとって必須事項だと言える。
 カイロに居たときは、一つの頑丈な館に閉じこもって生活をし、昼の間は手下達にガードをさせていた。
 しかし今は、館もなく手下も居ない。
 先程出会った東洋人の少年に誘いを掛けたのも、巧くすれば昼間の護衛に使えるかも知れないという理由があったからだ。
 言葉で心の隙をついて、或いは肉の芽を植え込み洗脳してしまうのも手だったろう。
 しかし邪魔が入り失敗した以上、先にねぐらの確保をしておくのが賢明だ。
 コロッセオ周りの街路を歩き回り思案した結果、マンホールを見つけた。
 これは、なかなか良い。
 ただの家では、窓一つ開けただけで日光に晒される。
 まして空条承太郎や、先程の仮面ライダーの様な輩もいるのだ。
 寝込みをそんなところで襲われて、建物ごと破壊されたら溜まったものではない。
 下水道なら、地下である。そうそう簡単に壊せない。或いは壊されても、移動して逃げる先がある。
 また、もしかしたら、地下を移動することで、この地図にある様々な施設へと移動することも出来るかも知れない。
 ここが本当の街であれば、必ず繋がっているはずだし、おそらくはそうではないとしても(コロッセオとピラミッドがある街など聞いたこともない)、わざわざ下水道を設置としているのだから、それは十分に考えられる可能性だ。
 だとしたら、DIOが今すべきことは、誰よりもこの下水道網の構造を熟知しておくことだ。
 何れはこの下水道の利便性に気付く者が現れるかも知れない。
 また、夜間になっても又、この下水道網を利用すれば、他の者達にとっては正に神出鬼没の様に振る舞える。
 みっともなく逃げ道を探す獲物を出し抜いて先回りする、なんてのも、それはそれで痛快じゃないか。
 DIOは一人ほくそ笑む。
 勿論、その自分の館の常なる寝床の中で、別の男がまどろんでいることなどつゆとも知らずに。

◆◆◆

『現代のマリー・セレスト号!? 洋上で忽然と消えたトレジャーハンター達の謎』
 今見ていたビデオの見出しである。
 大西洋上で沈没船の宝探しをしていたトレジャーハンター達。しかし彼ら乗組員が忽然と姿を消したという謎の事件…そこにはまるで海底から引き上げられたばかりと思われる、頑丈な鋼鉄製の棺桶が残されていた。
 このテレビ局(たしか、建物の入り口辺りに"さくらテレビ"と日本語で書かれていた気がする)の建物を訪れ、18世紀の人間でありながら『放送システム』について直感的な理解を得た後、杳馬はさらに好奇心のまま様々な部屋の機械を弄り、また部屋を漁っていた。
 その中の一室、「ビデオライブラリー」と記された部屋から持ってきた大量の小さな箱…杳馬の感覚からすると、紙の使われていない本のようなもの、という理解だ。
 ただしこの本は、別の大きな箱へと入れねば中身が分からず、その中身は文字ではなく、さらに別の箱に映像と音を映し出すという仕組みだ。
 杳馬からすればなんとも手間の掛かるもの。
 が、彼にとって驚くべきはそれらのどの場面でも、小宇宙のような驚異的なパワーが一切使われない、という点にある。
 そこで起きていること自体はさして驚きではない。それを起こす過程にこそ、脅威がある。
 一番小さな箱に、目で見たものや聞いたことを記録する。それを別の箱に入れることで、さらに大きな箱に映し出す。
 水面や水晶球に映像を映し出す、というのは知っている。幻覚を他者に見せる、のも分かる。しかし、それらはそれを出来る能力、力があって始めて成せる技だ。
 それらの能力や力が一切働いておらずとも、或いはその原理を知らずとも、それと同等かそれ以上のことが出来る。
 勿論実際には、電気や磁気などのエネルギーが存在し使われてはいるが、しかしそれら自然界に存在するエネルギーと、杳馬の考えている小宇宙のような常ならざるパワーは別のものである。少なくとも杳馬の認識においては。
 放送、といい、杳馬にとってこの施設にあるテクノロジーは、つまりはそういう事だ。
 ビデオテープをビデオデッキに差し込んで、モニターでその内容を視聴する、というのは、彼にとってそういう意味を持つ。
 言い替えれば、だ。
 小宇宙を持たずとも、小宇宙を持たねば出来ぬ事を実現する様な装置や仕組みが、この会場の何処かに、或いは誰かのバッグの中に入っているかもしれない、という事でもある。
「…健気だねぇ」
 しかし、そういう脅威を目の当たりにしても、基本的な感想は、こうだ。
 人は猛獣の如き牙も爪も持たぬ。だから剣を発明した。
 人は夜の月明かりだけで周りを見渡せぬ。だから火を使いこなし灯火とした。
 虎や獅子に、それらは要らぬ。
 己の牙があり、爪があり、眼があるからだ。
 杳馬はその健気を哀れむだろうか?
 悪魔将軍であれば、それら人の健気を哀れむ。哀れんで後、それらを一顧だにせず蹂躙するだろう。
 あるいは、グロンギの王、ン・ダグバ・ゼバもそうかもしれない。
 しかし杳馬の考えは、違う。
 もとより、杳馬とてただの人である。健気に剣術の研鑽を積み重ねていた、ただの人なのだ。
 ただ単に、人として破格であったというだけだ。
 DIOであればどうか? 人でありながら、人を辞め、人を超越したDIOであれば?
 DIOも、人の健気を哀れみ、嗤うだろう。その決して埋められぬ彼我の差こそ、DIOの望んで得たものなのだから。
 杳馬にも、それらの気持ちが微塵もないわけでもない。
 しかしそれ以上に思うのは、その可能性の中にある、混沌である。
 ただの人が、人を越えたものの力に近づこうとする健気から生まれる、新たな混沌。未知なる技。
 それが、杳馬にとってどれほどの面白さをもたらしてくれるか。
 そのことである。

 今自分の居る場が、かつて経験したあらゆるものと異なる場である事を、杳馬は非常に正確に理解していた。
 それは、息子と同じ名を持つDr.テンマと出会ったときから感じていた違和感でもあり、街中の風景やこの設備を体験してからの実感でもあり、さらにはビデオテープの内容を見て得た確信でもある。

『中田栄角、緊急入院で国会紛糾!? 毒ガスMWの真相は―――』
『ドイツ連続中年夫婦殺人事件、その秘められた犯人像とは?』
『御目方教本部にて集団自殺』
『ヴォイス・オブ・フェイト』
『超人オリンピック優勝パレード』
『ミレニアム―――エイドリアン・ヴェイトの新たなブランド戦略』
『ハーレイ&アイビー、新作を企画中?』
『緊急特番・貴方はキラを支持しますか?』
 等々…。

 様々な情報、様々な映像。
 立て続けの情報の洪水だったが、これらを深夜から空の白み始めるこの時間まで、ぶっ通しで見続けている。
 見た限り、それらに、名簿にあった参加者達が直接語られているもの、映し出されているものはないようだった。或いはあっても、そうとは把握できなかった。
 しかし分かることはある。
 まず、自分にこれらの中で語られ、或いは描かれている言葉、言語が、難なく理解できているという事実もその一つだ。
 それを可能にするだけの力が、ここに自分達を呼び寄せた者にある。
 そして、これらの個々の情報が全体を描き出すときにもたらす歪さ、噛み合わなさ。
 一つ一つの真偽は確認できないが、これらの映像を見た者 (誰か個人の直接的な視覚情報ではないことは薄々分かっているが、かといって流石に、テロップやエフェクトなど映像編集の事までは明確に理解できていないので、表現としてはこうなる)の持つ歴史背景が、各々異なっている様に思えることだ。
 単純に、まず年代が違う。主にキリスト歴で語られているものばかりだが、1900年代後半から2000年代、とされているのものが中心にある。
 とすれば、この技術が生まれ、発達したのが、杳馬の生きていた時代より未来の、その時代近辺なのだろうと考えられる。
 仮に、この映像が他の参加者と関連するのならば、彼らの多くはその時代の者達と考えられるわけだ。
 しかしそれだけでは無い違和感がある。
 ピタリと嵌らない、微妙に異なるピースばかりのパズルのようだ。
 時を越えている、という事実。それはクロノスの力か、はたまた別の何かなの。
 しかし、どうにも越えているのは時のみでは無いのではないかと思える。
 時空をねじ曲げ、自分や息子のテンマ、ハーデスの姉であり軍統括をしているパンドラ等が呼び集められたこの場、この時代が、果たしてこの中に映し出された時代の何れかなのかも分からぬ。

 杳馬には、パラレルワールド、平行世界などと言う概念も知識もない。
 それらは、量子力学や宇宙論などによりもたらされた、副産物的発明である。
 発想や概念も、それらが生まれ、理論として成立すること自体、一つの発明なのだ。
 結城やLがそれらの発想に至れるのは、あくまでその発明によりもたらされた理論、知識が、前提としてあるからだ。
 杳馬の時代には、それらの理論は発明されていない。誰も中身を見たことのない箱の中に、生きた猫が居るのか死んだ猫が居るのかは、見ずとも決まっている。神が知っているはずだからだ。
 しかし杳馬は逆に、異世界、を知っている。
 人の住む人間界があり、ハーデスの統括する冥界があるのを知っている。
 だから、或いはもしかしたら、「人間界にも、別の人間界が存在するのではないか?」 という、彼の時代の理論では有り得ない飛躍が、杳馬の驚異的とも言える混沌の思考に生み出される。
 前提の知識として知っていてその発想にたどり着くことと、前提の知識がまるでないときにそこへ近づくことはまるで違う。
 推論でも推理でもない。
 或いは思考ですらない。
 言ってしまえば、杳馬の内なる小宇宙が、それを理解してしまったのだとも言える。
 その上で、杳馬の混沌としたその精神こそが、その理解を受け入れたのかもしれない。
 彼に、例えばパンドラの様なハーデスへの信奉があればどうか? そもそもハーデスの居らぬ世のことなど、微塵にも夢想しまい。
 何者をも信奉せず、何者にも心を寄せず、ただひたすら混沌の渦のもたらす熱狂のみに焦がれる、杳馬だからこそ受け入れられる。

 杳馬は、この放送システムを理解し、そしてそこに保管されていた小さな箱、ビデオテープにあった記録から、今居るこの場が、すでからにしてとてつもない混沌の坩堝なのだと言うことを理解した。
 おそらくは他の参加者の多くよりも、本質的に。
 やはりここは、俺のための場所じゃないか!
 例えようもない興奮が、彼の脳髄を駆けめぐる。
 普段ではあり得ぬほどの高揚感が、彼の内側をかき混ぜ始めていた。
 彼は既に、この実験を企画した者に畏敬と感謝すら感じている。
 この様な混沌を生み出した手腕に。そしてその混沌をさらにかき回す機会を自らに与えてくれたことに。
 その上で……例えばこの小箱の映像機のように、自分が主催者の持つ混沌を生み出すシステムを使いこなすことが出来ればどうだ?
 メフィストフェレスと呼ばれる男は、その夢想に暫し時を忘れていた。

 そして何よりも、彼を喜ばせたものが目の前にある。
 小さな鍵と、説明書。
 この放送室内を漁っているときに見つけた、明らかに主催者により意図的に仕込まれていたものの一つだ。
 その小さな鍵は、部屋でも箱でもなく、この放送装置の一つの機能を一時的に使用できるようにするもの。
 説明書きには、こうある。
「最も早くこの鍵を見つけた者に、第一回目の放送を行う役割を与える」
 と。
 曰く、早朝6時になる5分前に、読み上げるべき脱落者の名前などが書かれた紙が、部屋の隅にあるFAXという機械から出てくるのだという。
 やるべき事は二つ。
 まず、それを確認してから6時1分前までに、機械の指示された鍵穴に鍵を差し込み、放送の準備をすること。
 それを確認し、紙に書かれた情報を、正確にかつ嘘偽り無く読み上げること。
 この二つだ。
 やる"べき"こと、 は。
 ただし、もしそれを言い終わってもまだ時間があれば、個人的なメッセージや演説など、何を話しても良いのだという。
 つまり、6時になったときに、全ての参加者に対して何かを伝えることが出来る。
 この放送は、首輪をした全ての参加者に届けられるというのだから。
 勿論、しなくても良い。ただ事務的に読み上げるだけでも構わない。
 自分の名を明かす必要もない。
 そしておそらくは、読むべき情報に関すること以外であれば、嘘をついたって構わない。
 説明書きでは、読むべき情報に関する嘘だけは禁じられている。
 それを行えば、直ちに放送は中止され、曰く、「然るべき処置」がなされるらしい。
 然るべき処置、よりも、そこで放送が中止されることが、杳馬には痛い。
 何せ、こんな混沌をかき回せる機会は滅多にない。
 そしてそれに使えるかもしれない情報が、ここには山とある。
 数時間も掛けて確認したビデオテープの情報が、早速活かされるかも知れない。
 杳馬には安息も休息も必要ない。隠れ家も部下も要らない。
 欲しいのはただ、混沌とそれによりもたらされる興奮、愉悦。
 それのみなのだ。 
 誰が唄ったかも分からぬスキャットを流しながら、杳馬は来るべき時を待っている。
 その時間が来たときに、この喜びをどれほど押さえられるか、彼自身分からなかった。 



【A-4/DIOの館:早朝】
 【結城美知夫@MW】
 [属性]:悪(Set)
 [状態]:健康 左足に擦過傷(処置済み)
 [装備]: 
 [道具]:基本支給品
      カツラ三点セット(栗色のツインテール、ピンク色のセミロング 黒髪のカツラ )
      私立不動高校制服 薬物入りカプセル三点セット(精力増強剤・痙攣誘発剤・???)
      乗り物の鍵と隠し場所(ピラミッド)の地図
 [思考・状況]
 基本行動方針:生き延びて、世界滅亡の計画を築き直す
 1:一休みした後は、しばらく本名と素顔で行動してみて、自分と神父以外に自分の世界から来た人間を探してみる。
 2:明るくなってきたら、ピラミッドに向かい、乗り物を調達する。
 3:バットマンに興味。
 [備考]
※丸太は邪魔なので捨てました。

【D-5周辺/下水道内:早朝】
 【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
 [属性]:悪(Set)
 [状態]:健康 絶好調 左肩に火傷痕 疲労(中)
 [装備]:
 [持物]:基本支給品一式、不明支給品1~3(本人未確認)
 [思考・状況]
  基本方針:帝王はこのDIOだッ!
  1:しばらく下水道から地下の様子を探り、日中の隠れ場所を得る。
  2:ルンゲ、グリマーを見かけたら殺害する。
  3:Dr.テンマ、ニナを見かけたらヨハンの事を教える。
 [備考]
※参戦時期はヴァニラ・アイス死亡後。
※山村方面に、ダグバが逃がした参加者がいる事を知りました。

【H-4/テレビ局内:早朝】
 【杳馬@聖闘士星矢 冥王神話】
 [属性]:悪(Set)
 [状態]:健康
 [装備]:
 [道具]:基本支給品、フクロウのストラップ@現実
 [思考・状況]
 基本行動方針:殺し合いというマーブル模様の渦が作り出すサプライズを見たい!
 1:6時になったら「放送」をする。
 2:Dr.テンマが執着するヨハンに会ってみたい。
 3:会場のマーブルが濃くなったら、面白そうな奴に特別スタジオの存在を伝える。



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あなたって本当に最低の悪魔(メフィスト)だわ 結城美知夫 [[]]
〜悪意は極力隠すこと、それが……〜大宇宙の真理 DIO 幸せは歩いてこない だから歩いてゆくんだね
幕間劇『パルティータ』 杳馬 第一回放送 メフィストフェレスの一滴






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