※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

仮面の下のバラッド◆3VRdoXFH4I




◇◆

「ああくそ……っ!あの仮面の奴、今に見てろよ……」

劇場を抜け夜の世界へ飛び出し、一息付く。
傷は痛みの割には軽傷だった。
手裏剣で刻まれた傷は転んで擦り剥いた程度だし、背中に突き刺さった短剣も急所に当たらず、大事には至らない。
改めて“超人”と化した己の肉体の強靭さに陶酔するも、同時にその体に傷を付けた仮面への怒りも湧き上がる。

問題ない。あのときは油断しただけだ。目の前の女に気を取られ不意打ちを受け、流れを掴まれただけの事。
正面を向き合えば自分が優位だ。常に回りに気を付けていればいい。
それと、武器の有無も大きい。
超人になったとはいえ自分は丸腰、剣や銃で武装した敵に正面から挑むのは愚の骨頂だ。
ただの人間ならともかく、先のような常識ならざる者の手に渡っては些か分が悪い。
支給品には超人になれる帽子と軍服以外入ってなかった。だったら、奪うのが一番手っ取り早い。
辱めようとしたあの女のような、絶対的弱者の持つ荷物から武器を徴収すればいい。
今の自分に強力な武装が加われば、それこそ本物のサーヴァントも同様、いや、それ以上の存在になれる。
本来あるべき姿の間桐慎二として新生を遂げるのだ。
これから搾取される奴らはそのことを誇りに思うべきだろう。

深夜を越えた時間帯、力のない参加者達は徒党を組んでいるだろう。
弱い奴ほどよく群れる、古今問わずしての真理だ。
そして群れは安全の為に更に規模を増そうとする。人が多くいそうな場所を求めていく。
なら、町なんかが目指す先としてふさわしいだろう。
だったらさっさと向かうとしよう。大丈夫、生まれ変わった自分に敵なんかいやしないんだから。


砕けた仮面に変わり手にした新たな仮面。それもまた偽りであることに、少年は気付かない。



「さあ、では出発ゲソ!……で、どこへ向かえばいイカ?」

闇夜に佇む海の家で心ゆくまで食事を堪能した少女―――イカ娘の号令で一行は移動を開始した。
だが特に目的としているものがない以上目指す所もないイカ娘はすぐに立ち尽くし、同行人に意見を求める。

「当面は各所の施設を巡っていくことかな。
 僕らの目的は参加者と情報を集めることだ。そこから危険人物を割り出し、自分達の陣営を明確にし、安全な集団を作りだす。
 そのために参加者が集まりやすい場所、地図上に記された施設に行くのが最も効率的だろう」

もの分からぬイカ娘に教えるのは夜神月。家と容姿と能力に恵まれた絵に書いたような優等生。
だがその実態は世の犯罪者を死神の力で消していく新世界の神、キラ。
生態といい、能力といい、全てが月の判断基準にとってのイレギュラーであるイカ娘。
故にこの状況の解決に一役買ってくれると考え、この殺し合いを一刻も抜け出すべくこうして行動を共にしている。

「無論、道中で危険人物に遭遇する可能性もあるが、どこにいようとも危険には違いない。
 なら、恐らくそう戦闘が激化してない今のうちに速やかに人と接触しておいた方がいい」

「ほむ……なるほど。中々やるじゃなイカライト!褒めてやるゲソ!」

「それはどうも」

すっかりこのチームの支配者(リーダー)として踏ん反りがえるイカ娘を気にすることなくあしらう月。
この程度で気を悪くするほど器は小さくない。子供の我儘には最大限付き合ってやるのが大人の振る舞いだ。



「そういう事です。ですので我々が向かうのは近場にある、この一帯を目指すのがいいでしょう」

月の解説に付け加えるのがもう一人の同行者、高遠遥一。常に落ち着き払い、冷静な判断力を持つ青年だ。
だがどこか、月もまたそうであるように得体のしれないものを隠し持っているのを感じる。
表面化しない以上それに触れる気はなく、何事もなく運べば言うこともないのだが、一定の警戒の念は外せない。
諸々の思惑を胸にしまいつつも、今はこの場での行動について話し合うことにする。

「カジノに劇場に放送局……様々な用途が考えられる施設が密集しているのもそうですが、
 これが置かれてる地形そのものもまた重要です。
 施設群を中心として3つの方角にある大きな地区。恐らくは住宅街、コロッセオ、そして都市部。
 ここからこれらの地区に足を運ぶのにかかる時間は同程度です。地の利とでもいえるでしょうか、選択肢が増えるのは喜ばしい。
 ですが時間は限りある……1つの道を選んだ時点でそれ以外の2つの道にあるものを取りこぼすことになるでしょう。
 それはひょっとしたら、我々にとって致命的ともいえる損失なのかもしれません」

「じゃ、じゃあどうすればいいんでゲソ?」

「それを決めるためにもこれから向かうんだ。共通点のない不自然に集められた施設群。何かあると思わないのがおかしい。
 行動の優先順位を決める手掛かりがあるかもしれないし、そうでなくても参加者と接触しやすい。
 ここは今後何かあった時の集合場所、拠点として機能できるかもしれない」

放送局。映像と音声を各所に流す場所。その通信網が活きていれば情報の共有に使えるかもしれない。
カジノとはギャンブル場、賭博場だ。何かを賭け、勝利の報酬に何かを得る。それはここでも機能しているのか。
劇場だけは今イチ殺し合いでの用途が掴めないが、簡単に挙げてもこれだけだ。
この実験の助けになる―――というより殺し合いを煽る仕掛けが施されてる目算は高いと見る。
施設を調べながら、来訪者を待つ。そういう選択肢も選べるだろう。

「うん、よく分かったゲソ!それじゃあ改めて出発ゲソ!……ところで、そこにはどっちを歩けばいイカ?」

一人先走ったと思えばすぐに振り返り戻ってきたイカ娘を月は呆れ顔で、高遠は微笑で迎えた。







静まり返った劇場。照明は落ち、観客の姿もない。
大勢の人を集めるために広く創られたこの空間にとってこれほど虚しいものはない。
さりとて意思のない、実体も持たない空気がそれを嘆くことなどありえず、ただその空間に漂うだけである。
そして今、ようやく来てくれた2人の観客も席を後にしてしまった。
白い服の年端もいかない少女と、黒い装束の仮面の男。救われた者と救った者。
急場を退けた男は少女に語りかけ、互いにこの実験に協力―――つまりは殺し合いに乗る気がないことを確認。
実に対照的な性質を持つ2人は成り行きもありこうして一緒に廊下を歩いている。

「ところで、何と呼べばいいかな」

男の声が響く。それに対し少女が体躯の関係上大きく見上げる。

唐突なその言葉の意味を解しかねたが、そういえば自分がまだ己の名も教えてないことに気付く。

「えっと……高町なのは、です」

やや気後れしながらも少女―――なのはは答える。
人見知りをせず誰にも優しく接する彼女であるが、目の前の男は色々と対象外だ。
殺し合いの実験という、剣呑な事態に巻き込まれてるのも少なからずあろう。
こういう荒事に耐性がない、ということもないがあそこまで生々しい敵意、悪意に晒されたのは初めてだった。
それに彼には暴漢から助けられた経緯だから感謝、信用するのが筋だとも理解している。
けれど彼のその奇天烈な風貌、立ち居振る舞いに対し、なのはやや引いていたのも事実であった。
―――魔法少女の服が奇天烈でないかどうかは、傍観者らの主観に依るだろう。

それに、なのはがこの男に未知の感覚を抱いてるのもまた確かだ。
家族知人友人、やむ得ない立場で敵対の立場にある人とも異なる、今まで抱いたことのない印象。
どれほど強く、芯を持とうと9年の年月しか生きていないなのはでは到底理解しえない。
「復讐」という感情を、なのはまだ感じることができなかった。

「ナノハ、か。分かった。良い名だな」

「ありがとうございます。それで、Vさん……でいいんですか?」

そんななのはの複雑な胸中を知ってか知らずか、男―――Vはなのはの名を反芻する。
名前を褒められたことは嬉しいので素直に応える。
そして当たり前だが自分よりも背丈のあるVの顔を見上げる。仮面で隠された、その表情を窺うように。

「ああ、それで構わない。名前など、今の俺にとってはさほど意味のあるものではないからな。
だがそれは本質ではないな。君は俺の名を聞くだけ為に私を呼んだのか?違うだろう。俺に何を聞きたい?」

まくしたてるようにVは言葉を吐き出す。饒舌とは異なる、螺子の外れた様な口調だった。
それを、なのはは理解してないが。
もったいぶっても、仕方がない。ここは単刀直入に言ってしまおう。

「はい。私と一緒に、私の友達を探してくれませんか?」


名簿によるとここになのはが魔法を通じて友達になったフェイト・T・ハラオウン、八神はやてらはいない。
彼女らがこんな実験に巻き込まれたかったことに安堵する半面、不謹慎ながらも不安もあった。
この場で彼女が知る人は2人の友達。魔法という存在を知らぬ時に知り合い、交流を深めた2人の親友だ。
自分はまだいい。この身には天性と言われる「魔法」の才能を宿している。
自覚はないが回りはそう評している。どちらにせよ普通の人にはない力を有してるのは確かだ。
けど彼女達、アリサ・バニングスと月村すずかにはそんな力はない。なんの力もない、本当に普通の友達だ。
果たして無事だろうか。誰か頼れる人と一緒にいるだろうか。危ない人に襲われたりしないだろうか。
早く助けに行きたい。いや、欲求はもっと根源的なものだ。早く、会いたい。
けれど今の自分にその力はない。魔導の杖はこの手になく、そもそも彼女達の居場所も分からないのだ。
自分ひとりでは何も為せない。大きな無力感がなのはを襲う。

それでも、そこで高町なのはという少女は折れはしない。
1人では足りずとも、2人なら3人なら届く。仲間と、友達という繋がりの強さをなのはは知っている。
だから、今会ったばかりのこの奇妙な男と力を借りたい。
怪しげなところがないかといえば疑うものもあるが彼とはまだ会って半日すら経ってない。
それに会ったばかりの自分を助け、身を気遣ってくれた。
きっと、悪い人ではない。そう思いたい。

「成程。君と同年代の少女達もここに集められてると。いいだろう、了承した」

「あ、ありがとうございます!」

快くそれを引き受けてくれるVになのはの顔も明るくなる。
だが直後彼の放った言葉にすぐに笑顔を止めさせる。

「それで、君は何をする?」

「え?」

「俺が君の友人を捜す見返りに、君は何を差し出せる?」

「………………」

その問いに、しばし沈黙する。
交渉の駆け引きなどなのはは知らない。だから正直な思いを告げた。

「私も、戦います。あなたを、みんなを守ります。力を合わせて、みんなとここを脱出します。
 ―――その為に、力を貸して下さい」

自分には戦う力がある。小さいけど、誰かを守るために使うと決めた力を持っている。
非力でも、デバイスがなくともその思いに陰りは見えない。
誰かに任せきりではなく、自分にできることだけでも全力で挑みたい。それがなのはの決意であった。

「―――分かった。意地の悪い事を聞いてしまったな」

顔を上げるようにと、手袋に包まれた手がなのはに触れる。
9歳とは思えぬ礼儀正しさを見て、男は何を思ったか。仮面を被り、頭を下ていたなのはには窺い知れない。
実際に戦えるかではなく、彼は意志を問いたかったのだろうか。なのははVの心情をそう考えてみた。

『さあ、それでは急ごう!鐘は既に鳴らされた。時は待たない!曲が終わるまで我らは走り続けよう!』

言葉の意味はよく分からない。ただ「行こう」という意思だけは読み取れたのでそれに対し、

「……は、はい!」

強く、頷いた。







その姿を捕らえた時点で、月はこの状況の解決法を計算していた。
施設群を目指し歩き始めて幾数十分、森林地帯に差し掛かり建物の輪郭が見えてきた辺りでその男は現れた。
背丈は、肩回り等要因は幾つかあったが、月明かりが顔を照らした後に、恐らくは高学生だろうと推定した。
顔が見えるまでその判断が付かなかったのは、その少年の出立ちが余りに奇妙で、年齢を図りにくい服装だったからだ。
軍服である。
ドイツ軍、更に限定すればナチスの武装親衛隊(SS)の将校服。ご丁寧に帽子付きだ。
髪が隠れるほど不覚被っておりそのお陰で判断が付かなかったのだ。

「……はっ、ガキにひょろい野郎2人か。これなら楽勝だね」

だがそれ以上に、帽子から覗かせるその表情が尋常ならざるものだったのが一番の原因かもしれない。
笑顔でいれば端正であろう―――対象は限定されるかもしれないが―――顔立ちは醜く歪んでいる。
頬は吊りあがり、目は血走っている。それは強い興奮状態にあることを示している。
恐らくは、悦楽を感じている状態の。
よく見れば帽子には正規軍のものとは思えない、髑髏があしらわれていた。軍服と帽子は同一の品ではないらしい。
つまりどう見ても、目の前の人物が危険な人物にしか月には思えてならなかった。

「さあ……今度はちゃんと怯えてくれよ、この僕の力に!」

男が叫ぶ。
同時に、彼の足元から粉塵が舞い上がった。
その意味する所を月と高遠は、認めがたいと感じつつも瞠目せざるを得ない。

(踏んだだけで……地面が砕けた!?)

そうあって欲しくないという願望と裏腹に、月の冷静な思考はその事実に目を見張る。
男の足の下は大きく陥没していた。柔らかい土の地面とはいえ常人でここまでの衝撃を発することなどできない。
孔の周囲には亀裂が生まれ、先頭にいたイカ娘の目の前で止まっている。
イカ娘は、動かない。

「あはははははっ!!良い表情じゃんか!そうだよ、それが見たかったんだよ!」

こちらの反応に満足したのか大笑いする男。
その視線と表情には優越感と、嗜虐性に満ち満ちている。
自分は強者だと、お前らは弱者だと、狩る側と狩られる側との明確な違いを見せつけて悦に入っている。
普段の月ならそんな筋違いの挑発には真っ向から格に違いを分からせるかそもそも関わらないかだが、
今回はそのどちらも選べない。正面突破という手は捨てる。


(……高遠さん、イカ娘、手筈通りにいきます。危険ですがお願いします)
(了解しました。とはいえ私などにこの剣を扱えるほどの技量は持ち合わせておりませんが……)

耳打ちで高遠と「作戦」の確認をする。
ここまでの道中で月達は、襲撃された時のパターンに分けてのフォーメーションの打ち合わせしている。
今の状況は『月達の常識を越える相手が襲ってきた』パターンだ。
イカ娘という、異星人の存在が確証されてるからこそ想定できたといっていい。
この場合はイカ娘をフォワードに付ける。そしてそのサイドを高遠、月が務める陣形だ。
年端もいかない少女を一番危険なポジションに置くと言うのは良心が痛まないこともない。
だがこの3人の中で最も戦闘力のあるのがイカ娘なのだ。不本意ではあるが事実は事実として受け止めるべきだ。

これが最も確実な安全手であることは否めない。
証明といって海辺に生えていた大木を頭の触手(髪の毛でなかったことにも驚いた)で輪切りにした時は驚いたものだ。
―――デスノートを拾ったと同時に自分に憑くことになった死神・リュークを知らなければもっと驚愕していただろう。

おかげで正面切ってはある程度安全だが問題もある。イカ娘自身の知識のなさだ。
ハッキリ言ってしまって彼女はアホである。外見年齢相当と見ればそうでもなさそうだが、それ以前に人としての常識が悉く欠けている。
それは異星人である以上当然ともいえるだろう。故に思わぬ所で足元をすくわれる可能性は十分考えられる。
後方に付くのはそれを補うためもある。月達の役割は場を見極めてのイカ娘を援護することだ。
高遠の職業が奇術師―――マジシャンということも幸運であろう。
人の虚を突くことが仕事のようなものだ。搦め手に対しても防護はできている。
荷物から支給品である銃、ニューナンブM60を取りだす。
直接撃つ機会には会ってないが警察の息子でありキラ事件の対策本部のメンバーとして活動してる月には最低限の心得はある。
高遠も豪奢な黄金の剣を取りだす。相手はすぐにでも飛びかかってきそうな形相だ。
これで迎え撃つ準備は……―――

「……イカ娘?」

そこでようやく、月と高遠は気付く。
良く言えば賑やか、悪く言えば口やかましいあのイカ娘が今の今まで硬直していることに。

目の前の超人に怯えている?ただの少女ならそうだろう。
だが散々自戒してるとおりにイカ娘は人ではない。むしろ分類でいえばあちら側に属するくらいだ。
では、一体何故こうも黙り続けているのか。


「……………ま、」

その時、ようやくイカ娘の口が開く。声には恐怖でなく、明らかな驚愕がある。顔もきっと驚きに満ちているのだろう。

「……何だよ。その顔は」

唯一イカ娘を正面から見る男もそれを怪訝に思ったらしい。
説明を強いるように表情を曇らせる。

「まさか……ワカメ海人、絶滅していなかったでゲソか!!」

「「「――――――――――――――――――は?」」」










その時、全員の時が止まった。


「………………ええと、イカ娘。彼とは知りあいかい?」

頭を抱えたくなるのを抑えて、いちはやく現実に復帰した月が問いかける。
……何というか、色々とタイミングが悪すぎた。

「いや、知らないゲソ。けどあの髪形は我々の一族の中で既に絶えた家系、ワカメ海人のものに違いないゲソ!
絶滅していたと聞いたゲソが、まさかこんなところで出逢えようとは……」

どうやらイカ娘は目の前の男を同族と認識しているらしい。
確かに帽子から覗くその髪のウェーブと質感は海産物の草を彷彿とさせるが、
それが真実かどうかは人の身である月と高遠には判断の付かないところだった。

「だ―――――――――」

尤も、その必要はすぐにたち消えることになったが。

「誰がワカメだよこのイカ女!!!もう許さないぞ!」

今までの嘲笑と違う、ある種屈辱から生まれた怒りの念を惜しげもなく発露するワカメ海人(仮)。
やはりというか、イカ娘の見込みはとんだ見当違いであったようだ。

「な、なにをするつもりゲソワカメ海人!?我々は同じ一族―――」

「誰が同じだ!お前なんかと一緒にすんじゃないよ!!」

今ので完全に抑制のリミッターが外れたらしい。
脇目もふらずにイカ娘へと突進してくる。



「―――イカ娘君、話はあとです。今は迎撃に専念して下さい」

「た、戦うゲソか?」

「さっきも言ったろう、あれは『悪い』側の生き物だ。
イカかタコかエビかはわからないけど、このままでは僕らは彼に食べられてしまう。それは嫌だろう?」

「むむ……確かに食べられるのは嫌ゲソ。……分かったゲソ、とりあえず退治するゲソ!」

イカ娘は異種族故に善悪の観念に薄いが、その分生物としての生存本能は高い方だ。
命の危機にあったらば手を出すことに忌避はないと月は踏み、それは成功した。

「同胞を手にかけるのは気が進まないゲソがこれも生きるため……覚悟するゲソ!」

「だ・か・ら一緒にするなって言ってるだろ!
覚悟するのはそっちだ、その触手みたいな髪の毛全部引っこ抜いてやるよ!」

殺し合いなどという殺伐な状況には似つかわしくない、子供の喧嘩のような口上で戦いは幕を開ける。

その結末は、如何に―――?






【I-3/森林地帯:黎明】

【イカ娘@侵略!イカ娘】
 [属性]:その他(Isi)
 [状態]:健康、
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品一式、海の家グルメセット@侵略!イカ娘、不明支給品1
 [思考・状況]
  0:ワカメ海人と戦う。向かうなら容赦せず、逃げるのなら追いはしない。
  1:とりあえず月と高遠に付いていく
  2:栄子、タケルがなにをしているのか気になる
[備考]
※慎二(名前は知りません)を「ワカメ海人」なるものと認識しています。勘違いですし、そもそも実在するかも不明です。



【夜神月@DEATH NOTE】
 [属性]:悪(set)
 [状態]:健康、満腹
 [装備]:ニューナンブM60(残弾5/5、予備段数30)
 [道具]:基本支給品一式、不明支給品0~1
 [思考・状況]
  0:ワカメ海人(?)と戦う。なるべく倒したいが、自衛優先。
  1:イカ娘を利用した、スタンス判別方の模索と情報収集のための集団の結成
  2:「悪意」を持った者が取る行動とは……?
  3:自身の関係者との接触
  4:高遠の本心に警戒
 [備考]
 ※参戦時期は第一部。Lと共にキラ対策本部で活動している間。

【ニューナンブM60@現実】
警察官用に日本で製造された回転式拳銃。
威力は命中率はともかく、手に持ったホールド感は日本人の手にマッチしている。



【間桐慎二@Fate/stay night】
 [属性]:その他(Isi)
 [状態]: 刺傷多数(軽)、残虐超人状態
 [装備]:ナチス武装親衛隊の将校服@現実、ドクロの徽章付き軍帽@キン肉マン、 マインゴーシュ@現実
 [道具]:基本支給品
 [思考・状況]
 基本行動方針:超人の戦闘能力を心行くまで試す。
0:目の前の3人組をいたぶり、超人の力を再認識したい。
1:誰がワカメだこのイカ女!
2:弱い参加者から武器を奪う。
3:仮面の男(V)にいずれ復讐する。



(さて……中々に面白い状況になってきましたね)

命のかかった緊迫した場面のなか、仮面の奥でうすら笑いを浮かべる一人男。
それは錯乱からでも興奮からでもなく、彼にとっては「いつも通り」の笑みだった。
自分の手にある糸に括りつける、「人形」を値踏みする目。

男、高遠遥一は犯罪者である。
その罪状は数知れず。殺人も多く犯している。
だが彼が犯した最も多く、彼が好むのは犯罪幇助。他人の犯罪を手助けすることである。
怨恨、憎悪、相手が抱える心の闇を嗅ぎ分け、越えてはならない一線を越えさせる。
そして目的を成す為の知恵を与え、自分は傍観の立場に立ち「計画」が成就されるのを眺めるのだ。
自分のプロデュースした「芸術」を汚した「人形」は速やかに、冷徹に糸(クビ)を切る。
「地獄の傀儡師」の名の通り、高遠遥一は犯罪芸術家、知恵の実を引き換えに人の魂を刈り取る悪魔の代行人なのである。

指名手配された身分でありながらも悠々と過ごしつつ新しい人形を捜している最中、彼はこの場に連行された。
といってもそれは警察ではない。それよりも遥かに力を持ち、そして遥かにそれから遠い、「実験」を強制させる存在だ。
この事態には高遠もさすがに面喰ったものの、さりとて彼に変化はなかった。
思う事は多くあるものの、起こってしまったものは仕様がない。
現実を認識し、それに柔軟に対応できなければ指名手配の中を逃げおおせ、新たな「芸術」を作り出すことなどできない。
ここでの行動の指針は先に夜神月らと共に話した通り。だが月がそうであるように、高遠もまた胸に秘した目的というものがある。

主催の正体など見当もつかない。
だが自分が呼び出されたのが運と気まぐれによるものでないといいうならば、自分に求めるものなど、ひとつしかなかろう。
そして命じられるまでもなく、高遠もまたそのつもりだった。
高遠にとって犯罪とは遊戯であり、趣向であり、一種の矜持だ。
「芸術」とは言葉で言いつ尽くせない、根源的な自己の表現方法に他ならない。
それが出来ないのならば高遠遥一の自己に意味などない。自ら首を括る方がマシだ。
なればこそ、この異形の集う世界で高遠は自己を示す。「地獄の傀儡師」として事を為す。

今まで行ってきた犯罪で欠かせず用意した変装道具、犯罪成立の為の数々のトリックは揃えられていない。
さらには自分の存在と、その危険性を知る人物が最低3人いるとなると些か不利な環境といえる。
だが短所は長所にも成りえる。このような環境のみに限定された芸術を創造できるかもしれない。

例えば、殺し合いとう異常空間で精神を病んだ者。
もしくは、ここにいる知人友人の死を知った者。
あるいは、直接襲われ命の危機に恐怖した者。
人を凶行へと走らせる「動機」が、ここには山ほど溢れている。
予め仕組まれた環境であっても、そこから生じた感情、激情は本物だ。糸を垂らせば、かかる魚は多い。
極限状況の中で人はどれだけ善行を説き、常識を守り、仮面の下の本性を隠しきれるか。
その中で、自分はどれだけ仮面を暴き、人形を作り、芸術犯罪を成立させられるか。興味は尽きない。
とはいえ軽々と行動に移る気はない。するならば機を見て、選別を行い、しかるべき環境を整えてからだろう。






(では、目の前の彼はそれに適うものかどうか……)

今まさに自分達を襲う少年を高遠に意識を向ける。敵意でなく、興味の対象として。
幾度となく心に傷を持つ人間を見つけ、犯罪者へと昇華させてきた高遠には分かる。彼もまた、闇を抱える者だ。
その要因は何なのか。それは果たして自分を満足させる程の濃度なのか。それを知りたい。
無理をするつもりはない。あくまで自分は弱者。彼やイカ娘のような怪異には為す術なく蹂躙される立場だ。
それに彼の闇の底が知れれば、自分の計画に傷を付ける恐れのあるような素材には早々に退場願う。
先は長いのだ。ある程度選り好みする機会は残ってるだろう。
それともいっそ、新たな惨劇を産み出すための舞台装置として野に放つのも悪くない。
なんなら、この手にある芸術的な造形かつ見事なこしらえの名剣を「奪われて」もいいかもしれない。

選択肢は多い。我が身可愛さに安全手を取るか、衝動に従いバクチに手を出すか。
その中で何を選び、傀儡師は何を起こすか。真相は仮面の下の素顔のみぞ知る。





【高遠遙一@金田一少年の事件簿】
 [属性]:悪(set)
 [状態]:健康、満腹
 [装備]:カリバーン@Fate/stay night
 [道具]:基本支給品一式、不明支給品0~1
 [思考・状況] 今まで通りの「高遠遥一」として、芸術犯罪を行う。
  1:ワカメ海人(?)と交戦。 自分の「人形」に仕立てる価値があるかを判断。使えないようであれば……
  2:「人形」を作るのであれば人選、状況は慎重に選ぶ。

[備考]

【カリバーン@Fate/stay night】
サーヴァント・セイバーがかつて所持していた聖剣。符号は「勝利すべき黄金の剣」。
華美な装飾であしらわれており武器としての性能は現在のセイバーの宝具、エクスカリバーには劣る。
それでも、最上級の聖剣に数えられるのは疑いようがない。
鞘がない抜き身なので、持ち歩くにはちょっと危険。




◆◇



「……少し、大気が震えたな」

「え?」

小さな劇場を出て、夜の冷たい外気を浴びた所で、Vは口を開く。
仮面に隠された顔から発する声は不明瞭ながらも、何かの強い意思のようなものを感じる。

「先の取り逃がした暴漢かもしれん。野放しには、できんな」

夜の寒さか、忌まわしき記憶の再来か。なのはの小さな体がぶるりと震える。
先に感じた生理的な恐怖感。正直に言ってまた会いたいとは思えない。
けれど、他の誰かが同じ危険に遭うかもしれないと思えば、その恐怖にも打ち克てる。

「……私も、行きます!」

震えを抑え込みなのはも応える。
その答えを礼賛するかのように黒衣の男は黒き外套を翻す。

「―――よろしい!では向かおう。前奏(プレリュード)はまだ始まったばかりだ」

……仮面に隠された真意。それはまだ、誰にも分からない。





【I-4 劇場外/一日目 黎明】

【V@Vフォー・ヴェンデッタ】
 [属性]:悪(set)
 [状態]: 健康
 [装備]:バッタラン@バットマン(残弾多数)、レイピア@現実
 [道具]:基本支給品
 [思考・状況]
 基本行動方針:?????
0:音のした方向へ向かう。
?:なのはの友人(アリサ、すずか)を捜すのに協力する。



【高町なのは@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
 [属性]:正義(Hor)
 [状態]: 足に軽傷
 [装備]:聖祥大附属小学校制服
 [道具]:基本支給品、不明支給品1~3(武器になりそうな物は無い)
 [思考・状況]
 基本行動方針:アリサ、すすかとの合流と、この場所からの脱出
0:音のした方向へ向かう。
1:Vと共に行動。みんなを守るためにもレイジングハートを入手したい。
【備考】
※「魔法少女リリカルなのはA's」、あるいはその前後の時期からの参戦





時系列順で読む


投下順で読む


とあるイカ娘の侵略目録《バトルロワイアル》 イカ娘 淫妖烏 賊(前編)
夜神月
高遠遙一
The Phantoms of the Opera 間桐慎二
高町なのは





| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー