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The Beginning Is The End Is The Beginning




——視界は、ことごとく闇に覆われている。
——そんな闇の向こうから、誰かの囁きや呻き声が聞こえる。

日本国、M県杜王町に潜む殺人鬼、吉良吉影が、
覚醒した当初に認識し得たのは事はただそれだけである。

未だぼんやりと霞が掛った頭に拳をぶつけて無理矢理、意識を明瞭にする。
「キラークィーン」を出現させ、身に纏わせる。
ハッキリと出現させないのは、この闇の中にいるやもしれぬ他のスタンド使いを警戒している為である。

意思を集中し、周囲を見渡しながら、耳をそばだてる。
(・・・クソッ!薬か何かを使われたか?頭がガンガンする…)

催眠薬などで無理矢理眠らされた人間に特有の頭痛に顔をしかめながらも、
目が闇に慣れれば見えるやもしれない何か・誰かを見逃さぬよう、
欹てられた耳が拾うやもしれぬ誰かの声や音やその内容を聞き逃さぬよう、
意識をキュッと張り詰める。
世に隠れて生きる殺人鬼には、現状把握を誤る事はゆるされない。

(私は確か日曜日の夜、いつも通り軽くストレッチをして明日からの出勤に備えて早めの睡眠をとった…)
(来ている服は寝まきでは無い…恐らくは背広かなにかだ…寝ているうちに攫われて、着替えさせれた?)
(クソッ!こう暗くては何も解ら…)

——その時である

——パシャッ!

どこかでそんな音がして、スポットライトが点灯し、一人の男を映し出す。

小高い円錐台の上に置いた折りたたみ椅子に腰かけた一人の男の姿である。

ケバケバしい紫色のスーツに、黄色のシャツ、緑のリボン、
ズボンは灰色で、足には底に金属板を張ったタップダンスシューズ、
両の掌にはやはり紫の手袋付けており、その手の内でステッキを弄んでいる。
随分と「個性的」で「人目を引く」格好だが、より人目を引くのはその容貌だろう。

まるで塩素で脱色したかと思うほどの白い肌、細長い相貌、
逆に血の様に毒々しい赤のひきつって不気味な笑みを浮かべた唇、
血走った双眸、緑の髪の上には、やはり紫の中折れ帽が乗っかっている。

吉良からは見えない男が座る折りたたみ椅子の背もたれの裏にはには、
白い字で「DIRECTER」の文字が染め抜かれている。
——男が口を開いた。

「Good evening …Ladys and Gentlemen…」

奇妙なイントネーションの聞く者の心を不安と苛立ちで満たす口上が始まる。

「知ってる奴もいるかも知れないが、俺はジョーカー。ゴッサムシティのコメディアンさ」
「今回のショーのパーソナリティーを務めさせてもらう事になってる」

「そうショーさ!楽しいイベントさ!」
「いきなり連れて来られて面喰ってるヤツも多いと思うけども、まあそう怒らないでくれ」
「楽しいイベントにタダで参加させてやろうってんだ…何せタダだぜ!?ダダより尊いものは無いぜ」
「ショーの内容だって大したもんだ…ダンスありゲームありの楽しい二日間だ」
「イベントの名前はそう…」

まくしたてるようにしゃべっていた男、ジョーカーは、
ここで一旦言葉を切ると、ニヤニヤ笑いながら辺りを見渡して…

「バトルロイヤル…フランス語風に言うとバトルロワイアルか」
「君達60人には最後の一人まで殺しあってもらう…このショーのホストとしてなぁ…」

そう言ってジョーカーは

「HAHAHAHAHAHAHAHAHA!」

と哄笑したのであった。


『言いたい事はそれだけかジョーカー…』

余りにも突拍子も無いジョーカーの物言いに、
吉良を始めとするこのだだっ広いホールに連れて来られた『62人』の殆どが面喰ってる中、
闇の中から黒い一つのシェルエットが出現する。

それは、闇がそのまま人の形をとった様な男だった。
地面まで伸びた黒いマントに、蝙蝠を象った黒いマスク。
その声色も、まるで闇そのものが話しかけて来ているかと錯覚するような、
恐ろしく低音かつ陰鬱で、無機質な代物であった。

——ゴッサムの闇の騎士、バットマンである。

「Ohooo!バァ〜〜ツッ!ひょっとして、俺がこれからやろうって事に不満でもあるのかい?
『当然だジョーカー』

ケタケタ笑うジョーカーを余所に、闇の騎士は無造作に足を進める。

『貴様の悪趣味付き合わせる覚えは無い…サッサと…』
「お〜っと!ちょっと待ちなバァ〜ツッ!そこで一旦立ち止まって、手を伸ばしてみな…」
『……何?』

ジョーカーの言葉に眉を顰めるバットマンだが、少し間を置けば、
言われた通り手をゆっくりと前に伸ばして見る。すると…

『!』
「よく出来てるだろう?透明度が高いから、こういう風に部屋を薄暗くすれば何も内容にしか見えねぇ…」

宙空で、バットマンの掌に触れるものがある。
透明な壁のような物が、バットマンとジョーカの間を隔てているようだ。

『…』
「オッと!言っとくが拳でそいつを砕こうなんて馬鹿な事は止めといた方が得だぜ!手を痛めるだけだ」
「こう薄暗くっちゃわかんねぇかも知れねェが、こいつは防弾ガラスと強化アクリルプレートのミックス…」
「厚さは何と10センチ!戦車砲を真っ向から100発ぶち込まれようと、ヒビはおろか傷一つ付かねぇ特注品さ」

『…』
しばし透明な壁を触ったり、拳でコツコツと叩いていたバットマンだったが、
拳で殴られた時に壁が発する音などから、ジョーカーの言う事の正しさをおおむね認めたようだ。

『随分と用意のいいことだ…』
「そりゃそうさ!テメェみたいに初っ端から突っかかってくる野郎もいるからよ!
こちとらイロイロ準備は欠かせねェぜ!」
「テメェが俺の立場なら当然そうするだろ?バットマン……いや……」

「ブルース・ウェインさんよぉ…」

その言葉を聞いた時、バットマンの双眸がカッと驚愕に見開かれた。
それを見てヒヒヒと笑いながら、ステッキをクルクル廻しながら言葉を続ける。

「HAHAHA!どうしたバットマン、鳩が豆鉄砲喰らった様な顔して」
「俺があんたの正体を知ってたのがそんなにショックかい」
「俺は何でも知ってるぜ!そう例えば…」

「アルファベットの一文字をコードネームにしてる探偵の本名とか」
「!」
「自称新世界の神のイカレタたガキンチョの名前とか」
「何ッ!」
「とある英霊さまの本名と起源とか」
「…」
「どこぞの神父様の胸に心臓の代わりに詰まってるのは何かとか」
「…」
「とある少女の家に転がってる同じ名前の死体の正体とか」
「!」
「JAPANのモリオウチョウに潜むシリアルキターの正体とか…な」
(…何だと!?)

背をかがめ、闇に潜み状況を覗っていた吉良は、ジョーカーの言葉に内心で驚愕していた。
無論、それを表には出さない。蒼褪めているやもしれない相貌を見られぬように顔を俯かせる。

(この男、殺し合いがどうとかか言っていたな…)
(つもりそれは…私の秘密を知って、私を殺人者と期待して此処に連れて来たいうことか!?)
(クソッ!?だとしたら一体どこでばれたんだ!?痕跡など残っている筈が…)

「さぁ〜てっ!」
——パンパン!

思考に没頭していた吉良を現実に呼び返したのは、
ジョーカーのよく響く拍手である。

「ぶっちゃけ、今ので俺に殺意なり叛意なり抱いた奴も多かろうと思うけどよ…」
「まあ俺に反抗するのは正直無理ダネ♪“ココ”を見てみなよ」

そう言ってジョーカーは自身の首を指さした。

「!」
(馬鹿な!何故今まで…)

首に自身の右手を遣った時、吉良は初めて何時の間にか取り付けられていた首輪の存在に気が付いた。
重みを殆ど感じない薄手の銀の首輪はまるで首の一部であるかのようにビタッと首に巻きついている。

「察してる奴も多いと思うが、そいつは唯の首輪じゃねぇ…オイ!」

ジョーカーが背後に目を遣ると、ギョロっとした目つきをした道化姿の矮人が一人、
ラジコンのリモコンの様なものを持って来て、ジョーカーに手渡す。

『ジョーカー…キサマ!』
「おんやぁ…流石はブルース坊や。首輪が何か察したみたいだな」

バットマンは渾身の力を込めて「透明の壁」を蹴りつけるが…びくともしない。

『クウッ』
「無駄だって言ってるだろバッツ♪そこで指くわえて見てな…」

ジョーカーはリモコンの上に並んだ幾つものボタンの内の、右上の赤いボタンに指を乗せて…

「そ〜れ♪ぽちっとな!」
——ボンッ!

押したと同時に、一つの爆発音が響いた。

「いっ…イヤァァァァァァァァァ!」

続いて響いたのは女性のモノと思しき甲高い悲鳴だ。
吉良が悲鳴の方向に視線を向ければ、首から上の無い立ったままの死体が一つの、
その切断された首から飛び出す血の奔流を浴びて錯乱する一人の女性の姿がある。

「あああ…あああああああああああああああああああ」
錯乱したまだ年若い美しい女性は、死体に背を向けてそこから逃げ出そうとするも…

「ムリムリ逃げられないって…ホーレ、ポチっと!」
「あぎがっ!?あががががががががががががが」

ジョーカーが今度は別のボタンを押せば、女性は突如その場で立ち止まって痙攣し出す。

「あがががががががが…ひひひひひひひひひひひひひひ」
「ありゃ!?何か間違えたか?」

痙攣しながら不気味な笑い声を挙げ始めた女性の姿に、
真顔に戻ったジョーカーは、女性とリモコンを何度も見返す。

結局女性は笑い続ける。
目を見開き、血涙流し、口からガボガボと血泡を吐きながらも、なおも笑い続ける。
顔は石膏像の様に白茶けて、目は左右逆方向にグルグルと回り始める。
痙攣はさらにひどくなり、両手足は滅茶苦茶に揺れ動き、
足を踏み外して地面に倒れ伏すもさらに虫の手足の様にバタバタと動き続る。

「ひひひひひひひひひひひひ…ひひひひ…ひひひ…ひひ…ひ…ひ…h…」

狂った笑い声が止まって、女性は動きを止めた。
頬まで裂けたかと思える引き攣った笑みを浮かべたまま、
女性、高田清美は死んでいた。

「ありゃー…コりゃ間違えた。コイツは試作品の液化笑気ガスを仕込んだ方だった…」

ジョーカーはパチリと自分の頭を帽子の上から叩いて、大仰に空を仰ぐ。

「まああれだ最後に『ジョォォォォォォッカァァァァァァァァッ!』ウワヲッ!」

地面すら揺れんとばかりの怒声を挙げながら、バットマンは壁に蹴りかかる。
しかし、厚さ10センチの強化複合ガラスは、肉体的には常人に過ぎないバットマンの蹴りではびくともしない。

「そうキレんなってバッツ!?二人の内一人は“笑って”死なせてやったろう?」
「人間、笑って死ねりゃハッピーじゃねぇか!きっと天国へいけるぜ!」
『キサマは!人を二人殺しておいて!』
「おいおい、たかが二人じゃねーか。そう怒るなよ」
「1日あたり世界で一体何人の人間が交通事故で死ぬと思ってるんだ?」
「飲酒運転のトラックが、首輪の毒薬と爆薬に変わっただけじゃねーか…そうカリカリすんなよ♪」
『…!』

視線だけで相手を殺せるほど殺気を込めて、ジョーカーを睨みつけながら、
バットマンは拳が砕けんとばかりに何度も何度も壁を殴り続ける。しかし、壁はびくともしない。

「あーあ…聞いちゃいねぇや。ま、少しばかり頭を冷やせよ」
『!…ッ!?』

ジョーカーが手元のリモコンの緑のボタンを押すと、バットマンは突如ふらりと痙攣して、立膝を突く。
これはバットマン一人だけではなくて…

(!?)
吉良吉影も同様で、突如体が痙攣し出し、体の自由が一切利かなくなる。

「首輪に仕込んであんのは爆弾だけじゃねぇ…実は既に煩そうなの何人かはこうして動けなくしてあったのよ」
「今は全員動けねェがな…」

自身を睨みつけるバットマンを見下しながら、ジョーカーは宣言した。

「さてさて!そろそろ開会式もお開きだ!」
「お前達をそろそろ会場に送るぜ!詳しいルールは現地に置いてあるパンフレットを見てくれ!」
「それじゃあジョン、頼むぜ」

「了解した」
そんな言葉が何処かから聞こえて、
ホールの中に居る人々は一人、また一人と何処かにテレポートして行く。

『Jo…かぁ…』
「ありゃ!?バッツ、オメェまだ口が聞けたのかい」

バットマンの予想以上の体力に、ジョーカーも驚いた様子だ。

『oまェ…の…mおク的は…』
「証明するのさ」

ジョーカーは晴れやかな笑みを浮かべて言った。

「証明するのさ、俺の考えを…人生ってのが悪意と不条理の連続体で」
「正義だの善意だの常識だのってのが、ただのジョークに過ぎないって事を」

強烈な頭痛と吐き気と共に、自身が何処かに飛来していくのを感じながら、
吉良吉影は最後にそんな言葉を聞いた。

「安心しろよ…俺もちゃんと参加するぜ」
「ショーってのはホストだけじゃ成りたたねぇ…司会者もちゃんといなくっちゃな」

「それじゃ後で現地で会おうぜ!」
「HAHAHAHAHAHAHAHA HAHAHAHAHAHAHAHA HAHAHAHAHAHAHAHA」

その狂気の哄笑を聞いたのを最後に、吉良吉影は転移した。



ジョーカーも含め、誰一人いなくなった暗黒のホールにポツリと誰かの呟きが響く。

「見せてもらおう…熱力学的奇跡を…」


【渋井丸拓男@DEATH NOTE 死亡】
【高田清美@DEATH NOTE 死亡】

主催
【ジョン・オスターマン@ウォッチメン】
「主催」兼「司会」兼「参加者」
【ジョーカー@バットマン】




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