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運命/不可思議な偽りを ◆PesJMLsHAA


「君はこの状況をどう思う。さきほどの対応は、おおよそ正しかったと思うが、冷静なのかな?」

「混乱してるだけですよ。さっきのだって、いきなりあんなことを言うなんて……。
 そっちこそ、なんでそんなに冷静なんですか?」

一言二言、言葉を交わす。まるで世間話のように、心を落ち着けるかのように——あるいは、観察するかのように。
軽い自己紹介であるとか、お互いについてであるとか。
だが、そんな中で、言峰綺礼は唐突に切りだした。まるで————全て分かった、とばかりに。



「私から見て、君は単なる一般人だ」

「そりゃあ……」

それ以外の何に見えるっていうんだろう、この人は。
まさかダラーズのことなんて、知るはずもないだろうに。

「無論、疑おうと思えばいくらでも疑える。誠実な教師が、実は凄腕の殺し屋だった。クラスメートの少女が貴族の娘で仮面の怪人だった。
 憧れの少女が、妖刀を持った通り魔だった。単なる学生かと思えば正義の味方だった————まあ、よくある話ではあるな」

「よくあるんですか!?」

流石にそんな話がよくあるだなどとは信じられない。
いや、そりゃあ非現実的な存在は知ってはいる。唐突に、そんな事実を知らされることもあるかもしれない。
友人が実は————だった、なんてこともありえると、知ってはいるけれど。

「ないわけではない。珍しくはあるが、その手の存在は日常に潜むことが多いからな。
 かくいう私もだ。普段は単なる神父だが、実は異端殲滅を担う代行者でもある」

「異端殲滅に……代行者? なんですか、それ」

こっちを一般人だと言うなら、いきなり専門用語を出さないで欲しい。
というか、単なる神父? とてもそうは見えない。

「分からんかね。我らは神の代理人だとか、ある宗教団体が作り出した武装組織であるだとか、
 化け物退治の専門家——あるいは人間相手でも容赦しない狂信者、などなど。
 日本ではむしろ、一般人の間においてこそメジャーな存在だと思うが」

そんなような話を、誰かに聞いたことはある。まあ確かに、その手の話は色々あるのかもしれない。
テレビのロードショーなんかでも見たことがあるような気もするし、映画のCMなんかも流れていたかもしれない。
しかし、作り話の中の非日常には、そこまで興味を持てなかった。

「いえ、あんまり知りません」

「ふむ?」

言峰綺礼という神父は、奇妙な——少しばかり予想外だ、とでも言いたげな顔をして、こちらを見つめた。
しかしそれは少しの間だけで、そしてむしろ嬉しげ言葉を続ける。

「まあいい。ともかく私はそういう仕事をやっていてね。
 この手の異常事態についても、ある程度の耐性はあるというわけだ」

だから冷静だったのだ、と。言峰はそう言った。

「えっと……今のって、さっきの質問の答えだったんですか」

なぜ冷静なのか、というこちらの問いかけへの答えだったのか?
仕事柄慣れている、ぐらいでいいんじゃないだろうか。

「なに、自己紹介も兼ねてのことさ。戦闘もありえる状況だ。その場合は頼ってくれていい、ということだよ」

「え、頼る?」

なぜ、まるで一緒に行動するのが前提であるような言い方をするのだろう。
はっきり言って、見た目も雰囲気を胡散臭いことこの上ない男が。

「君は一般人だと私は見た。そして私は聖職者だ。
 聖職者であるなら、無力な人間を見捨ててはならないだろう?」

「本気なんですか、それ?」

あんまりにも信用できなくて、つい口に出してしまった。
馬鹿だ! ちょっと話を合わせるぐらいはした方がよかったのに! と、後悔しても遅い。
だが、言峰さんは気を悪くしたようではなく、むしろ上機嫌に、

「私が信用できないかね? それは当然だな。
 しかし、君に選択肢があるとは思えないが。私が君を殺す気なら、もう死んでいるだろう。
 それにこのまま放置しては、君はそれこそ誰かに殺されるぞ。
 相手が混乱した一般人か、殺すことに迷いのない人間かは分からないが」

「えっと、まあそれは……そうですけど」

事実、なのだろう。この神父はついさっき——人間相手にも容赦しない狂信者を例に出した。
それは、自分も人間を殺せると言っているも同然だ。
そんな相手に、自分が殺し合いで勝てるとは思えない。そもそも、自分が勝てる相手の方が少ないだろう。
だったら、このまま言峰さんと別れても、すぐに死んでしまう……のかもしれない。

「君は私に対して、まず殺意の有無を確認したな。
 それは私に、殺し合いに乗りそうだ、という印象があるからだろう?」

そうなんだろうか。あの時は混乱していたし、誰に対してでも似たようなことを言ったかもしれない。
けれど、人間を殺せるというこの人に対しては、正しい印象だったのかもしれない。

「君への第一印象は無力な一般人、あるいは善良な少年か。まあ、そんなところだろうな。
 そういう君と行動を共にすれば、私も動きやすい。安心して、この殺し合いを壊すことに専念できる……どうかね?」

「まあ、言ってることはわかりますけど」

筋は通っている。殺し合いを壊したいが、自分は信用されにくい。
無力な人間と共に行動すれば、信用されやすくなる。だから一緒に来て欲しい。確かに正論だ。
聖職者であるから殺し合いなど許せない、というのも……宗教的なことは理解できないけど、動機としては納得できる。

「でも、どうやって壊すんですか」

「これは実験なのだろう。ならば、想定外の動きをして喜ばせてやればいい。
 例えば——参加者全員が手を取り合って反抗するであるだとか。
 それはそれで、いい実験結果だと納得するのではないかな」

本気かどうかは分からない。信用できないままだ。
けれど、どこか惹かれる。非日常そのものである、この人には。

「難しく考えることはないだろう。君が信用できる相手と出会えれば、そこで別れてもいい。
 君の安全を確保することを優先しよう。私の信用については後回しでもかまわない。
 なんなら、力ずくで連れて行ってもいいのだが」

聖職者————その言葉通り、まるで聖人君子のように、説得を続ける言峰さん。
まあ、確かに選択肢はない。信じようと信じまいと、同じことにしかならない。
力ずくで、信用を失ってでも君を助けるという宣言をされてしまっては。

「……わかりました」

仕方ない。これは仕方のないことだ。だって逆らう意味もない。
従うしかない状況なんだから……この信用ならない相手に従うのは、仕方がない。

「助かる。では、行こうか」

ついてくるよう促して、そうして歩き出す言峰さんに、声をかける。

「どこへですか?」

「病院だ。こんな場所では、軽い怪我でも致死傷になりうるからな。
 簡単な手当てぐらいはできる状態にしておきたい————と、考える人間も集まるだろう。
 その後の方針については、君が落ち着いてから話し合うことにしよう。まだ、混乱しているようだからな」

強い意志を宿したその瞳に、従うしかなかった。
不思議なほど、心が高揚したままで。仕方がないと思いながらも、まるで…………ちょうどいい言い訳ができたかのような表情で。


自分自身を偽るというのは、誰しも経験があるだろう。
他ならぬ言峰綺礼にも、似たような経験はある。彼は妻の死を受け入れられなかった。
いや、妻が死んだ時、自分が生んだ感情を受け入れることができなかった。
とはいえ、それは過去のこと。今となっては、妻の死の意味についても考えることができる。
彼はその女を愛していたのか、どうか。歪んではいたが——愛情は、あったのかもしれない。あるいは執着か。
歪んだ人間である彼が、目の前で死なれるのはつらい、と。そう思う程度には。
だから、竜ヶ峰帝人に興味を持った。自分の感情を、受け入れることができるかできないかの、境界にいる少年。
彼がどのような道を進むのか、選ぶのか。あるいはここまで選んできたのか。それを知りたいと思ったのだ。
その過去を知るには、信用を得る必要がある。そして、この少年にはある程度の後ろ暗さを見せた方がいいと判断した。
その後ろ暗さ————あるいは非日常の匂いに惹かれる人間だろうと、そう感じたからだ。
それは正解だった。言峰綺礼に対し、竜ヶ峰帝人は興味を持った。そして、目的地は決定した。
病院ならば——どこか静かな一室で、互いの過去を語り合うこともできるだろうと、そう考えたのだ。

(さて。彼が興味を持つだろう話はいくつかあるが————そうだな。ヒロインぐらいはいた方がいいか。
 彼ぐらいの年頃であれば、男だけの戦いよりも惹かれるはずだ。であれば、彼女に登場してもらおうか。
 封印指定の執行者——彼女と行った任務で、特に過酷だったモノなら、十分に楽しんでもらえるだろう)

自覚があるのかないのかの、中途半端な偽り。その不思議な偽りを持つ少年。
そして、この出会いを与えてくれた運命。それら全てに、言峰綺礼は感謝した。



【E-2/一日目・深夜】

 【竜ヶ峰帝人@デュラララ!!】
 [属性]:その他(Isi)
 [状態]:健康(高揚感?)
 [装備]:なし
 [持物]:デイパック、基本支給品、支給品1〜3(本人確認済み)
 [方針/目的]
  基本方針:死にたくないけど……
  1:言峰さんに従うしかない(?)
  2:言峰さんが信用できない
 [備考] 少なくとも原作6巻以降のいずれかより参戦

【言峰綺礼@Fate/stay night】
[属性]:悪(Set)
[状態]:健康
[装備]:なし
[持物]:デイパック、基本支給品、支給品0〜2
[方針/目的]
  基本方針:?????
  1:病院に向かう
  2:竜ヶ峰帝人の観察を続ける
  3:竜ヶ峰帝人の過去を知る
 [備考] 出展時期は他の人にお任せ。

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一般人、道に惑う/異常者、わらう 竜ヶ峰帝人 :悲秘喜奇交交イン・ホスピタル
言峰綺礼





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