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悪ノ王◆KaixaRMBIU





 無数の光点を蒔いた星空の下、白い人影は木々とすれ違う。
 乾いた風が豊かな黒髪をかすかに揺らし、葉の擦れる音だけが耳に残る。
 夜の獣道だというのに、男の歩みには迷いがなかった。それも当然である。
 彼は人ではなかった。星明り程度の光量で、地平線の先まで見通せる。可視領域も人のそれより遥かに広い。
 大小様々な石はバランスを崩すことはできない。むしろ、進行の邪魔をするなら踏み砕かれる。
 人ならざる進み方をする、白き青年はふと違和感を感じて立ち止まる。下げている荷物に、人の指が引っかかっていた。
 彼は小首を傾げ、不思議そうに人の残骸を手に取る。あどけない顔つきにあわせ、仕草はとても幼いものに見えた。
 持ち上げられた指は、かつて内田かよ子と呼ばれていた女性のものであった。
 だが、他者を挑発する際に発音した名前を、彼はもう忘れていた。
 それもしかたない。彼にとって人間は……いや、同族である存在でさえ、等しく犬や猫のようなものだった。
 すれ違っただけの動物を記憶する人間が存在しないように、他者の名前を脳内に残すことなどない。
 つまり、彼は他者を見下しているのではない。ただ、意識の中に存在しないだけなのだ。
 やがて指への興味を失い、無造作に投げ捨てる。流星のように闇の中を、指は燃えながら落ちていった。もはや視線で追うことすらしない。
 彼はン・ダグバ・ゼバと呼ばれる異形の王である。


 かつて、人が稲を育て始めた頃、農耕民族『リント』と狩猟民族『グロンギ』がいた。
 二つの種族は落ちてきた星の雨の中、人体を獣のごとく変化させる石を見つけ出す。
 グロンギは霊石と崇められたそれを身に宿し、人外の力を持って他民族を脅かした。
 無数の霊石を発見したグロンギと違い、たった二つの霊石しか持たぬリントは蹂躙されるより他になく、ただ悲しみの涙を流した。
 他者の嘆きを自らの喜びに変えるグロンギ族の中、ただ一人醒めた目をした存在がいた。
 グロンギの王。究極の闇。グロンギにおける最高位の証、『ン』の称号。
 ン・ダグバ・ゼバ。彼はただ、退屈であった。


 ダグバは圧倒的であった。リントは言うに及ばず、同族であるグロンギすら彼に傷を負わすことは不可能だ。
 誰もが侵すことのできない領域に達して、彼を待ち受けていたのは退屈な日々であった。
 よく笑う少年だった存在は、孤高とも言える位置で傷と心を忘れた。
 リントがなぜ、涙を流すのか。悲痛の叫びを上げるのか。誰かを庇い、無駄とわかって戦いを挑むのか。
 すべての行為をダグバは理解ができなくなっていた。
 絶対の王者が退屈する中、幾多の同族を打ち倒し、姿を見せる存在が現れる。
 地を強く踏みしめる足。黒い甲冑のような上半身。煌々と輝く、金色の四本角。

 そして、吸い込まれそうなほど深い闇の瞳。

 自分と同じく、手を触れず物を燃やせる相手を前に、ダグバは久しく忘れていた笑顔を向けた。
 蘇る喜びの感情のままに、確信を抱く。
 彼は――クウガと呼ばれる戦士は、自分と同じだと。

 過去に意識を飛ばしていたダグバは、思考を武藤カズキに移した。
 あの日を思い出すのは当然だ。なぜなら、武藤カズキはクウガと同じく霊石を宿し、究極の闇を見せていた。
 今思い出しても体が喜びに震える。
 挑発に応えたカズキは吠え、わずかだが自分から力を奪い、カズキ本人の力へと変えていた。
 ゆえに立ち上がることも、殺意を受けても意識を手放すこともなかった。
 ダグバが霊石と思い込んでいる存在――核鉄の力は自分やクウガとは別種だが、たしかに究極の闇の物だ。
 他のグロンギならば、なぜリントが新たな霊石を持ち得たのか、疑問に思っただろう。
 本来は霊石ではなく、核鉄であると知ることが最優先だった。究極の闇ではなく、ヴィクター化と後に呼ばれる現象だという情報が必要だった。
 だが、グロンギの中の例外であるダグバにとって、そんなことはどうでも良かった。

 自らと同種になれる存在が、クウガの他にいる。
 この力を思う存分振るえる相手がいる。
 殴っても壊れない玩具が現れる。

 だから武藤カズキは特別なのだ。クウガと同じく、力を振るうに値する存在。
 ダグバは自分を呼んだ主催者に感謝する。
 これはいいゲゲル(ゲーム)であった。自らに近づけるため、枷を与えてリントを狩らせるグロンギのゲゲル(ゲーム)よりも、ずっと。
 いつの間にか、ダグバは白き異形へと姿を変えていた。自分でも意識しないほど、ごく自然に。
 歩みを再開する前に、気まぐれに指を鳴らす。
 大樹の一本が、原子を揺らされプラズマと化し、内側から燃え上がる。
 溢れでた炎が木々を飲み込み、赤い光を広げていった。
 ダグバは前と変わらないゆっくりとした速度で、離れ始める。途中、炎が体を舐めるも、痛みも熱さも感じない。
 火の粉が舞う中、ダグバは声に出さず笑った。


 炎は踊るように揺れ動く。
 すぐに燃え尽きる程度の規模なのか、いつまでも燃え続けて他者に被害をもたらすのか、今は判断できない。
 だが、断言できる事実が一つあった。
 たとえ地獄の業火でも、悪ノ王を燃やし尽くすことは敵わないだろう、と。


【D-4 /北東の森:深夜】
【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
 [属性]:悪(Set)
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [持物]:基本支給品一式×2、不明支給品2~6(本人未確認)
 [方針/目的]
  基本方針:好きなように遊ぶ
  1:クウガとカズキの究極の闇に期待。
 [備考]
 ※参戦時期は九郎ヶ岳山中で五代を待っている最中(EPISODE48)

 ※D-4の森が火事を起こしました。規模は後続にお任せします


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究極の闇 ン・ダグバ・ゼバ 〜悪意は極力隠すこと、それが……〜大宇宙の真理









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