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20世紀中年◆wmEUUSe/E6


ここはH-8、裁判所の正面玄関前。
分かりやすく説明するなら、何か大きな事件の判決の際に裁判の関係者が「無罪」とか「不当判決」などと書かれた
紙を広げてアピールするあの場所と言えばいいのだろう。
その場所にいるのは剣持勇。泣く子も黙る、警視庁捜査一課の警部殿である。
もっとも、彼は警察官であり検察官ではないので裁判所とはあまり縁はない。
逮捕するのが警察官の仕事で、起訴するのが検察官の仕事だ。
そんな彼が、裁判所の前で一体何をしているのか?

友人の金田一一のように自らの置かれた立場を考え、推理し、予測を立てているのではない。

友人の七瀬美雪のように油断したところを犯罪者に襲撃され、物言わぬ骸に成り果ててもいない。

逃亡中の凶悪犯である高遠遙一のように己の正体を隠し、暗躍しようとしているわけでもない。

その答えは看病。
ある意味彼の職業とは対極にある行為かもしれないが、道端に倒れている一般人を見捨てて捜査をするなど
彼の倫理観から考えてもありえない行為である。
これで看病している相手が妙齢の美人などであったのなら、端から見れば面白い構図ではありそうなのだが
実際の看病相手は剣持より多少若い中年の男。ロマンスは投げ捨てるものである。

「おーい、大丈夫か神父さん」

未だ意識を取り戻さないこの男に何故剣持は神父さんと声を掛けるのか。それは男の服装と持ち物に起因している。
男の服装はカソックで、手に握りしめているのはロザリオ。
これで神父以外の職業を思い浮かべろという方こそ無理があるものだ。

勿論剣持も、ただじっと神父の様子を見ているわけではない。
参加者名簿を開き、この場所に自分の他にも知り合いの金田一一や七瀬美雪が連行されていることを
甚だ不本意ながら再確認し、なおかつあの高遠遙一までもがいることに驚愕する。
日本警察の総力を持ってその所在を追跡してなお未だ逮捕に至らないあの凶悪犯を、いとも容易くこのような場所に
連れてきたその組織の能力に剣持は驚異を感じていた。
最初に意識を取り戻したあの場所で聞いた声の男が、主犯なのかそうでないのかは分からない。
しかしこれだけの大規模な犯罪をたった一人で行うことは不可能であると、立場や目的は大きく違えど組織の一員である剣持は言い切る。

他にも考えることは無数にある。
Hor、Isi、Setの意味や、参加者がどの陣営なのか、そしてそれぞれの陣営に課せられたルール。
この首に着けられた不愉快な爆破物の解除方法。金田一一と七瀬美雪の保護。
問題は、彼は捜査一課の警部とは言うもの、どちらかというと頭より足を使って事件を解決するタイプの警察官なのだ。

(この場所にあのイヤミが居ないことは良いのか悪いのかどっちなんだ)


そう頭の中で感想を漏らしているすぐ背後から「何か言いましたか剣持君?」とか言いながらあのロスかぶれが
突然出てきそうな気配を剣持は感じたが、その予想は杞憂に終わる。

「ウ、ウウ~~」

代わりに聞こえてきたのは神父のうめき声。どうやらまだ意識は取り戻していない様子だ。
何か病気の症状であるのなら、至急安静にできそうな場所へ移動したほうがいいのだろうが
単に悪い夢を見ているだけならこのまま見守っているだけでもさほど問題はない。
それにこの見通しの悪い深夜の時間帯に、大の男一人を背負って移動すると、何者かに襲撃を受けたときに身動きが取りづらい。
神父には悪い気もするが気がつくまで現状維持で待機する。それが剣持の判断だった。

「二人とも無事でいてくれよ……」

言うまでもないがこの二人に高遠遙一は含まれていない。

しかし彼の願いはかなわない。
七瀬美雪は既にその短い生涯を終えてしまった。
それも彼の傍らで魘されている神父のとても、とてもよく知る男の手によって。
その事実を剣持が知る機会が訪れる可能性と、彼が金田一一と無事に再開できる可能性のどちらが高いかは、誰にも予測できない。



【H-8/裁判所前:深夜】

【剣持勇@金田一少年の事件簿】
 [属性]:その他(Isi)
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品、未確認支給品1~3
 [思考・状況]
 基本行動方針:この事件を金田一一と共に解決する
 1:神父(賀来巌)が意識を取り戻すのを待つ
 2:金田一一、七瀬美雪との合流
 [備考]
 ※参戦時期は少なくとも高遠遙一の正体を知っている時期から。厳密な時期は未定。


私はあの場所で一体何を見たのだ?
確かにあの時、私はMWと一緒に海に飛び込んだはず……
確かに海面に体を叩きつけられ、その尋常ではない痛みと衝撃で意識を失いこの罪深い人生は終わるはずだった。
しかし次に目を覚ました時は、ダンテの神曲のような場所ではなく冷たいコンクリートの床の上。
スピーカーから聞こえてくる声の内容はよく理解できなかったが、地獄で聞くのには相応しい声色だ。
そして様々な人物の顔が見たこともないぐらい巨大なテレビ画面に現れる。地獄にもテクノロジーが導入されているのか。
そこには私と同じ日本人以外の人間が映し出されていた。時折妙な服装の写真が写ったが、何処か外国の風習なのだろう。
次に見せられたのは何人かの首に着けられた爆弾が爆発し、処刑される映像。
これこそ正しく地獄で見せられるべき映像だ。あの島で起きたことを例外にすればの話だが。
スピーカーから流れる声も終わり、また意識が遠くなり、目の前が暗くなる。次に気がついた時が本当の地獄なのだろう……


「何を言っているんだい神父さん」

その声は結城……お前も当然地獄にいたのか。

「いいや違うよ、ここは地獄じゃない」

何を言っているんだ、私が死んでお前がここにいる。地獄以外の何だというのだ!

「ここは死後の世界なんかじゃないよ」

じゃあ何か、私はまだ生きていてさっきの話や映像も現実だというのか!

「そうだよ神父さん」

ちょっと待て、暗闇なのにお前の顔が分かる?

「さあね、今アンタが聞いている声は現実ではないかも知れないけど、さっきのは間違いなく現実だ」

どういうことなんだ……

「俺にとってはどっちでもいいんだよ。またアンタにこうして会えたんだから」

まさか……お前は死んではいないのか?

「それが知りたきゃこの地獄のような現実で俺を見つければいいじゃないか。俺のすることは同じなんだから」

また罪の無い人達を大勢殺ろそうというのか!

「そうだよ、今度こそアンタに止められるかな?」

結城の姿はそう言い残した後、消えていった。そして私はさっきの放送と映像を思い返す。
アレが現実だと? あの爆弾で首を飛ばされた映像も? そんな場所に死んだはずの私を何故連れてきたのだ?

神よ! これも私に課せられた試練なのですか!? 私の罪はこれほどまでに大きいのですか!?
この争いで一体私に何を行えというのですか、神よ!?



【H-8/裁判所前:深夜】

【賀来巌@MW】
 [属性]:その他(Isi)
 [状態]:健康、気絶中
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品、未確認支給品1~3
 [思考・状況]
 基本行動方針:結城美智雄に会う
 1:結城美智雄に会う
 [備考]
 ※参戦時期はMWを持って海に飛び込んだ直後。


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より強き世界 剣持勇 4人のイカれる男たち
実験開始 賀来巌








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