正義の/悪の・ヒーロー/救世主 ◆0BN8XNoM6s
拝啓、お母さん。
お元気でしょうか? 僕は元気です。
箱庭学園に入学して早数カ月、ようやく僕も学園生活に馴染み始めた頃です。
お元気でしょうか? 僕は元気です。
箱庭学園に入学して早数カ月、ようやく僕も学園生活に馴染み始めた頃です。
幼馴染のめだかちゃんは相変わらずで、支持率98%、どこの独裁者だ、ってレベルで生徒会長に就任しました。
めだかちゃんも変わらず元気です。元気すぎるぐらいです。
めだかちゃんも変わらず元気です。元気すぎるぐらいです。
ついこの間も、箱庭学園で秘密裏に進められていたされていた世にも恐ろしい『フラスコ計画』。
天才がどうして天才なのかを解明し、人道的に天才を作り出すなんてびっくり計画です。
そしてその実態は全生徒を犠牲にしたうえでの、天才の開発。
天才がどうして天才なのかを解明し、人道的に天才を作り出すなんてびっくり計画です。
そしてその実態は全生徒を犠牲にしたうえでの、天才の開発。
勿論めだかちゃんがこんなものを放っておくわけがなく、てんやわんやの大乱闘。
死闘に苦闘を重ねて、なんとか首謀者を一網打尽。
めだかちゃんは悪党からの『ごめんなさい』が聞けて大満足。
これにて一件落着、という刺激的な学園生活に僕も非常に充実感をおぼえています。
死闘に苦闘を重ねて、なんとか首謀者を一網打尽。
めだかちゃんは悪党からの『ごめんなさい』が聞けて大満足。
これにて一件落着、という刺激的な学園生活に僕も非常に充実感をおぼえています。
さて、ここまで書いて懸命なお母さんならこう疑問を抱かれるかもしれません。
『どうしてあのドラ息子がわざわざ手紙なんてものを書いてるのだろうか?』、と。
事件が無事に終わって生存確認? 母親を心配させまいと安全確認?
『どうしてあのドラ息子がわざわざ手紙なんてものを書いてるのだろうか?』、と。
事件が無事に終わって生存確認? 母親を心配させまいと安全確認?
違います。
お母さん、俺はどうやらとんでもないものに巻き込まれてしまったようです。
そう、それこそ『フラスコ計画』なんて目じゃないほどの、もっとはっきりとしていて、それでいてとんでもない『実験』に。
お母さん、俺はどうやらとんでもないものに巻き込まれてしまったようです。
そう、それこそ『フラスコ計画』なんて目じゃないほどの、もっとはっきりとしていて、それでいてとんでもない『実験』に。
お母さんへ。
私、人吉善吉は今、『殺し合い』に巻き込まれています。
私、人吉善吉は今、『殺し合い』に巻き込まれています。
★
「ハァ……ハァ……ハァ……!」
「くそ、なんだっていうんだよ、いきなり……!」
月がちょうど頭の上を過ぎていく時間、真夜中。
たださえ一面真っ暗なか、覆い茂る森が辺りをさらに暗くする。
そんな中を走っている一組の少年少女。状況が状況ならば、ロマンチックなワンシーン。
「くそ、なんだっていうんだよ、いきなり……!」
月がちょうど頭の上を過ぎていく時間、真夜中。
たださえ一面真っ暗なか、覆い茂る森が辺りをさらに暗くする。
そんな中を走っている一組の少年少女。状況が状況ならば、ロマンチックなワンシーン。
だが違う。二人の間に流れる空気が違う。
ラブもロマンスも、ファンタジーやメルヘンもない。
汗をたらし、歯を食いしばり、全身を動かし一歩でも前に。
ラブもロマンスも、ファンタジーやメルヘンもない。
汗をたらし、歯を食いしばり、全身を動かし一歩でも前に。
必死の形相、という言葉がぴったりな二人は走っていく。
暗闇の中、どこへ行くのかもわからずただ我武者羅に。
二人の荒い呼吸音、少年が後ろを振り向き舌打ちをする音、芝生を踏みしめ疾走する音。
暗闇の中、どこへ行くのかもわからずただ我武者羅に。
二人の荒い呼吸音、少年が後ろを振り向き舌打ちをする音、芝生を踏みしめ疾走する音。
「ああッ!」
ふいに少女の体が宙に舞う。暗闇の中、突き出た木の根に足を取られバランスを崩したのだ。
宙返りする視界、反転する月。恐怖のあまり彼女は目をつぶる。
宙返りする視界、反転する月。恐怖のあまり彼女は目をつぶる。
だが予期していた痛みも衝撃もない。
やわらかく、しなやかなクッションに支えられているような感触に、恐る恐る目を開く。
やわらかく、しなやかなクッションに支えられているような感触に、恐る恐る目を開く。
「よっと、大丈夫か?」
気がつけば少女は少年の腕の中で抱きしめられていた。俗に言う『お姫様だっこ』というやつである。
そしてそのままなにごともないかのように全力疾走を続ける少年。
自分のおかれている状況と、自分をモノともせずに走り続ける少年の凄さに目を白黒させる少女。
そしてそのままなにごともないかのように全力疾走を続ける少年。
自分のおかれている状況と、自分をモノともせずに走り続ける少年の凄さに目を白黒させる少女。
「あー、こっちのほうが早いかな、って思ってな。それに粧裕ちゃんもこっちのほうが楽だろ?」
少女は黙って頷いた。恥ずかしいのか、照れくさいのかそのまま顔を下に向ける。
人吉はそんな少女をみて苦笑いを一瞬だけ浮かべるも、すぐさま視線を前に向ける。
とりあえずの目標は『アイツ』からできるかぎり離れること。
それも一秒でも早く、一センチでも遠く。
人吉はそんな少女をみて苦笑いを一瞬だけ浮かべるも、すぐさま視線を前に向ける。
とりあえずの目標は『アイツ』からできるかぎり離れること。
それも一秒でも早く、一センチでも遠く。
「!」
「……ッと!」
だがいつのまにか善吉たちが辿り着いて『しまった』のは森のはずれ。
木の切れ目を前に急ブレーキ、広がる平原は彼らにとって大誤算。
善吉は即座に反転、再び森の中に駆け込もうとする。
「……ッと!」
だがいつのまにか善吉たちが辿り着いて『しまった』のは森のはずれ。
木の切れ目を前に急ブレーキ、広がる平原は彼らにとって大誤算。
善吉は即座に反転、再び森の中に駆け込もうとする。
(こんな開けた場所じゃ良い的だ! それに隠れる場所もない!)
再び駆けだす善吉。だがその足はほんの数秒で完全に止まる。
急ブレーキ、そして再スタート、さらにまたもやブレーキ。
腕に抱かれた状態で俯いていた粧裕は訝しげに顔をあげる。
急ブレーキ、そして再スタート、さらにまたもやブレーキ。
腕に抱かれた状態で俯いていた粧裕は訝しげに顔をあげる。
その額にぽとりと一滴の水滴。
それは善吉の額を伝い、顎から流れ落ちた汗。
それは善吉の額を伝い、顎から流れ落ちた汗。
粧裕は感じ取った、善吉の震えを。そしてその震えは『恐怖』からの震えであることも。
うっそうとした森の奥から、人影が一歩、また一歩近づいてくる。
なのに善吉は動くことができなかった。そしてそれは粧裕もだった。
うっそうとした森の奥から、人影が一歩、また一歩近づいてくる。
なのに善吉は動くことができなかった。そしてそれは粧裕もだった。
くるぶし程度の芝を踏みしめる音。
冷たい夜風が森を揺らし、木の葉と木の葉がサァ……と音を立てる。
男と善吉たちの距離、およそ10メートル。
冷たい夜風が森を揺らし、木の葉と木の葉がサァ……と音を立てる。
男と善吉たちの距離、およそ10メートル。
二人は動けない。蛇に睨まれた蛙、頭をよぎったのはそんな言葉だった。
男がさらに一歩踏み出す。その男を木の間から覗いた満月が照らしだした。
男がさらに一歩踏み出す。その男を木の間から覗いた満月が照らしだした。
「君たちは……『採食主義者』と聞いて……どんなことを考えるかな?」
男は美しかった。
スポットライトかのように照らし出された姿はまさに芸術、そう思えるほどだった。
スポットライトかのように照らし出された姿はまさに芸術、そう思えるほどだった。
氷のように鋭く冷たい視線、黄金色の頭髪、ガラス細工のような透明感のある肌、そして妖しい色気。
身に纏う黄色の衣装は不思議と違和感を感じさせない。
丁寧に織り込まれたものはさぞかし値段の張るものであろう。
身に纏う黄色の衣装は不思議と違和感を感じさせない。
丁寧に織り込まれたものはさぞかし値段の張るものであろう。
「菜食主義者の彼らは随分と味気ない人生を送ってるように思えないかな? 食べることは生きることだ……。
生きる楽しみの一つである食、それを自ら制限するというのだから、彼らを変り者とは言えないだろうか?」
生きる楽しみの一つである食、それを自ら制限するというのだから、彼らを変り者とは言えないだろうか?」
なにげないしぐさひとつひとつが様になる。男は微笑を浮かべると脇にある木に寄りかかる。
そんな姿でさえ、まるで一種の絵画的な美しさがあった。
そんな姿でさえ、まるで一種の絵画的な美しさがあった。
「だが私はこうも思うんだよ。
つまり彼らにとっては『食べないこと』が当たり前であって『食べないこと』が幸せに繋がるのではないか、と……。
こう考えると納得はできないかね?
そしてこうも思う。『当たり前の食事をとる』、こんな異常事態だからこそ私もそんな幸せを楽しみたいな……と」
つまり彼らにとっては『食べないこと』が当たり前であって『食べないこと』が幸せに繋がるのではないか、と……。
こう考えると納得はできないかね?
そしてこうも思う。『当たり前の食事をとる』、こんな異常事態だからこそ私もそんな幸せを楽しみたいな……と」
一段と強い風が通り抜ける。木を揺らし、草を揺らし、そして二人の心さえ揺るがした。
一瞬で雰囲気が変わったのを善吉は肌で感じ取った。
ノーマルの直感だ。目の前のコイツは……とんでもないものだ。
ゆっくりと、視線を男から切ることなく、粧裕を地面に下ろす。
かばうように前に立ちはだかると、カラカラに乾いた唇を湿らせ口を開いた。
一瞬で雰囲気が変わったのを善吉は肌で感じ取った。
ノーマルの直感だ。目の前のコイツは……とんでもないものだ。
ゆっくりと、視線を男から切ることなく、粧裕を地面に下ろす。
かばうように前に立ちはだかると、カラカラに乾いた唇を湿らせ口を開いた。
「何が言いたいんだ、アンタ。このふざけた実験が始まった直後から俺たちを付け回しやがって、挙句の果てに『菜食主義者』がどうのって……」
「フフフ……それは失礼した。このDIOとしたことが……まさかばれてるとは思わなかったのだがね」
「フフフ……それは失礼した。このDIOとしたことが……まさかばれてるとは思わなかったのだがね」
よく言うぜ、善吉は小さくつぶやく。
きっかけはなんでもなく、またなんでもあるものであった。
きっかけはなんでもなく、またなんでもあるものであった。
この殺し合いに巻き込まれて、善吉が最初に出会ったのが粧裕だった。
見たところ14,15歳程度の少女。恐怖のあまり震えていた彼女を善吉は放っておくことができなかった。
それは彼からしたら当然のことであった。
恐怖に震える少女を保護する。それは彼にとっての『正義』であった。
見たところ14,15歳程度の少女。恐怖のあまり震えていた彼女を善吉は放っておくことができなかった。
それは彼からしたら当然のことであった。
恐怖に震える少女を保護する。それは彼にとっての『正義』であった。
恐怖に脅える粧裕に対して、自分が害を加える意志がないことを善吉は示す。
時間はかかったもののなんとか粧裕を落ち着かせることには成功した。
時間はかかったもののなんとか粧裕を落ち着かせることには成功した。
そして二人で現状の確認、知り合いの有無をチェックしようとしていた時だった。
生物としての本能、粧裕に説明する暇もなく、逃げざるを得ない何かを善吉は感じ取ったのだ。
手をとり、粧裕と一緒に走り出した善吉。わけもわからず、ただ逃げる粧裕。
そして今に至るというわけだ。
生物としての本能、粧裕に説明する暇もなく、逃げざるを得ない何かを善吉は感じ取ったのだ。
手をとり、粧裕と一緒に走り出した善吉。わけもわからず、ただ逃げる粧裕。
そして今に至るというわけだ。
「そうだ……DIO、それが私の名前だ。これもなにかの縁だ……どうだい、君の名前を教えてはもらえないかね?」
「……人吉善吉」
「善吉君……フフフ……正直に言おうか、私は君に魅かれている。なぜだがわからんが、そうだな……君とは『イイ友達』になれそうだよ」
「……俺はそう思えないけどな」
「恐れることはないさ、友達になろう……。それに君もそれを望んでるのだろう? なにせ君は私のために御馳走を用意してくれたのだからな……!」
「お前なにを言って……!?」
「ンン〜〜、やはり君はおもしろい。このDIOがこんなにも饒舌になってしまうとは……我ながら驚いてるよ。
100年……伊達に長くは生きてないが、それでもこんな風に初対面の誰かに、このDIOが僅かでも心を開いてしまうとは……!」
「……人吉善吉」
「善吉君……フフフ……正直に言おうか、私は君に魅かれている。なぜだがわからんが、そうだな……君とは『イイ友達』になれそうだよ」
「……俺はそう思えないけどな」
「恐れることはないさ、友達になろう……。それに君もそれを望んでるのだろう? なにせ君は私のために御馳走を用意してくれたのだからな……!」
「お前なにを言って……!?」
「ンン〜〜、やはり君はおもしろい。このDIOがこんなにも饒舌になってしまうとは……我ながら驚いてるよ。
100年……伊達に長くは生きてないが、それでもこんな風に初対面の誰かに、このDIOが僅かでも心を開いてしまうとは……!」
ジャリ、と音を立てDIOが一歩前に出る。反射的に二人は一歩下がる。
本能の部分で二人はDIOの危険性を感じ取ったのだ。そんな二人を前にDIOはさらに笑みを深める。
本能の部分で二人はDIOの危険性を感じ取ったのだ。そんな二人を前にDIOはさらに笑みを深める。
「善吉君……ひとつ、提案しよう。今すぐ私に『食糧』を提供してくれないかな? そうしてくれたなら私は君に手を出さないことを誓おう。
だが君がそれを拒否するというならば……それはお互いにとって残念な結果になってしまうだろう。
そう、後ろに隠れている彼女にとっても、ね。」
「お前は一体……」
「俗に言う『吸血鬼』というやつだよ、善吉君。私としては『人間を超越したもの』と言って欲しいがね」
善吉は決して馬鹿ではない。DIOの言葉の意味も、そしてその異常性も理解してる。
後ろに隠れている粧裕を横目で見る。恐怖で震え、顔は今にも倒れそうなほど真っ青だ。
再び視線をDIOに戻す。DIOと善吉たちの距離、およそ7メートル。
再び二人の間を風が通り抜けていく。その風にまぎれて善吉が何かをつぶやいた。
だが君がそれを拒否するというならば……それはお互いにとって残念な結果になってしまうだろう。
そう、後ろに隠れている彼女にとっても、ね。」
「お前は一体……」
「俗に言う『吸血鬼』というやつだよ、善吉君。私としては『人間を超越したもの』と言って欲しいがね」
善吉は決して馬鹿ではない。DIOの言葉の意味も、そしてその異常性も理解してる。
後ろに隠れている粧裕を横目で見る。恐怖で震え、顔は今にも倒れそうなほど真っ青だ。
再び視線をDIOに戻す。DIOと善吉たちの距離、およそ7メートル。
再び二人の間を風が通り抜けていく。その風にまぎれて善吉が何かをつぶやいた。
「つまり……粧裕ちゃんを差し出せ、ってことか?」
「話が早くて助かるよ、善吉君」
「話が早くて助かるよ、善吉君」
DIOは嬉しそうに微笑を浮かべた。善吉の表情は読めない。
自分の無力さを噛みしめているのか、狩られる側の恐怖におびえているのか。
手を広げ差し出された生贄を受けてろうとにじり寄るDIO。
自分の無力さを噛みしめているのか、狩られる側の恐怖におびえているのか。
手を広げ差し出された生贄を受けてろうとにじり寄るDIO。
「でも断るッ!」
「ッ?!」
「ッ?!」
だが不用意に近づいたのは間違えであった。それ以上にDIOは人吉善吉という人物を見誤っていた。
返事代わりの足蹴りがものすごいスピードでDIOに迫る。
かわせない、すくなくとも人間では反応できない速度だ。
返事代わりの足蹴りがものすごいスピードでDIOに迫る。
かわせない、すくなくとも人間では反応できない速度だ。
善吉の足に衝撃が走る。決してそれを止めてはならない。このまま押し切らなければ……負ける!
原形をとどめまい、そんな気迫のこもった嵐のようなラッシュ。
右から左へ、左から右へ。善吉の持てる限りの力を振り絞った攻撃だった。
原形をとどめまい、そんな気迫のこもった嵐のようなラッシュ。
右から左へ、左から右へ。善吉の持てる限りの力を振り絞った攻撃だった。
やがて立ち上っていた砂埃がおさまる。肩で息をする善吉は確かに手ごたえを感じていた。
足の裏に走った何かを折るような感触、そして鈍い衝撃音。
男から滲み出る異常性はめだか以上だった。それでもある程度はダメージを与えることができただろう。
足の裏に走った何かを折るような感触、そして鈍い衝撃音。
男から滲み出る異常性はめだか以上だった。それでもある程度はダメージを与えることができただろう。
「なっ……!?」
それが直撃していれば、だが。
「残念だよ……善吉君。君とは仲良くやってけると思ったのだがね……」
目の前には真っ二つに折れた大木。ついさっきまで森の入口にいたはずが内部深くまで移動してる。
一瞬前、時間にして0.001秒前、確かにDIOに一撃を当てたはずだ。
だが現実は違った。蹴ったものただの木、移動したのは自分。
そして振り向いた先、自分がついさっきまでいた地点にはDIOが、そしてそれと……
一瞬前、時間にして0.001秒前、確かにDIOに一撃を当てたはずだ。
だが現実は違った。蹴ったものただの木、移動したのは自分。
そして振り向いた先、自分がついさっきまでいた地点にはDIOが、そしてそれと……
「ンン〜〜……前菜としては充分じゃないか! 200年物のワインのように濃厚な! とはいかないが……年相応のまろやかさがある。
例えるなら、そう、これはモーニングコーヒーに似た一杯だ。君たちからしたら夜だが…私は夜とともに目覚めるのでね……フフフ!」
首筋に爪をつきたてられた粧裕。否、粧裕だったもの。
例えるなら、そう、これはモーニングコーヒーに似た一杯だ。君たちからしたら夜だが…私は夜とともに目覚めるのでね……フフフ!」
首筋に爪をつきたてられた粧裕。否、粧裕だったもの。
「うわあああああああああああああ!」
冷静さを失った一撃はまたも直撃した。DIOではなくまたも木に。
音もなく、またも超能力のように自分の居場所が変わっている。
そしていつの間にか背後に回ったDIOが、優しく肩に手を置く。
音もなく、またも超能力のように自分の居場所が変わっている。
そしていつの間にか背後に回ったDIOが、優しく肩に手を置く。
「可哀想に……震えているじゃないか。脅えなくていいんだよ……君はまるでどぶに捨てられた犬のようだ
そんな君にもう一度だけチャンスをあげよう。私の友達になる気はないかな?
なにも考えなくてよい……ただ私を信頼してくれ。それだけで君は楽になれる。そう、それを人は『幸福』と呼ぶんじゃないか?」
「……!?」
「さぁ、善吉君。力を抜きたまえ……私たちはもう友達だろ? そんな緊張する必要はないさ」
そんな君にもう一度だけチャンスをあげよう。私の友達になる気はないかな?
なにも考えなくてよい……ただ私を信頼してくれ。それだけで君は楽になれる。そう、それを人は『幸福』と呼ぶんじゃないか?」
「……!?」
「さぁ、善吉君。力を抜きたまえ……私たちはもう友達だろ? そんな緊張する必要はないさ」
甘い声でささやくDIO。仕上げまでもう少しかと判断し、もう一押ししようとさらに口を開いた。
だがそこでDIOは違和感を感じ取った。
自分を照らしていたはずの月が陰っている。まるでなにかが光を遮ってるかのように……!
だがそこでDIOは違和感を感じ取った。
自分を照らしていたはずの月が陰っている。まるでなにかが光を遮ってるかのように……!
「ヌウ……!」
見上げた先にいたのは一人の、いや、ひとうの弾丸。
月を切り裂き、みるみる間に影は大きく、そして素早くDIO目掛けて加速して……
月を切り裂き、みるみる間に影は大きく、そして素早くDIO目掛けて加速して……
「ライダァアアーーー! キックーーー!」
善吉が巻き上げた以上の砂埃が立ち込める。善吉は衝撃に吹き飛ばされ、思わず尻もちをついた。
飛んできた飛来物の衝撃は凄まじく、直径2m弱のクレータが出来上がっていた。
そしてその中心に、月の光を反射し立ち上がる怪人が一人……。
飛んできた飛来物の衝撃は凄まじく、直径2m弱のクレータが出来上がっていた。
そしてその中心に、月の光を反射し立ち上がる怪人が一人……。
「大丈夫かい、少年?」
そしてその目をもう一人の怪物へと向けた。
さきほど同様にいつの間にか善吉の脇をすり抜け、月を背に立ちはだかる男、DIOへと。
さきほど同様にいつの間にか善吉の脇をすり抜け、月を背に立ちはだかる男、DIOへと。
「このDIOの朝食を邪魔するとは……貴様、何者だ?」
善吉は見た。DIOの脇に搾りかすのように投げ捨てられた粧裕だったものを。
そしてそれを一瞥した目の前の怪人が悔しさに握りこぶしを震わせていることを。
怪人が視線をDIOへと向ける。その視線が鋭くなったのを善吉は感じる。
そして怪人が胸を張り、背をシャンとのばし大声で叫ぶのを聞いた。
そしてそれを一瞥した目の前の怪人が悔しさに握りこぶしを震わせていることを。
怪人が視線をDIOへと向ける。その視線が鋭くなったのを善吉は感じる。
そして怪人が胸を張り、背をシャンとのばし大声で叫ぶのを聞いた。
「仮面ライダー、力なき人々を助ける……正義のヒーローだッ!」
その声を聞いただけで善吉の中に安堵が広がる。
その男、まさしく正義のヒーローにふさわしい男だった。
その男、まさしく正義のヒーローにふさわしい男だった。
【夜神粧裕@DEATH NOTE 死亡】
【C-6 /森と緑地の境目:深夜】
【本郷猛@仮面ライダーSPRITS】
[属性]:正義(Hor)
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3(本人未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:仮面ライダーとして力なき人々を守る。
1:少年を保護、目の前の男を倒す。
[備考]
※参戦時期は次の書き手さんにお任せします。
【本郷猛@仮面ライダーSPRITS】
[属性]:正義(Hor)
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3(本人未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:仮面ライダーとして力なき人々を守る。
1:少年を保護、目の前の男を倒す。
[備考]
※参戦時期は次の書き手さんにお任せします。
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
[属性]:悪(Set)
[状態]:健康+粧裕の血液
[装備]:
[持物]:基本支給品一式、不明支給品1〜3(本人未確認)
[方針/目的]
基本方針:帝王はこのDIOだッ!
1:とりあえず食事を邪魔した輩を処分する。
2:善吉に妙な親近感
[備考]
※参戦時期は次の書き手さんにお任せします。
[属性]:悪(Set)
[状態]:健康+粧裕の血液
[装備]:
[持物]:基本支給品一式、不明支給品1〜3(本人未確認)
[方針/目的]
基本方針:帝王はこのDIOだッ!
1:とりあえず食事を邪魔した輩を処分する。
2:善吉に妙な親近感
[備考]
※参戦時期は次の書き手さんにお任せします。
【人吉善吉@めだかボックス 】
[属性]:その他(Isi)
[状態]:健康
[装備]:
[持物]:基本支給品一式、不明支給品1〜3(本人未確認)
[方針/目的]
基本方針:???
1:???
[備考]
※参戦時期はフラスコ計画終了後です。
[属性]:その他(Isi)
[状態]:健康
[装備]:
[持物]:基本支給品一式、不明支給品1〜3(本人未確認)
[方針/目的]
基本方針:???
1:???
[備考]
※参戦時期はフラスコ計画終了後です。
善吉は気づかなかった。自分が安堵したのは正義のヒーローが現れたからではない。
そう、善吉が安心したのこれ以上DIOと話さないで済んだからである。
DIOは何人もの部下を持ち、悪の救世主と呼ばれるほどのカリスマを持った男である。
そう、無意識のうちに二人は魅かれあっていた。
何者であろうと友達に『なってしまう』人吉善吉。
彼はDIOのカリスマ性を垣間見ていたのだ……。だがそれがこれから二人にどう影響を与えるのか。
それはわからない。
ただ悪も正義も関係なく、友達となる人吉善吉。
彼ははたしてノーマルと言えるのであろうか?
そう、善吉が安心したのこれ以上DIOと話さないで済んだからである。
DIOは何人もの部下を持ち、悪の救世主と呼ばれるほどのカリスマを持った男である。
そう、無意識のうちに二人は魅かれあっていた。
何者であろうと友達に『なってしまう』人吉善吉。
彼はDIOのカリスマ性を垣間見ていたのだ……。だがそれがこれから二人にどう影響を与えるのか。
それはわからない。
ただ悪も正義も関係なく、友達となる人吉善吉。
彼ははたしてノーマルと言えるのであろうか?
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実験開始 | 本郷猛 | 〜悪意は極力隠すこと、それが……〜大宇宙の真理 |
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