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天馬と虎◆PesJMLsHAA





森の中、立ち尽くす青年がいた。天馬星座の聖闘士、テンマ。アテナを守護する聖闘士。
彼は、殺し合いを強制されただとか、連れてこられただとか、そういった諸々とは別の問題で混乱していた。
混乱しているのは、ここに来る直前の記憶が母親との戦いだったからだ。
死んだと思っていた母。自分を守ってくれていた母。だが、彼女が守っていたのは神殺しの魂だった。
それを手に入れる為に、自分を殺そうとした。この魂は渡せないからと、戦いもした。
オウルのパルティータ。それが、彼の母の真実だったのだ。

「生きてる……よな」

直前の記憶すら曖昧で、母との戦いがどうなったのかは分からない。
生きているということは、魂を奪われたわけではないということだ。
勝ったのか、戦いの最中に何者かに止められたのか。
そこまで考えてから、気付いた。本来、最初に気付いてしかるべきことなのに。

「天馬星座の聖衣がない!?」

聖衣を失うなど、聖闘士としてあるまじき失態だ。自らの魂にも等しい聖衣。それを奪われたのか?

「絶対に取り戻さねェと…!」

そして、もうひとつ。この場にいないアテナ――サーシャという少女。テンマの幼馴染であり、今代のアテナ。
聖戦の真っ最中に引き離され、あのあと彼女がどうなかったのか分からなくなっている。
急いで戻らなければならない。聖闘士としても、テンマという人間としてもだ。
聖衣を取り戻し、彼女の元に戻る。そう誓う。誓うのだが、

「って、どうやりゃいいんだよ!?」

現実として、どう取り戻すかという問題がある。探せば見つかるものだろうか。
そもそも奪われたというのは正しいのか。母との戦いで砕かれたような、その直後に蘇ったような。
それすら曖昧で、どうすればいいというのだろう。そしてあの時、殺し合えと命じた声が見せた、殺し合いの参加者の顔。
テンマの父、メフィストフェレスの杳馬は存在した。だが、母――パルティータはいなかった。
本当にいないのかどうかは分からない。しかし自分は生きていて、母はここにはいないというのであれば、

「殺した……のか?」

自分が、母を。母さんを殺したというのだろうか。
魂を奪い、自分を殺そうとしたとはいえ、子供だった頃に守ってくれていた母を?
真実なら、受け止めなければならないと思う。だが、その真実はどこにあるのか。
ちょうどその時だった。

「そこの君ー! ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかなー?」

その明るい声で、現実に引き戻されたのは。


声の主は、藤村大河という女性だった。

「タイガ?」

「……なんだか発音が気に入らないけど、そうよ。君は…えっと」

名乗られたからには名乗り返さなければならない。
それに目の前の女性は、信用していいように思えた。なんというか、温かい空気がある。

「テンマだよ、タイガさん」

「テンマくん、ね。話したいこととかもあるし、ちょっと一緒に来てくれないかな?
 こんなところにずっといるのもなんだし、外に出ようと思うんだけど」

森を出たいのだが、一人では不安なので、そこまでは一緒に行ってもらいたい、ということらしい。
テンマとしては断る理由もないし、これからのことを考える意味でも、一緒に行くことにした。
そうして、森の中を歩いているのだが、

「ねえ、私より前に、誰かと会った?」

唐突に質問された。そういうのは、最初に言ってもらいたいものだと思いつつ、返答する

「誰とも会ってないけど。誰か探してるのか?」

誰かと会ったかという質問からして、その誰かが目当てなのだろうと思った。
タイガという女性は、知り合いを探している、ということか。

「うん、衛宮士郎って子なんだけどね。士郎は私にとって――――弟みたいなものなのよ」

「弟みたいなもの?」

「そうなの。士郎ったら、無茶してそうで心配なのよね」

血のつながりはないが、家族のような間柄。姉のような女性。
その言葉から連想したのは、女の顔だった。敵対していたはずのパンドラ。彼女を庇ってしまった理由。
共感したから、見ていられなかったから。そして、物心つく前の話ではあるが、

「姉……みたいなものに、なってたのかもしれないな」

それだけが理由でないにしろ、方針は決まった。タイガと同じく、知っている相手を探す。
そして知りたい。あの戦いの結末がどうなったのか。魂を奪われていないということは、母親を殺したということなのか。
会えばすぐに襲いかかってくる気もするが。それでも杳馬に聞くよりはマシだろう。

「テンマくん、足元危ないよ」

「え? ああ、そっか。悪い」

ぼーっとしていたのだろう。タイガに声をかけられて、気付いた。この森の中は、足場が悪い。
気をつければ問題はないが、考え事をしながらでは危険だろう。
今はともかく、タイガを守ろう。彼女は善良で、争いとは無縁の人間だ。
そういう人が、殺し合いに巻き込まれる。それは嫌だし、許せないと思った。
聖衣がなくなったといっても、戦えなくなったわけではない。自らの肉体だけでも十分に戦える。
それだけの鍛錬は積んでいるし、力がなかったとしても同じことだ。
見捨てられない。見捨てたくない。助けたいと思っている。ただ、守りたいと。そう思える人だった。


藤村大河という女性。
テンマから見て、彼女は一般人だ。それは間違いないし、彼女が一般人であるというのは事実だろう。
だが、彼女から見てのテンマはどうなのだろうか。

(……うん、優しい子だ)

森を出るまでの同行を受け入れくれたこと。ときたまこちらを気にする態度。心配してくれているのだろう。
無茶をしそうな男の子は見慣れていて、テンマにもその気があるように思えた。それを見抜くことは、さして難しくはないのだ。
そもそも、無茶をしなければここまで鍛えられてはいないだろう、と大河は思った。
身体を見れば、鍛えているのは分かる。藤村大河とて剣道五段。常識外ではないが、ありえない域の達人である。
これをテンマが見抜けなかったのは、聖闘士ゆえである。藤村大河ほどの達人でさえ、彼から見れば単なる一般人には違いない。
感覚が麻痺している、ということだ。ある程度注意すれば見抜けただろうが、そこまでの余裕は今のテンマにはない。
だが、そんなものは誤差だ。彼女が日常の中に生きているのは事実だし、争いと無縁であるのもまた事実。
ゆえに、これは問題にはならない。ならないはずなのだ。


【D-9/森の中:深夜】

【天馬星座のテンマ@聖闘士星矢 冥王神話】
 [属性]:正義
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品、未確認支給品1~3
 [思考・状況]
 基本行動方針:聖衣を取り戻し、この場から脱出する
 1:タイガを守る
 2:パンドラを探す

【藤村大河@Fate/stay night】
 [属性]:一般人(Isi)
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:基本支給品、未確認支給品1~3
 [思考・状況]
 基本行動方針:みんなと一緒に生きて帰る
 1:士郎を探す
 2:テンマが心配



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実験開始 テンマ Angel Heart
実験開始 藤村大河








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