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**いつか降るKILLER QUEEN◆2XEqsKa.CM
五代雄介は殺し合いに向かない男である。
未確認生命体第四号『クウガ』として数多の戦いを経験しても、その事実は変わらなかった。
彼にとって争いとは忌むべき物、誰かの笑顔を曇らせる憎しみや悲しみは許容できない物だったのだ。
世界中を旅しても何処にも依らない彼だからこそ、みんなの笑顔を宝と信じたのだろうか。
ともかく五代は、暴力による物事の解決を嫌う男なのだ。
それ故に、他者を殺害する事が前提のこの実験に、五代は正当な怒りを覚えている。
だが胸を焦がすその正しき怒りでさえも、彼からすれば周りを焼く呪いの劫火でしかない。
クウガの力は笑顔を奪う悲しみを止める事が出来ても、新しい笑顔を生める代物ではない。
誰かの笑顔を奪う者と戦う時でさえ、五代は敵以上に傷つく男だった。
本来ならば正義という名の暴力行使権を背負うべきではない、優しい男だった。
他者を滅ぼす為の姿になる事を、誰よりも嫌う男だった。
そして、自分が笑顔になれない事を、誰よりも辛いと感じる男だった。
「だけど……俺は戦うんだ、俺は、クウガだから」
手帳を握り締めながら、五代はよく耕された畑の畦道を踏み締める。
力を望んだわけではない。
誰かの悲しむ顔を見たくなかっただけだ。
だが―――それでも、力は確かにこの手にある。
それを振るうのを躊躇えばどうなるのかを、五代は確かに知っていた。
旧き戦士の力を腹部にしっかりと感じながら、五代はゆっくりと歩を進める。
「Hor、Set、Isi……俺がどれに当てはまるかは分からないけど、一番危ないのはHorの人たちだよね」
ゲームと称して殺人を行う未確認生命体と戦ってきた五代が、静かに頭を働かせる。
この実験も、彼らが行うゲームと同じく、法則と制約を持つ事は明らかだ。
HorとSetは互いに滅ぼし合い、Isiは彼らに巻き込まれないように立ち回る。
だがHorは、Setを全滅させる必要がない。Isiを一人でも生き残らせればそれで勝利……生き残る事が出来る。
この実験は明らかに、Setに不公平なルールで行われていた。不公平さは怒りを、怒りは憎しみを生む。
「だから……Setの人たちは、必死でHorの人たちを殺そうとする、はず」
Isiに対して何の制約もないSetは、自分たち以外のグループを皆殺しにしても何の問題もない。
殺害する参加者についてHorを優先したいのは当然だろうが、参加者の陣営を見分ける方法がないので、
同陣営のSetだろうと無関係のIsiだろうと、残り二人になるまで無差別に殺そうとする者が現れてもおかしくはない。
自分がどの陣営であろうと、最終的に自分とIsiと見た一人だけが生き残っていれば、勝利は確定するのだから。
自分がHorかSetであり、自分以外に生き残らせた一名がIsiではなく対立陣営の者であった場合を除けば、だが。
その場合でも、自分がSetだと仮定すれば、最後の他人を殺す事で、確実に生き残る事が出来る。
参加者に自分の陣営が開示されていない以上、「もし自分がSetだったら」と考え、
短絡的に動く人間がいても不思議ではない。なにせ、命がかかっているのだ。
まともな人間なら、冷静な思考などできるはずもない。
「……それだけは、止めないと」
この実験を止める手立ては情報が不足しすぎていてまだ浮かんでこないが、
ルール上全員が生き残るのは不可能だとしても、勘違いによる殺し合いだけは防がなくてはならない。
理由のない暴力の連鎖は、一度起これば止めるのは至難の業なのだ。
それを止めるためにまずやるべきことは、参加者の陣営を開示する方法を探す事。
陣営がはっきり定まれば、少なくとも錯乱して暴走する参加者を減らす事は出来るはずだ。
その上で、全員でこの実験を止める術を探す、これが彼の決めた道。
五代はたとえ綺麗事だと言われても、それを貫く覚悟を決めていた。
「……!?」
足が止まる。
五代の耳に、誰かが走る音と、叫び声が聞こえていた。
田を掻き分け、人影が近づいてくる……五代は僅かに身構え、声をかけた。
「あの……」
「……ち、近寄るんじゃあないッ!! 来るな、来るな……」
現れた男は、狼狽していた。
誰かに追われていたのだろうか、髪を乱し、荒い息をついて恐怖の眼差しを五代に送っている。
五代は、胸の奥に鈍い痛みを感じていた。
自分のようにサバイバル経験がない人間は、この場所に放り込まれただけでこうなるのだ。
冷静でありすぎても怯えさせてしまうか、と考え、五代もまた震える声を演じて語りかける。
「どうか……したんですか?」
「うるさい! どけぇ!」
五代を突き飛ばそうと手を伸ばしかけた男が、畔に足を取られて転ぶ。
抱き起こそうとする五代だったが、男はあくまで彼を拒んでいる。
どうしたものか、と戸惑う五代の耳に、新たな声が聞こえてきた。
五代が声の方向に目を向けると、個性的でありながら突出した印象が薄い服装の男が歩いてきていた。
サラリーマン風の先の男とはまったく違う、平淡な態度で、汗もかかずにこちらを見つめている。
新たな登場人物は、五代が彼に気付いたのに少し遅れて相手に気付いたような素振りを見せ、
爽やかな笑顔を浮かべた。不思議と、五代は笑顔を返す気にはなれなかった。
作り笑いにしても、その笑顔には五代の知る暖かい感情が一切無いように見えたからだろうか。
「そんなに必死で逃げないでくれよ……あれ? そちら、知り合いかい?」
「……く、あああっ……」
「参ったな、誤解だって言ってるのに。君からも説得してくれよ」
しゃがみ込む男の様子を見るに、彼が追手らしい。
第一印象はあまり良くなかったが、フランクに話しかけてくる男に、五代はすぐに警戒を解いた。
サラリーマンを抱き起こし、話を聞こうと追手に近寄る。
サラリーマンは観念したようで、数歩ほどで自分の足で歩き、追手に向き直った。
五代は誤解が解けるかもしれない、と胸を撫で下ろし、臨也は爽やかに笑って、自己紹介を始める。
「俺は折原臨也。そっちの人には何度も言ったけど、人殺しなんてする気はないよ」
「あ、俺はこういうものです、折原さん、おじさんもどうぞ」
自己紹介をした臨也に、五代が名刺を手渡す。
『夢を追う男 2000の技を持つ男 五代雄介』と書かれたそれを見て、臨也は目を丸くした。
同じく名刺を渡されたサラリーマンは、どうやら返すべき名刺を持っていないようで、
「私は吉良吉影だ」と短く名乗り、やはり名刺を見て目を丸くしている。
「すごいね、2000も技を持っているなんて。夢を追う男、ってのもいい響きだ。よろしく、五代さん」
「こちらこそ。折原さんは、こんな状況なのに凄く落ち着かれてるんですね」
「それは君も同じでしょ? ……まあ、落ち着いている、というより動揺を抑えるのに必死なだけだよ、俺は」
黙りこくる吉良を尻目に(五代は気にかけ、何度か話しかけたが、反応は薄かった)、
臨也と五代は談笑し、表面上は意気投合しているように見えた。
だが、五代は誰とでも仲良くなれる人間だし、臨也は相手が誰であろうと騙し合いの付き合いを望む人間だ。
二人の会話をじっと聞いている吉良も含めて、その場は異様な雰囲気に包まれていた。
それに、全員が気付いていながら、それぞれの意思で流され続けている。
相手はどのグループで、どんな考えで行動していて、自分をどの陣営だと考えているのか。
疑念と策謀が渦巻くその空気はまさしく、この実験の縮図であると言えた。
やがて、臨也が五代との会話を打ち切り、今後君たちはどうするのか、という核心的な話題を振る。
吉良と五代は居直って、その問いに答える体勢を作る。
臨也は笑みを絶やさずに、僅かに視線をずらして、吉良に眼光を飛ばす。
吉良はそれを受け取って、僅かに口元を歪めた。
この二人の初対面(ファーストコンタクト)は数十分前で、その内容も、五代の想像とは大幅に違っていた。
その内容については、今この場で語る必要は無い。そのうち、彼ら自身が勝手に回想するだろう。
◇
白い壁、清潔な空気、換気の良く通った建築造形。
そんな現代的な、ごく普通の病院の三階ロビーで、吉良吉影は首を眺めていた。
首を眺めていた。首と言うのは鏡に映る、首輪を填められた自分の首ではなく、培養ポッドに入れられた女のそれだ。
首から上、と言う方が正確であろうその物体は、ロビーの床の上にポンと置かれている。
美しい顔だった。一般的な男性なら10人に9人が心を奪われる程度の美貌。
凡百の男としては相当な努力をしなければモノに出来ないだろう、垢抜けた女の顔だった。
そんな女の顔を見ていても、吉良吉影の胸には湧き上がる気持ちが何らない。
もしや彼は、同姓愛者なのだろうか。彼自身にも、その疑問にハッキリと答えは出せなかった。
吉良吉影は、自分の記憶の大半を失っていた。
覚えているのは、名前と、自分が死んだはずだという事と、あとは断片的な生活の記憶くらい。
いつ、どうやって、何故死んだのかはどうしても思い出せないが、
どういうわけか自分が天国にはいけない人間だという実感は強く感じていた。余程心を脅かされて死んだのだろう。
ならばここは地獄なのか。否、吉良吉影は一切の苦痛を感じていない。
苦痛なき地獄などいったい存在するのだろうか、と吉良吉影は首を傾げる。
目の前に置かれた首はもう傾げる機能を失っているようだし、彼の疑問に答えを出す者はいなかった。
吉良吉影は、ここに来る直前の出来事を思い出して、バッグから手帳を取り出した。
パンパンに詰め込まれていたので不審に思い、バッグを開けて最初に出てきた者が女の首だったのには
とても驚いたが、女の首と一緒に入っていたから他の物が使い物にならないと言う事は無いだろう。
培養槽のおかげか、首から死臭はしないし(彼はそこで自身が死臭を嗅ぎ慣れている事に気付き、背筋が寒くなった)
死んだはずの肉体や精神はすこぶる良好だ。ならば、やはり先ほど聞いた実験の話は本当なのか。
自分はどうにかして生を再開し、この実験に参加させられたというのか。
手帳の中にはマニュアルと称して様々なルールが書き込まれている。
それらを見ても、やはりいまいち実感が沸かない。死人に生きるために戦えと言われても、困るのだ。
死ぬ以前の僅かな記憶を辿って見れば、吉良吉影の「価値観の中心」は数字だった。
稼ぐ金額は他人より多い数字、成績の順位は他人よりも少ない数字。
新幹線は一分でも速くだし、年齢は一歳でも若くだ。髪の毛は一本でも多く、体脂肪率は20%以下。
だが、それらの数字にこだわるような事は、この場所ではまったく無意味だろう。
では、一体死人となった自分は何に価値を見い出せば心が落ち着くのだろうか? 吉良吉影に、答えは出せない。
だがどうした事か、吉良吉影は「必ず生き残らなければ」という気持ちになり始めていた。
それも表立って暴れるような事はせず、出来る限り平穏に、心を落ち着かせて。
死後は決して得られないと知った幸福を得るために、生き残りたいと、感じていた。
杯の中身が零れても、杯の形は変わらない。生き残るためならなんでもしようと、吉良吉影が何かに誓う。
吉良吉影という人間は、死んでも正常に治らなかった。
「……しかし、この首は一体なんなのだ? 何かが足りないような気がする……」
なんなのだ、と問いかけてから、吉良吉影は自分の疑問の滑稽さに気付く。
何かが足りないも何も、足りない部分の方が多いではないか。
だが……彼はその足りないどこかに、吉良吉影という人間が魅力を感じる箇所があるような気がしていた。
よくよく心を整理して見れば、女性への欲求はある。だが、それがなかなか表に出てこないのだ。
なにか、自分の本性が露わになる人間のパーツがあるのかも知れない。
確かに平穏を求めるのも大事だが、吉良吉影というのは欲求を抑える事が出来ないタイプの人間だった。
その欲求の発揮がどういう行動なのかについては記憶に不明瞭な部分もあったが、それでも求めずにはいられない。
「それに足りない部分以前に、美しいからと理屈をつけて女性を保管しているような体なのが気に入らないな……。
愛というのは終わるからこそ美しいのではないだろうか? 次々と新しい恋をしてこその人間ではないのか?」
愛とは、不安定であるべき物だ。変わらない、曲がらない、異常なほどの量の愛を、吉良吉影は何故か嫌悪している。
ブツブツと呟きながら、吉良吉影は参加者名簿を取り出して眺める。
『L(アルファベット?)』『金田一一(かねだーー?)』
『バットマン(どこかで聞いた事があるような……)』『イカ娘(ふざけているのか?)』
どうやら参加者は吉良吉影と同じ、日本人だけではないようだ。
言葉が通じるかどうかも分からない者とはなるべく関わりたくないな、と吉良吉影は名簿を閉じようとする。
だがその直前に、二つの名前が目に入った。
『東方仗助』『空条承太郎』
その名前を見たとたんに、脳の最奥に疼痛が走る。
「―――――?」
この二人は、自分と何か関係があるのかも知れない。
それも、なんとなくあまり良くない関係である気がして、吉良吉影は静かに名簿を閉じた。
彼らとは、出会わないに越した事はないだろう。
「……」
しばらくここでじっとしていよう、と吉良吉影は決断する。
どうせ自分の陣営もわからないのだ、行動するには早すぎる。
実験の主催者たちとしても、積極的に殺し合いをさせるためにそのうち情報を開示するだろう。
そのまま女性の首を見ながらぼうっとしていた吉良吉影は、背後から接近してくる足音に気付いた。
現れた男は眉目秀麗で優しげな雰囲気を発していたが、吉良にとっては危険人物だとすぐに分かるような人間だった。
感じたのだ。男は―――きっと、人間を愛している。吉良が嫌悪する曲がらぬ愛情を、人間全てに放っている、と。
「……変わった趣味だね。女の首を見ていて楽しいのかな?」
「別に、楽しみでやっているわけじゃあない。お前は?」
「折原臨也。ねえ、あんたさ。ひょっとして、死んでたりする?」
「……そう見えるのか?」
腐った死体が死んだような目なんだよねぇ、と冗談のように言う臨也を一瞥して、吉良吉影は立ち上がる。
この男が自分に危害を加えるのならば、すぐさま逃げなくてはならない、と。
吉良吉影は武器を持っていないし、特別身体を鍛えているわけでもない。
相手の出方を見るために、吉良吉影は今度は自分から話しかける。
「……記憶が無くてな。そういう人間は、今までの人生を亡くしているような物だろう?
お前の死んでいる、という表現も間違ってはいない……と、わたしは思うが」
「へえ、そりゃ災難だね。でも、こっちからすれば好都合だ。おじさん、俺と手を組む気ある?」
「初対面の人間とこの場で、か? わたしがそんな誘いに乗るとでも?」
「乗るでしょ? 別に仲良しになろうって言ってるわけじゃない。ただ、数を集めたいだけだよ。
ちょっと頭が回る奴ならこの実験のルールを見て、集団を利用するのがセオリーだって気付くはずだ」
「……話を聞こう。どうやら、君はわたしにとってメリットがある相手のようだからな」
吉良吉影は臨也に自分の前に着座するように促し、話を聞く体勢に入った。
彼もまた、臨也の放つ異様な/矛盾した/壊れた、人間への愛情に魅入られ始めていた。
◇
「最初に聞くけど、この実験に生き残るのにするべき行動って何だと思う、吉良さん?」
「HorとSetをなるべく大規模に殺し合わせ、彼らの数を減らす事だ。
自分がどの陣営にいようと、それはまず生き残るための必須条件だろう」
「その理由……Setは言うまでもないし、Horとしても自分の楽な方の勝利条件を阻害し得るSetは邪魔。
HorだろうがIsiだろうがSetだろうが、自分以外皆殺しにすればいいと考えるSetかIsiが大活躍しちゃったら、
Isi保護による勝利は流れちゃうからねぇ。まあ実験って名目だし、そんな短絡的な奴はそう多くないと思うけど。
おまけにSetを首尾よく全滅させられれば、誰が"そう"かも分からないIsiの保護に気を揉まれる事も無い。
俺達がIsiだとしても、後半激化するであろう他の参加者の争いに巻き込まれる危険を減らすに越した事はないしさ」
臨也と吉良は、淡々とこの実験から生還するための方策を語り合う。
その様子からは、命に対する思いやりのような物は一切感じられない。
臨也は人間を愛しているが、大事にしている訳ではない。熱しやすく冷めやすい、乙女のような人間だ。
吉良は今はその自覚がないとはいえ、人間を殺す事が抑えられぬ生理現象となり、それを趣味と呼ぶ純粋な怪物だ。
そんな氷のような二人の会話だったが、生き残る事への熱意は激しく盛っていた。
臨也は吉良の死人のような目に関心を持ち、吉良は臨也の不安定さに興味を抱いている。
今のところ、二人の間に殺意が混じる要素は無かった。
「だが、折原……我々がIsiだった場合。あまり殺し合いを促進させる為に動いていれば、
それだけ危険に巻き込まれる可能性も高まるんじゃあないか? それに、行為が公になれば
他の参加者からいらぬ警戒と敵意を向けられるかもしれない。」
「うん。それを避ける為に、俺は集団を作ろうとしてるんだ。作るべき集団は三つ。
当然、Hor、Set、Isi組だね。別に中身の人間が主催側の決めた組み分け通りじゃなくてもいいんだけどさ」
「……? どういうことだ?」
「だからさ……複数の陣営を作ってその中心に潜り、自分達の安全を確保して殺し合いをさせるんだよ」
「……どうやって、三つの集団を作る? 参加者は60人……そいつら全員を管理できる自信があるのか?」
「そんなもの、なくてもいいのさ。俺達はあくまで中心にいればいい。管理するのは、祭り上げる三集団のリーダーだ」
「参加者には自分の陣営が明かされていない。それでも、大規模な集団を作れるというのか?」
臨也は、それはとても簡単な事だよ、とペンを取り出して、自分の手帳のマニュアルに指摘線を書き込み始める。
Horグループは、Setを全滅させる以外に、Isiを保護する事でも生存の道が示されている。
Setグループには、Horを全滅させる以外に生き残る術は無い。
Isiグループはどの陣営とも関わる必要なく、最期まで生存するだけで生還できる。
これをただ見れば、Setが不利だという事しか感じられないだろう。
「でもさ、Setグループが、他人を殺す事に何の躊躇も無い奴ばかりだったら、話は別じゃないかな?」
「成る程……参加者の陣営は運動会の組み分けのような意味を持つだけでなく、
参加者それぞれの資質によっても設定されているのではないか、とお前は考えているわけか」
「結構説得力ないかな? 実験の趣旨が殺し合いをさせる事、って言葉が本当なら、これくらいの恣意は入れるだろう」
「とすると、Horは敵を殺すより他人を保護する事を選ぶ可能性があるような人間、Isiはどちらにも当てはまらない、
我々のような積極的に殺しもやらないがそれほど道徳心が強くもない人間、か?」
「俺だったら、そういう善人や悪人の中でもとびっきりの奴を敢えて逆の陣営に入れたり
するくらいのお遊びは入れるけどね。ま、この推測を聞かせれば、Horに当てはまる人間は
二つ返事で集団に入ってくれるだろう。その中から優秀で攻撃的な人間をリーダーに祭り上げれば、
結成した当初はIsiを保護する方針でやっていくとしても……」
「Horが組み始めれば、同様の推測で自分達がSetだと考えた参加者達も徒党を組む。
擬似Hor組と擬似Set組が出来れば、互いの集団に明確な方針が生まれて、戦闘も増えるだろう。
お互いの集団が気付いた頃には、参加者の総数は激減している……そこまで上手くいかないにしても、
ただ散発的に行動するよりは、生き残れる可能性は上がりそうじゃあないか。それで……我々はまず、どう動く?」
「俺はほら、こんな性格だからさ。Horの人達にはあんまり信用されないと思うんだよね。
だから、まず吉良さんに、Horの集団をそれとなく作り上げてもらいたいんだ。
本当に記憶喪失だって言うなら、自分の感情より社会的な知識で行動するのは簡単だろう?
よっぽどの下手を踏まなきゃ、彼らに信用されるのは不可能じゃないはずだよ」
「それはいいが……折原、お前はどうするんだ? 私と別行動を取るなら、もしもの時は見捨てさせてもらうぞ」
「俺はね、最初の六時間はこの実験はあまり動かないと思うんだ。自分の陣営も分からないんだし、
様子見の姿勢を取る奴が多いだろう。そのぬるま湯のような時間に、色々仕込みを入れようと思う。
吉良さん、虫を湧かせた経験とかない? 疑惑も一緒さ、残飯みたいな粗末な情報を蒔いてりゃ勝手に生まれる」
確かに、吉良も最初は様子見をしようと考えていた。
臨也の読みを正しい物だと評価しながら、吉良は冗句を入れて返答する。
「記憶喪失だと言っているだろう。虫育てなんて小学校の自由研究でやったかどうかもワカらないよ」
「そうかい。まあとにかく、俺は単独行動して、Isi組と見た奴に色々やって簡単に他人と組まないようにしておく。
Isiが全員簡単に擬似Hor組についちゃったら、いざって時のパワーバランス的にもよくないしね」
「理想はお前がその後擬似Set組に潜り込み、わたしが潜った擬似Hor組との激突前に二人で抜け出すことだな……。
しかし、それでも我々の正確な陣営は分からない。無いとは思うが、我々がHorとSetだった場合だけは
全て上手くいったとしても最期の最後で共倒れになってしまうぞ。なにか自陣営を見極める手は思いつくのか?」
「上手くSetとして動いてる参加者に接触できれば、聞き出せるかも知れない。三人殺した時のボーナスってあるだろ?
あれで自分の陣営を教えてもらえるくらいの事は出来るんじゃないか、って想像してるくらいかな、現状は」
「なるほど……生贄を溜める為の策でもあるわけだ、集団作りは」
吉良は、臨也の方針にとりあえず乗ってもよさそうだと判断したらしく、
満足そうに頷く。臨也としては、Isiの扱いについてもう少し突っ込んでくる事を期待していたようだが、
とりあえず理解してもらえたか、とため息をつく。
と、吉良が手を差し伸べてきた。何のつもりか、と訝る臨也に吉良は微笑みを見せた。
「手を組むんだ。文字通り、握手くらいはいいだろう?」
「……アハハ」
なんとも、普通の感性だ。
臨也は少し、疑問に思った。何故、自分はこの男をパートナーとして選んだのか。
確かに吉良の目に関心を抱いたのは事実だが、そんな些細な事で生き残るために重要な、
最初の共犯者を選んでよかったのだろうか? いや……吉良が自分にとって不足な男ならば、臨也は
彼を選ばなかったはずなのだ。優れた情報屋としての勘は、吉良の中に何を見たのか?
手を吉良に預けながら、そんな事を考えていた臨也。だが次の瞬間、その思考が凍りつく。
「……!?」
「滑らかで、凸凹のない美しい手だ。だが……勃起はしない。何故だろう? やはり、男では駄目なのかな……?」
ぞくり、と臨也の背筋に冷たい刃物が差し込まれる感触。
吉良が、万力のような力で臨也の手を握り、自らの頬に這わせていた。
組んだ両者の手に、うっすらと別の……髑髏の意匠を誂えた手袋をはめた手が見えたのは、気のせいだったか。
臨也が目を疑い、それを再確認する間に、手は離されていた。
感じた寒気が嫌悪感ではなく、恐怖であった事に気付かなかったのは、臨也にとって幸か不幸か。
吉良自身も、何か妙な物を見たような目で、自分の手をジッと見つめている。
「俺にはそういう趣味はないよ」
「ああ……失礼。ああすれば、気持ちよくなれるような気がしたんだ。
不快に感じたならすまなかったな。二度としないよ」
「そうしてくれ。……とりあえずこの病院を出ようか。首は置いていきなよ。
そんな物を持ち歩いてたら、あらぬ疑いをかけられかねないからさ」
表向きは嫌悪の仕草を見せながら、臨也は先ほどまでより強く吉良に興味を抱いていた。
記憶喪失というのは本当かもしれないが、彼自身も知らない秘密が、彼にはあるのかも知れない、と。
吉良がどのような人間なのかを知ることで、自身の好奇心を満足させたい―――。
だが、今はまだその時ではない。吉良と並んで廊下を歩く臨也の目に、人影が映る。
病院の窓から見えるその人影は、市街地から離れた畦道を歩いている。
獲物を探している動きや速度ではないが、何かを恐れている様子もない。
Hor側の人間である可能性が高いと踏み、臨也は接触を決心した。
「吉良さん、早速一芝居、お願いしてもいいかな」
「ああ……生き残りにいくとしようか」
◇
「そうか、Horの人達で集団を作れば、Setの人達への抑止にもなるし、
Isiの人達を保護する行動もやりやすくなるんですね」
「うん、その通りだよ五代さん。できれば貴方にも、俺の考えに協力して貰えたらと……」
「……わたしは反対だな。その折原という男は信用できない」
「嫌われたなぁ。俺はただ、無駄に人死にが出るのを見てられないだけなんだけど。無駄、嫌いなんだよね」
茶番劇が続く。
臨也が語った人格によって陣営が決められている、という推測を聞いた五代は、
なるほど二つ返事でHorの集団を作る事に賛成した。
臨也と吉良の反りが合わない状況を演出し、吉良だけを五代と同行させる流れを作る。
目的どおりに事が運んで内心でほくそ笑む臨也に、五代は一切裏の無い笑顔を見せた。
五代も、臨也が何かを隠しているのには気付いているのかもしれない。
だが、それを承知の上でも臨也を許容できるのが、五代の強さだった。
(五代雄介……頭も意外と切れそうだし、少し優しすぎるのが難点だけど、いきなり大当たりを引いたね、これは。
身体の方もどういうわけかシズちゃん並みに筋力が発達してるみたいだし……。正直、別れるのは残念だ)
優れたHor側の人間であり、軍団の中核としてこれ以上ない、と思える人材を発掘できた事に喜ぶ臨也だったが、
そんな事はおくびにも出さずに、「信用して貰えないなら仕方がない、別行動を取る」と宣言する。
当然五代は反対し、なんとか臨也と吉良の偽りの確執を取り持とうとするが、不発に終わった。
あれよあれよという間に五代たちはコロッセオの方角へ、臨也は市街地に戻って探索を続ける、と決定してしまう。
「まあ……俺の方でも、信用できる人間を集めておくよ。俺一人は信用できなくても、
それなら吉良さんも納得してくれるだろうさ。バラバラに探した方が効率はいいしね」
「でも、折原さんにもしもの事があったら俺は……せめて、合流する場所と時間を決めておきませんか?
それまで……3時間もあれば、吉良さんの誤解を解けると思います」
「そんな事をしたら、俺達のどっちかが他の参加者に襲われた時に情報を吐かされて待ち伏せされかねない。
それに自分の身くらい自分で守れるさ。俺だって結構修羅場は潜ってきてるしね。
まあ、目の前で襲われてたら助けてくれ。あ、そうだ……吉良さんにも聞きたいんだけど、こういうの持ってない?」
別れ際。臨也が妙な事を言い出した。
自分と出会ったときには聞かれなかった事だと、吉良が眉を潜める。
臨也が取り出したのは、単4の電池だった。
暗くて五代たちには見えなかったが、『Isi』という文字が刻まれている。
「いや……俺の荷物の中にはなかったなぁ」
「わたしも、知らないな」
吉良としては、打ち合わせにない事態だったので少々焦ったが、
確執を演じている以上、あまり深く踏み込んで問い詰める事は出来ない。
企んだな狸奴、と内心で苦笑する吉良に対し、臨也はいまだ爽やかな笑顔のままだ。
もしこれと似た電池を見つけたら、回収しておいてくれ、と頼む臨也に、快く頷く五代。
「じゃあ、俺は行くけど……誰か探して欲しい人とかいるかな?」
「俺は、別に。幸い、名簿に知り合いは載っていませんでしたから」
「……『東方仗助』と『空条承太郎』。この二人を探して欲しい。
あの二人なら、我々と同じ道を選ぶだろうからな」
突然、初対面の時にはおくびにも出さなかった知り合いの名前を出されて、
臨也は意趣返しか、と内心で舌打ちする。やはり吉良は、簡単に利用できるような底の浅い人間ではなさそうだ。
吉良としては、承太郎達がどんな人間だったのか、本当にHor寄りなのかという確信はない。
だが、自分にとって危険な人物だという記憶は残っていたので、
それなら臨也にとっても鬼門側の男達だろう、と見て半ば嫌がらせのように放った言葉だった。
「オーケーオーケー……吉良さんに信用される為だからね。探しておくよ。
俺の方からも、探して欲しい子供がいるんだ。竜ヶ峰帝人くんっていう子。
きっと五代さんとは気が合うと思うから、見つけたら保護してあげて欲しい」
「うん、分かったよ。……気をつけてね、折原さん」
「……せいぜい次の放送で名前を呼ばれないようにするといい」
話が済んだら長居は無用、とばかりに去っていく臨也に心配そうな視線を向けつつも、
五代は所在なさげに佇む吉良に満面の笑顔を見せ、行きましょう、と促した。
吉良はしばらく五代の手を見ていたが、やがて先導してコロッセオに歩き始める。
慌ててそれを追う五代は、心中で新たな決意を燃やし始めていた。
(俺だけじゃない、この実験で人が死なない事を願ってるのは、俺だけじゃなかった!
吉良さんも折原さんも、俺が絶対この手で守る。だって――――――)
「俺、クウガだもん!」
「? 」
突然知らない単語を出されて神妙な顔を見せる吉良を見て、
五代は彼の、そして臨也の心からの笑顔もきっと引き出してみせる、と誓った。
その時こそ、恩師に教わったあのポーズを取れるのだ。
古代ローマから伝わる、自分に納得がいく行動をした者だけが許される仕草―――サムズアップを決められるのだ。
◇
折原臨也は、戦争を望んでいた。
軍も政治も関わらない、人間そのものが起こす、純粋無垢な戦争を望んでいた。
そこで自分だけが活躍し、自分だけが起こせる戦の中で、勇猛果敢に戦い抜く事を望んでいた。
その果てに、天国があると
故に彼は、この実験を肯定する。
この、理屈も意味も分からない、突然自分の世界に割り込んできた、地獄のような天国を肯定するのだ。
「ああ……ありがたいなぁ! これが悪夢なのか、もっとドス黒い現実なのかは分からないけどさ!」
無人の病院を闊歩しながら、臨也は笑う。
それは彼がしばしば見せる機械的な、あるいは人間的な笑顔とも違う、三つ目の"違う"笑顔だった。
「俺がチマチマ火種を蒔いてきた本命の"戦争"の前に、こんな素敵な予行練習を用意してくれるなんて!
いいよ、いいとも誰かさん! 俺はこの実験を完遂させてみせる! ヴァルハラへ、天国へ向かって! ああ、アハハ!
やっぱり思った通りだ!俺は今ここにいて、生き残ろうと算段してる! この地獄で、確かに生きて存在している!」
恍惚に身を委ねながら、臨也は名も知らぬ実験の主催者を祝福し、深く感謝の意を示す。
彼の思考は、彼以外には理解できない。誰とも会わない歯車を抱えながら、やがて臨也は目的の場所に辿りついた。
「これを用意してるって事はさ―――この実験も"そう"なんだろ?」
置き去りにされた女性―――ヴァルキリー・セルティの首を、拾い上げる。
首単体で生きている奇怪を愛しそうに抱き、壊しそうに愛でる。
無粋な培養ポッドは、踏みつけて割り砕いた。こんな物がなくても、セルティの首は劣化しない。
女天使の髪を指で梳き、その目覚めを待望する臨也の目には、ネガティブな感情は一切存在しない。
後ろ向きに不安定な吉良吉影のような怪物とは違い、彼はあくまで前向きな、ごく普通に不安定な人間だ。
彼は彼の正義に則って、退く引け目も危険に臨む覚悟もなく、ただ確実に目的へと前進し続ける。
「さあ、忙しくなるぞ! 準備なしに始まった戦争だけど、だからこそ蒔ける火種もある!
この実験という名のゲームの中で……死の天使を魅了して魅せよう!」
ここで自分をセルティの首に認めさせられれば、新宿から池袋までまとめてひっくり返すような、
当初予定して、準備してきた戦争さえ起こす必要がなくなる。その時臨也は、天国に到達するのだから。
「ルールを遵守し、自分に定められた勝利条件を探り、勝ちの目を引きずり出す。
まったく、現世も地獄も、きっと天国でもプレイヤーのやる事ってのは変わらないんだねぇ」
懐から出したのは、携帯ほどの大きさの電子機器。
それは『属性探査機』の名を持つ、臨也に支給されたアイテムだった。
Hor、Set、Isi。その三陣営の本質を象ったようなデザインの電池を三つ集める事で起動する、臨也の切り札。
この病院で、Isiの電池は発見した。残りが同じく会場内の施設にあるのか、
参加者の手荷物に紛れ込んでいるのかは分からない。だがそれを見つけられれば、
臨也の立てた計画は磐石となる。臨也だけが参加者の本質を知り、臨也の掌の上で誰もが踊るのだ。
「吉良さんには第一放送後にそれとなく、指定した場所に仲間に出来た連中を連れてくるように
お願いしてるし……俺以外にも、集団を形成しようと考える奴は大勢いるはずだ。こんな地獄だ、
俺みたいな普通の人間ばかりである筈がない! 吉良さんも五代さんもどこか変わったニオイがしたし……。
ああもう、楽しみだなぁ! この実験は、俺の目的を叶えるだけじゃなく、俺の好奇心さえも満たしてくれるのか!?」
臨也は、狂ったように笑い続け、果ては小躍りまで始める有様だった。
彼の望む物が天国であるならば、この実験場は地獄だと気付いているのに、それを是として嗤い続ける。
だが、彼は気付いているだろうか?
彼の背中に、天に飛び立つ羽がない事に。
彼の持つ夢が、人間にとって膨大/望外である事に。
人間よ、異能持たぬ夢追い人よ。
お前はこの異形の坩堝で、その壊れた脳髄だけで、どのような戦果を見せるのだ。
踊る臨也の脇に抱えられて揺れる命持つ生首が、そう問いかけているようにも見えた。
実験開始から一時間と34分。見ている者は、誰もいなかったが。
この場所での"これ"こそが現時点で最も吐き気を催す、精神衛生への配慮など欠片もない光景であった。
人間の理解できない希望と夢幻に彩られた、臨界から来たオーケストラだった。
「さあ行こう、夢にまで見た天国へ! 墜ちた天使を携えて! 誰がどうなろうと不思議じゃない、大戦争をやりにいこう!」
【G-2/市街地:病院】
【折原臨也@デュラララ!】
[属性]:悪(Set)
[状態]:健康 興奮
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、セルティの首、属性探査機、属性電池(Isi)
[思考・状況]
基本行動方針:実験を完遂させつつ、その中で活躍してヴァルキリーに認められ、天国へ行く。
1:Horらしき参加者を見つけ、五代達との合流を促して擬似Horによる大集団を作る。
2:Isiらしき参加者を見つけたら、人間観察がてら人間不信に追い込む。
3:Setらしき参加者に遭遇した場合、様子を見て情報収集・擬似Set集団形成促進の為に接触する。
4:属性電池を探索する。
5:ここで活躍できなかった場合の保険の為に、本ちゃんの戦争に必要な竜ヶ峰帝人はなるべく保護したい。
[備考]
登場時期は原作2巻終了後。
吉良吉影と、第一放送後に合流する場所を密かに決めています(詳細は、後の書き手にお任せします)。
【G-3/田園】
【五代雄介@仮面ライダークウガ】
[属性]:正義(Hor)
[状態]:健康
[装備]:アマダム
[道具]:基本支給品、不明支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:誰一人死なせずに、この実験を止める
1:コロッセオに向かい、Horと見た人を仲間に加え、Isiと見た人を保護する。
2:臨也、吉良を守る。
[備考]
登場時期は原作35話終了後(ゴ・ジャラジ・ダを倒した後)。
クウガの力の制限については、後の書き手にお任せします。
【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険】
[属性]:悪(Set)
[状態]:健康、記憶喪失、なんかムラムラする
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1~2(確認済み、武器ではない)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残り、平穏の中で幸福を得る
1:コロッセオに向かい、Horと見た参加者を擬似Hor集団に加え、Isiと見た参加者を保護する。
2:自分の"本質"を知り、"抑えられない欲求"を解消したい。
3:『東方仗助』と『空条承太郎』はなんだか危険な気がするので関わりたくない
[備考]
登場時期は原作で死亡した直後。
記憶の大半を失い、スタンド『キラークイーン』を自分の意思で出せなくなり、その存在も不認知です。
なんらかのきっかけで再び自在に出せるようになるかどうかは、後の書き手にお任せします。
【支給品解説】
【属性探査機@オリジナル】
半径1km(1マス)以内の首輪を填めた参加者の総数と、属性別の数を表示させるツール。
範囲内の誰がどの属性なのかは表示されず、死体の首輪を集計から外す事もしない。
起動にはHor、Set、Isiを象った電池を全て填め込む必要がある。
三つの電池は会場のどこかに放置されているか、参加者のディパックの中に紛れ込んでいる。
一度起動させれば常に表示は消えず、約12時間で電力が失われ、機能を停止する。
以上の説明が付属のマニュアルに記載されている。
属性電池は、参加者のランダム支給品にはカウントされず、会場内にそれぞれ一本ずつしか存在しない。
【セルティの首@デュラララ!】
妖精ヴァルキリーの首。
(首無しライダーとして生きるセルティの本体とは別個に)生きているが、今のところ目を覚ます様子はない。
天国云々は全て臨也の推測であり、実際そのような機能・意思があるかは現状不明。
首の重さはボーリングの玉と同じらしいので、鈍器として使えば結構強力なのではないだろうか。
*時系列順で読む
Back:[[闇を斬り裂く一筋の光]] Next:[[夢に向かって]]
*投下順で読む
Back:[[闇を斬り裂く一筋の光]] Next:[[夢に向かって]]
|&color(cyan){実験開始}|五代雄介|[[]]|
|&color(cyan){実験開始}|吉良吉影|[[]]|
|&color(cyan){実験開始}|折原臨也|[[甘楽ちゃんのドキ☆ドキ身体&精神検査!?]]|
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**いつか降るKILLER QUEEN◆2XEqsKa.CM
五代雄介は殺し合いに向かない男である。
未確認生命体第四号『クウガ』として数多の戦いを経験しても、その事実は変わらなかった。
彼にとって争いとは忌むべき物、誰かの笑顔を曇らせる憎しみや悲しみは許容できない物だったのだ。
世界中を旅しても何処にも依らない彼だからこそ、みんなの笑顔を宝と信じたのだろうか。
ともかく五代は、暴力による物事の解決を嫌う男なのだ。
それ故に、他者を殺害する事が前提のこの実験に、五代は正当な怒りを覚えている。
だが胸を焦がすその正しき怒りでさえも、彼からすれば周りを焼く呪いの劫火でしかない。
クウガの力は笑顔を奪う悲しみを止める事が出来ても、新しい笑顔を生める代物ではない。
誰かの笑顔を奪う者と戦う時でさえ、五代は敵以上に傷つく男だった。
本来ならば正義という名の暴力行使権を背負うべきではない、優しい男だった。
他者を滅ぼす為の姿になる事を、誰よりも嫌う男だった。
そして、自分が笑顔になれない事を、誰よりも辛いと感じる男だった。
「だけど……俺は戦うんだ、俺は、クウガだから」
手帳を握り締めながら、五代はよく耕された畑の畦道を踏み締める。
力を望んだわけではない。
誰かの悲しむ顔を見たくなかっただけだ。
だが―――それでも、力は確かにこの手にある。
それを振るうのを躊躇えばどうなるのかを、五代は確かに知っていた。
旧き戦士の力を腹部にしっかりと感じながら、五代はゆっくりと歩を進める。
「Hor、Set、Isi……俺がどれに当てはまるかは分からないけど、一番危ないのはHorの人たちだよね」
ゲームと称して殺人を行う未確認生命体と戦ってきた五代が、静かに頭を働かせる。
この実験も、彼らが行うゲームと同じく、法則と制約を持つ事は明らかだ。
HorとSetは互いに滅ぼし合い、Isiは彼らに巻き込まれないように立ち回る。
だがHorは、Setを全滅させる必要がない。Isiを一人でも生き残らせればそれで勝利……生き残る事が出来る。
この実験は明らかに、Setに不公平なルールで行われていた。不公平さは怒りを、怒りは憎しみを生む。
「だから……Setの人たちは、必死でHorの人たちを殺そうとする、はず」
Isiに対して何の制約もないSetは、自分たち以外のグループを皆殺しにしても何の問題もない。
殺害する参加者についてHorを優先したいのは当然だろうが、参加者の陣営を見分ける方法がないので、
同陣営のSetだろうと無関係のIsiだろうと、残り二人になるまで無差別に殺そうとする者が現れてもおかしくはない。
自分がどの陣営であろうと、最終的に自分とIsiと見た一人だけが生き残っていれば、勝利は確定するのだから。
自分がHorかSetであり、自分以外に生き残らせた一名がIsiではなく対立陣営の者であった場合を除けば、だが。
その場合でも、自分がSetだと仮定すれば、最後の他人を殺す事で、確実に生き残る事が出来る。
参加者に自分の陣営が開示されていない以上、「もし自分がSetだったら」と考え、
短絡的に動く人間がいても不思議ではない。なにせ、命がかかっているのだ。
まともな人間なら、冷静な思考などできるはずもない。
「……それだけは、止めないと」
この実験を止める手立ては情報が不足しすぎていてまだ浮かんでこないが、
ルール上全員が生き残るのは不可能だとしても、勘違いによる殺し合いだけは防がなくてはならない。
理由のない暴力の連鎖は、一度起これば止めるのは至難の業なのだ。
それを止めるためにまずやるべきことは、参加者の陣営を開示する方法を探す事。
陣営がはっきり定まれば、少なくとも錯乱して暴走する参加者を減らす事は出来るはずだ。
その上で、全員でこの実験を止める術を探す、これが彼の決めた道。
五代はたとえ綺麗事だと言われても、それを貫く覚悟を決めていた。
「……!?」
足が止まる。
五代の耳に、誰かが走る音と、叫び声が聞こえていた。
田を掻き分け、人影が近づいてくる……五代は僅かに身構え、声をかけた。
「あの……」
「……ち、近寄るんじゃあないッ!! 来るな、来るな……」
現れた男は、狼狽していた。
誰かに追われていたのだろうか、髪を乱し、荒い息をついて恐怖の眼差しを五代に送っている。
五代は、胸の奥に鈍い痛みを感じていた。
自分のようにサバイバル経験がない人間は、この場所に放り込まれただけでこうなるのだ。
冷静でありすぎても怯えさせてしまうか、と考え、五代もまた震える声を演じて語りかける。
「どうか……したんですか?」
「うるさい! どけぇ!」
五代を突き飛ばそうと手を伸ばしかけた男が、畔に足を取られて転ぶ。
抱き起こそうとする五代だったが、男はあくまで彼を拒んでいる。
どうしたものか、と戸惑う五代の耳に、新たな声が聞こえてきた。
五代が声の方向に目を向けると、個性的でありながら突出した印象が薄い服装の男が歩いてきていた。
サラリーマン風の先の男とはまったく違う、平淡な態度で、汗もかかずにこちらを見つめている。
新たな登場人物は、五代が彼に気付いたのに少し遅れて相手に気付いたような素振りを見せ、
爽やかな笑顔を浮かべた。不思議と、五代は笑顔を返す気にはなれなかった。
作り笑いにしても、その笑顔には五代の知る暖かい感情が一切無いように見えたからだろうか。
「そんなに必死で逃げないでくれよ……あれ? そちら、知り合いかい?」
「……く、あああっ……」
「参ったな、誤解だって言ってるのに。君からも説得してくれよ」
しゃがみ込む男の様子を見るに、彼が追手らしい。
第一印象はあまり良くなかったが、フランクに話しかけてくる男に、五代はすぐに警戒を解いた。
サラリーマンを抱き起こし、話を聞こうと追手に近寄る。
サラリーマンは観念したようで、数歩ほどで自分の足で歩き、追手に向き直った。
五代は誤解が解けるかもしれない、と胸を撫で下ろし、臨也は爽やかに笑って、自己紹介を始める。
「俺は折原臨也。そっちの人には何度も言ったけど、人殺しなんてする気はないよ」
「あ、俺はこういうものです、折原さん、おじさんもどうぞ」
自己紹介をした臨也に、五代が名刺を手渡す。
『夢を追う男 2000の技を持つ男 五代雄介』と書かれたそれを見て、臨也は目を丸くした。
同じく名刺を渡されたサラリーマンは、どうやら返すべき名刺を持っていないようで、
「私は吉良吉影だ」と短く名乗り、やはり名刺を見て目を丸くしている。
「すごいね、2000も技を持っているなんて。夢を追う男、ってのもいい響きだ。よろしく、五代さん」
「こちらこそ。折原さんは、こんな状況なのに凄く落ち着かれてるんですね」
「それは君も同じでしょ? ……まあ、落ち着いている、というより動揺を抑えるのに必死なだけだよ、俺は」
黙りこくる吉良を尻目に(五代は気にかけ、何度か話しかけたが、反応は薄かった)、
臨也と五代は談笑し、表面上は意気投合しているように見えた。
だが、五代は誰とでも仲良くなれる人間だし、臨也は相手が誰であろうと騙し合いの付き合いを望む人間だ。
二人の会話をじっと聞いている吉良も含めて、その場は異様な雰囲気に包まれていた。
それに、全員が気付いていながら、それぞれの意思で流され続けている。
相手はどのグループで、どんな考えで行動していて、自分をどの陣営だと考えているのか。
疑念と策謀が渦巻くその空気はまさしく、この実験の縮図であると言えた。
やがて、臨也が五代との会話を打ち切り、今後君たちはどうするのか、という核心的な話題を振る。
吉良と五代は居直って、その問いに答える体勢を作る。
臨也は笑みを絶やさずに、僅かに視線をずらして、吉良に眼光を飛ばす。
吉良はそれを受け取って、僅かに口元を歪めた。
この二人の初対面(ファーストコンタクト)は数十分前で、その内容も、五代の想像とは大幅に違っていた。
その内容については、今この場で語る必要は無い。そのうち、彼ら自身が勝手に回想するだろう。
◇
白い壁、清潔な空気、換気の良く通った建築造形。
そんな現代的な、ごく普通の病院の三階ロビーで、吉良吉影は首を眺めていた。
首を眺めていた。首と言うのは鏡に映る、首輪を填められた自分の首ではなく、培養ポッドに入れられた女のそれだ。
首から上、と言う方が正確であろうその物体は、ロビーの床の上にポンと置かれている。
美しい顔だった。一般的な男性なら10人に9人が心を奪われる程度の美貌。
凡百の男としては相当な努力をしなければモノに出来ないだろう、垢抜けた女の顔だった。
そんな女の顔を見ていても、吉良吉影の胸には湧き上がる気持ちが何らない。
もしや彼は、同姓愛者なのだろうか。彼自身にも、その疑問にハッキリと答えは出せなかった。
吉良吉影は、自分の記憶の大半を失っていた。
覚えているのは、名前と、自分が死んだはずだという事と、あとは断片的な生活の記憶くらい。
いつ、どうやって、何故死んだのかはどうしても思い出せないが、
どういうわけか自分が天国にはいけない人間だという実感は強く感じていた。余程心を脅かされて死んだのだろう。
ならばここは地獄なのか。否、吉良吉影は一切の苦痛を感じていない。
苦痛なき地獄などいったい存在するのだろうか、と吉良吉影は首を傾げる。
目の前に置かれた首はもう傾げる機能を失っているようだし、彼の疑問に答えを出す者はいなかった。
吉良吉影は、ここに来る直前の出来事を思い出して、バッグから手帳を取り出した。
パンパンに詰め込まれていたので不審に思い、バッグを開けて最初に出てきた者が女の首だったのには
とても驚いたが、女の首と一緒に入っていたから他の物が使い物にならないと言う事は無いだろう。
培養槽のおかげか、首から死臭はしないし(彼はそこで自身が死臭を嗅ぎ慣れている事に気付き、背筋が寒くなった)
死んだはずの肉体や精神はすこぶる良好だ。ならば、やはり先ほど聞いた実験の話は本当なのか。
自分はどうにかして生を再開し、この実験に参加させられたというのか。
手帳の中にはマニュアルと称して様々なルールが書き込まれている。
それらを見ても、やはりいまいち実感が沸かない。死人に生きるために戦えと言われても、困るのだ。
死ぬ以前の僅かな記憶を辿って見れば、吉良吉影の「価値観の中心」は数字だった。
稼ぐ金額は他人より多い数字、成績の順位は他人よりも少ない数字。
新幹線は一分でも速くだし、年齢は一歳でも若くだ。髪の毛は一本でも多く、体脂肪率は20%以下。
だが、それらの数字にこだわるような事は、この場所ではまったく無意味だろう。
では、一体死人となった自分は何に価値を見い出せば心が落ち着くのだろうか? 吉良吉影に、答えは出せない。
だがどうした事か、吉良吉影は「必ず生き残らなければ」という気持ちになり始めていた。
それも表立って暴れるような事はせず、出来る限り平穏に、心を落ち着かせて。
死後は決して得られないと知った幸福を得るために、生き残りたいと、感じていた。
杯の中身が零れても、杯の形は変わらない。生き残るためならなんでもしようと、吉良吉影が何かに誓う。
吉良吉影という人間は、死んでも正常に治らなかった。
「……しかし、この首は一体なんなのだ? 何かが足りないような気がする……」
なんなのだ、と問いかけてから、吉良吉影は自分の疑問の滑稽さに気付く。
何かが足りないも何も、足りない部分の方が多いではないか。
だが……彼はその足りないどこかに、吉良吉影という人間が魅力を感じる箇所があるような気がしていた。
よくよく心を整理して見れば、女性への欲求はある。だが、それがなかなか表に出てこないのだ。
なにか、自分の本性が露わになる人間のパーツがあるのかも知れない。
確かに平穏を求めるのも大事だが、吉良吉影というのは欲求を抑える事が出来ないタイプの人間だった。
その欲求の発揮がどういう行動なのかについては記憶に不明瞭な部分もあったが、それでも求めずにはいられない。
「それに足りない部分以前に、美しいからと理屈をつけて女性を保管しているような体なのが気に入らないな……。
愛というのは終わるからこそ美しいのではないだろうか? 次々と新しい恋をしてこその人間ではないのか?」
愛とは、不安定であるべき物だ。変わらない、曲がらない、異常なほどの量の愛を、吉良吉影は何故か嫌悪している。
ブツブツと呟きながら、吉良吉影は参加者名簿を取り出して眺める。
『L(アルファベット?)』『金田一一(かねだーー?)』
『バットマン(どこかで聞いた事があるような……)』『イカ娘(ふざけているのか?)』
どうやら参加者は吉良吉影と同じ、日本人だけではないようだ。
言葉が通じるかどうかも分からない者とはなるべく関わりたくないな、と吉良吉影は名簿を閉じようとする。
だがその直前に、二つの名前が目に入った。
『東方仗助』『空条承太郎』
その名前を見たとたんに、脳の最奥に疼痛が走る。
「―――――?」
この二人は、自分と何か関係があるのかも知れない。
それも、なんとなくあまり良くない関係である気がして、吉良吉影は静かに名簿を閉じた。
彼らとは、出会わないに越した事はないだろう。
「……」
しばらくここでじっとしていよう、と吉良吉影は決断する。
どうせ自分の陣営もわからないのだ、行動するには早すぎる。
実験の主催者たちとしても、積極的に殺し合いをさせるためにそのうち情報を開示するだろう。
そのまま女性の首を見ながらぼうっとしていた吉良吉影は、背後から接近してくる足音に気付いた。
現れた男は眉目秀麗で優しげな雰囲気を発していたが、吉良にとっては危険人物だとすぐに分かるような人間だった。
感じたのだ。男は―――きっと、人間を愛している。吉良が嫌悪する曲がらぬ愛情を、人間全てに放っている、と。
「……変わった趣味だね。女の首を見ていて楽しいのかな?」
「別に、楽しみでやっているわけじゃあない。お前は?」
「折原臨也。ねえ、あんたさ。ひょっとして、死んでたりする?」
「……そう見えるのか?」
腐った死体が死んだような目なんだよねぇ、と冗談のように言う臨也を一瞥して、吉良吉影は立ち上がる。
この男が自分に危害を加えるのならば、すぐさま逃げなくてはならない、と。
吉良吉影は武器を持っていないし、特別身体を鍛えているわけでもない。
相手の出方を見るために、吉良吉影は今度は自分から話しかける。
「……記憶が無くてな。そういう人間は、今までの人生を亡くしているような物だろう?
お前の死んでいる、という表現も間違ってはいない……と、わたしは思うが」
「へえ、そりゃ災難だね。でも、こっちからすれば好都合だ。おじさん、俺と手を組む気ある?」
「初対面の人間とこの場で、か? わたしがそんな誘いに乗るとでも?」
「乗るでしょ? 別に仲良しになろうって言ってるわけじゃない。ただ、数を集めたいだけだよ。
ちょっと頭が回る奴ならこの実験のルールを見て、集団を利用するのがセオリーだって気付くはずだ」
「……話を聞こう。どうやら、君はわたしにとってメリットがある相手のようだからな」
吉良吉影は臨也に自分の前に着座するように促し、話を聞く体勢に入った。
彼もまた、臨也の放つ異様な/矛盾した/壊れた、人間への愛情に魅入られ始めていた。
◇
「最初に聞くけど、この実験に生き残るのにするべき行動って何だと思う、吉良さん?」
「HorとSetをなるべく大規模に殺し合わせ、彼らの数を減らす事だ。
自分がどの陣営にいようと、それはまず生き残るための必須条件だろう」
「その理由……Setは言うまでもないし、Horとしても自分の楽な方の勝利条件を阻害し得るSetは邪魔。
HorだろうがIsiだろうがSetだろうが、自分以外皆殺しにすればいいと考えるSetかIsiが大活躍しちゃったら、
Isi保護による勝利は流れちゃうからねぇ。まあ実験って名目だし、そんな短絡的な奴はそう多くないと思うけど。
おまけにSetを首尾よく全滅させられれば、誰が"そう"かも分からないIsiの保護に気を揉まれる事も無い。
俺達がIsiだとしても、後半激化するであろう他の参加者の争いに巻き込まれる危険を減らすに越した事はないしさ」
臨也と吉良は、淡々とこの実験から生還するための方策を語り合う。
その様子からは、命に対する思いやりのような物は一切感じられない。
臨也は人間を愛しているが、大事にしている訳ではない。熱しやすく冷めやすい、乙女のような人間だ。
吉良は今はその自覚がないとはいえ、人間を殺す事が抑えられぬ生理現象となり、それを趣味と呼ぶ純粋な怪物だ。
そんな氷のような二人の会話だったが、生き残る事への熱意は激しく盛っていた。
臨也は吉良の死人のような目に関心を持ち、吉良は臨也の不安定さに興味を抱いている。
今のところ、二人の間に殺意が混じる要素は無かった。
「だが、折原……我々がIsiだった場合。あまり殺し合いを促進させる為に動いていれば、
それだけ危険に巻き込まれる可能性も高まるんじゃあないか? それに、行為が公になれば
他の参加者からいらぬ警戒と敵意を向けられるかもしれない。」
「うん。それを避ける為に、俺は集団を作ろうとしてるんだ。作るべき集団は三つ。
当然、Hor、Set、Isi組だね。別に中身の人間が主催側の決めた組み分け通りじゃなくてもいいんだけどさ」
「……? どういうことだ?」
「だからさ……複数の陣営を作ってその中心に潜り、自分達の安全を確保して殺し合いをさせるんだよ」
「……どうやって、三つの集団を作る? 参加者は60人……そいつら全員を管理できる自信があるのか?」
「そんなもの、なくてもいいのさ。俺達はあくまで中心にいればいい。管理するのは、祭り上げる三集団のリーダーだ」
「参加者には自分の陣営が明かされていない。それでも、大規模な集団を作れるというのか?」
臨也は、それはとても簡単な事だよ、とペンを取り出して、自分の手帳のマニュアルに指摘線を書き込み始める。
Horグループは、Setを全滅させる以外に、Isiを保護する事でも生存の道が示されている。
Setグループには、Horを全滅させる以外に生き残る術は無い。
Isiグループはどの陣営とも関わる必要なく、最期まで生存するだけで生還できる。
これをただ見れば、Setが不利だという事しか感じられないだろう。
「でもさ、Setグループが、他人を殺す事に何の躊躇も無い奴ばかりだったら、話は別じゃないかな?」
「成る程……参加者の陣営は運動会の組み分けのような意味を持つだけでなく、
参加者それぞれの資質によっても設定されているのではないか、とお前は考えているわけか」
「結構説得力ないかな? 実験の趣旨が殺し合いをさせる事、って言葉が本当なら、これくらいの恣意は入れるだろう」
「とすると、Horは敵を殺すより他人を保護する事を選ぶ可能性があるような人間、Isiはどちらにも当てはまらない、
我々のような積極的に殺しもやらないがそれほど道徳心が強くもない人間、か?」
「俺だったら、そういう善人や悪人の中でもとびっきりの奴を敢えて逆の陣営に入れたり
するくらいのお遊びは入れるけどね。ま、この推測を聞かせれば、Horに当てはまる人間は
二つ返事で集団に入ってくれるだろう。その中から優秀で攻撃的な人間をリーダーに祭り上げれば、
結成した当初はIsiを保護する方針でやっていくとしても……」
「Horが組み始めれば、同様の推測で自分達がSetだと考えた参加者達も徒党を組む。
擬似Hor組と擬似Set組が出来れば、互いの集団に明確な方針が生まれて、戦闘も増えるだろう。
お互いの集団が気付いた頃には、参加者の総数は激減している……そこまで上手くいかないにしても、
ただ散発的に行動するよりは、生き残れる可能性は上がりそうじゃあないか。それで……我々はまず、どう動く?」
「俺はほら、こんな性格だからさ。Horの人達にはあんまり信用されないと思うんだよね。
だから、まず吉良さんに、Horの集団をそれとなく作り上げてもらいたいんだ。
本当に記憶喪失だって言うなら、自分の感情より社会的な知識で行動するのは簡単だろう?
よっぽどの下手を踏まなきゃ、彼らに信用されるのは不可能じゃないはずだよ」
「それはいいが……折原、お前はどうするんだ? 私と別行動を取るなら、もしもの時は見捨てさせてもらうぞ」
「俺はね、最初の六時間はこの実験はあまり動かないと思うんだ。自分の陣営も分からないんだし、
様子見の姿勢を取る奴が多いだろう。そのぬるま湯のような時間に、色々仕込みを入れようと思う。
吉良さん、虫を湧かせた経験とかない? 疑惑も一緒さ、残飯みたいな粗末な情報を蒔いてりゃ勝手に生まれる」
確かに、吉良も最初は様子見をしようと考えていた。
臨也の読みを正しい物だと評価しながら、吉良は冗句を入れて返答する。
「記憶喪失だと言っているだろう。虫育てなんて小学校の自由研究でやったかどうかもワカらないよ」
「そうかい。まあとにかく、俺は単独行動して、Isi組と見た奴に色々やって簡単に他人と組まないようにしておく。
Isiが全員簡単に擬似Hor組についちゃったら、いざって時のパワーバランス的にもよくないしね」
「理想はお前がその後擬似Set組に潜り込み、わたしが潜った擬似Hor組との激突前に二人で抜け出すことだな……。
しかし、それでも我々の正確な陣営は分からない。無いとは思うが、我々がHorとSetだった場合だけは
全て上手くいったとしても最期の最後で共倒れになってしまうぞ。なにか自陣営を見極める手は思いつくのか?」
「上手くSetとして動いてる参加者に接触できれば、聞き出せるかも知れない。三人殺した時のボーナスってあるだろ?
あれで自分の陣営を教えてもらえるくらいの事は出来るんじゃないか、って想像してるくらいかな、現状は」
「なるほど……生贄を溜める為の策でもあるわけだ、集団作りは」
吉良は、臨也の方針にとりあえず乗ってもよさそうだと判断したらしく、
満足そうに頷く。臨也としては、Isiの扱いについてもう少し突っ込んでくる事を期待していたようだが、
とりあえず理解してもらえたか、とため息をつく。
と、吉良が手を差し伸べてきた。何のつもりか、と訝る臨也に吉良は微笑みを見せた。
「手を組むんだ。文字通り、握手くらいはいいだろう?」
「……アハハ」
なんとも、普通の感性だ。
臨也は少し、疑問に思った。何故、自分はこの男をパートナーとして選んだのか。
確かに吉良の目に関心を抱いたのは事実だが、そんな些細な事で生き残るために重要な、
最初の共犯者を選んでよかったのだろうか? いや……吉良が自分にとって不足な男ならば、臨也は
彼を選ばなかったはずなのだ。優れた情報屋としての勘は、吉良の中に何を見たのか?
手を吉良に預けながら、そんな事を考えていた臨也。だが次の瞬間、その思考が凍りつく。
「……!?」
「滑らかで、凸凹のない美しい手だ。だが……勃起はしない。何故だろう? やはり、男では駄目なのかな……?」
ぞくり、と臨也の背筋に冷たい刃物が差し込まれる感触。
吉良が、万力のような力で臨也の手を握り、自らの頬に這わせていた。
組んだ両者の手に、うっすらと別の……髑髏の意匠を誂えた手袋をはめた手が見えたのは、気のせいだったか。
臨也が目を疑い、それを再確認する間に、手は離されていた。
感じた寒気が嫌悪感ではなく、恐怖であった事に気付かなかったのは、臨也にとって幸か不幸か。
吉良自身も、何か妙な物を見たような目で、自分の手をジッと見つめている。
「俺にはそういう趣味はないよ」
「ああ……失礼。ああすれば、気持ちよくなれるような気がしたんだ。
不快に感じたならすまなかったな。二度としないよ」
「そうしてくれ。……とりあえずこの病院を出ようか。首は置いていきなよ。
そんな物を持ち歩いてたら、あらぬ疑いをかけられかねないからさ」
表向きは嫌悪の仕草を見せながら、臨也は先ほどまでより強く吉良に興味を抱いていた。
記憶喪失というのは本当かもしれないが、彼自身も知らない秘密が、彼にはあるのかも知れない、と。
吉良がどのような人間なのかを知ることで、自身の好奇心を満足させたい―――。
だが、今はまだその時ではない。吉良と並んで廊下を歩く臨也の目に、人影が映る。
病院の窓から見えるその人影は、市街地から離れた畦道を歩いている。
獲物を探している動きや速度ではないが、何かを恐れている様子もない。
Hor側の人間である可能性が高いと踏み、臨也は接触を決心した。
「吉良さん、早速一芝居、お願いしてもいいかな」
「ああ……生き残りにいくとしようか」
◇
「そうか、Horの人達で集団を作れば、Setの人達への抑止にもなるし、
Isiの人達を保護する行動もやりやすくなるんですね」
「うん、その通りだよ五代さん。できれば貴方にも、俺の考えに協力して貰えたらと……」
「……わたしは反対だな。その折原という男は信用できない」
「嫌われたなぁ。俺はただ、無駄に人死にが出るのを見てられないだけなんだけど。無駄、嫌いなんだよね」
茶番劇が続く。
臨也が語った人格によって陣営が決められている、という推測を聞いた五代は、
なるほど二つ返事でHorの集団を作る事に賛成した。
臨也と吉良の反りが合わない状況を演出し、吉良だけを五代と同行させる流れを作る。
目的どおりに事が運んで内心でほくそ笑む臨也に、五代は一切裏の無い笑顔を見せた。
五代も、臨也が何かを隠しているのには気付いているのかもしれない。
だが、それを承知の上でも臨也を許容できるのが、五代の強さだった。
(五代雄介……頭も意外と切れそうだし、少し優しすぎるのが難点だけど、いきなり大当たりを引いたね、これは。
身体の方もどういうわけかシズちゃん並みに筋力が発達してるみたいだし……。正直、別れるのは残念だ)
優れたHor側の人間であり、軍団の中核としてこれ以上ない、と思える人材を発掘できた事に喜ぶ臨也だったが、
そんな事はおくびにも出さずに、「信用して貰えないなら仕方がない、別行動を取る」と宣言する。
当然五代は反対し、なんとか臨也と吉良の偽りの確執を取り持とうとするが、不発に終わった。
あれよあれよという間に五代たちはコロッセオの方角へ、臨也は市街地に戻って探索を続ける、と決定してしまう。
「まあ……俺の方でも、信用できる人間を集めておくよ。俺一人は信用できなくても、
それなら吉良さんも納得してくれるだろうさ。バラバラに探した方が効率はいいしね」
「でも、折原さんにもしもの事があったら俺は……せめて、合流する場所と時間を決めておきませんか?
それまで……3時間もあれば、吉良さんの誤解を解けると思います」
「そんな事をしたら、俺達のどっちかが他の参加者に襲われた時に情報を吐かされて待ち伏せされかねない。
それに自分の身くらい自分で守れるさ。俺だって結構修羅場は潜ってきてるしね。
まあ、目の前で襲われてたら助けてくれ。あ、そうだ……吉良さんにも聞きたいんだけど、こういうの持ってない?」
別れ際。臨也が妙な事を言い出した。
自分と出会ったときには聞かれなかった事だと、吉良が眉を潜める。
臨也が取り出したのは、単4の電池だった。
暗くて五代たちには見えなかったが、『Isi』という文字が刻まれている。
「いや……俺の荷物の中にはなかったなぁ」
「わたしも、知らないな」
吉良としては、打ち合わせにない事態だったので少々焦ったが、
確執を演じている以上、あまり深く踏み込んで問い詰める事は出来ない。
企んだな狸奴、と内心で苦笑する吉良に対し、臨也はいまだ爽やかな笑顔のままだ。
もしこれと似た電池を見つけたら、回収しておいてくれ、と頼む臨也に、快く頷く五代。
「じゃあ、俺は行くけど……誰か探して欲しい人とかいるかな?」
「俺は、別に。幸い、名簿に知り合いは載っていませんでしたから」
「……『東方仗助』と『空条承太郎』。この二人を探して欲しい。
あの二人なら、我々と同じ道を選ぶだろうからな」
突然、初対面の時にはおくびにも出さなかった知り合いの名前を出されて、
臨也は意趣返しか、と内心で舌打ちする。やはり吉良は、簡単に利用できるような底の浅い人間ではなさそうだ。
吉良としては、承太郎達がどんな人間だったのか、本当にHor寄りなのかという確信はない。
だが、自分にとって危険な人物だという記憶は残っていたので、
それなら臨也にとっても鬼門側の男達だろう、と見て半ば嫌がらせのように放った言葉だった。
「オーケーオーケー……吉良さんに信用される為だからね。探しておくよ。
俺の方からも、探して欲しい子供がいるんだ。竜ヶ峰帝人くんっていう子。
きっと五代さんとは気が合うと思うから、見つけたら保護してあげて欲しい」
「うん、分かったよ。……気をつけてね、折原さん」
「……せいぜい次の放送で名前を呼ばれないようにするといい」
話が済んだら長居は無用、とばかりに去っていく臨也に心配そうな視線を向けつつも、
五代は所在なさげに佇む吉良に満面の笑顔を見せ、行きましょう、と促した。
吉良はしばらく五代の手を見ていたが、やがて先導してコロッセオに歩き始める。
慌ててそれを追う五代は、心中で新たな決意を燃やし始めていた。
(俺だけじゃない、この実験で人が死なない事を願ってるのは、俺だけじゃなかった!
吉良さんも折原さんも、俺が絶対この手で守る。だって――――――)
「俺、クウガだもん!」
「? 」
突然知らない単語を出されて神妙な顔を見せる吉良を見て、
五代は彼の、そして臨也の心からの笑顔もきっと引き出してみせる、と誓った。
その時こそ、恩師に教わったあのポーズを取れるのだ。
古代ローマから伝わる、自分に納得がいく行動をした者だけが許される仕草―――サムズアップを決められるのだ。
◇
折原臨也は、戦争を望んでいた。
軍も政治も関わらない、人間そのものが起こす、純粋無垢な戦争を望んでいた。
そこで自分だけが活躍し、自分だけが起こせる戦の中で、勇猛果敢に戦い抜く事を望んでいた。
その果てに、天国があると
故に彼は、この実験を肯定する。
この、理屈も意味も分からない、突然自分の世界に割り込んできた、地獄のような天国を肯定するのだ。
「ああ……ありがたいなぁ! これが悪夢なのか、もっとドス黒い現実なのかは分からないけどさ!」
無人の病院を闊歩しながら、臨也は笑う。
それは彼がしばしば見せる機械的な、あるいは人間的な笑顔とも違う、三つ目の"違う"笑顔だった。
「俺がチマチマ火種を蒔いてきた本命の"戦争"の前に、こんな素敵な予行練習を用意してくれるなんて!
いいよ、いいとも誰かさん! 俺はこの実験を完遂させてみせる! ヴァルハラへ、天国へ向かって! ああ、アハハ!
やっぱり思った通りだ!俺は今ここにいて、生き残ろうと算段してる! この地獄で、確かに生きて存在している!」
恍惚に身を委ねながら、臨也は名も知らぬ実験の主催者を祝福し、深く感謝の意を示す。
彼の思考は、彼以外には理解できない。誰とも会わない歯車を抱えながら、やがて臨也は目的の場所に辿りついた。
「これを用意してるって事はさ―――この実験も"そう"なんだろ?」
置き去りにされた女性―――ヴァルキリー・セルティの首を、拾い上げる。
首単体で生きている奇怪を愛しそうに抱き、壊しそうに愛でる。
無粋な培養ポッドは、踏みつけて割り砕いた。こんな物がなくても、セルティの首は劣化しない。
女天使の髪を指で梳き、その目覚めを待望する臨也の目には、ネガティブな感情は一切存在しない。
後ろ向きに不安定な吉良吉影のような怪物とは違い、彼はあくまで前向きな、ごく普通に不安定な人間だ。
彼は彼の正義に則って、退く引け目も危険に臨む覚悟もなく、ただ確実に目的へと前進し続ける。
「さあ、忙しくなるぞ! 準備なしに始まった戦争だけど、だからこそ蒔ける火種もある!
この実験という名のゲームの中で……死の天使を魅了して魅せよう!」
ここで自分をセルティの首に認めさせられれば、新宿から池袋までまとめてひっくり返すような、
当初予定して、準備してきた戦争さえ起こす必要がなくなる。その時臨也は、天国に到達するのだから。
「ルールを遵守し、自分に定められた勝利条件を探り、勝ちの目を引きずり出す。
まったく、現世も地獄も、きっと天国でもプレイヤーのやる事ってのは変わらないんだねぇ」
懐から出したのは、携帯ほどの大きさの電子機器。
それは『属性探査機』の名を持つ、臨也に支給されたアイテムだった。
Hor、Set、Isi。その三陣営の本質を象ったようなデザインの電池を三つ集める事で起動する、臨也の切り札。
この病院で、Isiの電池は発見した。残りが同じく会場内の施設にあるのか、
参加者の手荷物に紛れ込んでいるのかは分からない。だがそれを見つけられれば、
臨也の立てた計画は磐石となる。臨也だけが参加者の本質を知り、臨也の掌の上で誰もが踊るのだ。
「吉良さんには第一放送後にそれとなく、指定した場所に仲間に出来た連中を連れてくるように
お願いしてるし……俺以外にも、集団を形成しようと考える奴は大勢いるはずだ。こんな地獄だ、
俺みたいな普通の人間ばかりである筈がない! 吉良さんも五代さんもどこか変わったニオイがしたし……。
ああもう、楽しみだなぁ! この実験は、俺の目的を叶えるだけじゃなく、俺の好奇心さえも満たしてくれるのか!?」
臨也は、狂ったように笑い続け、果ては小躍りまで始める有様だった。
彼の望む物が天国であるならば、この実験場は地獄だと気付いているのに、それを是として嗤い続ける。
だが、彼は気付いているだろうか?
彼の背中に、天に飛び立つ羽がない事に。
彼の持つ夢が、人間にとって膨大/望外である事に。
人間よ、異能持たぬ夢追い人よ。
お前はこの異形の坩堝で、その壊れた脳髄だけで、どのような戦果を見せるのだ。
踊る臨也の脇に抱えられて揺れる命持つ生首が、そう問いかけているようにも見えた。
実験開始から一時間と34分。見ている者は、誰もいなかったが。
この場所での"これ"こそが現時点で最も吐き気を催す、精神衛生への配慮など欠片もない光景であった。
人間の理解できない希望と夢幻に彩られた、臨界から来たオーケストラだった。
「さあ行こう、夢にまで見た天国へ! 墜ちた天使を携えて! 誰がどうなろうと不思議じゃない、大戦争をやりにいこう!」
【G-2/市街地:病院】
【折原臨也@デュラララ!】
[属性]:悪(Set)
[状態]:健康 興奮
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、セルティの首、属性探査機、属性電池(Isi)
[思考・状況]
基本行動方針:実験を完遂させつつ、その中で活躍してヴァルキリーに認められ、天国へ行く。
1:Horらしき参加者を見つけ、五代達との合流を促して擬似Horによる大集団を作る。
2:Isiらしき参加者を見つけたら、人間観察がてら人間不信に追い込む。
3:Setらしき参加者に遭遇した場合、様子を見て情報収集・擬似Set集団形成促進の為に接触する。
4:属性電池を探索する。
5:ここで活躍できなかった場合の保険の為に、本ちゃんの戦争に必要な竜ヶ峰帝人はなるべく保護したい。
[備考]
登場時期は原作2巻終了後。
吉良吉影と、第一放送後に合流する場所を密かに決めています(詳細は、後の書き手にお任せします)。
【G-3/田園】
【五代雄介@仮面ライダークウガ】
[属性]:正義(Hor)
[状態]:健康
[装備]:アマダム
[道具]:基本支給品、不明支給品1~3(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:誰一人死なせずに、この実験を止める
1:コロッセオに向かい、Horと見た人を仲間に加え、Isiと見た人を保護する。
2:臨也、吉良を守る。
[備考]
登場時期は原作35話終了後(ゴ・ジャラジ・ダを倒した後)。
クウガの力の制限については、後の書き手にお任せします。
【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険】
[属性]:悪(Set)
[状態]:健康、記憶喪失、なんかムラムラする
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1~2(確認済み、武器ではない)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残り、平穏の中で幸福を得る
1:コロッセオに向かい、Horと見た参加者を擬似Hor集団に加え、Isiと見た参加者を保護する。
2:自分の"本質"を知り、"抑えられない欲求"を解消したい。
3:『東方仗助』と『空条承太郎』はなんだか危険な気がするので関わりたくない
[備考]
登場時期は原作で死亡した直後。
記憶の大半を失い、スタンド『キラークイーン』を自分の意思で出せなくなり、その存在も不認知です。
なんらかのきっかけで再び自在に出せるようになるかどうかは、後の書き手にお任せします。
【支給品解説】
【属性探査機@オリジナル】
半径1km(1マス)以内の首輪を填めた参加者の総数と、属性別の数を表示させるツール。
範囲内の誰がどの属性なのかは表示されず、死体の首輪を集計から外す事もしない。
起動にはHor、Set、Isiを象った電池を全て填め込む必要がある。
三つの電池は会場のどこかに放置されているか、参加者のディパックの中に紛れ込んでいる。
一度起動させれば常に表示は消えず、約12時間で電力が失われ、機能を停止する。
以上の説明が付属のマニュアルに記載されている。
属性電池は、参加者のランダム支給品にはカウントされず、会場内にそれぞれ一本ずつしか存在しない。
【セルティの首@デュラララ!】
妖精ヴァルキリーの首。
(首無しライダーとして生きるセルティの本体とは別個に)生きているが、今のところ目を覚ます様子はない。
天国云々は全て臨也の推測であり、実際そのような機能・意思があるかは現状不明。
首の重さはボーリングの玉と同じらしいので、鈍器として使えば結構強力なのではないだろうか。
*時系列順で読む
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|&color(cyan){実験開始}|五代雄介|[[進行]]|
|&color(cyan){実験開始}|吉良吉影|~|
|&color(cyan){実験開始}|折原臨也|[[甘楽ちゃんのドキ☆ドキ身体&精神検査!?]]|
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